表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
第二章 チーム明日花、始動【第一部2】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/2258

2-4 ゾンビの宮田マリアさん

 スイーツを堪能、ではなく作戦会議が終了しファミレスから出た僕たちにナバタメが告げる。


「あえて言う必要もありませんが今回私は力になれそうにありません。ただ別件でならなんとかなりそうなのでここで失礼しますわ」

「あ、うん、いいけど。一人でも帰れるの?」」


 車椅子のナバタメが引っ越し作業を手伝うのは難しいだろう。別件がなんなのかちょっと気になったけど僕が追及する前に、


「ご心配なく。迎えが来ておりますので」


 と言って、専用スペースに停めてあった黒い車に向かった。


「そっかー、じゃあねー!」

「ばいばーい!」

「ええ、ごきげんよう」


 皆は簡単に別れの挨拶を済ませる。車から現れた使用人らしき人間は軽くナバタメと会話したあと車椅子を押し、車体後部のドアを開けてスロープを出し手際よく操作をして彼女を格納した後その場から去っていった。


「そういえば仮設住宅ってどこ?」

「ああ、私が案内するよ。歩いて行ける距離だし」

「そっか」


 僕らはヤオに先導されその場から移動する。


 改めて岩巻の街を見渡すとやはりここ最近は特に復興が進み新しい建物もそこら中に出来始めている事がわかる。復興商店街でもそうだったけど、引っ越しラッシュは嬉しい悲鳴だと思いたい。


 でもイベントも起きないしなんか間が持たないなあ。ただ歩くだけってのも絵面が地味だし。


「そういえばさ、ヨシノってどうしてミヤちゃんの事を余所余所しくミヤタって呼んでるの? 下の名前とかじゃなくて」

「ん?」


 だけどその時レイカはそんな事を尋ねた。僕はその質問の意図がよくわからなかったけど、出会った時のやり取りを説明した。


「ああ、ミヤタがそう呼んでほしいって。ミヤタさんなのー、って言って、ミヤタちゃんね、って僕が言って、ミヤタさんだよって言って、ミヤタさんかって言ったら、なんか変だからミヤタでいいよって」

「イマイチよくわからない説明ね……ああ、そういう事か」

「?」


 当の本人のミヤタはぽへーん、と不思議そうな顔をしている。だけどレイカはその説明でなんとなく理解してくれたようだ。


「ミヤちゃんの本名はミヤタさんよ」

「へ? ミヤタさんだけど」

「違う違う、ミヤタが苗字でさんが下の名前。正式名称は宮田マリアさんだけどね」

「あ、そうだったの」


 レイカの説明で僕は腑に落ちる。どうやら自己紹介の時にちょっと誤解してしまったようだ。


「ちなみにさんはおひさまのさんなの! まんなかのなまえはお父さんとお母さんくらいしかよばないから、ほぼうらせっていなの」

「へー」


 なるほど、太陽のサンね。元気で明るいミヤタにはピッタリな名前だろう。でも誤解だったなら今のうちに修正すべきかな。


「今からでも遅くないし呼び方を変えたほうがいいかな?」

「別にいいよー、なんかいまさら変えられてもしっくりこないの」

「そっか。ならそうするよ」


 ミヤタがそれを望むなら別にあえて呼称を変える必要もない。僕もミヤタ呼びに慣れてしまったし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ