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早々に桃太郎達は

早々に桃太郎達は鼠の言った場所に向かって、森の中を走っていました。

蛇鬼との戦いの後、ケンが言っていたアイツとは、どうやら鼠神の事だったみたいで、ちょうどそこに現れた眷属鼠に案内をしてもらう事になりました。

先頭を走るケンの上で、鼠が目的の場所を指示していました。


「しかし、人なのによく犬神様の早さについてこれますね」


鼠は桃太郎を見ながら言いました。


「ま、山育ちだから」


「そ、そうなんですか…

そちらは、ま、猿神様の眷属なら納得です」


「眷属じゃない!」


鼠の言葉に孫は怒鳴りました。


「ひ、すみません…」


「こら、猿。

怖がらせるな。

そういえば、どうしてあの亥神のところに来たんだ?」


ケンは孫に注意した後、背中の鼠に聞きました。


「あ、はい、それはそちらの方に用事がありまして」


鼠は桃太郎を見ました。


「私に?」


「はい、鼠神様が亥神様のところにいらっしゃると言われましたので、ワタシが使いに出されたのです。

その途中で、鬼に見つかりこの度の事態になりました」


「なるほど、蛇は鼠が好物と言われているから、鼠神を探すのに、蛇鬼は最適だったのでしょう」


鼠の話を聞いて、ケンは頷きました。


「それじゃ、鼠神様も私に用事があったのか…

何の用事だ?」


「それは鼠神様に直接お聞きいただくしか…

あ、そろそろ見えてきます」


鼠は少し小高い場所の麓を指差しながら言いました。

見た感じは何もないように見えます。

桃太郎達は鼠の言うとおりにその場所に向かいました。


「ここです、ここです」


鼠はケンの背中からピョンと飛び降りると、草むらに向かいました。

桃太郎達も草むらを覗きます。

すると鼠がいる場所の横に、鼠が入るくらいの穴が開いていました。


「ここが入り口です」


鼠はえっへんと胸をはって言いました。


「いや、ここは入り口かもしれないけど、私達には小さいような…」


桃太郎は申し訳なさそうに言いました。


「それは大丈夫ですよ。

少し、お待ちください」


鼠はそういってから、穴に顔を突っ込みました。

そして。


「おお~い。

一条ねず太がお使いから帰りました~

篭屋をお願いします~」


と大きな声で叫びました。

するとしばらくして。


「おつとめご苦労様です~

すぐに向かわせます~」


と穴から返事が返ってきました。


「すぐに来るそうです」


鼠は穴の横でかしこまった様子で立ちました。

トトトトト

穴から足音が聞こえてきます。

そして、2匹の鼠が現れました。


「ようこそおいでくださいました。

それでは、鼠御殿にお連れしますので、一列にお並びください」


穴から現れた鼠に従い、桃太郎達は一列に並びます。

そして、2匹の鼠は桃太郎達の前後に並びました。


「では、出発します。

よいしょ」


鼠のその声を聞いた瞬間、桃太郎は目の前が真っ暗になって、方向感覚がなくなりました。

体は激しく揺れて、今、自分がどうなっているのかも分かりません。


「着きました」


そう言われて桃太郎は、やっと自分があの穴の中を通ってきたのだと分かりました。

どうしてそう思ったのか?

それは目の前が広い穴の中だったからです。


「ここが鼠神様のいらっしゃる、鼠御殿でございます」


鼠は深々と頭を下げながら、御殿の方に手を伸ばしました。


「これはまた、すごいな」


桃太郎は素直な感想を言いました。


目の前にはすごく豪華な門があり、奥にはこれまたすごく立派な屋敷が建っています。

ただ、大きさは桃太郎の身長と同じぐらい。

どう見ても入れそうにありませんでした。


「これから鼠神様がおいでになられますのでお待ちください」


それから、数匹の鼠達が桃太郎の元に座布団やお茶を運んできました。


「鼠神様のおな~り~」


先程のねず太の声に合わせて屋敷から、1匹の鼠が姿を現しました。

大きさは他の鼠に比べて少し大きい程度。

しかし、他の鼠と明らかに違うのは立派な衣装を身に纏っている事でした。


「ようこそ、おいでくださいました」


鼠神は門から出てすぐの場所に敷かれた座布団に座りました。


「こちらこそ、お招きありがとうございます」


桃太郎は深々と挨拶を返します。


「はは、そんなに頭を下げるのはよしてください。

お互いに用事があっての事ですから」


鼠神はにこっと笑いました。


「犬神は、お久しぶりかな」


「ああ、年末の集まり以来だな」


ケンはそう言って苦笑します。


「そして、あなたがあの有名な孫悟空さんですね」


「お、俺の事を知っているのか?」


孫に言われて鼠神は頷きます。


「もちろんです。

石から生まれたお猿様で、いくつもの術を仙人から学び、天界に召し上がられた後、悪さをして困り果てた神々は釈迦如来様におすがりして、大きな山の下敷きにされ、1人の法師様の弟子として旅をしていましたが、ある理由から破…」


「だぁーーー!

分かった、よく分かったからそれ以上は言わなくていい!」


鼠神の説明に孫は慌てて手を振りながら止めました。


「相変わらずの情報通だな」


ケンは鼠神にため息混じりで言いました。


「ま、この世界にいる全ての鼠は私の眷属ですから」


鼠神はにこやかに答えました。


「さて、本当はゆっくりとおもてなしをしたいところですが、そうも言ってられない状況になっております」


鼠神は真剣な顔で桃太郎達に言いました。


「ですので、まずはそちらの聞きたい事からお聞きしましょうか」


鼠神は桃太郎の目を見ています。


「はい、私が求めているのは斬れない相手を斬れる刀の材料です」


桃太郎の言葉に鼠神は頷きました。


「お探しのものは、海を渡ったところにいる竜神がもつ桃源鏡です」


「桃源鏡?」


「はい、詳しい話は省きますが、それを亥神のところに持っていけば、お望みの刀が出きるでしょう」


「竜神はそんな物まで持ってるのか?」


ケンは少し驚きながら鼠神に言います。


「ええ、彼は珍しいものを集めるのが趣味みたいな物ですから」


鼠神はそこまで言うと、お茶を1口飲んでゆっくりと息を吐きました。


「さて、それでは私のお話を聞いてください。

全部で3つ」


鼠神の言葉に桃太郎は頷きました。


「まず1つ目が、桃太郎さんあなたが探しているかぐやさんの居場所です」


「かぐやの!」


桃太郎は身を乗り出しました。


「ま、落ち着いて。

そうです。

かぐやさんの居場所です。

そこは都の中心にある屋敷の地下に捕らえられております」


「都の地下?

だったら、旅に出なくてもすぐに向かえたのに…」


「それは無理でしょう。

もし、あなたがすぐに向かったとしても、式神を倒せないし、1人ではやれることに限界があります。

この旅は必要な事なんですよ」


鼠神に言われて桃太郎は少し考えたから頷きました。

それを見た鼠神も頷き言葉を続けます。


「次に2つ目。

私達、十二支神についてです。

たぶん、犬神から少し話は聞いていると思います」


「はい、十二支神達が封じられたら大変な事になると」


「ええ、では、実際にどうなるかお話をしておきます。

私達が十二柱全て封じられると、世界が止まります」


「え?」


桃太郎は鼠神が言っている事が理解できなかった。


「そう難しくはありません。

この世界は今、時に縛られています。

その時を司っているのが私達というだけです」


「おい、そうなら、もしおまえ達全部封じられたら、時を好きなように出きるって事でいいのか?」


黙っていた孫が、鼠神に聞きました。


「はい、その通りです。

ただ、それには封印した私達の力を使う事の出来る術を知る者が必要です」


「!

それって」


桃太郎は鼠神の言葉にはっとしました。


「はい、桃太郎さんの考えている通り、式神を使う者がその術を知っているでしょう」


「そして、3つ目がその式神を操る者の正体です。

実はその者はこの世界の者ではないようなのです」


「え?」


桃太郎はまたも鼠神の言ってる意味が分からなかった。


「眷属達が言うには、数ヵ月前の嵐の夜にすごい落雷があった場所からその者が現れたそうです」


「落雷…」


「はい、その者はこの世界に来た時から、その背後に2体の式神を連れていたそうです」


「式神使い」


桃太郎の言葉に鼠神は頷きました。


「ですので、その者が今、都で私達を封じその力で式神を作っている人物で間違いないでしょう」


「それじゃ、俺達の最終目標は」


「都でその式神使いを倒すこと」


「そうすれば、かぐやさんも私達十二支神を使った悪事も止めれますね」


桃太郎達はお互いを見ながら言いました。


「ただ、こんな大がかりな事に都の主が関わってないとは思えません。

ですので、都では式神以外からも妨害を受ける可能性があります」


「確かにな。

黒幕はその都の主って線もあるだろうな」


鼠神の言葉に孫は自分の考えを言いました。


「ま、何にせよ。

桃太郎さんにはきちんと準備してから行っていただきたいのです。

私達が全員封印されなければ、あちらも動く事は出来ませんので…

ただ、事の重大さだけは知ってほしいと思って伝えさせていただきました」


「分かりました。

教えてくれてありがとう。

進むべき道を改めて確認できました」


桃太郎は鼠神に頭を下げる。

鼠神はそれを見て頷きました。


「それでは、早速とはなりますが、竜神がいる島の近くの海岸までお送りします。

本当は島に送れればいいのですが、海に囲まれてる為に鼠の道が繋がってないので…」


「鼠の道?」


「先程通った穴ですよ。

海などがあると繋げられなくて、私達も船に忍び込んで渡ります」


ねず太がこそっと桃太郎に教えてくれました。


「では、ご武運を」


「はい」


「では、我々篭屋がお送りします」


桃太郎達は来た時と同じように一列に並んで、篭屋に送ってもらいました。


「着きましたよ」


「う、あ、ありがとうございます」


桃太郎は穴の移動に慣れず、少し気分が悪くなりました。

しかし、海からの匂いで少しは落ち着くことができました。


「海か…」


桃太郎は初めて見る海にワクワクしています。


「では、我々はこれで」


鼠の篭屋にお別れをして、桃太郎達は近くの漁村へと向かいました。



「まずは船を探さないといけないですね」


ケンは桃太郎に言いました。

桃太郎は辺りを見渡します。

しかし、船は見当たりませんでした。


「俺ならすぐに飛んでいけるんだけどな」


孫はぼやきながらついてきます。


「あ、あの人に聞いてみよう」


桃太郎は浜辺で海草を干している女性を発見しました。


「こんにちは」


「あ、はい、こんにちは」


海草を干していた女性はこちらを見て挨拶を返してくれました。


「あのう、ちょっと聞きたいのですが、この辺りに船に乗せてくれる方や、貸してくれる方はいらっしゃいますか?」


「どこかに行かれるんですか?」


「はい、実は」


桃太郎は女性にある島に行きたい事を伝えました。


「そうでしたか。

あいにく、今日は村の漁師達は漁に出たばかりで、しばらく戻って来ないんです」 


「そうですか」


女性の言葉にがっかりする桃太郎。

そんな桃太郎を見て、女性は少し考えました。


「もし、自分達で舟を動かすなら、手がないわけではないです」


「え?」


「実は1艘使ってない舟があるんですよ」


桃太郎にそう言った女性は、桃太郎達をある家の横に連れていきました。

そこには立派な舟が1艘ありました。


「この舟は?」


「これは私の息子が使っていた舟です。

何年か前に突然行方が分からなくなってしまって、それでここに保管しているんです」


「え?

そんな大切な舟じゃないですか」


形見のように置かれた舟を見て、桃太郎は慌てて手を振った。


「いいんですよ。

あの子は昔から優しくて、いなくなる前の日も浜で子ども達に虐められていた亀を助けたくらいです。

困っている方の為になるなら、あの子も喜んで舟を貸していたと思いますので」


女性はそういって微笑んだ。


「ここは借りといたらどうだ?」


孫は桃太郎に耳打ちしました。


「分かりました。

では、お礼を」


桃太郎は自分の懐を探ります。


「ああ、いいんですよ。

あの子がいなくなった後は、村の人達が心配していろいろと手助けしてくれて、そこまで困ってはいませんから。

何かお急ぎなんでしょう?

だったら、すぐに行かれた方がいいですよ。

この海はとても気まぐれに荒れたりしますから」


「分かりました。

ありがとうございます」


桃太郎は女性にそう伝えると、孫と2人で舟を担いで海に向かいました。

その姿を見て女性はとてもびっくりしていました。


「では、舟をお借りします」


「はい、気をつけて行ってらっしゃい」


桃太郎達は舟に乗り、女性に見送られながら海へと出ました。

目指すは竜神のいる島。

桃太郎達は無事にその島に着くことが出来るのでしょうか?

おまたせしました

7話となります。

いろいろと秘密が明らかになりました。

かぐやを助ける旅が世界の危機を救う旅へ。

桃太郎達は次の目的地に着いて、桃源鏡を手に入れられるのでしょうか?

では、また次回に

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