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「おらおらおらおら~!!」

「おらおらおらおら~!!」


「すごい!

孫、頑張れ!」


舟の最後尾で孫はすごい勢いで舟を漕いでいました。

船頭は持ち上がり、海を切るように走っています。

桃太郎が落ちないようにケンは桃太郎の服を噛んで舟に座り込み、桃太郎は初めての海の旅にテンションがあがってしまい、舟の中で立って喜んでいます。



そして、桃太郎達は無事?に島に着くことができました。


「すごかったよ、孫」


「ま、俺様にかかればあんなの、朝飯前よ」


「初めは漕ぐのを嫌がっていた癖に」


「ああ!

なんだと犬やるか!」


「ガゥ!」


「ほ、ほら、喧嘩しないでくれよ」


桃太郎は慌てて2匹を止めました。


「それより、ここが目的の島?」


「はい、それで合っているはずです」


桃太郎達は辺りを見渡します。


「なんもないな」


孫の言う通り、辺りには村もなければ家もない。

浜と山しかない島でした。


「ここからどうしたらいいんだ?」


桃太郎達が途方にくれていると、歌が聞こえてきました。


「ももたろうさん、ももたろうさん、お腰につけたきび団子、1つワタシにくださいな」


「え?」


桃太郎は驚いて歌が聞こえてきた方を見ます。

するとそこにはカラスが1羽、木にとまっていました。


「カラス?」


「いや、それにしてはデカすぎるだろ」


桃太郎の疑問に、孫は素直な感想を言いました。

確かに孫の言う通り、とまっている枝が今にも折れそうな程曲がって、止まってるカラスも少し傾いています。


「キミは何者なんだい?」


「ふぅ、やっと見つけてもらえました」


カラスはそう言いながら桃太郎達の方へ飛んできました。


ドス


明らかにカラスと違う着地音を鳴らしながら、カラスは桃太郎から少し離れた地面に降り立ちました。


「桃太郎さん、今、困っておいででしょう」


「え、そ、そうだけど」


カラスに突然聞かれて桃太郎は驚きながら答えます。


「では、ワタシが目的の場所まで道案内をしてさしあげますよ」


「怪しすぎるわ」


孫は如意棒を取り出して、カラスに向けました。


「いや、確かに喋ってはいますが、この通り見た目は普通のカラスですよ?」


「いや、大きすぎるだろうが」


孫はカラスに突っ込みを入れました。


「そうですか?

カラスは普通このくらいの大きさのようだと思いますけど?

ね、犬神さん?」


「?」


「知り合いなのか?」


孫は如意棒をカラスに向けたままケンに聞きました。


「いや、カラスに知り合いはいないが…

いやまてよ、カラス?」


ケンの表情を見て、喜んでいるように見えるカラスにある変化が起きました。

カラスの足が1本増えたのです。


「な、なんで3本足に?

そうか、1本の足を曲げて隠してたな!

3本足になったからって状況は変わらないぞ!」


孫は如意棒を振り上げます。


「まて、猿!

3本足のカラス。

八咫か?」


「やっと思い出したんですか?

そうですよ、犬神さん」


「やっとって、前回会ったのは数百年前だろう」


「ま、確かに」


「ケン、説明してくれるかい?」


桃太郎はケンに言いました。

孫も敵ではないようなので、如意棒を下へと向けます。

ただし、警戒は解いておらず、何かあればすぐに攻撃できる体勢でした。


「はい。

あのカラス、八咫烏ですが、天照大神様の遣いで、導きの神とも言われています。

なので、道案内は得意でしょう。

しかし、なぜここに来たんだ?」


ケンは桃太郎達に説明した後、八咫烏を見た。


「え?

それはもちろん、天照大神様の指示です。

そうそう、天照大神様から伝言を言付かっています。

『ごめんなさい。

たぶん、迷惑をかけます。

その代わりに、この者をお供に』

との事です」


「何だろう、神様に迷惑かけられる?」


「この件にその神が関わっているのか?」


「いや、それはないはず…たぶん」


「ま、何にせよ。

そういう事でこれからお供させていただきます。

わたしの事は気楽にカラスさんと呼んでいただければ」


「よろしく、八咫」


「鳥で十分だ」


「道案内頼むぞ、八咫」


「は、はぁ~

カラスとは呼んでもらえないんですね」


3人の返答に八咫は悲しそうに呟く。


「その大きさでカラスはないんだよ」


「だったら、これで?」


孫に言われて八咫はその大きさを普通のカラスの大きさに変えました。


「なれるんなら、初めからその大きさになっとけよ」


「いや、本当にカラスってこの大きさですか?

ワタシが見た時とは違ったような」


「どこから見てたんだい?」


桃太郎は不思議そうに聞きました。


「そりゃ、天上界から…」


「高すぎるわ、そこからなら全部点だろ」


孫は半分呆れて答えた。


「それじゃ、これを」


桃太郎は孫の言葉に少し笑いながら、八咫にきび団子を差し出しました。


「え?」


「初めに言ってただろ?

きび団子くださいって」


「え?

あ、それは歌で…

ま、いいか。

ありがとうございます。

いただきます」


桃太郎の手からきび団子をパクッと食べる八咫。


「!!

こ、これは!!」


目を見開いて八咫が叫びました。


「え?

もしかして腐ってた?」


桃太郎は慌てて腰の袋の中を確認する。


「う、うまぁ~い!」


八咫が空を見上げて叫びました。


「こんなに美味しい団子、初めて食べました。

天上界にもないですよ」


八咫は味を思い出すように嘴をカチカチ鳴らしました。


「これはもう、誠心誠意尽くさせていただきます」


八咫の言葉に、桃太郎は3度目になる母親への尊敬を思った。

(きび団子ってヤバイのでは?)と…


「それでは、竜神の住みかに行くにはあちらですよ」


八咫は桃太郎の肩に乗って海岸の奥を羽指しました。

桃太郎はそれに従って進み、ケンは桃太郎の横を、孫は後ろからぶつぶつ言いながら歩きました。

しばらく一行が歩くと目の前に洞穴が見えました。

それほど奥に進むことなく、行き止まりです。


「ここですよ」


八咫は桃太郎の肩から降りて、壁にある大きな岩を示しました。


「この岩をどかせてください」


桃太郎は孫を見ました。

孫は無言で頷いて、岩に手をかけます。

そして、ぐっと力を入れて岩を動かしました。

岩の奥にはさらに続く道があります。

八咫を先頭に桃太郎達は、奥への道を進んでいきました。

そして、行き止まり。

そこには7色に光る小さな泉がありました。


「これが、いくつかある竜神への道の1つです」


「これに入ればいいのか?」


桃太郎が八咫に聞くとこくんと頷きます。


「危ないものではないようです」 


ケンが泉に近づいて匂いを嗅いだ後、報告しました。


「分かった。

じゃ、みんな行くぞ」


桃太郎は八咫を肩に乗せて泉に飛び込みました。

その後にケンと孫が続きます。

そして、洞窟内は元の静かな空間へと戻りました。



「うわぁ~

~っ?」


桃太郎はさっきまでの上下左右が分からない状態から、普通に立っている感覚に戻ったのを感じました。

そして、ゆっくりと目を開けます。


「ここは?」


辺りを見回すと、何やら柔らかい白い綿のような物がずっと続いていました。


「おいおい、ここは天上界か?」


その言葉に後ろを振り向くと、孫とケンがいました。


「いや、ここは天上界ではないな。

それにこの匂い。

竜神が作り出した世界だ」


ケンはくんくん匂って言いました。


「そうです。

ここは竜神が休む為に作り出した場所。

下界と天上界の間にある雲界です」


八咫は桃太郎の前をパタパタ飛びながら説明しました。


「じゃ、これは雲?」


桃太郎は足で地面になっている白い綿を踏みました。


「はい、その通りです。

ただし、竜神の力で少し特殊になってます」


「まさか、でかい筋斗雲とはな」


孫は納得したように雲を叩きます。


「ほぉ~

誰かと思えば、八咫烏殿に犬神かぁ」


「!」


突然の声に桃太郎達は空を見上げました。


「久しいな。

我、隠れ家にようこそ」


そこには空を覆うように大きい赤い竜がこちらを見下ろしていました。

桃竹伝、7話の更新となります。

なかなか更新できなくてすいません。


今回は最後の仲間、鳥の登場です。

犬猿雉が桃太郎ですが、このお話は犬神、孫悟空、八咫烏になってます。

さて、次に現れたのは赤い竜。

果たして桃源鏡は手に入るのか?

ではまた次回

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