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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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咆哮する3頭の竜

シルヴァマジア北西部


 突然現れた獅業と5人の科学者?に首を傾げていると、目の前に立っているルーク・ギルデアが言う。


 「ここは俺らに任せな。」


 「俺らって...5人もいらねえだろ。出番ほぼなかった2人に譲ってやれよ。」


 リーフ・イン・クライヴスが無月アスカの隣にいる女性2人を指して言う。


 「...それもそうだな。じゃあ2人とも頼むわ。俺らは...。」


 黒い空が激しく渦巻いているように見える。何か始まる。


 「この空を晴らしに行くか。」


 「頼むぞ。フォート、バルサム。」


 「おけおけ。」


 「ノリ軽いよ。」


 リーフさんの言葉にフォート、バルサムと言われた2人はそう返して、ルークさんの前に立つ。


 「2人はどうする?」


 「俺らは...。」


 「僕らはここらでおいとまさせてもらいます。これ以上いても迷惑なだけなので。」


 俺が答える前に獅業が先に答えて俺の手を強引に引いてその場から離れる。俺はあいつが追ってこないかと見ていたが2人の女性を見据えるだけでまるで気にしてない様子だった。


 「待て獅業。」


 「何だ? 仕事はもう終わった。これ以上いても仕方がないだろ。」


 「そうはいかない。俺は頼まれたんだよ。俺達と同じ力を持つ2人の助けになってくれって。」


 「同じ? まさか...!」


 俺の言い方である程度察した獅業は驚いた顔で見てくる。


 「そうだ。だから俺は、あの子たちの応援に行く。異能力者スペアネル相手だ。戦力はいた方がいい。」


 「戦力? 異能力者スペアネル相手に僕らが戦力になるとでも?」


 俺の発言に獅業は首を振りながら否定する。


 「だからって見捨てるのか? 自分たちだけ安全で...。」


 「当たり前だ僕らには僕らの目的がある。」


 「目的を言い訳にして見捨てる気は俺にはねえ。」


 俺の答えに獅業は頭を抱えて一度距離を取った後に睨みつける。


 「感情で動いても何にもならない。」


 「何にもならねえことはねえ最悪の事態をずっと考えて挑むことを止めちまったらそれこそ何にもならねえ。」


 「そうやって行動して殺されかけたことを忘れたのか!!」


 「殺されかけたが生きてる!! 生きてるんだったらまたやり直せる!! 過去には戻れねえが、今の彼女たちをかつての俺達のような状態にしないことだってできる!」


 「...。」


 「獅業! いつまで逃げてんだよ!! 失う怖さを知ってるんだったら、彼女たちにそれを味わわせんなよ!」


 俺がそう言うと、獅業は少し考えてから弓を取り出す。


 「言っとくが、最優先は俺達の命だ。他の戦力は二の次だ。」


 「おっけそれでもいいよ。」


 俺達はそうしてハイタッチをして4人の元に向かう。


シルヴァマジア北西部上空


 あの男の攻撃でこの一帯は吹き飛ばされ、私と光琳は清雅さんの氷の壁によって守られ、陽葉山さんは即座に反撃に向かった。


 「ぐあ!?」


 手元を掴まれて投げ飛ばされた。陽葉山さんは受け身を取って、喝を入れるように叫んで、武器を強く握って、もう一度向かっていく。


 「私も...。」


 「薫さん。」


 「?」


 「これを。」


 清雅さんは私に拳銃と何か小さな穴の開いたナイフを渡す。


 「これは?」


 私がナイフについて訊くと、清雅さんは簡単に説明する。


 「そのナイフは柄にあるボタンを押している間、その穴から勢いよくガスが噴射され、刺した物体を内部から破壊するというものです。」


 「すごい...。」


 「しかし、この大きさなのでガスには限りがあります。だから、ここ! って時に使ってね。」


 「...はい。」


 釘を刺すように言われた言葉をしっかりと受け止めて、私はワスプナイフをベルトに引っ掛ける。


 「拳銃は大丈夫?」


 「大丈夫です。弟によく話してもらってましたから。」


 思い出を懐かしみながら私は拳銃の弾数を見て、貰ったホルダーに入れて、バタフライナイフを構える。


 「オーケー?」


 「OK」


 私の用意ができたのを確認した光琳は弓に矢をつがえる。


 「私は防御主体でやる。光琳さんはあの人が敵を落とすまで私の後ろに隠れて弓で援護。薫さんは銃声で陽動をお願い。」


 「「了解!」」


 そう言った瞬間に清雅さんは氷の壁を解いて一足先に私は出る。その瞬間、目の前に男が落ちてくる。


 「うらああああ!!」


 「ぐあああああ!!」


 そのまま陽葉山さんは勢いよく武器を振り下ろし、男は衛星を生み出してぶつける。私はすぐに男の手元を拳銃で撃ち抜こうとする。


 「!!」


 その瞬間、真横から強い気配を感じて前に倒れる。すると、赤く光りだす星が襲ってきていた。


 「爆発する!!」


 私がそう叫ぶとその星を清雅さんが凍らせて霧散させる。同時に今度は倒れている地面に強い気配を感じる。


 「!」


 そこに光琳は弓を撃って、出てきた星を破壊して私は難を逃れて、すぐに立ち上がる。


 「後ろに跳べ! 薫ちゃん!!」


 陽葉山さんから言われるがまま私は後ろに跳ぶと、男が攻撃を仕掛けてきていた。その後すぐ陽葉山さんが衛星を切って男に攻撃を加える。


 「(触れてねえ!?)」


 「爆星拳ばくせいけん!!」


 しかし、攻撃を加えたはずの陽葉山さんが巨大な爆発音と共に上空に吹っ飛ばされた。


 「まずは1人。」


 男はそう言って、頭を押さえて苦しみだす。


 「え? 何?」


 私が困惑していると、清雅さんが何重も氷の壁を男の周りに張りだす。


 「薫さん来て!!」


 「はい!!」


 私が来ると、氷の壁を球体上に張る。


 「あの攻撃が来る!」


 清雅さんがそう言うと、男の方からとんでもなく強い気配を感じる。


 「うああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」


 目の前の氷の壁に壊された。でも、私たちはまだ無事だ。清雅さんの方を見ると、冷や汗をかいて驚愕している。光琳は周りを見て目を見開いている。私も周りを見渡す。そうしたら、今自分がどういう状況下がわかった。


 「凹んでる。」


 地面に巨大且つ深いクレーターができている。あの男を中心に。


 「またあんな攻撃をされたら...。」


 「はぁ...はぁ...あと...3人...!!」


 男は息切れをしながら私達を見る。


 「陽葉山さん...まさかさっきの攻撃で死んだの?」


 「いや...上空に気配は感じる...信じられないくらい微かだけど。」


 私がそう言うと、光琳は弓をしまって槍を取り出す。


 「じゃあしばらく戻ってこないってことだよね?」


 「うん...。」


 私もバタフライナイフと拳銃を強く握って、清雅さんの前に立つ。


 「(防御してもらえる清雅さんを前に立たせられない。)」


 「(でも...私と光琳じゃ、一発でも受けたら...戦闘は続行できない。あの時の...力...今出せれば...!!)」


 私は目をつむって、あの時の力を出そうと集中する。


 「薫?」


 「...!」


 体が凄く楽だ。多分成れた気がする。


 「...刹鬼ぜっき。」


 光琳さんも力を使う。


 「深天極地コンビで戦おう!!」


 「うん!!」


 「何だそれはぁぁぁ!! 髪の色を染めたところで化け物には勝てない!!」


 男は目から血を流しながら叫び、向かってくる。


 「薫。自由に戦ってね。私、頑張ってサポートするからさ。」


 「...うん!!」


 私は光琳に言われた通り、バタフライナイフを構えて、男の攻撃を避けながら切る。


 「(浅い! いや...硬い...!!)」


 「!」


 「ふああ!!」


 すぐさま私に攻撃を加えようとする男の手を光琳が槍で刺して地面に突き立て動きを止める。


 「!!」


 それにナイフを薙ぎ払う。でも、男はもう片方の手で受け止めて、追撃を加える光琳の剣を足で受け止める。


 「反転はんてん。」


 「「!?」」


 そう言った瞬間、男と共に私と光琳の体が宙に浮き、勢いよく上に上がっていく...いや落ちていく。その隙に、男は槍を引き抜いて私の元に投げてくる。


 「!」


 咄嗟に防御姿勢を取ると、光琳が弓を撃って槍の軌道をそらした。私は当たらなくなった槍をギリギリで掴んで光琳に渡す。


 「ありがとう。」


 「こちらこそ。」


 「彗星弾すいせいだん。」


 そんなやり取りをしていると、両手で青く光る球体を私たちに向けて撃ってくる。同時に、下から伸びてきてた氷の柱が前に現れ、防いでくれる。そして氷の柱はそのまま男を閉じ込めて地面に叩きつける。その後、私と光琳も上に氷の床を生成してもらい、何とか降りる...いや登って地面に戻ってこれた。


 「くっ!!」


 氷の中で男は苦しみながら殴る。


 「2人共!!」


 清雅さんはそう叫んで私達の元に氷の道を作ってくれた。それを辿って着くと、また氷の球体上の壁を作ってくれる。


 「こんなの繰り返してたら終わらないね。」


 男はそれを確認したのか、動きを止めて、ポケットから注射器を取り出す。


 「注射器?」


 私がそう言うと、男はうなじに注射を打つ。


 「吹き飛ばしてやる。」


 男は手の平で白い小さな球体を作り出し、ニヤリと笑う。


 「清雅さん!! 氷の壁をもっと厚くしてください!!」


 「わかった!」


 「(まさか...。)」


 私が男が何をしようとしているか予測したと同時に、上空で同じくらい大きな気配を感じる。


 「え?」


 「どうしたの!?」


 「上から高熱の何かが近づいてくる。」


 光琳にそう言うと、男も気配を感じ取ったのか白い球体を上に向けて放つ。


 「うらああああああ!!!!」


 「ビッグバン...!!」


 放たれた白い球体は一気に膨張し、破裂する。それと同時に落下してきた高熱の塊はその爆発を外に逃がしながら、男に直撃する。


 ドゴォーーーン!!!!!!


 巨大な爆発音にしては被害が少ない。清雅さんが周りも氷の壁で覆って守っていたからだろう。


 「う゛あ゛。」


 「てめえ...よくも太陽までぶっ飛ばしてくれたな。おかげで戻ってくるのが大変だったぜ。」


 煙の中から流石に傷を負った男と上空に吹っ飛ばされた花仙さんが立っていた。


 「そういえば、反転消えてる。」


 「本当だ重力が元に戻ってる。」


 私と光琳はそう言い合いながら清雅さんにお礼を言おうとすると、両手両膝をついて息を切らしている。


 「大丈夫ですか?」


 「頑張って被害を抑えようとしたんだけど、駄目だね。かなり無理しちゃったよ。」


 清雅さんの状態を花仙さんに伝えようとすると、こっちを見て無言で頷いていた。


 「さ~て、今度こそあたしが相手だ。」


 「お前が一番邪魔だぁ。」


 「(正気を失ってる。)」


 花仙さんは武器を構えて、燃え盛る炎を纏い、髪色がオレンジ色に変色していく。


 「あとなぁ...太陽にぶつけられたおかげでちょろっと能力が回復したわありがとね。」


 そう言って、男は空高く飛び上がり、両手を広げた。


シルヴァマジア国外避難キャンプ地


 絶え間ない攻防に俺は息を切らし、ラファスは頭から血を流しながら膝をついていた。


 「ようやく限界が来たか。」


 「でもてめえもボロボロだなぁ?」


 俺の言葉に頭を押さえながら立ち上がる。やはり体の再生も間に合っていない。


 「...。」


 俺は荒い呼吸を落ち着かせながら見据える。そうしてしばらくの沈黙した後、ラファスが口を開く。


 「止めだ。」


 「...。」


 「これ以上戦っても俺に得がねえ。お前を殺しきればいいが、相討ちはごめんだ。逃げさしてもらう。俺個人の目的自体は達成してるしな。」


 両手を挙げながら後退するラファスから俺は目を離さない。


 「まぁ頑張って止めて見ろよ。異能力者スペアネルNo.1クラス3人をよお。俺を殺すようにその気でいけばいけるだろ?」


 ラファスはそう言い残し、消えた。


 「個人の目的...。」


 そう呟くと、近くから何者かが近づいてくる足音が聞こえてきた。引き金に手をかけて、その方向を注視していると、短い茶髪の見覚えのある女がやってきた。


 「だ、誰?」


 「わかりません。」


 「あ、司ちゃんだ。」


 「明純...。」


 俺がそう呟くと、目を丸くしている明純は首を傾げて、七瀬と陽葉山さん、貴族の女に手を振る。


 「えっと...誰かな?」


 「...クリードだ。」


 そう名乗ると、明純はジロジロと俺を見て、体ごと横に傾ける。


 「随分変わったね。で、ここで何してんの?」


 「さっきまで戦っていた。」


 「へぇ~。依頼?」


 「違う。個人的な理由だ。」


 「...個人的な理由...か。そんなこと考える頭あるんだね?」


 「何か険悪じゃね?」


 「う、うん。」


 「元からお前ほど脳天気なバカじゃないがな。今度は誰とお友達ごっこをしてるんだ? また死体か?」


 「!!」


 俺の言葉に明純は持っているナイフの切っ先を喉元に向けて睨みつける。


 「ほんと嫌いだよ...。」


 「今回に関してはお前が売ってきたろ。」


 そう言って、ナイフをどけて薫たちが戦いに向かった場所に向かおうとする。


 「どこ行く気?」


 「助けに行く。」


 「あんたが?」


 「そうだ。」


 「殺し屋が人を救おうっての?」


 「それをお前が言うのか?」


 そう訊き返して、答えを聞かずに向かった。


 一方取り残された明純司は、七瀬愛翔にこんな事を言われる。


 「...えっと、あんたの知り合いも向かったぜ。」


 「え?」


 「えっと、奈終夜って言ったかな。」


 「...マジ?」


 「マジ。」


 明純司は額に手を当てて空を見上げると、ため息をついてクリードの向かった方向に走り出した。


 「君らも言っていいよ。私も一応戦えるし。」


 「え、でも。」


 「目の前でプロの戦闘を見るってのもいい機会だよ。」


 「いい機会っつうか邪魔になるだろ。」


 「大丈夫。邪魔になりようがないから。」


 ファーラはそう言って七瀬愛翔と陽葉山花奈に笑いかける。そうして、赤黒い闇を纏う槍を取り出して笑う。


 「ほら、こ~んな武器だって持ってるし。あとさどのみちあの男みたいなやつが来たら3人でも対処しようがないし、だったらプロの戦闘に混ぜてもらって経験積んだ方が余程充実してるよ。それに、国民たちを一箇所に集めてるんだから、プロたちからしても守りやすいよ。大丈夫だって、お姉さんに任せな。」


 「...わかった。」


 「え? ...わ、わかりました...。?」


 ファーラに説得され、七瀬愛翔と陽葉山花奈は結界を抜ける。そうして結界に抜ける寸前でファーラは青白い光を纏う弓で2人を撃ち抜いた。それに2人は気づかずにそのまま走り去っていく。


 「何したんだ?」


 「あの子たちが持ってるチャレンジャー精神とポテンシャルを現段階で開けるだけ開きました。」


 やり取りを見ていた1人の国民の疑問にファーラは笑顔で答えて走り去った2人の方を見て、懐かしむように微笑んだ。


 その後、バラガラ、カデーレと戦闘をしていた青葉、バンバは突然距離を取って攻撃を止めた2人に困惑しながら警戒していた。


 「何?」


 「どうした?」


 「カデーレ。引くぞ。」


 「何で? 話は後だ。戻るときにメモリアを拾う。」


 「...わかった。」


 そうして、退避しようとするバラガラとカデーレを青葉が鎖鎌で攻撃しようとする。


 「逃がすかよ。」


 「待て青葉。」


 「何でだよ。」


 「やつらよりまず。」


 バンバは上を指さして青葉を見る。その隙に2人はその場から消え、取り逃がしてしまう。


 「...そうだな。だがまずは、メモリアってやつの言った方向に向かう。そこで応戦してる奴がいるかもしれない。」


 「そうしよう。」


 バンバと青葉はそう会話を交わして移動を始めた。そうして、フォートとバルサムと戦おうとしているメモリアをバラガラとカデーレが回収して、国から出る。


 「え?」


 「な、なんだったんだ? 今の?」


 困惑しているフォートとバルサムは上空から異様な気配がして上を見上げる。


 「何だあれは...。」


 バルサムがそう言うと、3人の異能力者スペアネルが両手を広げているのが見えた。そうして、上空に3頭のドラゴンが生まれる。1頭は光を放つ白い三つ首のドラゴン、1頭はドロドロした外套を纏っている骨のドラゴン、1頭は黒い体色に白い惑星のような模様のドラゴンだった。


 「光竜こうりゅう!!」


 「虚竜きょりゅう。」


 「星竜せいりゅう...。」


 異能力者スペアネル3人は血走った目、鼻、口、全身から大量の血を流して、1人は壊れたように笑い、1人は燃え尽きたように表情が消え、1人は何か恐れているように焦っているように見える。強化剤の投与で体に限界が来ている為だ。そんな状態の主を守るようにそれぞれの竜は彼らの前に座して、光竜は白い紳士服の男を、虚竜は褐色肌の男に、星竜は日焼けした女と白髪と金髪、氷の女を威嚇するように咆哮する。

次話「3人の子供、3人の異能力者」

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