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1-20 変わってしまったPPP

 彼女の事はものすごく気になるけれど今はPPPの連中だ。僕はまず最初に目を覚ましたカキツバタに視線を向ける。


「ち、畜生……いいキックするじゃねぇか……どうせならお前と戦いたかったがな。うちの仲間を秒殺したんだよな。普段は優等生のふりをしてるくせにやるじゃねぇか」

「うん、そこのオラオラコンビがカツアゲしてたから仕方なくね。僕も内申点が下がるような事はしたくなかったんだけど」

「……あ? カ、カツアゲ、だぁ? つーかどけ、デブ」

「お、おう」


 僕の説明を聞いたぺちゃんこのハスミは途端に顔つきが変わりオラオラコンビを睨みつけながら這い出る。そして二人が情けなくヒッ、と悲鳴を上げたので僕は大体の事情を察してしまった。


「おい。てめえら、どういう事だ。うちのルールは知っているよな?」

「あ、いえ、そのぉ、カツアゲと言われればカツアゲと言いますか、カツアゲじゃないかと言われれば違うと言いますか、そのぉ」


 僕の知っているPPPは不良グループだけど基本的にバイクで爆走をする程度で一線を越える事はまずしない。破ったら即デストロイみたいなバイオレンスな鉄の掟があるわけじゃないけれどカツアゲなんてもってのほかなのだろう。


「後でじっくり話を聞かせてもらおうか。なんか迷惑かけて悪かったな、ヨシノ」


 カキツバタも律義にそう謝罪する。彼らのためにも警察ではなく仲間内で解決させてあげたほうがいいだろうな。一番は大事になるのが面倒くさいだけだけどさ。


「ま、僕にはほぼ実害はなかったからいいけど。部下の躾はちゃんとしてね」

「ああ、そうさせてもらうよ。そっちのちっこいのもコロッケ悪かったな。詫びに買ってやるよ」

「ほんと? ありがとうなの!」


 ハスミからの謝罪を受けてミヤタは大層喜んであっさり許してしまった。やっぱりアホ毛が嬉しそうに踊っているけど彼女は本当にアホ毛を自由自在に動かせるのだろうか。謎である。


「で、シガキは何か言う事は無いの?」

「はいはい、悪かったよ」


 ただシガキだけは素っ気ない態度だったので僕は少しイラっとしてしまう。表情には出さないけど。


「ねぇシガキ。僕と君はそこそこ仲がいいから肩を持ちたいけど、正直最近PPPに関していい噂を聞かないんだよね。方針を変えたの?」

「うるせーな。お前には関係ねーだろ」

「そっか。けどこれだけ確認させて。君は部下の不始末をどう思っているのかな」


 僕がそう尋ねるとシガキは面倒くさそうに、


「割に合わない事をするんじゃねえよボケ、と思ってるな」


 と、答えてくれた。


「……誰のせいで」


 ただそう言った時オラオラコンビが小さく舌打ちをしてそうボソッと言ったのを僕は聞き逃さなかった。リーダーなのに舐められているというか、あんまり仲良くないのかな?


 そしてもう一つ。彼の言い方からは割のいい悪事なら構わないとも解釈出来る。やっぱり路線変更したのかなあ。


「行くぞ」

「お、おう」


 彼は不機嫌そうに僕らに背を向けて去っていく。側近兼親友のカキツバタも少なからず戸惑っていたようだけど何も言わずに、いや、何も言えずに彼の後を追った。ただハスミだけはこの場に残りため息をついてしまう。


「……はあ」

「ハスミは行かないの?」


 僕は気を使ってそう尋ねると、彼女は寂しそうに笑って誤魔化した。


「コロッケがあるだろ。じゃ行くか」

「うん!」

「ぷひ!」


 ミヤタとぶたにくは能天気にトコトコとついていく。彼らが何か揉めていたとしても他人事だしどうでもいいよね。


 結局PPPはギャグ要員に見えても不良グループなのだ。平穏な生活と天秤にかけられるほど僕はシガキと仲がいいわけでもないし、あえて介入する必要もないだろうから。

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