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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第四章 バルジェリア皇国編

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反抗の騎士、忠誠の奴隷

 戦いが始まった時...フレアとファーラは屋敷でいつも通り過ごしていた。いつもとは違う奴隷達と騎士達の争いの声、矢が降り注ぐ音、剣の激突する音、氷が生成される音、爆発の音...とにかくたくさんの音がした。それを聞かないようにしながら、椅子に座ってリラックスしているファーラといつも通り料理を作って、提供して一緒に食べるフレアの姿がある。


 「「...。」」


 ただいつもと違うところもある。2人とも喋らない。いつもは無駄なことをよく喋り、他愛のない話で盛り上がり、ファーラがフレアを連れまわして出かけたりする。しかし、その兆候もなくただただ静寂だ。そんな静寂を先に壊したのは、今にも眠りに就きそうなファーラだった。


 「ねぇ...。」


 「ん?」


 「フレアさ...今の国で何が起きてるか知ってる?」


 「......知らねえよ。」


 フレアの返答にファーラは微笑みながら言う。


 「嘘つき。」


 「はぁ?」


 言葉にフレアが首を傾げていると、ファーラは椅子をフレアの方に向けて言う。


 「今かなりうるさいよね、外。」


 「そうだな。パレードでもやってんだろ。」


 「...パレードか...行ってからお土産買ってきてよ。」


 「何で主人を置いていくんだよ。」


 フレアの言葉にファーラは軽く笑いながら天井を見る。


 「たまには1人で出かけてみるのも悪くないんじゃない?」


 「ボディーガードがいなくなったら誰がお前の世話をしてくれるんだよ。」


 「それはそうだけど...。でも...私も一人の時間欲しいんだよね。」


 「...そっか。でも断る。」


 「えぇ~。」


 フレアとファーラはそんなやり取りをしながらも、どこか寂しげな雰囲気が漂っている。


 「フレア...。」


 「ん?」


 「最初で最期の...命令を出していい?」


 「......。」


 フレアの沈黙をファーラは同意と捉えて言う。


 「フレア・アステラ。」


 「......。」


 「主人。ファーラ・ディエンジュが命を下す。」


 「......。」


 フレアは命令を下すファーラの姿をジッと見つめている。


 「自由になりなさい。やりたいことをやって、することを自分で選択しなさい。あなたはあなた自身の人生を謳歌しなさい。」


 その瞬間...フレアの首輪や手枷、足枷が外れる。それを見たファーラはぐったりとして目を閉じようとしている。


 「別れか...」


 フレアが寂しそうにそう呟くと、ファーラは寂しそうだが、嬉しそうに微笑んで謝る。


 「ごめんね。」


 今にも目を閉じそうなファーラを見て言う。


 「...土産は何がいい?」


 「...桃のパイがいいかな...。」


 「わかった。必ず持ってくる。」


 すると、ファーラは目を閉じた。フレアはそっと彼女の胸に手を置いて確認する。


 「...必ず...桃のパイ...持ってくるからな。...じゃあなご主人様。」


 フレアはそう言って出ていこうとする直前に取れた首輪や手枷、足枷を見る。お札を置いてそれらをつけ直す。しかし、全く機能はなくなっている。


 「これはお代だ。少し多いのは...奴隷じゃなく自由になった俺としての奢りだ。酒でも飲んでな。」


 そうしてフレアは屋敷を出ていき、炎を纏わせて噴射する。そしてそのまま城に直行する。


 「...!」


 屋根を突き破って侵入する。フレアはゆっくりと歩いてそこにいた奴らに姿を見せる。すると、一番近くに花仙がいた。


 「フレア...!!」


 「よぉ。」


 フレアは軽く花仙に挨拶をして、正面にいるナイトメアを注視する。


 「おせえよ!」


 「何言ってんだ来てやっただけ感謝しろよ。」


 花仙とフレアがやり取りしている間にナイトメアに説得されたのか腰抜けの王はその場から逃げ出す。


 「おい!」


 「待て!」


 追おうとする花仙を止めて指示を出す。


 「下にティルジェイ...槍使いと戦っている女が3人いた。お前の仲間だろ? 助けに行ってやんな。」


 「...でもお前...。」


 「大丈夫だ。勝つから行け。あの男は後ででも充分間に合う。」


 フレアの自身に満ちた声に花仙は納得して城から出ていく。その間、ナイトメアは一切それに構うことなくフレアを注視していた。


 「よぉ...あの日負けたぶりだな。」


 「負け? 勝手などいない。」


 「そうかよ。でも...あれは負けだ。リベンジマッチとしてやらせてもらうぜ。」


 「では、私としてはあの日の続きとしてやらせてもらう。」


 フレアは両手を高熱化させ、その影響で髪が熱を帯び、橙色に変色する。ナイトメアは両手で剣を持って構える。


 「「行くか」」


 その瞬間、高熱化して赤い拳と白銀に輝く剣が激突する。大気が震え、空間がひび割れる。


 その頃、ティルジェイとの戦いは今、清雅達が激突するど真ん中に火柱と共に花仙が現れた。


 「あ?」


 「花仙!」


 「よぉ清雅! 薫! 光琳! 加勢に来た!!」


 「加勢って...騎士団長は...?」


 「助っ人が来てくれた。」


 ニヤリと笑って、花仙はティルジェイを見る。


 「(こいつもあの騎士団長と大差ねえな。でも...清雅もいる。薫と光琳もいる。勝つか...時間を稼ぐしかねえんだ! やるしかねえんだ!!)」


 花仙の髪と目が橙色に変色する。清雅はその隣に立つ。


 「今回は攻撃で行かせてもらうよ。防御なんてしてる場合じゃないからね。」


 清雅の白髪が冷気によって青みがかる。


 「そうだな。薫! 光琳! 援護を頼む!!」


 「「はい!!」」


 花仙の気迫と清雅の覚悟、薫と光琳の気合の変わりようを見て、ティルジェイは槍を抜く。


 「槍...。」


 薫の声にティルジェイは槍を抜いた理由を言う。


 「異能力者スペアネルのランクNo.2の2人相手。で、俺が鍛えたばっかりの女2人。4対1だ。まぁ構えるのには妥当だろ。」


 「鍛えた...?」


 「俺は戦闘好きのバカなんだよ。あんまりにもつまらねえもんで鍛えてやっただけだ。さて...始めるか。」


 ティルジェイの声のトーンが落ちた瞬間、清雅は刀の柄を握り、花仙はスレイバーの持ち手を強く握る。薫は3人の気迫に気圧されるが、光琳が手を繋いで保たせる。数秒の沈黙を破ったのは花仙だった。


 「はぁぁ!!」


 「たぁぁ!!」


 花仙と清雅の攻撃をティルジェイは槍で受け止めながら


 「重さは中々、だが...足りねえなぁ!!」


 と言って、2人を吹き飛ばすが、すぐさま花仙は足から炎を噴射して、スレイバーで斬りかかる。


 「来い!!」


 ティルジェイは花仙の連撃を槍で受け止めながら、隙を突いて攻撃をするが花仙は片手で受け止めて、スレイバーを薙ぎ払う。


 「おっと。」


 体を反って避けると、跳びあがってきた清雅が刀で刺しに来る。頭を傾けて避けて、体勢を立て直しながら、槍で攻撃しようとしたところに清雅は氷の壁を張って防御して、弾かれたところで刀身に炎を纏わせた花仙が攻撃してくる。槍で防ぐが、吹っ飛ばされる。そのままティルジェイは体勢を立て直しながら投げ槍の構えを取る。


 「!」


 「隕星ステラカデンツァ。」


 清雅はすぐさま、花仙、薫、光琳、自分を氷の壁で包む。その瞬間、ティルジェイから投げられた槍が地面に激突した瞬間に大きなクレーターと共に、衝撃波で周りの建物を消し飛ばした。もちろん、清雅の作った氷の壁も破壊された。


 「!!」


 花仙はすぐさまティルジェイの槍を取って炎を纏わせて勢いよく投げる。


 「ふっ。」


 しかし、それをいとも容易く掴み取って、一振りで纏わせた炎をかき消す。それを見ながら清雅は居合抜きの構えを取る。


 「白天流第一秘剣・晶閃しょうせん!」


 そのままティルジェイに向かって行く清雅を見て、スレイバーを花開かせる。


 「開花! 花火!!」


 炎を纏ったスレイバーと冷気を纏った刀が襲い掛かるが、ティルジェイは槍で受け止める。しかし、花仙の攻撃は槍を避けるように向かってくる。そして、清雅の攻撃はティルジェイの腕から凍らせ始めた。


 「おお~。」


 ティルジェイはすぐさま清雅を吹っ飛ばして、凍っていないもう片方の手で槍を取って高速で回転させて、花仙の攻撃を弾く。


 「くっ...!!」


 「どうしたぁ? もう終わりかぁ!?」


 その瞬間に、薫が不意打ちでワスプナイフを突き立てようとするが、ティルジェイに反撃を受けそうになる。避けて攻撃を続ける。


 「おお。」


 それに加わる形で光琳も攻撃に加わる。先ほどとは動きが変わった薫と光琳の動きにニヤリと笑いながら、戦っていると清雅が刀を逆手に持ち替えて構えているのと、花仙がスレイバーを頭上で回転させるのが見える。


 「火山! 流星弾!!」


 「白天流第二秘剣・白牙びゃくが!」


 炎を纏ったスレイバーから大量の炎の弾が発射され、雨の様に降ってくると同時に、薫と光琳が同時に距離を取った瞬間に、清雅が逆手にした刀を勢いよく振り上げる。その瞬間に刺々しい氷の斬撃が飛んでくる。


 「へぇ...。」


 ティルジェイは炎の弾は諦めて、氷の斬撃を防ぐ。


 「...。」


 首の骨を鳴らしながら槍を薙ぎ払って煙を吹き飛ばす。炎の弾は直撃したが、まだ動ける。


 「くっ...。やっと当たってあれかよ...。」


 「弱音を吐いてる暇なんてない。戦い続けなきゃ...。」


 薫と光琳も息を切らしながらも構える。


 「ちょっとは効いたぜ?」


 「余計な一言付け加えてくれるぜ。」


 花仙の言葉にティルジェイはニヤリと笑って、槍を構え直す。


 「行くよ。」


 「ああ!」


 ティルジェイは速度を上げて攻撃を仕掛け、清雅と花仙がそれに対して刀とスレイバーで応戦する。炎の熱波と氷の冷気と槍がぶつかり合いで、空間が歪む。


 「...!!」


 しかし、力は拮抗していない。清雅と花仙の攻撃よりもティルジェイの力の方がまだ強い。しだいに清雅と花仙は押されていく。


 「くっそ...!!」


 「だいぶ力出してるんだけど...!!」


 そこに薫と光琳も加勢しに行こうとするが、明らかに近づけない。


 「!!」


 ティルジェイが更に力を入れると、その瞬間に僅かな拮抗状態は崩れ、清雅と花仙は吹っ飛ばされる。


 「はあああ!!」


 その瞬間に光琳が槍で刺しに行くが、片手で受け止められる。


 「気合は十分だが動きが鈍くなったなぁ? 限界来たか?」


 ティルジェイはそう言って、槍をどけて光琳の頭を掴む。その瞬間に力が解け茶髪に戻り、そのまま薫に投げる。それを何とか受け止めるが薫も限界来たのか力が解けて黒髪に戻る。


 「あの力は相当に体力削るらしいな。まぁ、馴染んでないって可能性もあるが...動きはよくなったが...力に関しちゃ慣れだな。」


 ティルジェイがそう言っていると、花仙と清雅が戻ってきて構える。


 「(息1つ切れてねえ。流石だな。)」


 ティルジェイは薫と光琳を持ち上げて、まだ被害の少ない箇所の高い建物の屋上に投げ飛ばす。


 「何を...。」


 「戦えねえなら邪魔なだけだ。」


 「なるほどな。」


 花仙と清雅はティルジェイとの力量差を理解しつつも、どうにかして倒す方法はないかと模索していた。なぜなら、時間稼ぎをするほど長時間戦えないと判断したからだ。


 「「!!」」


 薫と光琳が減ったことで花仙と清雅は気合を入れ直して、ティルジェイに向かって行く。


 その頃、城では剣と拳がぶつかる際の衝撃波で建物全体が震えている。2人は一切言葉を発さずに激しい戦闘を繰り広げている。


 「業火掌ルーチェ・ダ・インフェルノ。」


 「瞬光剣フリッカ・スパフィー。」


 フレアは片手に黄色い炎を溜めて拳を打ち、ナイトメアは光の速さで剣を薙ぐ。拳と剣がぶつかった瞬間、衝撃は上に行き、城の屋根が全て吹き飛び、2人も吹っ飛んで壁に激突する。


 「ふぅ~。」


 「すぅ~。」


 瓦礫が落ちてきた事によりでた土煙が晴れると、ナイトメアは両手首には剣の紋様が薄く出ている。対してフレアは、熱で髪色と目が黄金に輝いている。互いの姿を視認した瞬間に戦闘は再開する。ナイトメアは斬撃を飛ばし、フレアはそれを避けながら、拳から連続で炎弾を放つ。


 「...!」


 「ふっ..!!」


 斬撃と炎弾がぶつかるごとに爆発が起き、その爆風で土煙が舞う。その中で、互いの間合いを詰めて剣と拳がまた激突する。激突した衝撃で城は揺れ、壁は吹き飛ぶ。


 「「...!!!」」


 ナイトメアが剣を振り下ろすたび、フレアは拳を突きあげ、振り上げる度に踵を落とし、薙ぎ払うたびに横に殴る。そのぶつかり合いは次第に速度を上げていき、火花から爆発、そして大気が震え、空間にひびが入る。


 「煌火シンティランズ・フランマ。」


 「刎斬ディカピターレ。」


 黄金の炎を纏わせ、赤い熱を帯びた拳を振り下ろし、白金に輝く剣を切り上げる。


 ガンッ!!


 おおよそ拳と剣が激突した際の音とは思えない音を立てて、周りの瓦礫や城の外壁が木端微塵に吹き飛び、2人も吹き飛ぶが、フレアは炎を噴射させ、ナイトメアは空を蹴って戻ってくる。


 「はぁ...はぁ...。」


 「ぜぇ...はぁ...。」


 息を切らしながら立ち上がる2人の目には未だに闘志が宿っており、2人とも口角を上げて笑っている。


 「ふぅぅっ...!!」


 「はぁぁっ...!!」


 ナイトメアとフレアは構え直す。一時の静寂の後...両者は全く同時に動き出す。ナイトメアは剣を切り上げ、フレアは跳躍して下に向かって殴りかかる。剣と拳がぶつかりあい、床にひびが入り、そこから穴があく。ナイトメアとフレアは落ちながら戦闘を続行する。炎を噴射することで飛べるフレアに機動力では分があるが、吹っ飛ばされるたびにナイトメアは壁を蹴って斬りかかる。


 「おらぁっ!!!」


 フレアの強烈な一撃を受けたナイトメアはそのまま勢いよく落ちていくが、すぐに壁に剣を刺して勢いを殺す。


 「はぁぁっ!!!」


 目視が届かないほどの下から剣を引き抜くと同時に斬撃を放つ。それをもろに受けたフレアは痛みでそのまま落ちていくが、逆に炎を噴射して下に落ちて行っているナイトメアに追いつくと、すでにナイトメアは落ちながら剣を構えていた。


 「隕拳ルーチェ・メテオライト。」


 「彗斬エステラ・エスパーダ。」


 落ちてくる黄金の炎の拳と迎え撃つ青白い斬撃がぶつかり合い。空中でぶつかり合い、城が完全に吹き飛び、その衝撃で国中の建物が崩壊する。そう戦っている間。ナイトメアの脳裏に言葉が過る。


 ―――最後の命だ。民を、仲間を守れ! 民が居なければ、国は成り立たない。守るべきものが居なければ、民は国に背中を預けることはできない。


 「くっ...!!」


 ―――民を頼む。無責任だが、この国を頼む。


 「うおおっ!!」


 ―――ナイトメア。私達が居なくなった後の国を頼む。


 「ぐおおおおおおおっ!!」


 ナイトメアはフレアを吹っ飛ばす。フレアはすぐさま体勢を立て直して、降り立ってきたナイトメアを見る。


 「(なぜ...陛下の言葉が...。私は...俺は...陛下の命に背き...陛下の覚悟を踏み躙った...それなのになぜ...今過る...!?)」


 「...!?」


 ナイトメアは剣を構え直し、力を籠める。それに気づいたフレアも全身の熱を高める。


 「紋様もんよう...。」


 「白炎びゃくえん...。」


 その瞬間...ナイトメアの両手首の紋様が濃く浮かび上がり、目に斬撃の紋章が浮かび上がる。フレアは更に体の熱が上がり、髪と目が白く変色する。


 「ここからが......。」


 「本気の勝負か?」


 フレアがそう言うと、ナイトメアはニヤリと笑う。その瞬間...大気が震えだし、空が荒れ狂う。その瞬間、白い炎を纏った拳と白銀の剣が激突する。

次話「守護の斬撃、破壊の太陽」

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