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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第四章 バルジェリア皇国編

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聖転騎士団

 騎士達の足音が聞こえる。鎧の軋む音が大量に聞こえる。それなのに、四方匡の人間達はその様子を意に介さずいつも通りどころか堂々と国を闊歩かっぽしている。しかし、奴隷たちはこの物々しい雰囲気に気おされているのか、主の目を盗んで周りを見回す奴隷もいる。そして、騎士団長達が武器を持って配置についていることを察するとすぐに目を逸らして見なかったことにする。


 「いない。宿屋の中に居た6人のうち1人がいない。来たはずの車もない。」


 遠くの方で宿に泊まっている何でも屋を監視していたソフィアが報告する。


 「どうする?」


 「何か怪しい動きをしているか?」


 「いや? 特に...。」


 ナイトメアの問いにソフィアは1人1人の行動を監視しながら答える。


 「ん?」


 「どうした?」


 「車が走った後がある。かなり薄いから何とも言えなくなはあるけど、もしこれが車の後なら、あの方向は...四方匡の領地だ。」


 「...ソフィア...射ろ。」


 ソフィアの報告にナイトメアは即座に宿屋に居る何でも屋に目掛けて射る命令を出す。


 「了解。」


 ソフィアはつがえた矢を中にいるバンバに向けて射る。


 「!!」


 その瞬間に宿屋を取り囲むように大きな氷の壁が塔のように作り出される。


 「あの氷の規模...。」


 「ソフィアはそのまま遠くからの攻射を続けろ。決して国民と四方匡の奴らには当てるな。ロンバート、ギアバシルは各々の騎士を連れて宿まで行き、武器を構えろ。」


 「「「了解。」」」


 そうして、宿屋に大量の騎士とそれらを指揮する2人の団長が後方に立っている。


 「出てこい反逆者共貴様らは包囲されている。逃げ場はないぞ。」


 ギアバシルがそう言うと、宿屋の扉があった場所の氷にひびが入る。


 数分前、宿内では清雅が氷の壁を張るためにベッドに寝ぼけたふりをしながら片手を部屋の床についていた。


 「多分もうそろそろ撃ってくるぞ。」


 バンバが用意された朝ご飯を持ってきながらそう言うと、案の定ソフィアが売ってきた。


 「清雅。」


 「じゃあ張ります! その後は扉は隙を見て城まで飛んで行ってね花仙。」


 「任せろ。」


 そんな会話をして、宿屋の周りを氷の壁が取り囲み塔のように高い円柱が出来上がった。


 「一応こちらからの監視はなくなった。できるだけ騎士にこちらを集中させる。俺たちが宿を出た瞬間に花仙は上から出ろ。清雅は作った氷の塔を伝って、上からソフィアの攻射から俺たち守れ。薫、光琳は俺と一緒に騎士と戦って場をかき乱せ。殺しもありだ。殺さないことに気を遣ってられる余裕はないからな。昨日寝る前に言っておいたが一応だ。まずは〝あいつ〟が来るまでの時間を稼ぐ。あいつが来たらやっと戦いが始まるからな。それまでは完全に耐久戦だ。」


 「「はい!!」」


 バンバがそう言うと、薫と光琳はすぐに武器を構えて部屋を出て、その瞬間に清雅が冷気によって、宿に居る人間を眠らせる。


 そして現在。氷の壁はひび割れ、そこからバンバ、薫、光琳が出てくる。


 「(3人? あとの2人は?)」


 ソフィアがそんなことを考えている間に、氷の塔の内部から大きな火柱が上がる。


 「ソフィア。」


 「何?」


 「ここからの指示は任せる。嫌だったら、俺に突射してこようとするあの火の塊を射落とせ。」


 「了解。」


 ソフィアはすぐにナイトメアの元に行こうとする花仙に向かって矢を射る。しかし、またもや氷の壁に阻まれる。


 「(だよね。氷の壁を作った張本人っぽいのが見当たらないもんね。)」


 そうして、大火をまとった花仙は一直線にナイトメアのいる王宮に向かう。それを目の前で捉えていたナイトメアは玉座に座る男の前に立ってジッと見つめる。


 「赤刃せきじん!!」


 花仙は足から炎を噴射させながらナイトメアとの距離を詰め、勢いよく赤熱しているスレイバーで攻射を仕掛ける。


 「!?」


 「初めまして。」


 しかし、その一射はナイトメアに片手で受け止められた。


 そして、射たれた矢から花仙を守った清雅はソフィアから射たれ続ける矢の嵐にバンバ達と自身を守るので精一杯に陥っている。


 「くっ!!」


 「さて...いつまでその防御を続けられるかな?」


 ソフィアはそう言いながら強く矢を射る。


 そうして、花仙がナイトメアの元に向かうために囮となった3人は2人の団長が指示を出す騎士達と戦っている。薫と光琳は羅刹、刹鬼の力で何とか戦いながら、バンバは騎士の攻撃を受け流したり避けたりしながらなぎ倒していき、道を開く。


 「強いな。」


 「あの男性が恐らくはあちら側の頭だ。2人で確実に倒すぞ。」


 「2人? 1人で充分じゃねえのか?」


 「念の為だ。」


 ギアバシルの言葉にロンバートは少し納得はいかない様子だがレイピアを抜く。


 「!?」


 そうして、2人の団長はバンバに向かって攻撃を仕掛ける。


 「師匠!!!」


 「バンバさん!!」


 何とか受け止めたバンバに薫と光琳が呼びかける。


 「ぐっ...!!」


 しかし、力負けしているのかバンバは次第に膝をついて足が地面にめり込み始めている。


 「お前ら!! そこの女2人を倒して牢に連れていきな!!」


 ロンバートがそう指示を出すと、薫と光琳は何とか騎士達の猛攻に耐えているが、攻撃できていない。


 「やはりあなたが要のようですね。あの2人の動きが確実に鈍くなっている。」


 「...薫...光琳...。落ち着いて戦え。出なければ死ぬぞ。死ぬなという命令だったはずだ...。」


 バンバはそう言いながら2人の力を押し返して、距離を取って薫と光琳の周りで攻撃をしている騎士達を薙ぎ払う。


 「俺のことは気にせず戦え。仲間の心配をしていられるほど簡単な戦いじゃないぞ。」


 バンバはそう言って、自身のことを狙ってきているロンバートとギアバシルを見て剣を握りしめる。


 「(あいつが来るまで...死ねないぞ。)」


 バンバは向かってくるロンバートとギアバシルに向かっていく。


 「!!」


 盾を前にもって弾丸のように突進してくるギアバシルに対して、その隙を潰すようにレイピアで豪雨のような突きで襲い掛かってくるロンバートの攻撃を何とか捌く。


 「くっ...!!」


 しかし、完全に捌ききることはできず、致命傷は避けてはいるものの、レイピアで体を貫かれており、数少ない隙を突いて攻撃をしても盾であっさりと防がれる。


 「ぐっ...!!」


 バンバはたまらず距離を取ろうとするが、すぐにロンバートが間合いを詰めてくる。そうして顔目掛けて放ってきた突きを頬をかすめながらも避けて、剣を薙ぎ払うがロンバートは身をひるがえして避ける。


 「!!」


 そして、剣を薙ぎ払ったことでできた隙を突いてギアバシルの盾による殴打が直撃する。右の肋骨が砕ける音がする。


 「...。」


 そうして吹っ飛ばされたバンバは肋骨のある位置を押さえながら立ち上がる。それを見た2人はすぐに追撃を仕掛ける。


 「...!!」


 バンバは片膝を突きつつもしっかりと剣で攻撃を受け止める。


 「(こいつ....あばらイってんだるはずなに、2回もあたしらの攻撃を受け止めてやがる。)」


 そうして戦っていると、バンバの視界に騎士と戦って疲弊しきっている薫と光琳が見えた。


 「他人を心配している場合か?」


 ギアバシルがそう問うと、バンバは笑って答える。


 「心配してられる余裕があるから心配している。」


 「ほう? 随分と粋がるな貴様。もう少しまともな男だと見ていたがそれは買い被りだったか? ここまで傷だらけになって、よくもまぁそんな虚勢を張れたものだ。」


 ギアバシルはそう吐き捨てて、更に体重をかける。


 「!」


 その瞬間にバンバは体の力を一気に抜いて、その状況から抜け出し、急に力だ抜けて体勢を崩しかけたギアバシルに切りかかるがロンバートが砕けた肋骨を蹴る。


 「ぐぉ...!!」


 あまりの激痛にバンバはその場に倒れこんで立ち上がれなくなっている。


 「師匠!!」


 それを見た光琳はすぐにロンバートを攻撃しに行くが、あっさりと受け止められて押し負ける。


 「光琳!!」


 その様子を見た薫は他の騎士に刺され、その場に押さえつけられてしまう。


 「ぐああ!!」


 薫が痛みで叫ぶと、上から目の前に誰かが降ってきた。


 「!?」


 土煙でよく見えなかったが、目を凝らしてよく見ると、落ちてきたのは矢で体中を撃ち抜かれた清雅だった。


 数分前、氷の塔の頂上。


 「氷柱群衆つららぐんしゅう!!」


 清雅は大量の氷柱を造形し、矢が射られてきた方向に攻撃をし続ける。


 「くっ...当たっている感じが全くない。」


 清雅はそう言いながら下に矢が射られないように確認しながら攻撃を続けている。そしてその光景をソフィアはしっかりとその眼で捉えていた。


 「攻撃をしているのに、守る為に隙を晒す。彼女...戦い慣れしてなさすぎるね。そんなにわかりやすい隙があるなら一撃で戦闘不能までもっていこうか。」


 ソフィアはそう言いながら弓を引く。


 「異能力者スペアネルなら厄介だから早めに対処させてもらうよ。一矢アイン・サジッタ。」


 そう言って射られた矢はどんどん加速していき、清雅の腹部を貫く。


 「ぅ...!!」


 体勢を崩した清雅はそのまま落下して、薫の前に現れる。


 「清雅...さん...。」


 「ぐっ...!」


 薫の言葉に清雅はすぐに目を覚まして起き上がろうとするが、ロンバートに切っ先を喉元に向けられる。


 「負けだよ。大人しくしな。」


 見下すような目で見てくるロンバートを清雅は睨み返して、氷の力を使おうとするが、下手に動けば他が危ないと感じ、動けなくなる。


 その頃、花仙は...


 「くぅ...はぁ...はぁ...。」


 ナイトメアを前に、両手両膝をついていた。


 「ふざけんな...ありえるか...こんなのぉ...。こんな...こんな...こんなにも差があるわけねえ!!」


 花仙はそう叫んで、フラフラになりながらも立ち上がり、ナイトメアに向かっていく。しかし、簡単に剣で受け止められ、服の襟元を掴まれ持ち上げられる。


 「もう止めなさい。あなたでは勝てない。先ほどソフィアから報告があった。あなたのお仲間も敗北を喫したと。」


 「!? 馬鹿な...。こんな早くに負けるもんか...。清雅は...バンバはどうした...?」


 「名前は知らないが。その2人もやられたということだ。諦めるんだ。あくまで外部の人間だ私の計らいで逃がすこともできる。」


 ナイトメアの言葉の淡々とした言動に花仙は目を見開いて驚きながらも腕を振り解いて距離を取る。


 「...く...くぅ...。あいつらがやられたとしても...あたしはまだ負けてねえ!! あたしが負けねえ限り...諦めねえ限り...あたしら負けるわけねえんだ!!」


 花仙はそう叫んで、フラフラの体にむちを打って今度はしっかりとした足取りでナイトメアに向かっていく。


 「うおおおおおあああああ!!!」


 そうして場面は戻り、バンバ達は...。


 「はぁ...はぁ...。」


 バンバは息を整えて、横たわりながら周りを見る。


 「(...俺が...この中で最年長だ。年長者は年下を守る義務がある。...まだ“あいつ〟が来る気配がない。遅いな。来るまでは俺が守らないと...。)」


 バンバはそう考えて、片方の剣を勢いよくブーメランのように投げる。


 「...。」


 その剣は薫と取り押さえて騎士を斬り、清雅に向けられていたレイピアを弾き、光琳からギアバシルを離して、立ち上がるバンバの手元に戻ってきた。


 「師匠...。」


 「作戦変更だ。清雅。ここにいる騎士の全てを凍らせて足止めしろ。光琳と薫はとりあえずこの場を離れろ。」


 「了解!」


 「「...はい!!」」


 「そんな簡単に行かすと思う?」


 「離れてどうする? この先にはティルジェイが待ち構えている。どの道どうしようもないのは変わらん。」


 バンバの指示通り薫と光琳はその場を離れようとするが、ロンバートとギアバシルが止めようとする。


 「...!」


 「光琳! 薫! 別にティルジェイと戦えとは言っていない。ソフィアの矢を散らしてくれるならそれでいい。散らしてくれさえすれば、〝あいつ〟が来るまでに清雅を騎士共の足止めに専念させることができる。言ったはずだ耐久戦だと。」


 「「?」」


 そう喋るバンバに違和感を持ったのか、ロンバートとギアバシルはバンバの方をジッと見る。


 「何でそんな流暢りゅうちょうに喋れる?」


 「...なぜ何事もなかったように立ち上がれた?」


 その言葉にバンバはニヤリと笑って砕けたはずの肋骨の部分を強めに叩く。


 「...当たり前だ。元々はお前たちの〝お仲間〟だからな。」


 しばらく静寂が訪れ、その意味を理解したギアバシルとロンバートは一瞬で間合いを詰めて攻撃を仕掛けて、それをバンバが同じように受け止める。


 「行け!!」


 「凍れ!!」


 「「!!!」」


 バンバの声と共に薫と光琳は走り出し、清雅は騎士達を凍らせる。


 「ソフィア! あの娘たちを撃ち抜け! この男は...我らで倒す!!」


 「了解。」


 ギアバシルはそう言って、さっきより圧を掛けてバンバに問う。


 「あの娘共を逃がす為に我らのその真実を教えたのだろうが悪手だったな。元々ということは今はそうではないという事。自身の死期を早めることになったな?」


 「前哨戦で死ぬ気はない。死なせる気もない。死期を早めただと? 前哨戦でもう勝った気か? 気が早いな?」


 バンバはそう答えて、ロンバートとギアバシルを吹っ飛ばして、剣を強く握りしめる。


 「ある程度動きは見えてきた。さぁ...命懸けの時間稼ぎだ。」


 「今度は虚勢とも粋がっているともいわん。どこまで作戦を立てているのか知らんが。我々の敗北の2文字はない。」


 ギアバシルの言葉に続くようにロンバートが攻撃を仕掛ける。バンバはそれをギリギリで避けながら左目でギアバシルと離れていく薫と光琳を捉え、右目でロンバートと周りの状況を捉えて攻撃する。


 「いかに攻撃を捌こうと無傷では済まない。今のあんたの再生じゃ追っつかないだろうし...いずれ負けるのは確実だよ? あとさ、時間稼ぎって...金髪の女のことでいい?」


 「好きに解釈したらどうだ? 王女。」


 そう言うと、ロンバートは舌打ちをしてレイピアを逆手にもって刺そうとしてくる。それをギリギリで避けるが、ギアバシルの追撃が来ることを予期したバンバはすぐに剣で防御の構えを取って防ぐ。


 「!!」


 その衝撃で吹っ飛ばされたバンバは着地した瞬間に片方の剣を薫と光琳に向かって投げた。


 「ん?」


 その剣の方向に気を取られたギアバシルに切りかかるバンバだがすぐにロンバートに阻止される。


 「!?」


 そして、投げられた剣は薫と光琳に向かって射られた2本の矢を見事に防ぎ切った。それを見たギアバシルはすぐに体勢を立て直し、バンバを見る。


 「敵ながらあっぱれだな今のは。あんな方法でソフィアの矢を防ぐとは...。」


 ロンバートが宙返りしたと同時にギアバシルはバンバに向かって盾を叩きつける。それをバンバは柄で受け止めながら素早く弓を取り出して、後ろから突こうとしてくるロンバートを射貫いて怯ませている間にギアバシルの足を払い、体勢を崩してギアバシルの背中を蹴って投げた剣の方向に跳躍して抜き取る。


 「はぁ...はぁ...。」


 一連の行動をして息を切らし始めたバンバはすぐに呼吸を整えて、ロンバートとギアバシルを見る。


 「ん?」


 「あ?」


 辺りが騒がしくなってきている。戦いが始まってすぐに避難した四方匡の国民の声が聞こえる。それは決して力を誇示するようなものでも、自慢げにするような声でもない。明確な悲鳴であり、狼狽え、恐れおののく声。それを聞いた瞬間にバンバはニヤリと笑う。


 「やっとかと言いたいが。まぁ急にしては早かったな。」


 そう言うと、あらゆる家から四方匡の国民が飛び出してきた。なぜなら、自身の奴隷が襲い掛かってきてるから。


 「一体何が?」


 「どうなってるんだ!? 首輪が...枷が...錠が...爆発しねえぞ!!」


 「何...?」


 四方匡の国民のその言葉に動揺するが、バンバの顔を見てギアバシルは睨みつけて問う。


 「貴様何をした?」


 「俺は何もしてない。頼んだだけだ。」


 「頼んだだと?」


 バンバの答えにギアバシルは怪訝そうな顔を浮かべると奴隷たちの雄たけびと四方匡の国民たちの声が入り混じる中、鷹の声が響いた。その瞬間に空から鎖鎌を持って、バンバの隣に降り立つ。


 「急にすまなかったな。しかし、あの文章量でよくわかったもんだ。」


 「わからなかったよ。ただ、ちょっと考えたことをそんまま実行したら合ってたって話だ。あいつらは敵のままなのか?」


 「ああ。流石に奴隷解放だけじゃまだ足りない。決定的なものが必要だ。」


 ギアバシルとロンバートは降りてきた男、漆暗青葉に注目する。


 「(あいつ...血鎖狩人ブラッティソル!? しかも...同ランクの...。)」


 「なるほど時間稼ぎとはそういう事か。だが、その男は強いが所詮1人...。」


 ギアバシルがそう言おうとした瞬間に少し離れたところで大きな氷柱が生成された。


 同時刻、ソフィアに手足を射貫かれた薫の前に白い紳士服を来た男が現れ、矢を全て防いでくれた。


 「...あなたは...。」


 「もう中立っていう文字が霞んじゃうね。また君らの味方として戦いに来たよ。」


 白い紳士服の男、ブリザはそう言って薫に刺さっていた矢を全て取り除いて、その場から離れさせた。


 「はぁ~何してんだろうなぁ~。彼女が動けなくなったところさらうだけでいいのに...助けちゃったなぁ...。」


 「異能力者スペアネル...あの規模なら私と同ランク。2人目氷使いで厄介なものがいるとは考えてなかったね。」


 ソフィアはそう呟いて弓を強めに引いてブリザを捉える。


 場面は戻り、ギアバシルとロンバートと相対するバンバと青葉は...


 「(何だあれ? まぁいいか。) 2人だよ。まぁだからとしてもピンチなのは代わりねえが、騎士共相手は奴隷達がやってくれる。俺たちはあんたらとの戦いに集中できる。ぶっちゃけ、これ結構ありがたいぜ。俺が言う事じゃねえけど。」


 「ほんとだな。」


 「だったらお前が先に言っとけよ。」


 2人の会話を見て、ロンバートは少し笑って前に出る。


 「...ふっ。ギア。」


 「何だ?」


 「あんたあの男と因縁深そうだから、あたしはあの新しい方と戦う。」


 「サシでやれば負ける可能性が...。」


 「あんたと違ってこっちは最初から騎士として戦ってんの。多対一とか嫌いなんだよ。サシだったら気兼ねなくやれる。」


 ロンバートはそう言って会話を続けている青葉に向かって攻撃を仕掛ける。そしてそれを鎖鎌で受け止める青葉。


 「あんたの相手はあたしだ!!」


 「...じゃあちょっと広いとこ行こうな。バンバが邪魔で戦いづれえよ。」


 青葉はそう言ってその場から離れ、それにロンバートもついていく。


 「では私とサシでやることになるが大丈夫か?」


 「何の心配だ? こっちは大歓迎だ。2対1より余程戦いやすい。清雅! 凍結を解いて、光琳か薫の元に向かえ。」


 「了解!!」


 「行くぞお前らぁ!!」


 清雅の返事とともに氷が解けた騎士達に奴隷達は向かっていく。


 「見事だ。完全にやられたまさか奴隷の枷の爆弾を爆破できないようにするとは流石に考えていなかった。先ほどは2対1という不利な状況で戦ってもらっていた。だが今度は1対1だ。ここは騎士らしく名乗らせてもらおう。聖転騎士団第3団長、ギアバシル・レインアズ。盾を扱う血鎖狩人ブラッティソル。その頂点だ。」


 「...バンバ・キルラエル。」


 両者はそう名乗りを上げて再びぶつかり合う。


 その頃、ソフィアの矢が薫に集中したことにより矢を受けなかった光琳は槍を持った男と相対していた。


 「...。」


 「お前が俺の...相手か...?」


 ティルジェイ・ヴァラン。ナイトメア・クラインと双璧をなす男。

次話「堅牢な城塞、双剣の狩人」

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