019話 積み重ねた死は誰のモノ
▽【前回の山田】
ゾンビ化してなお、ジョンはカレンの盾となった。死に戻る山田は何を思う。
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身体が、重い。
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頭が、考えることを拒否している。
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どれだけ時間が経ったのか。
いま何周目なのかすら曖昧だ。
どうせ、何をしなくても空爆が来る。
どこかの天井が落ちてきて、またやり直しだ。
・空爆 → 天井瓦礫 → 死亡(圧死)
・空爆 → 壁崩落 → 死亡(圧死)
「……っ」
胸が急に締めつけられ、息が詰まる。
廊下で挟撃されたときの感触。
階段で銃が落ち、ビンが鳴り、大量のゾンビが押し寄せた光景。
――やめろ。
両手を頭に押しあてると、
手の甲にうっすら緑色の痕が見えた気がした。
ウッ……。
視界が赤く染まり、
心臓が耳の奥でバクンバクンと脈打つ。
全身が灰色に冷え、奥歯がカタカタ震える。
指先が痺れ、吐き気がこみ上げる。
「う……あ……いやだ……もういやだ……」
脳裏に、次々と声が浮かぶ。
ジョン。
カレン。
母さん。
誰か――助けてくれ。
暗い深いところへ引きずられ、
意識が奈落へ落ちていく。
……
…………
――気づけば、天井が揺れていた。
「……っ!」
跳ね起きると、全身びっしょり。
汗か涙か、もうわからない。
壁の時計を見る。
140時間が経過していた。
「空爆まで……あと4時間、か」
ぎしり、と固まった身体を無理やり立たせる。
どうせ死ぬ。
死ぬと分かっていても――
一度だけ、身体を洗いたくなった。
浴室でシャワーを二時間。
ただ湯に打たれ続けた。
流れ落ちていく水が、
こびりついた死臭や絶望を、
ほんの少しだけ連れ去ってくれた。
風呂から出ると、
ひさびさに“空腹”を感じた。
冷凍ピザを温めて、むさぼるように食べる。
美味い。
……けど、飽きたな。
次は自炊してみるか。
次なんて、いつ来るのか分からないのに。
残り1時間。
俺は深呼吸して、ミッション4の報酬を選択した。
<圧力耐性Lv.3へ進化>
UIが無機質な光を放ち、
耳元でピコーンという音がした。
その瞬間だけは、
少しだけ“生きている”気がした。
◇今回の成果◇
・死亡回数:40
・獲得スキル:圧力耐性Lv.3:圧力系ダメージを50%軽減する
・メモ:・・・・・・なし
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