20-67 偽りのフェイスレス
――フェイスレスの視点から――
僕たちは崎陽市の繁華街エリアで大型変異ゾンビ相手に適当に戦っていました。普通のヒューマンならば苦戦する相手でも僕らならばただの雑魚でした。
「ふーむ、手応えがありません。とても退屈なのです」
「仕方あるまい、白き帝の四幹部のうち三人が揃っておるからのう。ハストルードはおらなんだが」
「たるんでいるな。ならば貴様は帰っていいぞ。我が烈火で全てを焼き尽くすのみだ」
何故ならばここにいるのはいわゆる四天王でクックック奴は最弱の存在、以外の三人だったからです。僕もヤツカも火神子も全員がその辺のゾンビなど遠く及ばない別格の強さなのでおそらく一人だけでもどうともなるはずでしょう。
しかし重ねて言いますがここにいるのはイグ・ヘルガイストに機神兵、ガタノゾルアと強いゾンビばかり、自分たちにとっては退屈でも僕たちが対処すべきでしょうね。
「クックック、ああ愚かなり。実に滑稽なのです……あ」
「おや」
「あ」
仕方なく適当に戦っていると僕は面白いものを発見しました。その敵は自信満々な様子で現れましたが、そっくりな僕の姿を見てギョッとしてしまいました。
「ど、ども」
「どうも」
彼は気まずそうに会釈をしたので僕も取りあえず返事をします。一体何なのでしょう、この何とも言えない空気は。
「はて、君は僕の偽物ですか? それとも分岐した存在でしょうか。見た感じ随分とポンコツそうですが」
「む、この珍妙な奴はお主の知り合いかの?」
僕とヤツカはすぐに彼が凡人である事を理解しました。どうにもこうにも全体的に小物感が漂い、ただの雑魚敵である事は明白だったからです。
「う、うるさい! 僕はフェイスレスなのです! お前は黙るのです! 貴様ら、やっちまえなのでギャー!?」
「何故攻撃しないのだ」
ですが彼がゾンビをけしかけようとした時、僕の偽物は火神子の炎によってゾンビもろとも消し炭になってしまいました。
「一応話程は最後まで聞いてあげませんと。相手が噛ませ犬だとしてもそれは礼儀ですから」
「うむ、最終決戦は没キャラを再利用しがちじゃが、こやつもその類だったのかのう」
「何を言っているのかはわからんが先に進むぞ」
「ですね」
火神子はそれ以上相手にせず他の敵を倒しに向かいましたが、僕は彼が素早く転移して逃げた事に気付いていました。
もしかしたら別の世界で厄介事を引き起こすかもしれませんが……まあ面倒くさいので放っておきましょう。
僕は謎の存在を気にも止めず、自分に与えられた役割を果たす事にしました。




