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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第五章 アンヴィルヘム邸編

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アンヴィルヘム家

 現在 元ルーウィッド領 アンヴィルヘム邸前


 リズレットのエストックを清雅の刀が受け止め、鍔迫り合いする。


 「クリードさんは行ってください!!」


 清雅がそう言うと、クリードは横を素早く通り過ぎて、屋敷の奥に走っていく。


 「あなたの相手は...私です!」


 「あの人の方が強いのね?」


 リズレットの言葉に清雅は戸惑いながら首を傾げる。


 「だって、私を1人で押さえるのはあの人でも良かったはず。でもそうしなかったのは...自分に自信がなかったからじゃない?」


 「挑発ですか? その手には乗りませんよ。」


 「そう...。残念...。」


 リズレットの力が強くなっていき、清雅が押し負け始める。


 「なっ!?」


 「あなたでは私達には勝てない...。なぜなら...あなたは氷の異能力者スペアネルだから...。氷像である私達に、冷気は聞かない。凍らせることも出来はしない。それに...今のあなたでは...そもそも地力で私達に勝つことはできない...。」


 リズレットの力に押されて清雅は膝をつく。清雅は刀の反りに手を当てて両手で押し返そうとするが、びくともしない。


 「!?」


 「私より強い人たちが3人は確実にいる。あの人...1人で向かわせて良かったの?」


 「くっ...! ぐぅっ!!!」


 リズレットの言葉に清雅の歯を食いしばって、背中から氷の手を造形して、自身の体を押すことでリズレットを押しのける。


 「っ...!」


 「はぁ...はぁ...。相性が悪いからって...勝てないとは...限りませんよ。」


 驚いたリズレットに刀の切っ先を向けて清雅はニヤリと笑い、構え直す。それを見てリズレットはエストックを構え直して、警戒しつつ一定の間合いを保つ。


 「!!」


 「...。」


 リズレットの剣を清雅の刀は受け流しつつ、斬り返すがリズレットはギリギリで剣の柄頭で受け止めて、力で清雅を壁に追いやるが、わざと転ぶように滑ってリズレットの股を抜けた清雅が背後から斬りかかる。しかし、それにリズレットはしかし、切っ先を後ろに向けて突く。


 「!!」


 当たる擦れ擦れの距離で後ろに跳んで避けた清雅は深く息を吐きながら刀を構え直す。それを感じ取りながら、背中を向けたまま間合いを保って移動していつでも反撃できるように体勢を整える。


 「ふぅぅぅぅぅ.....。」


 「...すぅぅぅぅぅぅ。」


 清雅が仕掛けると、リズレットは倒れるように避けながら振り向いて、エストックを薙ぎ払う。


 「...!」


 リズレットのエストックが清雅の頬を掠める。しかも再生しない。


 「この屋敷の中では異能力者スペアネルの再生能力は機能しない。」


 「なっ...!?」


 清雅が驚いている隙を見逃さずに跳びあがって回転しながら斬りかかってくるリズレットの攻撃を避けてカウンターで刀を振り上げる。


 「...。」


 その瞬間、リズレットの頬にひびが入る。しかし、すぐに再生する。


 「くっ...!」


 「氷の体だから、冷気や氷でいつだって再生できる。あなたが勝てる確率は0よ。」


 リズレットがそう言いながらエストックを清雅の喉元に向けると、清雅はすぐに喉元に氷の鎧を張って防ぎ、切っ先を掴む。


 「確かに...分が悪い...。でも...諦めるほどじゃない...。」


 「何...?」


 「なぜなら...あなたは...今まで私が戦ってきた誰よりも...弱いから...!」


 「...。」


 清雅の言葉にリズレットは反論せずに力尽くでエストックを引き抜いて距離を取る。


 「だからと言って...分が悪いことも、あなたが不利なことも何も変わらないわよ。」


 「はい。何も変わりませんよ。ただの強がりと言われればそれまでです。でも...私は決めたんです後ろ向きに考えず、前向きに、絶望する暇があるなら、希望を持とうって...。昔、母が死んだときも、その時に不治の病と言われた病にかかったときも、ちょっと前に父をこの手で手にかけてしまったときも、何度も私は深く絶望しました。でもその時、誰かが私に手を差し伸べてくれた。誰かが私を助けてくれた。だから、今度は私が助けたい。支えたい。深く絶望したからこそ、そんな時に支えてもらったからこそ、そこから救ってもらえたからこそ、私は今生きてる。だから私は諦めないし、絶対に勝てないと思わない! だから、もう絶望しない! 後ろ向きに物事を考えない! 後ろ向きで物事考えて、絶望してしまうより、前向きに考えて、希望を持った方が...私は...〝今〟を生きてる意味があるから...!!」


 「強いのね...。」


 「そうですか? でも、私には強い母と父...多分姉が...いますから...!!」


 リズレットはそれ以上清雅の事情に踏み入りはせずにエストックを構える。


 「(気持ちで...私はこの人に...負けてるのかな...。)」


 リズレットの心の声を知る由もなく清雅は刀を構え直して、再び剣を交える。


 その頃、あまりにも人の気配がない屋敷の部屋を一部屋ずつ探索しながら薫と光琳を探しているクリードは大量に本が収納された図書室でとある日記を見つける。


 「フロス...ブリザ...リズレット...。日記か...?」


 クリードが日記を開こうとした瞬間に図書室内に刺すような空気感が漂い始める。


 「亡霊が1人いるのだから...あと3人いてもおかしくはなかったが...罠にはめられたようだ。」


 クリードがそう言いながら日記帳をテーブルに置くと、図書室の出入口の扉を閉める群青色の髪の女性が現れ、図書室の二階から藍色の髪をした男性が現れ、いつの間にか椅子に佇んでいた水色の女性が現れた。


 「フロス・アンヴィルヘム。コールド・アンヴィルヘム。リフリージャ・アンヴィルヘム。まさか亡霊となった家族総出で息子の後押しか?」


 クリードがそう言うと、フロスが蛇腹剣の切っ先を向ける。


 「すまないが...そういう事だ。」


 3人とも命を狙ってきていることを察知したクリードはフロスの方に顔を向けて言う。


 「命令通りにしか動けない...。悲しいものだな。」


 クリードがそう言うと、フロスが喉元を刺そうとするが、すぐに天井にチェーンナイフを刺してコウモリのようにぶら下がる。


 「図星だったようだ。」


 「!」


 すぐにコールドが天井を駆けて、大剣を薙ぎ払う。それを軽々と避けながら銃口を向けているリフリージャが見えて、短剣を投げて撃たれた銃弾を弾いて、リフリージャの前に降り立ち、床に刺さった短剣で斬ろうとすると、フロスが蛇腹剣を伸ばして、腕を斬り落とそうとしてくる。


 「...。」


 後ろに跳んで一息ついていると、コールドが容赦なく落下しながら大剣を振り下ろしてくる。それを受け流して、本棚の陰に身を隠す。


 「...何?」


 一瞬で見失った3人の目をかいくぐり、後ろからリフリージャの首に斬りかかると、コールドが躊躇なく大剣を投げてくる。


 「!」


 クリードは驚きながらも後ろに倒れるように避けて、後ろに距離を取りながら跳びあがる。すると、そこを狙っていたフロスの蛇腹剣の薙ぎ払いをバク宙で避けて蹴り飛ばす。


 「...!!」


 その瞬間に撃ってきたショットガンの銃弾を斬って、リフリージャを潰しにかかるが、コールドが素早く大剣を抜き取って、前に立つ。


 「(攻撃は娘に任せて基本は妻の守りか、妻は娘の援護に徹している。娘から先に潰した方がいいか。)」


 クリードは標的をフロスに移すと、それを察したのか蛇腹剣を構え直す。クリードはコールドとリフリージャに警戒しつつ、フロスに意識を集中させて、低姿勢から斬り上げるように短剣を振るが、フロスはすぐさま避けて蛇腹剣で腹を斬ろうとしてくるが、それを読んで攻撃を避けて、もう一本の短剣で目を斬る。


 「ぐっ...!」


 激痛に悶絶するフロスは目を押さえながら息を整えると、斬られた目元が再生した。


 「(難なく戦えはするが...持久戦に特化している。先に潰そうが、復活してくる。この戦い無駄だな。)」


 クリードの考えに気付いたのか、コールドも攻撃に加わって、リフリージャから離れて大剣を振り下ろしてくる。クリードはそれを避けながら顔面に蹴りを入れるが訊いてる様子はない。


 「チッ...! 面倒な...(明らかに時間稼ぎをしてる。)」


 クリードは短剣を握りしめて、コールド、フロス、リフリージャ、入ってきた出入口を見る。


 「(力尽くでもここから出るか。)」


 クリードは気配を消して、部屋からの脱出を試みるが、強めに出入口の扉を蹴ってもビクともしない。


 「...。(まんまと罠にかかったってとこか...。)」


 突然、出入口の扉に移動していたクリードに驚きながらも、3人はそれぞれの武器を構えてクリードを見据えている。


 「(全員再起不能にしなければ、出られない...か。何か仕掛けがあるか...。)」


 クリードはそう考えながら図書室を見渡して仕掛けを探すがその前にフロスとコールドが攻撃を仕掛けてくる。


 「(周りを見始めた瞬間にこれか...。何か仕掛けがあるのか...この部屋に...。)」


 クリードは力を弱めて2人の攻撃の嵐から抜け出すと、それを目掛けて撃ってきたリフリージャを一瞥して銃弾を避けた後、図書室の2回にチェーンナイフで移動して、仕掛けを探す。それをリフリージャが撃ちながら、フロスとコールドが挟み込んで攻撃してくる。


 「チッ...。」


 すぐさま向かい側に移動して、アサルトライフルで2人の足元を撃ち抜いてしばらく移動できなくしたが、リフリージャはアサルトライフルの連射を全て避けて、一部の銃弾は相殺する。


 「あいつは諦めるか。」


 フロスとコールドの足が再生する前にリフリージャの銃弾の嵐を搔い潜りながら、仕掛けを探すがどれがどれなのか全くわからない。


 「?」


 そんな中で不自然に開いた本棚の隙間を見つけた。


 「これは...。」


 クリードはすぐに気づいてリフリージャの近くにある日記帳を見た。


 「あれを守ってるのか。」


 そう言った瞬間、フロスとコールドの足が再生し、すぐさま襲い掛かってくる。


 「!」


 激化した2人の攻撃の嵐とちょっとした隙に撃ってくるリフリージャの射撃に対応しながら、日記帳からリフリージャを離す算段を立てる。


 「...よし...。」


 コールドの大剣を両方の短剣で受け止めて、あえて押し潰されるほど低姿勢にすることでフロスに攻撃しづらくしたところで、力を一気に抜いてそこから抜け出すと、フロスを向かい側に蹴り飛ばして、すぐさまスナイパーライフルを取り出してリフリージャの腕を撃ち抜く。


 「ぎゃあ!!」


 すぐに対応したリフリージャだったが、一瞬遅く片手を破壊された。それを見て、顔をしかめたコールドに首を掴まれて本棚に叩きつけられるが、背中につけた爆弾でコールドは爆散する。それを見たフロスの攻撃を避けて痛みに悶絶するリフリージャの隣にある日記帳を奪い去って、本棚に入れると、ガチャリという音と共に扉が開く、俺は日記帳をすぐさま抜いて、鍵が締まる前に扉を蹴破って、万全なフロスが出てくる前に扉を閉めた。


 「ふぅ~~...。行くか。」


 クリードは日記を持ったまま屋敷内で薫と光琳の探索を再開した。


 その頃、冷気と熱波が混ざり合い、立ち込める湯気の中で戦っているブリザはフレアに押されていた。


 「くっ...!」


 「屋敷を守りながらじゃ戦い辛くて仕方ねえんじゃねえの?」


 フレアはそう言いながら、容赦なく攻撃を仕掛けてくる。それをブリザは防ぎながら、凍らせようとするがフレアの熱がそれを上回っている。


 「くっ...はぁ...はぁ...。」


 「騎士団との戦いでお前が受けたダメージは意外にも俺より上らしいな。」


 「さて...どうかな?」


 ブリザはそう言いながら、辺りが吹雪き始める。


 「ん?」


 「凍獄ヘルブリザード。」


 元ルーウィッド領一帯が一瞬にして吹雪く銀世界となる。


 「これお前も中々きついんじゃねえの?」


 フレアがそう言うと、ブリザは吹雪の中で姿を消す。その瞬間、背後に吹き荒れる雪がブリザとなって、フレアを攻撃してくる。


 「まぁここまで能力のフィールドをつくりゃ速度何てあってないようなもんだよな。」


 フレアが面倒そうに言うと、ブリザは更に攻撃を仕掛けてくる。フレアは吹雪で視界が悪い中、積もった雪に足を取られながらも、対応するがしだいに続けていくうちに体が凍り付き始めている。


 「(眠くなってきた...。これが狙いか。)」


 フレアは体中から炎を噴射して凍り付いた体を溶かし、周りの雪を溶かしつつ、吹雪を一瞬吹き飛ばす。


 「氷竜アイスドラゴン。」


 「火竜ファイアードラゴン。」


 ブリザは氷でできた水色の翼竜を作り出し、フレアは火でできた赤い翼竜を作り出す。2体のドラゴンは互いを見つめ合った後、激しい空中戦を繰り広げる。


 「力出し惜しみしなさすぎじゃねえか?」


 フレアがそう言うと、ブリザは膝をついて吐血する。


 「おい!」


 フレアが声をかけると、ブリザは苦しそうに立ち上がる。


 「あと少しで...叶うんだ...! その為なら...この程度の...苦痛...どうってことないさ...!!」


 「お前...。」


 ブリザの言葉で何かを察したフレアは力尽くで止めるために容赦なく攻撃を仕掛けるが、ブリザはそれを避けて、カウンターを決める。


 「勝負を焦ると...碌なことがないですよ...。」


 「確かにそうだ。よくわかってるじゃねえの。」


 フレアはそう言いながらも、すぐに気絶させるために高速で攻撃をするが、容易く往なされて、反撃をしてくる。


 「?」


 突然動きが良くなったブリザに首を傾げると、辺りの吹雪が弱まっていることに気付いたフレアは殺す気でブリザを攻撃すると、氷像のように割れた。


 「氷分身...。」


 フレアがそう言うと、氷竜も消え、辺りの雪も吹雪も何もなかったかのように消滅する。


 「いつの間にか偽者相手にしてたのかよ。クソっ...!」


 フレアはすぐにアンヴィルヘム邸に入っていく。


 そして、フレアが分身だと気づく少し前に、アンヴィルヘム邸に入って清雅とクリードを追うブリザはテューフェルとエゴに連絡を取る。


 「侵入者3名。コーネリアス・クリード、富士浪清雅、フレア・アステラ。協力を頼みたい。」


 「わかった。俺はコーネリアス・クリードの元に向かおう。」


 「では私は、フレア・アステラの元に向かうわ。」


 テューフェルとエゴの返事にブリザは感謝を伝えて、薫と光琳の元に向かう。

次話「目無し鼻無しの生物手品」

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