010話 ゴミ山三連続で誘導は草。お約束にもほどがある!
▽【前回の山田】
おれ、天才的発想で生ける屍ノーダメ突破。生ける神、爆誕!
「階段、塞がれてるってマジかよ」
バールのようなものを求め、さすらう俺は夢追い人。
慎重に玄関を開け、廊下にそっと足を踏み出した。
鍵は閉めない。当たり前だ。二度と“鍵音呼び寄せ圧死”を味わいたくない。
「……まあ、分かったことはある。
“鍵音”と“”ビン“は”アラーム判定”なんだな」
声に出すと頭が整理される。
「屋内だと“アラーム範囲にバフ”がかかる。
だから一気にゾンビが釣れる、と……読んだ」
ゲーム脳が導き出した答えに、自分でも少し笑う。
実際、前回はビンひとつでゾンビ雪崩が発生した。
あれはどう見ても普通じゃなかった。
ちらりと自室を振り返る。
本当ならハメ技によるノーダメ連続キルを積み重ねて、実績解除を検証したい。
しかし、室内のアイテムはほぼ壊れてしまった。
特に掃除機。やつは殉職した。
コードは千切れ、ヘッドは歪み、モーターは完全に沈黙している。
「あー……掃除機、もう使えねえな。
耐久力設定があるってことは、同じ場所で籠もるなってことだ」
プレイスタイルの幅を狭めるバランス調整はいらん!けど、一定の制限が逆に工夫の余地を生む。このバランスが神ゲーの肝よなと心の中でゲーム議論しつつ階段へ向かう。
階段の前──
なぜか階下へ降りる道が、粗大ゴミで完全に塞がれていた。
「……は?マンション内なんだが・・・・・・?」
家具、段ボール、袋に入った何か、折れたパイプ椅子……。
物理的に突破できそうなものもあるが、あからさまに“不自然”すぎる。
「制作陣よ。
お約束なのは分かるが、もう少し自然さを演出してくれ。
これはさすがに雑!
別ゲーのグラフィックをそのまま持ってきただろ」
つい声が大きくなるが、アラーム判定が怖いので慌てて小声になる。
「……ってことで、降りるルートは封鎖か。
つまり、上へ行けってことだよな。」
半ば呆れながら階段を上がる。
________________________________________
■ 7階
廊下へ出る扉が──全く同じゴミの山で封鎖されていた。
「またか。やっぱり“下方向を封じて上方向へ誘導”か」
________________________________________
■ 8階
やはり封鎖。
「いや、せめて血痕とか雰囲気作りとか……」
________________________________________
■ 9階
封鎖。
「三連続は笑えんって……。
てか俺、いまゾンビより制作陣と戦ってる気がするんだけど」
階段を上がるたび、妙な疲労が溜まっていく。
これはクソゲープレイ中のストレスだ。
「……はあ。10階か。こういう節目階には何かある。
お約束好きの制作陣なら確実に、ミッションの“アレ”があるはず」
息を整えて、10階の扉の前に立つ。
僅かにドアの隙間から光が漏れている。
そして──かすかに金属音。
「まさか……」
扉をゆっくり押し開ける。
ギギ……と嫌な音が漏れる。
しかしアラーム判定にはならなかった。
慎重に、一歩、足を進める。
そして、俺の視界に飛び込んできたものは──
________________________________________
それは、例のブツだった。
黒光りする金属。
無骨なフォルム。
圧倒的存在感。
「……あった。
“バールのようなもの”だ。」
鳥肌が立った。
実物は思っていたより太い。
重量もありそうだ。
“ようなもの”どころか、これは完全にバールだった。
「ついに来た!攻略アイテム第一号!!」
思わず声が漏れた。
同時に、廊下の奥から──
ガ……ガアア……ッ……!
不穏な声が返ってきた。
「……あ、そういや、ゾンビいたわ」
俺はバールのようなものを握りしめ、ゆっくりと振り返った。
そこに──
10階ゾンビの影が、ひとつ。
ふう。一つ大きく深呼吸する。腐臭が少しずつ近づいてくる。
バールを握る手に汗が滲む。
「……ついに“バールVSゾンビ”か。
よし……階段で思いついた仮説の検証、始めるか」
◇今回の成果◇
・死亡回数:23
・獲得スキル:なし
・獲得アイテム:【バールのようなもの】攻撃力+2、耐久力--/--、リーチ短、特殊なし
・メモ:ゴミオブジェクトは別ゲーのグラフィック流用?




