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あ、いたいた

「あ、いたいた。

おい!」


孫は亥神の小屋の横で薪を割るロウを見つけて声をかけました。


「あ、あんた達。

戻ってきたのか」


ロウは薪割りを止めて、桃太郎達を出迎えました。


「亥神様は?」


「今は起きて炉の準備をしてるよ。

何やら朝早くから起きて準備をしていると思ったら、そういう事だったんだな」


桃太郎にロウは割った薪を担いで答えました。


「そういう事とは?」


「おっしょうさまはあんた達が帰ってくるのが分かっていたんだ」


ロウはそう返事をしながら入り口の戸を叩きます。


「おっしょうさま、お客さんです」


ロウの後に桃太郎達も続いて小屋に入りました。


「おう、待ちかねたぞぉ~

ん?

おまえは八咫烏かぁ~」


「そうです。

久しぶりです。

相変わらず間延びした喋りですね」


「こりゃ~

癖だからなぁ~

それより、手に入ったかぁ~?」


桃太郎は亥神に言われて、桃源鏡を見せました。

亥神はそれを受け取ると、じっくりと観察しました。


「う~ん。

間違いないなぁ~

よく、手に入れたものだぁ~」


亥神は満足そうに頷きました。


「それじゃ~、今から刀を打つ~

ロウ、準備をしろぉ~

他の者は外で待っとれぇ~」


亥神に言われて外に出る桃太郎達。


「作業中にもしかしたら邪魔が来るかもしれんと、おっしょうさまが言ってた。

そいつらを頼んでいいか?」


ロウは外に出た桃太郎達に言いました。


「分かった。

こっちは任せてもらって大丈夫」


桃太郎はそう返事をしました。

外で待つ桃太郎達。

カンカン!

しばらくすると小屋から軽快な音が響いてきました。


「始まったみたいですね」


八咫は小屋に振り向きながら言いました。


「こっちも来たみたいだぞ」


孫は森の方を睨みながら如意棒を取り出しました。


「やはり、結界を張ってやがったか」


森の奥から3体の鬼達が現れました。


「結界?」


「たぶん、亥神がこの場所を隠す為に張っていたのでしょう。

ただ、刀を打つ事に集中している為に結界が切れたのでしょうね」


ケンは桃太郎に伝えました。

鬼達は桃太郎を見て笑っていました。


「おいおい、こいつらか?

蛇鬼が言ってたやつらは?」


鳥顔で空中でホバーリングしている鬼が、残りの2匹の鬼に言いました。


「ああ、犬神もいるなぁ。

しかし、猿神は封じたのに、偉そうな猿もいる」


猿顔の鬼はキャキャ笑いながら、孫を指差しています。


「あいつだ、俺の筋斗雲ぶっこわしたやつ!!」


孫は鳥鬼を睨みました。


「おいおい、こんなちっぽけなチビどもに、蛇も牛もやられたのか?

ざまぁねえな」


虎顔の鬼はニヤニヤしながら自分の爪を伸ばしていました。


「で、あいつらどうするんだ?」


孫は手に持つ如意棒を、バシンバシンと音を鳴らしました。

かなり苛立っているようです。


「亥神様の刀作りを邪魔させるわけにはいかないし、封印されるのも阻止しないといけない」


桃太郎の言葉にケンと八咫は頷きます。


「なら、決まりだな。

俺はあの鳥野郎をもらう」


孫は如意棒を脇に抱えて言いました。


「では、わたしは猿鬼の相手でもしましょう」


ケンは意地悪そうにニヤリと笑います。


「日頃の鬱憤でもたまっているのですかね?

では、ワタシは桃さんとあの虎鬼を相手しましょう」


桃太郎は頷きました。


「そら、桃」


孫が桃太郎に何かを投げました。

パシッ

桃太郎はそれを受け取ります。


「刀?」


それは見たことのない刀でした。


「柳葉刀だ。

俺様の毛を化かして作った。

そんなにもたないだろうが、この戦いぐらいは大丈夫だ。

使え」


「ありがとう、使わせてもらうよ」


桃太郎は刀をヒュンヒュンと振りました。

そして、満足そうに頷くと八咫を肩に乗せて、虎鬼を睨みました。


「へぇ、俺様達の相手は決まったようだな」


虎鬼は舌なめずりをしながら桃太郎達を見ました。


「ああ、おまえ達の好きなようにはさせない」


桃太郎達は各々の武器を構える。


「良い度胸だ!!」


虎鬼、鳥鬼、猿鬼が一斉に襲いかかってきた。


「バラすぞ」


孫がケンに言った。


「おう!」


ダァ!

孫とケンは各々の相手に向かって走り出す。

ドゴォン!

孫の打ち上げるような一撃に、こちらに向かって飛んできた鳥鬼が空へと打ち上げられた。


「筋斗雲!」


孫は筋斗雲を呼び、飛び乗ると鳥鬼を追いかけた。


「ガ!」


ケンは猿鬼に飛びかかり、そのまま森の中へと押し込んだ。


「ほぅ~

分断作戦かぁ。

で、おまえが俺様の相手だな」


虎鬼は両手の爪を伸ばして、桃太郎を舌なめずりをしながら見ている。


「そうだ」


桃太郎は刀を構えて虎鬼と睨み合う。


「なら」


ビュンと虎鬼の姿が消える。


「いただくかぁ~」


一瞬で目の前に現れた虎鬼。

振り上げた手に爪が怪しく光っている。

そして、それは桃太郎に向かって振り下ろされた。


「上段」


ガキン

桃太郎は八咫の声を聞き!その一撃を刀で受け止めた。


「ほう、やるなぁ」


虎鬼は相変わらずにやけた顔で桃太郎を見ている。


「なら、少し速くするか」


虎鬼はそう言うと連続で桃太郎に攻撃を開始した。


「右、左、上段、正面」


八咫の声が桃太郎に響く。

八咫は相手の動きの一手先を桃太郎に伝えていた。

桃太郎はその声を頼りに、その場所を意識する。

見えない程の速さの攻撃だが、くる場所さえ分かれば桃太郎は対処できた。

爪と刀の打ち合いの音が響く。


「おら!」


虎鬼の正面の一撃を受ける。


「背後!」


八咫の慌てた声が聞こえた。

その瞬間、虎鬼の姿が消える。

桃太郎は瞬時に状況を理解して、前へと飛び出した。

ドカァ!

背後で凄まじい音がする。

桃太郎は振り向き刀を構えた。

先程までいた場所に大きな穴が開いていた。


「へぇ、これも避けるのか」


ゆっくりと振り下ろした手を持ち上げる虎鬼。


「じゃ、これでどうだ」


虎鬼は両手を桃太郎に見せるように前に出す。

そして、両手の爪を伸ばした。

先程までは片手。

桃太郎は焦る。

そして、虎鬼の猛攻が始まった。

一手先を伝える八咫。

桃太郎はそれを聞き、攻撃を防御する。

しかし、先程より攻撃回数が多い。

桃太郎はなんとかさばけているが、それも時間の問題か。


「正面!」


八咫の声。


「く」


桃太郎は正面からの攻撃を刀の柄で受けようとした。


(蹴り!)


虎鬼の蹴りが桃太郎を捉える。


「うわぁ」


桃太郎はその一撃で吹き飛ばされ、亥神の小屋へと叩きつけられた。


「これで終いだぁ」


虎鬼がゆっくりと桃太郎へと近づいてくる。

桃太郎は荒い呼吸でなんとか立ち上がった。


「桃さん」


八咫が心配そうに声をかける。


「だ、大丈夫」


桃太郎はそう強がった。


「仙術がかかった刀を使ってよくもったほうだ。

だがな、これで終わりだぁ」


虎鬼が桃太郎に向かって飛びかかろうとした時、ガラッと小屋の扉が開いた。


「桃太郎さんこれを!」


扉の中から姿を現したロウは、桃太郎へ何かを投げた。

桃太郎は反射的に、それを右手で受け止めた。


「師匠の一振使ってくれ」


「な、なんだそれは」


虎鬼は桃太郎が右手に持つ刀を見て体をひいた。


「その刀の名は、刀源響」


桃太郎はロウの言葉を聞きながら、虎鬼に向かって突撃した。


「な、なんだ、それは!」


虎鬼は迫る桃太郎に左手を突き出した。

しかし、体は後ろにひいている。

そんな一撃、桃太郎はいとも容易く振り払った。

キン


「な!」


虎鬼は自分の爪が斬り払われるのを見た。

慌てて背後に飛ぶ。

絶対の自信があった爪を容易く斬る落とす刀。

虎鬼は恐怖した。

そこへ桃太郎から刀が投げられる。

虎鬼は慌ててその刀を打ち落とす。

地面に落ちたその刀は柳葉刀。

虎鬼は慌てて前を見た。

しかし、そこには誰もいない。


「竹取流」


声は頭上から聞こえた。

虎鬼は空を見る。

そこには上段に構えながら跳んだ桃太郎の姿があった。

虎鬼はすぐに防御する。

しかし、焦りは判断を狂わせる。

振り上げたのは右手の爪。

虎鬼は先程、爪が簡単に斬られた事を失念していた。


「幹竹割り!」


パカン

桃太郎は地面に着地する。

その新たな刀、刀源響は虎鬼を真っ二つに斬り裂いた。

虎鬼は何も言わず黒い靄となって虚空に消えた。


「やりましたね。

桃さん」


八咫は嬉しそうに桃太郎の肩で言いました。


「うん、それにしてもこれはすごい」


桃太郎は刀源響を見て言いました。


「やったなぁ~」


いつの間にか小屋から出てきた亥神が、桃太郎の背後から声をかけてきました。


「ありがとうございます。

すごい刀です」


「元になった刀がよかったからなぁ~」 


桃太郎はもう一度刀を見ました。

初めて触った刀なのに、しっくり手に馴染んだのはそう言う事かと桃太郎は納得しました。


「他の者はどうだろうなぁ~」


亥神は空と森を見ました。


「大丈夫です」


桃太郎はそれに対してはっきりと答えました。

桃竹伝10話になります。

桃太郎は新たな刀、刀源響(とうげんきょう)を手に入れて虎鬼を倒しました。

後の2匹、孫とケンの勝敗はいかに?

では、また次回

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