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ゾンビのミヤタさん~英雄が敗北した未来を変えるために、勇者の剣と愛と勇気と豊橋名産のちくわを携えやって来た二回目の世界、東北には太陽が昇り、花咲く明日への物語が始まる~【完結】  作者: 高山路麒
最終章 花咲く明日への物語【最終部】

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20-62 ゴース・ラメンタービレの最期の葬奏

 ――芳野紗幸の視点から――


 山津見分校跡地エリアに向かった私はゴースさんとオオバケッタの群れと遭遇し、出会ってすぐに交戦を始めてしまった。


「大丈夫か、カスミ!」

「う、うう、何とか……」

「フミちゃん、そっち押さえてて!」

「う、うん! 死んじゃ駄目だから!」

「コケー!」


 後方には負傷した弓削さんがいてサクタロウさん他かつての分校チーム(とニワトリ)がニワトリ小屋に籠城して必死に彼女を護ろうとしていた。だけどこんなものは気休めにしかならず、強力な攻撃を食らえばすぐにでも壊れてしまうだろう。


 けれどニワトリは怯えながらも羽根を広げて威嚇し弓削さんを護る様に立ちはだかり外の敵を睨みつけた。チキン野郎なんて言葉があるけどその姿は闘鶏の様で実に頼もしかったよ。


「ふんッ! こっちは任せろ、紗幸!」

「私だって一応戦えるんだからね! らぶらぶマシンガーン! ……このキャラ本当に失敗しちゃったなあ」


 私だけじゃ厳しかったけど同じくらいのタイミングで駆けつけてくれたコトリちゃんとユイさんがカバーに入ってくれる。コトリちゃんはかつて仮想岩巻で戦った時の様に刃の雨を降らせて敵を串刺しにし、ユイさんは魔法少女のお面をつけ謎のセリフを言いながらサブマシンガンで敵をやっつけてくれたんだ。


 コトリちゃんが結構強かったのは知ってたけどユイさんも戦えたのか。いや、そりゃ一応ドジョマン一派だから銃を撃てるくらいは出来るだろう。


「ユイちゃん? ユイちゃんなの!?」

「私は通りすがりの魔法少女でございます、そんな愛くるしい名前じゃないよ! でも私が来たからにはもう安心して!」

「そんな、何で……私はユイちゃんを……!」


 フミさんは彼女がすぐに自分を助けて虐めに遭い、意識不明の重体になって眠り続けていた友人と知ってしまい驚愕する。やっぱり罪悪感があったのか喜びよりも悲しみの感情のほうが勝っていたけど、ユイさんは何も変わらずあの時の様に護る事を選択したんだ。


 その美しい光景は実にほっこりしてしまうけど今はゴースさんを倒さないと。彼女は屋上で戦った時の様に巧みに銀糸を使い攻撃を仕掛けるも、今回の戦場は物が少なくどちらかと言えば罠を仕掛けて戦うタイプの彼女はやや苦戦している様に見えた。


「ゴースさん、退いてくれませんか。私はあなたと戦いたくないんです!」

「ならば貴女とご友人が死ぬまでです。私はこの戦場で最期のレクイエムを奏でるつもりです。私と私が奪ってきた全ての命に対して……ですから貴女も覚悟を決めてください、紗幸さん」


 だけど私には彼女の人となりを知ってしまったので命を奪う事なんて出来なかった。けれど向こうは既に割り切っていたらしく、完全に殺すつもりでカミソリの様に鋭い糸を振り回し私を切り裂こうとしていた。


「こんなのやりたくないのに……! 当たってよ、当たってよぉ!」


 私は悲しくて仕方がなかったけれどやらなければ大切な人たちが殺されてしまう。この辛い戦いを早く終わらせたいがために闇雲に銃を乱射したけれど、未熟な上に覚悟もない私にはゴースさんに攻撃を命中させる事すら出来ず彼女はあっさりと銃弾を避けてしまう。


「駄目ですね」

「ッ!」


 その無様な姿に落胆したゴースさんは私の足を糸で拘束、転倒させたのち空中に跳躍して大技を繰り出そうとする。広範囲を細切れにする技を使われてしまえばあんなボロボロのニワトリ小屋なんて一巻の終わりだ!


 嫌だ。やるしかない。もう大切な人を失いたくない!


「うわあああッ!」

「ッ!?」


 私は足に絡みついた糸を掴んで引き寄せ、体勢を崩したゴースさん目掛けて叫びながら至近距離でガトリングを乱射した。


 全ての弾を撃ち尽くすまで銃を撃った結果、私の目の前には身体が半分以上吹き飛んだ彼女の姿があった。その姿を見て私はそういえばゴースさんの身体は機械なんだっけ、と今更ながらに思い出してしまった。


 全身からはオイルらしきものがどくどくと溢れ出ており、それは血の様に赤くなかったけれど私はそれを見て虚無感から意識が飛びそうになってしまう。


 私の手は銀糸を握ったせいで血まみれになってしまう。これは彼女の痛みでもあり、私に与えられた代償なのだろう。


「ああ、これで私もようやく……ご清聴ありがとうございました……」

「ゴースさん、ゴースさぁんッ!」


 私はこれほどまでに絶望していたというのに彼女は晴れやかな顔をしていた。彼女はきっと満たされて天国へと旅立ったのだろうけど、私はその気持ちを理解したくなくて全てを拒絶し泣き叫ぶ事しか出来なかったんだ。

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