025話 作戦:静かに、全速力で脱出(無理)
▽【前回の山田】
再会したカレンは歪な記憶を抱えていた。
NPCは復活しない。その事実が山田を打ちのめす。
俺はカレンに案内されて部屋にあがる。
一人になったタイミングで、UIのミッションタブを開く。
<最終ミッション:NPCを連れてマンションを脱出せよ!>
が無慈悲に点滅している。
つまり、だ。
プレイヤーは無限に死に戻りできる。
しかし、最終ミッションの挑戦、クリアには制限があるということだ。
前回、俺はジョンを死なせてしまった。
そして、もし。
もしも今回、カレンを死なせたら。
――クリア不能。詰み。
あの無機質な“GAME OVER”が、
「お前の人生終わりだよ(CV:イリスたん)」
って言ってる気がする。やめて。
その本当の意味が俺の肩にのしかかる。
息が苦しい。
目の前が真っ暗になる。
……清々しい草花の香りがする。
「ハイ。カモミールティだよ。リラックスね」
気づくと、カレンがハーブティを淹れて俺の前に座っていた。
「ヤマダ、また怖い顔シテタ。これ美味しいよ。ジョンも好きなの」
ジョンが笑った気がした……そうだな。
俺は、言われるまま、お茶を口に含んだ。
リンゴのような甘さが、身体中にやさしく広がった。
「これ、すごいな。生き返ったみたいだ!」
「good!お代わりあるヨ?」
「No thank you!(キリッ)」
「Oh… my god」
……俺、今なにか神を殺した?
あわわ。カレンが落ち込んでしまった。下手な英語はやめよう。
「カレン!聞いてくれ。
このマンションを脱出しよう!そして」
「and?」
「そして、ジョンに会いに行こう!」
「Oh!Yes!ヤマダ is Best Survival man!」
俺は脱出作戦を二人ver.にして計画を練り直した。
とはいえ、やることはsimple!
「作戦:静かに、かつ全速力で6階から消える」
※UIログ:
《矛盾しかないプランが設定されました》やかましい。
地上に降りれば、ジープがある。なんとかそこまで辿り着く。
だが。
なにか見落としている気がする。
カレンが俺の肩に手を置く。
「ワタシ、ヤマダ信じるヨ。大丈夫ね」
カレンの力強い瞳が俺を見つめる。
わからないことをこれ以上考えても仕方ない。
よし、いくぞ!
◇今回の成果◇
・死亡回数:60
・獲得スキル:なし
・メモ:「なにか見落としている気がする」
※
山田「読んでくれてありがとう……!
今日はまだ死んでない。褒めてくれ……!」




