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1-58 うしさん無双

 ――芳野幸信の視点から――


 ホンジョウがなにやらゾンビ映画で死ぬ三番手っぽい事をしていた頃、少し遅れて僕とドーラは病院に辿り着いたわけなんだけど。


「たー! われにつづくのー! われはとーほくいちのもののふなのー!」

「「ぶもー!」」

「ギョエピー!?」


 馬に跨ったミヤタは市内にいた牛さんの大群を引き連れ暴徒の群れに突っ込み無双していた。鞍もないのに巧みに馬を操り、道路標識を二刀流で振り回す彼女は名のある騎馬武者のようで頼もしい事この上ない。


 彼女はおそらく時代劇かゲームに出てくるうセリフをうろ覚えで言ったのだろうが、その姿は福島の女傑山本八重子を連想させた。あちらは基本遠距離武器だったけどさ。


 牛は普段は温和だが本気を出せばライオンでも余裕で倒せる。そんな隠れた最強生物の牛さんが何十匹もいるわけだから、鉄パイプや角材といった長物で武装しただけの暴徒なんてひとたまりもなかった。


「やっぱり僕必要なかった気がするんだけど」

「ゴツイやっちゃなあ」


 暴徒は面白いようにポンポンと吹っ飛ばされ僕とドーラは何もせずにその光景を眺めていた。こちらに関しては何もしなくても良さそうだ。


「あー、そこで何してるの! そんなわるいひとにはこうだ! とつげきー!」

「うわああ!?」


 牛さんの大群は病院を襲うブルドーザーに体当たりをぶちかまし容易く横転させる。最早コントだね。


 ただ残念ながら救助のタイミングが少し遅れてしまったので、避難民はすでに散り散りになって逃げており護りにくくて仕方がないのがネックだ。


「ズドン」

「があッ!」


 孤立した避難民をやる気のある暴徒が追いかけまわしていたので、そいつに一発。拳銃は群れと戦うには向かなくても的が少数なら問題ない。僕の射撃スキルの出番はあるのでそこは良かったとはいえるかな。


「皆さん!」

「ありゃ、アマミさん」

「おお、無事やったか!」


 のんびり生き残った雑魚敵を片付けていた僕らに逃げ出したアマミさんが声をかけてくる。どうやらほかの避難民と一緒にどうにか病院から脱出出来たようだ。


「無事、とは言い難いようですけど、何人やられましたか?」

「わからない。けどホンジョウ君や山猫一家の人たちが囮になってくれたから被害は最小限で済んで、確認出来る限りではまだ死んだ人はいないわ」


 ふむ、死んだ人はいないのか。だが明らかに大怪我を負った人はいるだろうし予断は許されないだろう。


「それよりホンジョウ君たちを見なかった!?」


 アマミさんは血相を変えてそう尋ねたので、ドーラは感覚を研ぎ澄まし彼の痕跡を辿った。


「見とらんけど、あっちの方で音が聞こえる、行くで!」

「は、はい!」


 ドーラは猫の聴覚で彼と思しき反応を発見したらしい。二人は一目散にそちらに向かったので僕は少し迷ってからミヤタにこう告げた。


「ミヤタ、僕らはホンジョウを助けに向かうから君は適当なところで切り上げて合流して欲しい」

「わかったの! ここはししゅするのー! こよいのつうこうきんしと50キロせいげんはちにうえているのー!」

「ぐぇえ!?」


 ミヤタは暴徒の頭を標識で薙ぎ払い戦闘不能にする。牛さん部隊がいればあと一、二分でここを完全に制圧できるだろう。ここは彼女に任せてホンジョウの死亡フラグを折りに行かないとね。

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