014話 コミュ障代表「アイムヤマダ」の事故紹介、金髪もさすがの困惑
▽【前回の山田】
女神と女神の軋轢発覚!俺を挟んで三角関係、私たち、いったいどうなっちゃうの~?
新スキルゲット、小さなメダル9枚確保でウハウハなのだ。
■ ミッション4、開帳の儀
さて……そろそろミッション4を確認するか。
UIからミッションタブを開く。
ミッション1:72時間生存せよ.
ミッション2:ゾンビ1体撃破せよ(達成)
ミッション3:バールのようなものを手に入れよ(達成)
ミッション4:生存者と接触せよnew!
(以下、空欄)
「なるほどね。ついにNPC登場ってわけか」
俺は10階の廊下で息を殺し、周囲をじっくり確認した。
奥にゾンビが1体。
階段は──うわ、崩落。上へ行ける気配ゼロ。
いや、制作陣の“お約束封鎖”はゴミ山だった。ということは・・・・・・?
だが今は違うだろう。
次は入れそうな部屋を……あった。
木の板でガッチガチにバリケードされたドア。
どう見ても“絶対に入れません!”と主張している。
逆に入りたくなるやつ。
「はい、イベントアイテムの出番!」
俺はバールのようなものを取り出す。
本来ならここで使用して永遠にサヨナラのはずだが……俺にはまだ8本ある。
バグの力って偉大。
<バールのようなものを使いますか ⇒ YES>
「よーし、開け──」
パッ。
手に持っていたバールが消えた。
「まあ、重要アイテムだから当然……っと、アイテム欄……?」
開いた瞬間、俺は固まった。
バールのようなもののアイコンが消えている。
空欄。
そして木製バットのアイコンはある。
「……は?」
何度見ても、バールは一本もない。
「イリスたあぁぁぁぁぁん!!」
俺は見たことのない、しかし名前だけで絶対かわいいと確信できる幼女・イリスたんに怨嗟を漏らした。
「アイテムID紐付けてこのイベントで全回収を図りやがった……!やるなイリスたん」
俺は静かに★を送っておいた。
まずはミッション4だ。
俺はドアを──ノックしない。
「危ねえ!!ノック=音=アラーム=大群コースだろ」
代わりに、バリケードを失ったドアを静かに押し開ける。
ギィ……。
室内は薄暗い。意外と広い。
ソッと小声で呼びかける。
「すみません……どなたかいますか……? ……いますよね?」
……。
返事はない。
だが──気配がある。
奥の影が、ゆっくりと人型に膨らんでいく。
1歩……2歩……。
途中で人影が、スッと“2つ”に割れた。
「二人……? いや、外人!?」
光が差し込んだ瞬間、俺は息を飲んだ。
金髪碧眼の美男美女。
映画かよ。
「……えっ、英語!?俺わかんねーぞ!!」
美女がおそるおそる口を開く。
「ヘルプ……?」
美男の方も言った。
「ゾンビ……キケン……?」
あ、終わった。
“英語できない日本人32歳、初の異文化コミュニケーションがゾンビ世界”
という地獄のステージが始まった。
俺は震える声で返した。
「YES……YESゾンビ……ベリーベリーデンジャラス……アイムヤマダ」
なんだこの自己紹介。
美男美女は顔を見合わせ──
少し安心したように微笑んだ。
やめろ、イケメンに微笑まれるとHPが削れる。
「よし……なんとか生存者とは接触した……はずだ」
数秒後、UIが光った。
<ミッション4:達成>
「あっ……達成になるんだ、これで……」
やっぱりガバいな、この世界。
◇今回の成果◇
・死亡回数:39
・獲得スキル:なし
・メモ:NPCは外人仕様。翻訳スキル熱望。




