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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第四章 バルジェリア皇国編

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王女の騎士、急襲する鎌

 バンバとギアバシルの戦いが行われている一方、こちらではレイピアと鎖鎌の激突していた。ロンバートのレイピアの連続突きに青葉は鎖鎌の鎖の穴に引っかけて止め、そのまま投げ飛ばす。しかし、即座に受け身をとって、高い位置から急降下するように刺してくる。青葉はそれに合わせるように鎖鎌を振り回して分銅を直撃させる。


 「「...!!」」


 腹部の鎧の壊れたロンバートと、頬をかすめた青葉は即座に相手の方に攻撃を続ける。ロンバートは切り返して、腹部にレイピアを青葉は鎌で鎖骨の下を斬る。


 ガンッ!!


 ロンバートのレイピアは鎖鎌の分銅で防がれ、青葉の攻撃は寸前で避けられる。そうして距離を取った後に、ロンバートは縦横無尽に動きながら攻撃を仕掛けてくる。それを青葉は近づけさせないように鎖鎌の鎌を伸ばして、レイピアを防ぎながら、分銅を構える。そうして、ぶつかり合うレイピアの切っ先と鎖鎌は火花を散らしながら速度が上がっていく。そうしてできた互いの一瞬の隙を逃さずに攻撃を加える。


 「月華光点げっかこうてん!!」


 「餓打がだ。」


 互いはその攻撃が致命傷になると考えて、攻撃を止めて距離を取る。


 「(考えたことは同じか...!!)」


 「(やりづらい...バンバの追加説明では...この人が王子の居場所を教えた。気持ちがわからなくはないが、別に殺しにかかって来てるのも事実だ。) あんたは何がしたいんだ?」


 青葉は攻撃の手を止めて訊く。すると、ロンバートは少し黙った後に答える。


 「さぁね。あたしが訊きたいよ!!」


 ロンバートはそうして、一気に間合いを詰めて攻撃を加えるが、青葉に止められる。


 「迷いがあるのか?」


 「迷いはあるさ。でも...どっちに転んでも受け入れる覚悟もある!!」


 ロンバートは青葉を吹っ飛ばして隙だらけの状態に攻撃を加えるが、やはり防がれる。


 「敵に気を遣うのは止めな! 騎士に対してそれは侮辱だ。」


 「...。」


 「戦いに来たのなら戦え、そうじゃないんだったら邪魔すんな。それでも邪魔するんだったら、さっき通り殺しに行くだけだ。」


 ロンバートの目を見て、青葉は自分の鎖鎌を強く握って目を向ける。


 「戦いに来た。だが殺しに来てはいない。甘いだろうが、これが俺だ。この性分は変えられない。だから無視してくれ。もちろん。俺にも義妹がいた。だから、あんたには...シンパシーみたいなのを感じてるってだけだ。気を悪くしたらすまない。だが、あんたの言う通り、これはあんたに侮辱だな。殺す気はない性分は変えられねえが、結果として殺すことになるなら受け入れるその覚悟で戦う。」


 「うん。最初からそうしてくれよ。鎖鎌の頂点。」


 そうして、両者の戦いは仕切り直されるかのようにまた始まる。


 「行くぞ!!」


 ロンバートはそう言って、助走をつけて、レイピアに手をかざしながら直線的に走ってくる。


 「...!!」


 それを止めるために、青葉は鎌を伸ばして攻撃を仕掛けるが、うまく避けられる。そうして、鎌の猛攻を避けられたと思ったら、強く地面を蹴ってレイピアを前に突き出す。


 「貫衝がんしょう!!」


 「くっ...!!」


 腹をかすめながらも何とか避けた青葉は鎖鎌を戻しながらロンバートを蹴り飛ばして、攻撃を戻した鎌を再度投げる。


 「(その程度で当たるかよ!!)」


 ロンバートが少し油断した瞬間にフェイントをかけて防御した方向とは逆方向に鎌を移動させる。


 「ちっ...!!」


 しかし、ロンバートは舌打ちしながらもしっかりと防いで片手で宙返りながら体勢を立て直して、青葉の追撃を弾き距離を詰めて入り乱れる連続突きを浴びせる。だが、それも青葉が鎖鎌を使ってうまく弾いていく。


 「このままじゃ決着つかねえぞ!! 鎖鎌使い!!」


 「そりゃこっちのセリフだ!! レイピア使い!!」


 2人はそう叫びながら攻撃の速度をどんどん倍に上げていく。


 「クッソがぁ!!」


 「!!」


 ロンバートはそう叫んでわざと隙を作って青葉の攻撃を誘ったのちに、カウンターを決めるように跳んで間合いを詰めながら青葉の横っ腹を貫く。


 「よし!!」


 やっと攻撃を加えたことを実感していると、青葉は貫いたレイピアを片手で持って


 「油断大敵だよ!!」


 鎖鎌の分銅で勢いよくロンバートの頭を打つ。


 「ぐぁ...!!」


 そうして吹っ飛ばされながらレイピアは離さずに青葉の体から一気に引き抜く。


 「!!」


 その痛みに耐えながら、青葉は横っ腹の、ロンバートは頭からの出血を押さえる。


 「再生したらどうだ?」


 「馬鹿言え。異能力者スペアネル血鎖狩人ブラッティソルの再生は体力使うのわかりきってんだろうが、同じ化け物同士で、同じランクの奴の攻撃をいちいち治してたら、逆に負けるっての。」


 「へぇ~わかってんだ。ぶらぶら旅してそうだったから知らねえと思ってたよ。」


 「異能力者スペアネル血鎖狩人ブラッティソル同士の戦いは自分のことを再生することに体力使うより、相手をさっさと倒さねえと負けに近づくなんて、俺ら化け物同士のコミュニティじゃ周知に事実だろうが。」


 ロンバートの煽りに、青葉はなんかご丁寧に説明しながら、強がりを言う。


 「だが、あんたは横っ腹、あたしは頭。化け物同士だったらあんたの方がよほど致命傷だよ。」


 「本当か? お前も結構つらそうな顔してるけどな。」


 互いに煽りあいながら、攻撃された箇所の痛みに耐えながら戦いを続行する。


 「「!!」」


 ロンバートは一気に青葉との間合いを詰めて、広範囲をレイピアで連続で突く。それに対して身をよじりながら避ける青葉はレイピアを掴んでいる手首に鎖鎌を巻き付け、そのまま振り回す。


 「ぐっ...!!」


 「さっきから同じような戦いで飽きるんだよ!!」


 そう言って青葉が叩きつけようとすると、ロンバートはもう片方の手にレイピアを持ち換えて、叩きつけられる寸前でレイピアを地面に突き刺す。


 「んあ?」


 そうして、絡まった鎖鎌をしっかりと持ってレイピアを軸に回り出す。


 「ちっ...!!」


 「あんたができるんだから! あたしもできるんだよその程度!!」


 しかし、青葉は力技で鎖鎌を引いて地面に突き刺したレイピアごとロンバートを引き寄せて、直接殴る。そうして地面に叩きつけられる直前に足払いをして青葉の体勢を崩す。


 「「!!」」


 2人は倒れながらも戦い、倒れた瞬間に体勢を立て直して戦いを続ける。しかし、さっきのような攻撃を直撃させる機会は中々巡ってこない。


 「月華...光点...!!」


 「餓打朔刃がださくじん!」


 堪えかねたロンバートは一瞬の隙を突いて、レイピアを突き出すが、青葉はそれを利用して鎖鎌に引っかけて真上に跳びあがり、背中を打ち斬る。先に攻撃を仕掛けて隙を晒した、ロンバートは背中に深い打撲痕と血が流れ出る抉られた様に深い切り傷が見える。


 「勝負を焦った方が、まともに戦えず痛烈な一撃をもらう。」


 「るっせぇ! クソが、真面目に戦いだした瞬間しっかり強くなりやがって...。」


 そう言ってロンバートは壊れた鎧を脱ぐ。


 「ん?」


 「ふぃ~軽い軽い...やっぱ鎧なんていらねえや。こっちの方が数段動きやすい。」


 ロンバートはそう言いながらレイピアを構える。


 「さぁてと。傷を2個も受けた今からが本気の戦いだ!! 聖転騎士団第4団長!! ロンバート・サニーズ! ほら!! お前も名乗れ!!」


 「暗殺専門学校卒業生序列No.3。元のコードネームは楪木ゆずりは。本名、漆暗青葉。」


 名乗り終わった瞬間に、ロンバートが先ほどより数段早い速度で移動してくる。それに対して青葉も速力を上げて、即座に攻撃を仕掛ける。ロンバートは体を反らせて避けたのちに、レイピアを逆手にもって、青葉の頭部を狙う。それを青葉は触れる寸前に防いで、ロンバートを蹴り飛ばす。


 「十刃鎌じゅうじんがま。」


 蹴り飛ばして無防備なロンバートに対して、鎖鎌で十字の斬撃を飛ばす。それに気づいたロンバートは地面にレイピアを刺して、体勢を整えた後、応戦する。


 「突牙とつが。」


 飛ばされた斬撃を一点集中での突きで相殺すると、その衝撃で土煙が起こる。それに構わず、ロンバートは青葉との間合いを詰めて、攻撃を仕掛ける。


 「刺雨さしあめ。」


 豪雨のように降り注ぐ雨粒のように周りに散らしながら突く。それを青葉は鎖鎌で防ぎながら、隙あれば攻撃を加える。そうやって繰り返しながら、速度がどんどん上がっていき、空気が震えだす。


 「!!」


 一瞬の隙にロンバートは青葉の背後に回り込み、レイピアを突き出すが、屈んで避けられる。


 「はぁっ!!」


 「たぁっ!!」


 そうして青葉のカウンターをカウンターする。しかし、防がれる。拮抗した状態から、青葉が一瞬だけ力を抜いて、ロンバートの体勢を崩すと、そのまま前に回転して攻撃してくる。それを避けて、分銅で腹を打とうとすると、片手で受け止めて、勢いよく引いて、顔面を蹴る。青葉は蹴り飛ばされながら、鎖鎌を首に引っかけて、勢いよく引っ張り、地面に叩き伏せて、投げ飛ばす。町中の建物を10個貫いて、吹っ飛ばされた。ロンバートは、唇から流れる血を拭って、レイピアを構えて、鎖鎌の飛んでくる方向を予測して、地面を強く蹴って一直線に飛んで、青葉の元まで戻る。


 「貫衝がんしょう!!」


 「朔刃さくじん!!」


 レイピアの切っ先と鎌がぶつかり合い、その衝撃で空気が軋む音を立てながら、空間にひびがはいる。


 「かい!!」


 ロンバートはレイピアを回転させて、青葉の鎌を弾いてそのまま突っ込んでくる。青葉は体勢を崩しながらも鎌を引いて、自分も攻撃を受けるのと同時に、戻した引き戻した鎌でロンバートの背中を刺す。


 「「ぐっ...!」」


 2人とも痛みに悶絶するが、ロンバートは即座にレイピアを抜いて、何度も青葉の頭を刺そうとするが、それを全て避けて青葉は鎖鎌をロンバートに引っかけて投げ飛ばしてほどけた鎖鎌を引き戻して、分銅を投げる。


 「!」


 それに気づいたロンバートは青葉の分銅を掴んで引き寄せ、そのままレイピアで刺し殺そうとするが、体を逸らして避けた青葉はロンバートの胸倉を掴んで地面にたたきつける。そうして馬乗りになった状態で、ロンバートを攻撃するが、すぐに抜け出して、レイピアを逆手にもって突き刺そうとしてくる、それを避けると、すぐさま順手にもって切っ先で斬り上げる。それを避けて、鎖鎌を巻き付ける。


 「長いな...戦いが。そろそろ倒されろ。」


 「...。」


 ロンバートはイラつきながら、青葉は睨みつけながら、戦闘を再開する。青葉の髪色は青みがかった緑に光り出し、ロンバートはレイピアを握りしめ


 「旋廻貫せんかいがん!!」


 周りを縦横無尽に懸けながら、レイピアでの突進をしてくる。そして、突進をすればするほどその機動力は上がっていく。初めはその攻撃に対応していた青葉も対応できなくなっていっている。


 「くっ...!!!」


 「(今更戻れねえ!!) はぁ!!」


 寸でのところで青葉は見切ってロンバートの動きを止めた。


 「(くそっ...! 強いなこいつ...! ここまでやって、まだ決着がつかねえのか...! 再生させるほどの体力もねえ。攻撃を防いでも、再生してねえからボロボロだ...。チッ...!!)」


 ロンバートは青葉から距離を取る。


 「はぁ...はぁ...。」


 「(相手も限界かよ。やりづれえよなぁ。同格の相手に本気は出せても全力出せねえってのは...。あたしはこの国を守る義務があるが、あいつは違う。なのに...破壊は最小限にとどめてくれた。甘い奴なのか...わからねえが...。いい奴だ...。) これが最後の攻撃だ!!」


 「? (何で教えるんだ?)」


 青葉は首を傾げながらもロンバートの目や雰囲気から嘘ではないと確信し、分銅と鎌を回し始める。


 「千駕光転せんがこうてん...凌駆錐刃りょうくすいじん...! 画竜点睛がりょうてんせい!!!」


 ロンバートは時空を飛ぶように移動し始め、青葉の周りに軽く千を超えるレイピアの刃の雨を見せる。


 「!?」


 「(終わりだ。)」


 次の瞬間...青葉はそれらを避けることができず全て直撃し、体から大量の血が噴き出す。その様子を見たロンバートは勝ちを確信し立ち去ろうとする。


 「紫苑しおん...」


 「!!」


 ロンバートはその声を聴いてすぐにレイピアで追撃しに行くが...遅かった。


 「紫苑しおん殺刃のたて...。」


 視認すらできない、分銅と鎌の嵐がロンバートの骨を砕き、肉を斬った。


 「ぅぅ...ぐはっ...!!」


 それでもロンバートはレイピアを離さずに攻撃を加えようとするが、同じく限界近い青葉が直接腹部を殴る。


 「うう...!!」


 「それ以上...は死んでしまう...。」


 ロンバートと青葉は重なるようにその場に倒れこんだ。倒れこんだ2人に今はもう戦う力はない。ロンバートは青葉に訊く。


 「何で...殺さない...?」


 「...俺にも...俺にも...妹が...いたからだ...。」


 「!?」


 「...俺は...妹を...守ってやれなかった...。」


 「...。」


 「だから...弟が生きてるあんたを...是が非でも殺したくなかった...。一生後悔するから...自分を誰より憎んでしまうから...。そんだけ...。」


 青葉は気を失った。


 「...なんだよ...てめぇ...勝手な奴だなぁ...。」


 ロンバートは気を失う。


~ロンバートの過去~


 あたしは捨てられてた。生きる居場所もなくただ彷徨ってた。そんで、腹空かしてメソメソ泣いてたら...あの人が来た。


 「大丈夫かい?」


 ユーシリウス・ドラグ・バルジェリア。あたしの父親になってくれた人だ。こんな薄汚い私を養女として王族に迎え入れた。もちろん、貴族からはいい目をされなかった。いつも視線は痛いし、コソコソ陰口をたたかれるし、最初は最悪だった。


 「ごめんね。子に恵まれない僕らの都合だ。でも約束する。子に恵まれようと、君はこの国の王女だ。」


 そんな謝られ方を陛下にも、王妃にもされた。でも、謝られたとき複雑だった。確かに、そん時の王国の暮らしは最悪だし、いいことなんてあんまなかったけど。安定した暮らしも、飢えない幸せももらった。何より、あたしに、こんなどうしようもない汚らわしい貧民のあたしに手を差し伸べ、親になってくれた。その感謝と現状の幸せに慣れてそれ以上を望む自分の傲慢さが複雑の気持ちにして、嫌いだった。そんな中、あたしは1人の男を見た。


 「...。」


 「どうしたの?」


 「あの人は?」


 「彼はナイトメア・クライン。この国で一番の騎士になる素質を持った男だ。」


 あたしは奴の剣を振るうを姿を見て、戦いたいと思った。あたしはあいつの近くで、あいつの基礎を盗み見て覚えた。普通の剣は重くて持てなかったが、レイピアは手になじんだ。そうやって何度も何度も修行を重ねて、あたしは奴に勝負を挑んだ。


 「はぁ!!」


 「...!!」


 結果は敗北...。悔しかった。絶対に追いついて見せると思った。そんで、一緒に戦うと決めた。そうして、気づいたら弟が生まれた。あたしと違って綺麗な顔をした弟だ。生まれる前まで、今のあたしの地位を脅かす敵だなんて思ってた。なのに...すげえあたしに懐いてくれた。この時、初めて戦いに守る使命とかの意義を見出した。


 「お姉ちゃん大好き!!」


 「お姉ちゃんもだよぉ~。」


 喋れるようになった弟を抱きしめた日、あの戦いが起こった。戦況はしばらく保たれていたが、裏切り者による内部崩壊、奴...ナイトメアの率いる騎士団の敗北。これが、敗戦を呼んだ。


 「...。」


 それから、奴は全く笑わなくなった。どんどん暗くなっていくし、どんどん本心を隠すような言動になっていった。そして、当日奴は剣を取って、陛下と王妃を斬った。


 「あたしと弟を殺せばこれ以上犠牲は出なかったんだぞ!! 何が裏切り者になるだ!! 何が踏みにじるだ!! 苦しいのはお前だろうが!!」


 「苦しいのが例え私でも、所詮私だけです。恨まれるのも、憎まれるのも私です。私が耐えればいい。」


 「何言って...。」


 そこからはナイトメアとの心が完全に離れた気がする。今の体制になって、何度か弟を助け出して、この国を元に戻そうと思ったときはあった。でも...そんなことしたら、ナイトメアがどうなるかわからなかった。あたしは、わがままなんだ。弟も、ナイトメアも、皆も...救われなきゃ嫌なんだ。だから...我慢するという愚かな道を選択した。そうして数年。今、あたしは今の体制を維持するために戦った。


 ロンバート・サニーズ vs 漆暗青葉


 相打ち

次話「降り注ぐ雨、氷の貴公子」

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