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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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3人の子供、3人の異能力者

シルヴァマジア 中央部上空


 三つ首のドラゴンは限界を迎えた主を守るように咆哮する。


 「2対1かい?」


 僕がそう言うと、ドラゴンは三つの首から光線を放ってくる。片手で防ごうとすると、目の前に透明な壁が出来上がる。


 「これは...。」


 壁に触れて見ると、魔法でできていることがわかる。そうして、答え合わせをするように彼らが現れる。一人は黒髪に青い眼の魔法使いジーク・ヴィネア、一人は白髪のそれぞれ赤と青の眼の魔法使いクレイ・オブ・エンシェンター、一人は金髪に本を持った魔法使い神川エリナだ。


 「協力感謝します。単刀直入に訊きますが、あの女性...普通ではありませんが、何か知ってますか?」


 「今の状態は強化剤で無理矢理力を引き出していて体にガタがきている状態...このままでは危険です。」


 ヴィネアさんの質問に端的に答える。


 「打った薬の除去法とかは? 魔法でできるものか?」


 「速やかに戦闘不能にして、僕が体内の強化剤の菌を残らず凍らせて殺します。」


 「そのまま本人殺しちゃう可能性は?」


 「ゼロではありません。ですが、このまま放っておけば、国は更に荒らされ、荒らした本人は薬でどの道死にます。やらないよりやる方がいい。」


 僕はエンシェンターさんと神川さんの質問に次々と答えると、最初から聞いていたかのように合流した片目に傷を負った剣士ローザン・アンティルと尖った耳の手首を回しながら首の音を鳴らす男アリューメス・フローレスが来た。


 「違いない。子供とて俺達には国民たちの命がかかっている。選ぶ選択など一つだ。」


 「まぁ決めるのはリーダーだ。どうする?」


 フローレスさんに選択を委ねられたヴィネアさんは白澤光と光竜を見据えて決める。


 「もちろん協力します。えっと...」


 「ブリザです。」


 「ブリザさん...あなたにはあの子を1人で止めることができますか?」


 「もちろん。国の安全のためにもより上空で戦いますよ。」


 「ではお願いします。僕らはあの光竜から国を守りながら戦います。主なアタッカーはクレイとアリュー君、サポーターはエリナとローザン君にお願いします。僕はいつも通りヒーラーに徹します。」


 「「了解。」」


 「「任された!」」


 ヴィネアさんは胸に手を当てて軽く会釈をした後に、僕と彼女に大杖を向けて


 「転移メタスタージス。」


 そう唱えると、目の前の景色が少し暗くなった。宇宙に近い場所まで移動してくれたんだろう。


 「ぐっ...。」


 白澤光は笑いながらも口から飛び出る血を押さえて僕を見る。


 「このままでは本当に化け物だよ?」


 「...違う...化け物じゃない!!」


 僕の言葉でほんの少し自我を取り戻した彼女は叫んで向かってくる。


シルヴァマジア中央部上空 光竜と魔法師の戦い


 光竜と対峙していると、エリナがローザン君とアリュー君に首を傾げる。


 「あたしの指示はどうなったの?」


 「行ったけど何もなかったんだよ。」


 「そのまま待ってても意味はないからな戻ったら、こうなっていたわけだ。」


 返答に納得した様にエリナは今度は僕とクレイを見る。


 「私結構頑張ったと思わない?」


 「突然の出来事にすぐに対応してくれてありがとう。」


 「すぐに応援に行けなくてすみませんでした。」


 クレイは何とも言えない表情で謝ると、エリナは無言で胸を叩いて誇らしげな顔を浮かべた。


 「にしてもこないな。」


 「実は攻撃してたりしてな。」


 アリュー君がそう言うと、光竜が光速で突っ込んでくる。その瞬間、ローザン君が目の前に立って剣の柄で防ぐ。その間にアリュー君とクレイは両サイドに回り込んでそれぞれの首を殴る。


 「落下フォル。」


 一瞬怯んだところをエリナが結界の上に落とす。


 「グォォォォォオオオ!!」


 地に落とされた光竜は光速で飛んで熱光線を撃ちながら向かってくる。


 「空斬カエラム・スラッシュ。」


 それらをローザン君は空間を切ってその中に光線を吸収して、もう一度空間を切って、吸収した光線を光竜に浴びせる。


 「光纏ルクセラッピング。」


 僕はそう言って杖を振ると、僕も含めた五人が光を纏う。これで全員光速で動けるようになった。


 「グォォォォォォォォォォ!!!!!」


 光竜は遠吠えをするように咆哮する。空に複数の光の球体が現れる。


 「イマゴ・ルーチス。」


 そこから光線が放たれると同時に、光の柱を出して全て相殺する。その隙に、クレイとアリュー君が光竜に向かっていく。


 「電竜拳エレクトリックドラゴンフィスト。」


 「風翔撃ウィンソー。」


 クレイは激しくとどろく電撃を纏わせて直線的に光竜を殴り、アリュー君は光竜の周りを回りながら風を纏った爪で外皮を切り裂く。


 「グァァアアアアア!!!」


 光竜は叫んで自分の体を光らせ始める。


 「離れろ!!」


 追撃しようとしていたローザン君がクレイとアリュー君にそう叫んでエリナを見る。


 「五重障壁クインクエ・オビーチェ。」


 エリナは即座に自分含めた5人に五枚重ねの結界を展開する。その瞬間、光竜は巨大な爆発を起こした。結界に大穴が開くけど、光竜は目もくれずに僕らをジッと見る。


 「ん?」


 「クァァァ...!!!」


 すると、光竜が突然身震いしだし、苦しそうに鳴いた。そうしていると、みるみる光竜の姿が変容していく。体躯はより巨大になり、より戦闘向きになっていく。


 「グォォォ...。ゥゥゥ...。ヴゥォォォォォォォォ!!!!!!」


 光竜が咆哮した瞬間、僕らの全身が結界僕らの結界にひびが入り始めた。


 「グゥゥゥアアアアアアアアアアアアア!!!」


 そのままの流れで光竜は三つ首から同時に熱光線を撃ってくる。


 「!!」


 ローザン君はすぐに結界を出て、出た結界を正面に投げて真ん中の光線を止めている間に空斬で左の竜の光線を吸収して、右の竜の光線に当てて相殺する。それと同時にアリュー君が結界から出て後ろに回り、尻尾を掴んで上に投げ飛ばす。


 「赤き焔は、歳月と共により獲物を変え喰らい、やがて蒼き炎へと至る。蒼炎イヤサントフランマ。」


 「かの雄々しき火竜よ、我に緋色の焔の力を授けたまえ。緋火色スカーレット咆哮ロアー。」


 すかさずエリナとクレイが蒼い炎と緋色の炎を放つ。しかし、光竜は翼でそれを受けきって、僕の方を見る。一番弱いと思ったのだろう。


 「グアアア!!」


 すぐに先ほどの熱光線と同等の光線を放ってくる。それをローザン君が防いでくれる。


 「ありがとう。」


 「お前がわざわざ本気で戦うほどじゃない。」


 ローザン君はそう言って、傷ついた方の眼を開ける。


 「その眼...。」


 「俺が失明しただけで治してないとでも?」


 「いや、そんなことはありませんが...。」


 「まぁ、この短期間であそこまで成長した。悪いが、これ以上強くなって面倒になる前に終わらせようじゃないか。」


 ローザン君はそう言って、他の3人にアイコンタクトを取る。


 「では僕は倒したときに彼女にダメージがいかないようにコントロールします。」


 「任せる。」


 僕以外の4人の雰囲気が変わったのを感じ取ったのか、光竜は三つ首でそれぞれ一瞥して、咆哮して光速で向かってくる。


 「詠唱はしない。一言で充分だ。グラディウス・ペルディティオニス。」


 赤黒い魔力を纏った剣で光竜の首を落とす。その瞬間、首は全て自律で動いて、襲い掛かろうとするが、その瞬間赤黒い魔力に光竜は喰われて消滅する。しかし、光の粒子が集まって再生する。


 「(再生した...でも最初の姿に戻ってる。おそらく変容した時にばら撒いた光の粒子で再生してるんだろう。だから...限りある再生だ。)」


 「再生しきる前にまたやっちゃうね。皇帝インペラトリス裁断インディチュウムヴィンチェレ・マーロムす。皇帝ウーナ一太刀イクトゥ。」


 エリナがそう言うと、再生しきる前に光竜は黒い扉に吸い込れ、そこで幻影の皇帝に斬られる。そうして消滅するが、残り少ない光の粒子が集まって遠くの方で何とか光竜の姿を再生して咆哮する。まだ戦う意思がある。


 「じゃあ俺が...。」


 「お前じゃオーバーキルだろ。」


 クレイが止めを刺そうとすると、アリュー君が制止して前に立って光竜を見据える。


 「試したい技がある。」


 アリュー君はそう言って構える。その瞬間、エリナは魔導書を戻して、ローザン君は剣を納めて、クレイと一緒に僕の元に来て魔力操作の補助をしてくれる。それに構わず光竜は捨て身で向かってくる。それを片手で受け止める。


 「行くぞ。」


 そう言って三つの角を生やしたアリュー君がもう一方の拳を光竜に打つ。


 「凶鬼ヴィオデ一撃モンキルズ。」


 どす黒い魔力が光竜の体を全て包み込み、爆散する。その瞬間、僕はダメージがいかないように肩代わりして受け、すぐに回復魔法をかけて戻した。


大気圏 氷の頂点と光の頂点の戦い


 彼女は頭を掻きむしりながら、血で赤くなっている口で言葉にならない声で叫び、人としての姿すら変容しかけている。


 「自我をしっかり持つんだ!! 化け物じゃないんだろ!? 化け物でいたくないんだろ!?」


 強めに声をかけるが、効果はない。


 「ウガアアアアアアアアアアアア!!!!!」


 彼女は両手から光の球体を作り出し、そこから巨大な光線を撃ってくる。僕は片手で白い冷気の弾を撃って光線を止めて、光線を撃つのに夢中になっている彼女の背後に回り込んで、背中に手の平を当てる。


 「凍結フローズン。」


 そう呟くと、彼女の体が次第に凍っていく。彼女は激しく暴れて抗おうとしているが、すぐに身動きを取れなくなっていき、頭以外の全てが凍り付く。そして、僕は動けなくなった彼女に視線を合わせて立つ。


 「大丈夫すぐに暴走は収まるから。」


 僕がそう言うと、彼女は体を光に変えて抜け出そうとする。しかし、能力が使えないとわかると、驚いた顔をして僕を見る。


 「驚くことはないよ。抜け出せないようにしたんだから当たり前だよ。もう止めよう。」


 「ウガアアアア!!!」


 僕の言葉に彼女は叫んで反抗する。


 「化け物でいようとするのは...。」


 「は?」


 僕の発言に彼女はあっけにとられる。そうして、どんどん顔が元の理性のある顔に戻っていく。


 「化け物じゃない。いようともしてない。」


 「いいや。してるよ。無意識に...。」


 「...何?」


 「君は、確かに「化け物じゃない」と言いたいし、本気で思ってるんだと思う。でも同時に、化け物としての終わりを望んでる。」


 「何言ってる...?」


 僕の言葉に彼女は困惑して、眉間にしわを寄せる。


 「僕は、ある程度情報を持ってる。それをもとに思ったことだよ。」


 「...。」


 「化け物じゃないというところは、この要因は今まで化け物と言われ続けてきたことへの反抗心。それともう一つ、弟が君を人間として接してくれたこと。」


 「...!」


 「でも、今までの実験と親から認知されない現実、弟と共にすることで目の当たりにした自分が他とは違うという事実。これらを理解してしまったから。」


 「...違う...。」


 「だから忘れたくて、これから生きることで経験するかもしれない地獄から逃げたくて、しだいに終わりを望むようになった。」


 「違う!」


 「こんな事に加担したのは、自分を滅茶苦茶にした奴らと同じ人間という種族への憎悪による八つ当たり、どのみち終わるのだからという投げやりな考え。」


 「黙れ!! 勝手に調べておいて、勝手に答えを出してんじゃねえ!! お前にあたしの何がわかるってんだ!!」


 彼女は動揺して声を震わせながら叫ぶ。


 「実験では被検体としてしか見られず、愛してほしかった両親からは認知してもらえなかった中、弟だけは人間として見てくれた。人間としての愛情もくれた。」


 「...!!」


 「でも、共に行動している内に、人間じゃないからたまに気持ちを理解できない時があった。その時に、ちょっとした恐怖を覚えてしまった。化け物であるところを見せたら、弟すら離れて行ってしまうかもしれないという恐怖。」


 「...。」


 「だからあの日、撃ち抜かれた日、弟が罠にはめられて君をだましていたと信用していない大人に嘘を吐かれた時、いっそ自分から弟と距離を取った方がお互い楽になるって考えた。だから弟だけは殺さず他の奴らを皆殺しにした。」


 「くっ...。」


 「そうして何もなくなって。化け物としての終わりを望むことに躊躇ためらいが無くなった。でも化け物であることは認めたくなかった。弟は人として接してくれたから。でも、化け物じゃなければ国を簡単に滅ぼせたことにも、親が認知してくれず愛情を注いでくれなかったことにも、実験されてきた現実への納得ができなくなる。だから、化け物だと認めはしないが、化け物であることをわかったうえで全て納得して終わりを望んでいる。」


 「そんなのおかしいだろ。認めてないのに、なんでわかってるんだよ!」


 「矛盾してるよね? でも、してて当たり前なんだ。人間生きてれば自然と矛盾する感情が芽生えてくる。だから悩むんだ。矛盾した考えそのどちらかを取らなきゃならないけど、中々選べないから。でも、そうやって悩んで、悩んだ末に答えを出して、前に進む。君は矛盾した感情がありつつも、どこかそれを強引に決めつけている節がある。」


 「...。」


 「親から愛情を貰ってなくても、愛のない環境で育ったとしても、誰かに自分自身の思う愛情を注ぐことはできる。人間とは違ったとしても、当たり前の日常を経験していなくても、共存はできる。まだ早いんじゃないかな? 終わりを望むのは...。まだ15だよ、君。生きていれば、これから楽しいことが待っているなんて無責任なことは言わない。でも...悪党になって、化け物だと認めたくないはずなのに、化け物であることに納得して、終わりを望むのは勿体ないよ。弟が君を探してる。」


 「!?」


 「向き合うべきだよ。弟と本当の自分と、そして同じ境遇の子たちと、改めて...。」


 言葉に彼女はしばらく黙った後に、僕の目を見る。


 「何でそんなことを急に話したんだよ?」


 「知り合いに君に似てる奴がいるんだ。」


 空に見上げて返答した後に、彼女を見る。


 「かなり強化剤による菌は死滅していってる。後は脳の状態だ。今から完全に凍らせる。結構簡単に溶けるから安心して、次目覚めるときはシルヴァマジアの法廷の場か、そのまま処刑場かはわからないけど、僕は君の生存を望む。そして、ちゃんと向き合った上で答えを出して、今までとは違う生き方を歩んでほしいと思う。」


 「凍結フローズン。」


 そうして、僕は彼女の頭部まで凍らせた。


 「さて、下の人たちと合流しよう。」


 僕は凍った彼女を持ってゆっくりと落ちる。


少し時は戻り、シルヴァマジア 森林部上空


 何かドッロドロしたもんから骨が出てる竜が俺を見下ろしてすげえ叫んでる。


 「面倒だな。」


 俺がそう言うと、完全に理性がぶっ飛んだ男は声もなく叫ぶ。


 「(声帯終わったのか? ...いや、音がかき消えてやがる。闇って音消せるんだな。初耳だ。)」


 そんな事を考えてると、竜と男が同時に攻撃を仕掛けてくる。俺は竜の攻撃を受け止めて、そのまま掴んで男にぶつけて吹っ飛ばす。


 「まぁ本体やりゃあのデカいの消えんだろ。」


 そう言ってると、男はすぐに立て直して向かってくる。俺は竜を上に投げ飛ばして、火球を飛ばした燃やした後に熱した手で頭を掴んで勢いよく、結界の上に叩きつける。


 「この結界一回抜け出したらもう入れねえのな。」


 そんな事を言っていると、男は苦しみながら睨みつけてくる。そういや上から音が聞こえてくる。


 「ん?」


 上を見てみると、燃えながら竜が突っ込んでくる。頭を掴んだまま立ち上がってもう片方の手で竜の突進を受け止める。


 「!?」


 気のせいか何か驚いてるように見える。


 「何驚いてんだよ。喧嘩売ってきたから買っただけだろ。」


 俺は首を傾げながら竜をそのまま結界に叩きつけて蹴り飛ばす。


 「お前...このままだと死ぬが大丈夫か?」


 そう言うと、男は俺の手を振りほどいて距離を取る。仕草的に息切れしてるのか。その隙に蹴り飛ばした方向に注意を向けると、戻ってくる気配がない。


 「何だ?」


 「!!」


 俺が隙を見せると、男は躊躇いなく攻撃を加えてくる。それも普通に受け止めて男の方を見る。


 「何かまたサシになったっぽいぞ。大丈夫か?」


 「...。」


 「何をムカついてんだよ。俺はお前と戦う必要ねえのに、戦ってやってんだぞ? 言っとくが勝っても負けても俺に得ねんだぞ。」


 「...。」


 「何でそれに固執すんだよ? 俺の記憶ではお前とは初対面何だが、恨まれるようなことしたか?」


 「...。」


 「(声がかき消されてるから身振りだけで何もわからん。ってか、蹴り飛ばした衝撃で消滅したのか? 自棄に戻ってこねえな。)」


 そう思っていると、男は黒い武器を作り出して、向かってくる。


一方、虚竜が蹴り飛ばされたところには...


 「おわあ!?」


 急に目の前からぶっ飛んできたドラゴンを見て、横にダイブして避ける。


 「あれって...さっき滅茶滅茶叫んでた奴?」


 「...多分そうなんじゃね?」


 リーフと会話してると、ドラゴンは俺達の事を見ると、吹っ飛んできた方に目を向ける。


 「ん?」


 俺もその方に見ると、火と闇がぶつかり合っているような光景が見える。


 「クァァァァァァァ!!」


 ドラゴンは俺達を無視してその方に飛んでいこうとする。俺はその尻尾を掴んで、強引に引き戻す。


 「クォォォォォ!!!」


 すると、ドラゴンは遠吠えのように叫んですげえドロドロした奴から大量の小さいドラゴンを生み出して、俺らに向けてくる。


 「ちょっと! ルーク! なぜ急に攻撃を仕掛けたんです?」


 ずっと無言だったアスカが突然の俺の行動に驚きながら訊いてくる。


 「こいつを生み出した奴は多分の火の奴が何とかしてくれるから、とりあえずこいつを倒そうって思ってな。」


 「味方かどうかわからんだろ!」


 リーフのツッコミに俺は自信満々で答える。


 「敵だったときはそん時はそん時だ。どの道俺が責任を取る。気にすんな。ってか、この程度の勘外れた事無いだろ?」


 「...確かに。」


 「リーフ?」


 そのやり取りをしていると、小さいドラゴンはさらに増えていき、そろそろ視界の邪魔になってくる。


 「マーシィ、ボーダーVer.10を起動しろ。」


 「ラブ、アヌビスVer.10を起動して。」


 俺はそう言って、ボーダーの腰の銃砲でアスカはアヌビスの銃剣と翼で斬る。その間、リーフは少し距離を取って、武装し始める。


 「パーポース、タイタンVer.10を起動。」


 すると、黒く青いライン状の光が特徴の鎧が全身を包み込み、キャタピラの足に肩には巨大な砲口、片目にはスコープのようなレンズ。俺とアスカと比べてかなり重装備で細かい動きはできなそうな姿になって、ドラゴンを見る。


 「クァァァァァ!!!」


 様子に気づいたドラゴンは小さなドラゴンをリーフに狙わせる。ドラゴンたちは高い鳴き声で叫びながら突撃していく。


 「いつもより少ないが勘弁しろよ。」


 リーフがそう言うと、空から大量のロボットたちが現れる。


 「ざっと1000のロボット兵だ。パーポース! 2機を除いて全部操作し、周りの邪魔くさい竜を消し炭にしろ!」


 「了解。」


 「残った2機にはラブとマーシィに頼む。」


 すると、俺とアスカが指示を出す前に動かなかった2機が動き出し、俺達の周りのドラゴンを一掃してくれる。


 「この程度指示なしでもやりますよ。」


 「お2人ともあのドラゴンをお願いするっす。」


 「3人な。」


 ラブの言葉に一言言って、ドラゴンに向かっていく。


 「クァァァァァァァァァ!!!!」


 すると、急にドラゴンが苦しみだし、形が崩れ始めている。


 「あ?」


 「。;「。「@;「「。」;。;:」:」;」@「@」;;」@」p;。;、:;k@」p「;「」!!!!」


 ドラゴンは急に音声がバグったような咆哮をする。


 「何? どうなってんの?」


 俺が驚いてると、フォートが困惑しながら現れた。少し遠くの方でバルサムも見える。


 「わかんねえ。急に苦しみだしてさ。もしかして生み出した奴倒されそうになってる? てか、敵はどうした?」


 「多分あの竜が出てきて逃げた。」


 「あぁ~まぁ見た目ホラゲーのクリーチャーだもんな。」


 俺はそう言いながら、空を覆っている闇を全て吸収している竜の姿を見る。


 「(急に姿が安定しなくなって、周りの小さい奴らも普通じゃねえ。)」


 次に火と闇がぶつかっている方を見るが、更に激化してる。


 「(倒されかけてるようには見えない。まさか...。)」


 「ルーク?」


 「フォートは残って俺らと協力してくれ。」


 「オッケ~。」


 「バルサム!!」


 「ん?」


 「リーフから解析装置を借りて、火と闇が戦ってるところに向かって闇出してる奴の状態を解析しろ。」


 「了解。」


 バルサムが返事をすると、ロボット兵経由でリーフが解析装置を渡した。受け取ったと同時にバルサムはすぐに向かった。


 「リーフはパーポースと協力して、ミニドラゴン共を一掃しろ。アスカとフォートは俺と一緒にあのドラゴンと戦う。その間にラブとマーシィはあのドラゴンの急所を突き止めろ。だが、バルサムから通信がくるまでは急所に攻撃はしない。状態がわかるまでは持久戦だ。」


 「「「「「「了解。」」」」」」


 俺とモードイグニスになって、形の崩れたドラゴンと戦い始める。


場面は戻り、シルヴァマジア 森林部上空


 しばらく戦ってたら、何か原型のない化け物になり始めた。


 「熱掌パルマ・カリエンテ。」


 熱した手で化け物になった男の攻撃を全て叩き潰して、喉元を掴んでそのまま潰そうとする。


 「く...こ...ぁ...。」


 「ちょっとストップ。」


 後ろから知らねえ女の声が聞こえてきた。俺は持ち上げたままその方を見ると、機械の体の女が立っている。


 「その子の体には大量の薬品が検出された。すぐに治療しないと死んでしまう。」


 「でどうすんだ?」


 「助ける。」


 返答に俺は首を傾げて持ち上げている男の顔を見る。


 「多分こいつのせいであの隕石に気づくのが遅れて滅ぼされるところだったけど、それでも助けるのか? どっちにしろこいつ処刑されねえか?」


 「...。今回の一件には、我々の落ち度もある。その責任を取るためにも、彼には生きてもらわなければ困る。」


 「へぇ~。何つうか、まぁ当たり前だけど、生きるか死ぬかにはこいつの意思は介在してないのな。」


 「...。」


 女が何とも言えない顔をしたから、ちょっと茶化すように話を続ける。


 「いやな? こいつは他人の責任を取るために生かされて、多分その後死刑くらって死ぬんだろ? 最初に見た姿の時はマジでガキだったんだぜこいつ。」


 「15歳...だからな。」


 「高校1年ぐらいか。若いな。まぁ俺個人としてはこいつが死のうが生きようがどうでもいいっちゃどうでもいいんだが、今までどんな生きたかしてきてたか、知らねえがそんな長く生きてもなくて、自分の短い経験ですべて完結して生涯を終えるのは...何つうか、勿体ねえなぁと思ってな。」


 「それはそうだな。」


 そんな風に考えてると、こいつがまだ喋れた時に言ったことを思い出す。


 ―――俺は...恵まれたやつが許せない...。異能力者スペアネルの癖に...恵まれ、幸せな奴が許せない!!!


 ―――闇は全てを吸い込み覆いつくす。ありもしない希望も救いも。


 ―――じゃあそいつを殺せばお前は俺と戦うのか?


 「薬って出来てんのか?」


 「隠れて解析していた時に作った。」


 「そっか。じゃあくれよ」


 俺が片手差し出すと、捕まって苦しんでた男は掴んでいた手を振りほどいて、俺の首元を引き裂こうとしてくる。同時に女が投げた注射器を受け取って、攻撃を避けると同時に男の首元に注射器を刺して、薬液を流し込んだ。


 「ぐぉ...ごぁぁ...。」


 「はい完了。ほらよ。」


 使い切った注射器は女に投げ渡す。


 「なぜ急に。」


 「俺にも聞きたいことができた。刺したの俺だから先に質問さしてくれよ。」


 「...いいだろう。」


 「えらく素直だな。バックがいるだろ。」


 「私が問答無用で注射すればよかった話だ。話し合いをしようとした時点でもう間違ってる。」


 俺の言葉に女は淡々と返答すると、そのバックの人間に通信し始める。


その頃、虚竜と戦っている科学者たちは...


 3体に分かれた骨のドラゴンは俺らの攻撃をすり抜けて距離を取って口から黒いブレスを放ってくる。


 「その黒いのどこの作ってんだよ。」


 そう愚痴りながら戦っていると、通信が入る。


 「こっちは意外と早く終わった。後は、完全な人体に戻るまで少し時間を稼いで...。まぁ、この短時間で結構戻りつつあるから、もう消滅させてもよさそうだけど。」


 「おっけ。よくやったバルサム。そんじゃ終わらすか。」


 俺がそう言って、リーフの方を見ると、親指立ててサインを出してくる。


 「ルーク。お前が戦ってるそれの中心にわかりやすいが小さい核がある。俺たちの攻撃の応酬と主人が敗北したことによりもう限界間近だ。やっちまえ。」


 「よし! アスカ! フォート! 他の2体をしっかり押さえつけてろよ。」


 「「了解!」」


 俺はそう言って、腰の銃を両腕に移動させて、手を合わせて合体させる。


 「(そこまで燃料残ってねえが...充分だろ。) さてぶっ飛べ。光轟砲こうごうほう!!」


 合体させた砲口からバカでかい音を立てながら光線を放ち、骨のドラゴンを跡形もなく消し去る。同時に、他の小さい奴も分かれた2体も消える。


 「とりあえず。これで一個は終わり。」


 俺はそう言って、バルサムと合流するために、火と闇がぶつかり合っていた方向に向かう。


そうして、火の頂点と闇の頂点の決着


 割かし早く、化け物になってた体が戻ってきた。同時に理性が戻ってきたのか、攻撃をしてきたが片手で受け止めてすぐに叩きつけた。


 「ぐ...ぁ...。」


 「まぁ落ち着けよ。お前は負けたんだよ。」


 「負けてない...!」


 「おっ? 理性も戻ってきたな。」


 俺がそう言うと、また攻撃してくるが、体が動かずそのまま倒れこむ。


 「くっそ...負けて...ない...。」


 「何で俺に勝つことに固執してんだよ?」


 「言ったはずだ...恵まれたやつが。」


 「許せねえだろ? それが引っかかるんだよ。」


 俺がそう言うと、滅茶苦茶睨んでくる。構わず話を続ける。


 「人への復讐心? それがお前の原動力になってるのはまぁ、なんとなくわかる。」


 「...。」


 「だがそれが大雑把すぎるのか、それとも直接的にそれにつながった奴らをもうお前叩きのめした後なのかは知らねえが、人に復讐するためだとしたら、俺に挑んでくる意味が分からねんだよ。異能力者スペアネルだぜ? 同じ、いかにしぶとくて面倒なのかお前自身よくわかってるだろ。」


 「...。」


 「周りの奴らを襲いに行きゃいいのに、行かねえし、何なら俺の大事って言ってた奴を殺しに行きゃよかったのにまるで俺に注意を向けるように、挑発してきたじゃねえか。あれ何でだ? 何で固執するんだ? 恵まれてたからって言ってもそれで自分が死んだら元も子もねえだろうがよ。相手との実力差を判断できないほど馬鹿じゃねえだろ。実際俺がお前の技を簡単に吹っ飛ばした時、明らか困惑してたぞ?」


 「幸せな奴が許せない。」


 「それに限定してたら、お前よりかは幸せな奴は人間にいくらでもいる。」


 「異能力者スペアネルで恵まれてて、幸せな...。」


 「...まぁ俺が恵まれてる方なのは否定しないし、今は割かし幸せなのも否定はしねえが、だったら俺の大事なもんを真っ先に殺しに行って、俺が恵まれてきた証と今幸せな証を奪いとりゃ良かった。そっちの方が楽だし、簡単に俺を怒らせられた。闇は全てを吸い込み覆いつくす。ありもしない希望も救いも。」


 「...。」


 「何だ? これ何で俺に言ったんだ? 俺がそのありもしないはずの希望や救いに見えたのか?」


 「黙れ...。」


 「それは合ってるってことか?」


 俺が訊くと、男は踏ん張って立ちあがり、俺を睨みつけて両手で首を掴んで絞め殺そうとしてくる。


 「止めろ。もう限界だ。殺そうとしても今のお前じゃナイフや爆弾を持ってても俺を殺せねえよ。」


 「...。」


 「なるほどな。少しわかった気がする。俺に固執した理由は、俺が救世主とか、英雄か何か? に見えたから。で、この国を救おうとしているように見えた。自分の時には助けてくれる奴なんざいなかったが、憎んでいる人間側には助けてくれる奴がいる。しかも、その救世主が自分と同じ異能力者スペアネル。これがどうしようもねえぐらいムカついたんだろうな?」


 「...。」


 「で、挑んだものの思いの外強くて、ビビったわけだ。だが、戦いを止めようとしなかった。逃げられるタイミングが合ったのにな? これ何でだ?」


 「お前が言った通り...ムカついてたからだ。」


 「...お前...死にたかったんじぇねえの?」


 「!!」


 言うか迷ったことを言ってみると、男はわかりやすく顔色を変えた。


 「その反応ってことはビンゴか?」


 「...。」


 「何でそう思ったかの理由だけどな? そもそもお前、人間への復讐が目的だよな? それを果たしたいんだったら、実力差が開いている相手なら、より卑怯な戦法を使えばよかった。例えば人質を取るだとかな。でもそれもしなかった。ほんとは復讐なんてとっくにどうでもよくなってんじゃねえの? って思ったわけだ。」


 「どうでもいいわけがない...。どうでもよかったらこんなことはしていない...。」


 男の答えに俺は顎に手を当てて、しばらく考えてみる。


 「...。当てずっぽうでいいか?」


 「は?」


 「お前さ、意外と人の目気にしてるだろ。」


 「何言ってる?」


 「ハズレか? でもこうやって話してたら、まぁ俺の見解だが、そんな感じがすんだよ。何つうか、俺と戦って死ぬことに抵抗の無さそうなところとか、あの怪しい注射を躊躇なく自分に打つところとか。復讐に生きてる奴にしちゃあ、自分の死にあまりに無頓着すぎるんだよ。復讐に生きてる奴ほど自分の命は大事だ。無茶はするが、無謀な無茶はしねえ。だって復讐果たさねえといけねんだから。まぁ復讐の行く先で死んじまうんだったら納得何だが、俺との戦いとか注射での薬品の死とか復讐の行きついた先ではないだろ。それで死んじまったらマジ拍子抜けだよ。」


 「だから人の目を気にしてるとでも?」


 「そ。お前は、他人から死を望まれているから死にたいって思ってる。って俺は思ってる。」


 「何?」


 「どんな生き方をしてきたかは知らねえが、俺から見ると、お前は他人から向けられる人間として見られていない感じや、蔑まれてるような、怖がられてるような、憎まれてるような目、これを恐れてるように見える。まぁ見えるってだけで実際どうかは知らねえが。」


 「...。」


 俺の言葉に男はうつむいて黙る。俺はその反応をしばらく見た後に、思ったことを口に出す。


 「合ってるとした体で、ちょっと一つ言っとく。」


 「?」


 「他人から恨まれようが憎まれようが、自分の命をどう使うかはお前次第だ。お前が極悪人として生きようと、やり直すために生きようとその命は生まれた時点でお前のものだ。親のものでも何でもないお前自身の宝だ。たかだか他人の意見で死んでたら、勿体ねえぞ。そんだけ、これで生きる気になって極悪人になったら俺のせいだが、責任を取る気はねえ。それが俺の生き方だ。俺が恵まれてるのも、幸せなのも、最終俺が、自分自身の命の選択を取ってるからだ。お前は、自分の命の選択を他人に強制されてる。ように見えた。」


 「...。」


 「何言ってるかわからねえと思うがまぁそんだけ。」


 俺がそう言って振り向くと、白衣を着た集団が立っていた。


 「俺も尋問か?」


 「いや、いい。何かめんどそう。」


 「すまんな。じゃああと頼みますわ。」


 「協力感謝する。」

 

 「主人の頼みでやっただけだから、礼は俺の主人に言いな。」


 俺はそう言いながらその場を立ち去った。


その頃、シルヴァマジアの北西部上空では...声とは思えない叫びと共に、異能力者スペアネルの青年は自分の竜と一体化し、異形となった姿を晒していた。


 「さぁ見ろ!! この俺を!! 俺は、お前たち人間のふりをした異能力者とは違う!! 本物の化け物だ!!」


 青年だったものはそう叫び、狂ったように笑っている。ように見える顔で彼らを見る。


 「さぁ!! 殺してみろ!! 人間共!!!!」


 他2者とは違い、心の奥底から人間への復讐を誓った憎悪を纏って、戦いは続く。

次話「怪物と人間」


薫「ヒロインなのに出番がない!?」

クリード「今まで結構あったぞ。あと、思いの外長くなったから、結果分割となった。」

薫「じゃあ次話は?」

クリード「奴が竜出して戦いだしたところから。」

薫「長くないです?」

クリード「長い。」

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