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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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戦いの終わりと決断

数日後


 シルヴァマジアの戦いが終わった後、俺達はこの国のトップであるジーク・ヴィネアから多額の報酬を渡されたが、薫や光琳はまだしも、こちらはそこまで危険な目には遭っていないとして4分の1だけ受け取った。


 「4分の1でも結構な多さだな。」


 受け取るときは俺とバンバで受け取りに行き、薫と光琳はシルヴァマジアの病院でしばらく休ませることになった。そうして数日が経ち、国が機能を取り戻してきたところで国に配られている新聞がうちにも届いた

内容は

 ・白いスーツを着た男が魔法師達と共に、異能力者スペアネルを一名確保

 ・黒い服を着た男がシャインティアウーブの者たちと共に異能力者スペアネルを一名確保

 ・謎の人物たちがシャインティアウーブとシルヴァマジア両国のトップの疑念を晴らし、異能力者スペアネルを一名確保

 ・シャインティアウーブの脱獄囚が異能力者スペアネルとの戦いで戦果を挙げる

 ・フリード・フォン・ファーヴァとヴェルフォルア・スミスの逮捕に実刑を望む国民の声

 ・異能力者スペアネル3人の極刑を望む国民の声

等々。

 俺達が謎の人物として書かれているのは報酬を受け取る時に言っておいた頼みのおかげだろう。


 「白いスーツ...。あの男、またいたのか。黒い服...知らんな。」


 しかし、謎の人物として書かれているが、両国のトップへの国民の疑念を晴らした片方が薫だと思うと、今回の戦いによる収穫は大きい。


 「(薫の深天極地の力の覚醒。そして説明があったとはいえ、初めての武器を使いこなした。成熟が早いな。)」


 今や薫は対人戦での経験は少ないもののモンスターとの戦闘経験が豊富な光琳と並んだか、対人戦に限るなら超えたかもしれない。


 「戦いが終わって数日経ったが、未だに青葉から連絡はない。もう戻ってしまったか。」


 そんなことを言いながら、怪我と疲れで眠っている薫と光琳の病室から外を見る。


 「薫。このまま何も起こらなければ、後は少しでユーフォリアに着く。バルジェリアの横を通るだけだからな。別れる前には絶対にお前に真実を話すからな。」


 そう呟いて、病室を後にする。


 「(できれば国から何かを依頼される前に出たいところだ。)」


 そんな事を思っていると、病院の前に青葉とバンバが立っていた。近くに司もいるが、気にせず2人を見る。


 「ここじゃ何だ。レグスまで行こう。」


 「それで闇討ちでもされるのか?」


 「お前相手にか? 今の俺とクリードでは話にならんぞ。」


 俺の言葉に青葉は眉間にしわを寄せて首を傾げるが、それをバンバが代わりに治める。そうしてしばらく歩いていると、レグスのところまで来た。俺は扉を開けて、入ってくれと促す。


 「ここに入ったら何がある?」


 「武器がある。暴れれば俺の使う武器はほとんどなくなる。」


 「俺や薫、光琳の分でもある。」


 俺とバンバにそう言われた青葉は無言で頷いて扉の中に入っていく。着いたのはもちろん言った通りの武器庫だ。


 「で? 何だお前の目的は? 地球上の生命体皆殺しか?」


 青葉が机に腰かけながらそう言い、バンバは立ったまま座ろうとはしなかった。俺はその2人の顔をしっかりと見て、俺の目的、薫との確執、ラファスとの関係を事細かに説明した。話している間に青葉に何度も口を出されたが、全て話し終えた結果...薫との確執とラファスとの関係の決着はつけるが、その後に来る目的の達成は一旦保留にするという事になった。


 「これは、薫ちゃんはもちろんだが、光琳ちゃんにも話さないのか?」


 「話す気はない。話してもラファスとの関係の一部だけだ。それ以外は無い。」


 「...そうか。話は終わりか?」


 「...終わりだ。」


 「...じゃあ俺は一旦帰らせてもらう。」


 「わかっている。」


 返答を聞いた青葉はレグスを後にする。


 「さっきの話だが...。」


 「ん?」


 「お前が変わった原因もそこにあるのか?」


 「何度も言わせるな。俺は変わってなどいない。昔と同じ作られた暗殺者だ。」


 バンバの言葉に俺は自分の素性を思い出しながら否定した。


クリードと分かれた後の青葉


 魔工車から出てしばらく歩いていると、隠れていた司が飛び出してきた。


 「どんな話だった?」


 「お前に言う義理があるか?」


 「あいつとの約束を守る義理こそないでしょ。」


 俺の言葉に、司は少し怒りのこもった声で指摘してきた。


 「確かにそうだが...お前は何つうか、あっさりと話してない奴らに話しそうだろ。」


 「おっと信頼無いねぇ~私。」


 「信頼が無いっていうか、あくまで今は仲間じゃないってことだ。」


 「青葉はあいつと仲間なの?」


 「一応はバンバの協力者だ。だから、あいつだけだったら別に話してもいいが、バンバが話すなって雰囲気を俺に出してたから話せない。裏の仕事は信用が第一だろ?」


 「...それはそうだけどさ。」


 俺の言葉に司は何か納得いかなそうな顔で同意する。


 「ってか、お前の今の仲間である他の男2人はどうした?」


 「...今病院で検査受けてるとこかな。終わったら発つ予定。」


 「そうか...。じゃあな司。久々に元気そうな姿を見れてよかった。」


 「ちょっ! 話し終わる気?」


 「あたりまえだろ。これ以上何を話すんだよ。大丈夫だよ。死ななきゃもう一度会える。」


 そう言って、俺は歩き出した。司の声は何も言ってこなかった。


 「(...不安だし...俺も...。いや駄目だ。今の状態であいつと行動を一緒にしてたら絶対に殺す。)」


 俺は心の中で頭を抱えながら国を出た。


青葉と別れた司


 最後に言われた青葉の言葉を繰り返し言いながら病院に着いた。


 「死ななきゃもう一度会える...。青葉...死んだら...もう会えないんだよ...?」


 無意識にそう呟いていると、検査が終わって動けるようになった獅業と奈終夜が私の様子が変だったのか。首を傾げてる。


 「どしたの?」


 「いやこっちのセリフだよ。妙に黙って遠い眼をしてるからビビったっつの。」


 「で? 次はどこに行くんです?」


 「あれ? 行先の指定は今度は私だっけ?」


 「そうだよ。クルードフォーミアは俺が指定して、シャインティアウーブとシルヴァマジアは獅業。もう1周終わってる。」


 「そっかぁ~じゃあ、ユーフォリアに行こう!!」


 「「遠っ!!」」


 私の言葉に2人は驚いて天を仰ぐ。


 「まぁあんたが行先を決めたなら行くしかねえな。」


 「本気か!? 歩きでユーフォリアだぞ! 今度は何泊野宿なんだ。」


 「十泊。」


 「十泊の野宿できるかシャワーぐらい浴びたいっつうの!!」


 獅業の言葉に対して私がさらっと答えると、奈終夜が本音を漏らした。こんな風に今日も2人と一緒に旅をする。


 「馬車借りねえか?」


 「両国のゴタゴタに巻き込まれて面倒になる前に発ちたいんでしょ? 馬車借りてる暇あるかなぁ?」


 「ないな。」


 「マジかよ! ありえねぇ...。」


 そう楽しく会話をしながら国を出た。


墓参りに来た陽葉山姉妹


 戦いが終わってすぐに葬式があって、もう墓を建てられた。「時間の流れは一瞬だな」と思いながら墓の前で手を合わせた。


 「寂しいね。今度はあの家2人だけで住まないと...お婆ちゃんもいなくなって...褒めてくれる身近な人いなくなっちゃった。」


 「そうだな。親孝行...全然できなかったな...。」


 そうやって話してると、花奈が今にも泣きだしそうな顔になってる。


 「泣くな。泣いたって...戻ってこない。あたしたちは父親に守られ、母親に育てられ、婆さんに鍛えられた。だから、その3人があの世で見て、恥じない生き方をするだ。だから、3人に会う時は...笑顔でいよう。」


 「...。」


 「お父さんもお母さんも...婆さんもどうせなら...泣き顔より、笑顔を見たいはずだ。」


 「そうしたいけどさ...まだ...無理だよ。」


 「そりゃそうだ...あたしだって...頑張ってる最中なんだから。」


 あたしの言葉を聞いて花奈も泣くのを必死に堪えて笑う。あたしも満面の笑みはできないけど笑って墓に言う。


 「お父さん、お母さん、お婆ちゃん...長い間お世話になりました。あたし...3人に恥じない生き方をする。」


 その言葉に、花奈はあたしのほうを見て、ミサンガを渡してくる。


 「何だ?」


 「プレゼント。お姉ちゃん...。」


 「?」


 「緋愛さんに私また会いたい。」


 その言葉にあたしは目を見開く。


 「お姉ちゃん帰ってくるときは2人で帰ってきてね。その間、家は私が守っておくからさ。」


 「一人...寂しくないか?」


 「寂しいよ。心細いし、何より不安。でも、このままずっとお姉ちゃんに頼ってられない。」


 「そっか...。わかった。じゃあ明日にはこの国を発つよ。いろいろ手続きもあるしな。」


 「うん。」


 そんな会話をしてあたしと花奈は手を繋いで家まで帰った。


病室で1人見舞いに来た清雅


 クリードさんが来ているという話で来たら誰もいない。来るのが遅かったのかな。


 「薫ちゃん、光琳ちゃん。今日歩いてたら美味しそうな梨が売っててさ。つい買っちゃった。」


 梨の匂いで起きないかなぁと目の前で梨の皮むきを始める。


 「(手を斬らないようにしないと...。)」


 ピーラーが欲しいとしみじみ思いながら梨の皮をむいていると、まさかまさかの光琳ちゃんが起きた。


 「...本当に起きた...。おはよう。」


 「おはようございます。薫はまだ起きそうにないですか?」


 「ないね。毎日一応見舞いには来てるんだけど。もしかして今まで起きてたりする?」


 まさかと思いながらも質問すると、光琳は何か意味ありげな顔をして


 「いえ、今起きたばっかりです。梨...食べたくて。」


 何の理由もない顔で言って来た。


 「ほんとに...梨で起きたんだ...。」


 しみじみ梨の力ってすげーって思った。


 「切り終わったら下さい。」


 「もちろん。食べさせるために持って来たんだから (起きなかったら病室で独り占めにしようとしてたことは言わないでおこう)。」


 「どうしました?」


 「ん? どうもしてないよ?」


 一瞬心の声が漏れたのかと動揺したけど、すぐに反応できてよかった。


 「まさか...。」


 「(バレた?)」


 心臓がバクバク脈打ってる。ホラー映画見た時みたい。もう何年前か覚えてないけど。


 「体調悪いんですか?」


 「(よかったぁ~バレてない。) そんなことないよ。そもそも体調悪かったら見舞いになんてこれないでしょ。」


 「それもそっか。」


 光琳は意外と鋭いのか普通に天然なのか、まだわからない。普段可愛いアホの子状態なのに、急に冷静で周りを見れるちょっとしたお姉さん気質を出してくるもんだから、余りの差に風邪をひきそうになる。


 「はい。切り分けたから薫ちゃん起きないし2人で食べよう。」


 「...勿体ないですけど...そうですね。」


 「(凄い、ちゃんと薫ちゃんにも残そうとする考えが残ってる。私って実は結構がめついのかな?)」


 「がめつくないですよ。ただ薫にも食べてほしかったなぁと思っただけで...。」


 「そうなんだ。光琳ちゃんってやっぱりお姉...。え!?」


 一瞬褒めようとして光琳ちゃんの答えの違和感に驚愕した。


 「ん?」


 でも何とも無さそうに首を傾げてる。でも、無視できなかった。


 「何で!? 心の声漏れてたの!? それとも顔に出てた!?」


 「いえ...勘で答えただけです。」


 「勘!? (私ががめついって思った事を勘で当てられるの!?)」


 心の中でそう叫んでいるとまたもや光琳ちゃんは答えてくる。

 

 「当てられますよ。」


 ってね。わたしの知ってる勘じゃない。


 「もう心読んでるよそれ!」


 指摘すると、光琳ちゃんは首を傾げて眉間にしわを寄せて本当にわからないと言った表情を浮かべる。


 「...えこれ私がおかしいの...?」


 「どうしたんです?」


 私と光琳ちゃんがそんなやり取りをしていると、寝ぼけている薫ちゃんの声が聞こえた。


 「あ...ごめん...起こしちゃったね。」


 「いえ、美味しそうな梨の香りがしたので...。」


 「(いや違う。私が声のボリュームをちょっと上げたせいよね。ごめんね薫ちゃん。)」


 梨の香りで起きた薫ちゃんに心の中で謝罪をした。現実ではやってないけど。


 「梨...食べよっか。」


 「はい。」


 一応病院の人からは梨食べさせてもいいという許可は貰ってるから内心そこは気にしてない。気にしてるのは、持ってきておいて梨が減ってくのを見るのが何というか...虚しく感じた。その後、病院の人に薫ちゃんと光琳ちゃんの容態を見てもらうと明日には退院して大丈夫とのことだった。クリードさんからは国のゴタゴタに巻き込まれる前にさっさとここを発つぞと言われたので、明日の夕方に発つことにしてと頼んだ。なぜって? 単純に少しシルヴァマジアの町を見て、買い物とかをしたいから。もちろん薫ちゃんと光琳ちゃんも一緒に。


清雅から連絡を受け国を発つ日程を決めたクリード達


 清雅からの頼みで何でも屋全員でシルヴァマジアの観光をある程度してから国を発つことになった。


 「(清雅、俺達に慣れてきたのか、よく喋るようになったな。)」


 「いつ発つって?」


 「明日の夕方頃だ。」


 俺の答えに少し驚いたような顔をしながら言う。


 「思いの外遅いな。」


 「観光をしたいらしい。」


 「いいのか?」


 「観光ぐらい別に大丈夫だろ。それに明日発てるかどうかも実際怪しかったんだ。想定より早く発てて運が良いまである。」


 そう答えると、バンバは少し微笑んで部屋を後にした。


 「...何だ? 急に笑って。」


 俺は一人でそう言いながら、注いでいたコーヒーを飲む


 「バルジェリア皇国を経由してユーフォリアに行くのが一番近い。...バルジェリア皇国...堕ちた騎士の国...。」


 何でも屋を開く少し前にバルジェリアで起こった事を思いだした。


 「また何かしらのゴタゴタに巻き込まれる可能性...。いや、首を突っ込む可能性がある...。一応青葉との連絡手段は鷹がある。国に到着次第早めに送っておくか。」


 そう言って、鷹を呼び、足に紙を括り付ける。


 「俺が指笛を吹いたらすぐに飛び立って青葉の元にこれを届けろ。」


 そう言うと、鷹は声高らかに鳴いて、バンバの元に戻っていった。鷹が飛び出していった方向をしばらく見つめて、自分の武器をまじまじと見る。


 「九つの神殺しの武器。これを薫にも使えるようにしなければ...もしあいつが俺を殺した後に、バラガラもあの男も、もしかしたらラファスも殺せるようにするために...。」


 「香織かおり。俺は必ず...薫と戦罹せんりを守り通して見せる。約束だからな。」


 いもしない奴の名前を呼びながらそいつとの約束を俺は呟いて、レグスから出た。

次話「業火の花を咲かせる女」


クリード「今日の話タイトルと雰囲気違くないか?」

バンバ「シリアスな話が続いたからそろそろ少し明るめの話が欲しかったんだろう」

クリード「サブタイトル詐欺はなはだしいな。」

バンバ「今に始まったことじゃない。」

クリード「どうやら新しい章からは俺達の視点で物語を進めるのは止めるらしいな。」

バンバ「そうらしい新しい章からは第三者からの視点なんだとさ。」

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