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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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コンプレックス

シルヴァマジア到着1時間前 魔工車レグス


 ノンストップで運転している最中、ついにシルヴァマジアが見えてきた。


 「やっとか。」


 「清雅。住宅スペースにもう一つハッチがあったはずだ。そこに入ってくれ。」


 「はい。」


 「ハッチ?」


 唐突な知らない情報に首を傾げると、ハッチの中に入った清雅から


 「大量の武器があります。」


 と言った。


 「大量の武器?」


 「薫と光琳の修行中に銃火器やら、防具、仕込み武器を買っておいた。それを住宅スペースのしたある武器庫においたのさ。」


 「なぜそれを報告しなかった。」


 「単純に忘れていた。それと、元々シルヴァマジアに行くまでに何度か止まるつもりだったからな。その時に報告しておいて、薫にハンドガン程度は持たせてもいいかと。」


 「じゃあ見事に失敗したんだな。」


 「そう言うことだ。」


 「どれを取り出します?」


 話している俺とバンバに清雅が何やら紙をめくる音を立てながら訊いてくる。


 「清雅は武器わかるのか?」


 「名札と説明書を書いている。」


 「俺用に二挺のサブマシンガンとマガジンポーチ....投げナイフはあるのか?」


 「投げナイフは手元に戻ってくる絡繰投擲ナイフがある。」


 「投擲ナイフを20本...。」


 無言でバンバの方を見る。すると、バンバは「前を見ろ」と指を差す。


 「清雅。液体に着いた針の束みたいなのがあるか?」


 「はいあります。」


 「...ワイヤーの束ねられたものや、マスクもか?」


 「えっと...あります!」


 「じゃあそれを頼む。」


 「薫用には反動の少ないオートマチックのハンドガン、それと...ワスプナイフを頼む。」


 「了解しました。」


 そう指示を出すと、清雅はすぐに俺の装備品と薫に渡す装備品を揃える。


 「なぜ俺の武器がある。売ってないはずだ。」


 「たまたま見つけててな。」


 「...。」


 「...。」


 「お前...俺の事をどこまで知ってる?」


 「お前がどこで生まれたかしか知らん。マスクは光琳と出会う前に拾った。他の武器もだ。あそこでお前が何をしていたかまでは知らん。」


 「...そうか。」


 それ以上俺は詮索せずに鷹を呼ぶ。


 「ん?」


 「バンバ。窓を開けて、鷹を青葉の元に飛ばせ。」


 「わかった。」


 バンバは有無を言わずに鷹にモールスを見せて飛ばせた。そうして、俺たちはシルヴァマジアに到着し、今に至る。


シルヴァマジア国外避難キャンプ地


 隕石の雨は粉々になり、被害はゼロだ。俺はレグスから降りて、清雅から用意された武具を装備し、ライフル二挺は預けた。


 「清雅は薫に武器を渡して後は、鷹の案内に従って、青葉と合流し、その後は青葉の指示に従え。」


 「了解。」


 「待ってください! 今はここはジークさんが結界を張って外から入れなくなってるんです!」


 「...なら薫はそのままその場に待機していろ。その様子だと回復していても頭が働かないだろ。」


 俺がそう言うと、薫はしばらく黙ってから俺の目を見て言う。


 「まだやれます!」


 「薫!」


 「もう足手まといにならない!」


 心配する光琳と何か自信をつけている薫が言い合っている。そんな中、その後ろに見たことのある顔が2つあった。


 「あいつら...。おい七瀬愛翔!」


 「へぁ!?」


 「お前はここで国民を守れ。」


 「お、おう。」


 「あとお前...。」


 「ん?」


 「薫と光琳を助けてやってくれ。」


 「...当たり前だよ。」


 俺がそう言っているのを聞いていた光琳が目で訴えてくる。


 「大丈夫だ。バンバと鷹の案内に従えば青葉に同行してもらえる。この二人がいれば緊急事態でも対応できる。」


 何かがこちらに近づいてきているのを感じる。


 「あたしも行かせてくれ!」


 「誰だ?」


 息切れを起こしている女が立ち上がってそう言った。


 「駄目だよお姉ちゃん!」


 「あたしは陽葉山花仙! 炎の異能力者スペアネルだ!」


 「異能力者スペアネル...。」


 「実力には自信がある! 搦め手じゃなけりゃ十分戦える!!」


 清雅は陽葉山花仙という女に同じ異能力者スペアネルとしてのシンパシーを感じるのか、じっと見つめている。


 「わかった。清雅、彼女をサポートしてやれ!」


 「了解です!」


 「じゃあ私も!」


 「君は国民の介抱を頼む。」


 「でも...!」


 「君がついて行けば、姉は実力を出せない。」


 俺が冷たく言い放つと、陽葉山花仙は妹の前まで行って


 「頼むよ花奈。絶対に生きて帰ってくるからさ。約束、指切り。」


 「...う、うん...。絶対に死んじゃやだよ。」


 「もちろんだ...。」


 と妹と固く約束を交わして俺の方を見る。すると、後ろからバンバが


 「カメラのセットは終わったぞ。」


 「すまないな。じゃあ後は頼む。」


 「わかりました。」


 そうして、バンバは陽葉山清雅、虎牙奈終夜、橘薫、入町光琳を連れてレグスに乗せてその場から走り去った。


 「七瀬愛翔、絶対に国民たちから目を離すなよ。」


 「ま、任せろぉ!!」


 声が震えている。あいつも奴が来る気配を本能的に感じ取っているのか。そうこうしている内に森の中から見知った顔が出てくる。


 「(白髪、紅い眼、片目の傷。ラファス...。)」


 結界内にいる国民たちは本能的に恐怖しているのか、私語1つなく静まり返る。対して、陽葉山花奈は奴を睨み、七瀬愛翔は目を見開いて驚いている。


 「んあ? あの女どこにやったの?」


 ラファスは結界内を一瞥して俺に訊いてくる。どうやら俺が俺とは気づいていないらしい。


 「薫はあの空に浮かんでいる異能力者スペアネルを止めに行った。」


 「薫...ねぇ。あんたもしかして親しい仲か?」


 ニヤケながら訊いてくる。それに陽葉山花奈は何か言おうとするが、すぐに七瀬愛翔が静止させている。


 「親しくはない。ただ...」


 「ただ?」


 「お前と同じような因縁を持っているというだけだ。ラファス。」


 「...? (俺のことを知ってる? 俺は知らねえぞあんなパッキンの姉ちゃん。)」


 俺の発言にラファスは首を傾げて怪訝そうな顔を向ける。


 「付き合いが短いからか、バンバと青葉のようにはわからんか。まぁ様相がだいぶ違うのだから仕方がないが。じゃあこれならどうだ?」


 「...?」


 「え?」


 「は?」


 次の瞬間、結界内の2人は目の前の光景に驚いたような声を上げる。多分、俺がラファスをバラバラに切り裂いたからだろう。


 カチッ


 その音がしたと同時に俺はその場で銃の引き金を引く。即座に、死を無かったことにしたラファスはすぐに身をひるがえして避ける。


「(知らぬ間に移動して俺に攻撃を加え、俺の能力を知っているように即座に追撃を加えてきた。)」


 そして、ラファスは腹を抱えて笑いだす。


 「へぇ~! あんた女だったのか! こりゃあ予想外!! よし...先にあんたを殺そう...。」


 ラファスは戦闘態勢を取って、楽しそうに目を見開く。


 「あの時インベードに殺されてたと思ってたぜ!」


 そう叫んで目の前に一瞬で移動してくるが、その時既に俺はラファスの腕を切り落として、口の中にサブマシンガンの銃口を突っ込んで引き金を引く。


 カチッ


 音が鳴ると同時にラファスは俺の喉元に向かって外套から取り出したスペツナズナイフを俺に向けると同時に短剣でラファスの頭を刺そうとする。


 「「!!」」


 そして、お互いにそれを察知してすぐ、俺は発射されたスペツナズナイフの刀身を避け、ラファスは余った片手で短剣を防ぎ、ついでのように腹に蹴りを入れてくる。


 「ヒッハハ!!」


 蹴り飛ばされた俺にラファスは大凡おおよそ人間とは思えない動きで俺に向かってくると同時にすぐに体勢を立て直し、投げナイフ3本ほど投げて柄に向かってサブマシンガンの銃弾を当てて加速させる。


 「!」


 そうして、身を反って避けたところに移動して、ラファスの腹部に短剣を突き立てる。


 カチッ


 その音と同時にラファスは外套から鎌のような刃を取り出し、俺は上にそれを蹴り飛ばし、そのまま切りかかると見せかけて背後から心臓を刺し貫く。


 カチッ


 「(遅かったか。)」


 音と共にラファスは俺を蹴り飛ばし、そのまま木に押さえつける。


 「力じゃ流石に勝てねえか!?」


 「力...はな...。」


 俺は押さえつけてる手首を強く握って、振動を伝える。


 「!?」


 その瞬間、骨、筋肉、神経を伝って、連鎖的にラファスが爆散する。


 カチッ


 音が聞こえたと同時に俺は槍を取り出して、現れたラファスを刺そうとするが、横に倒れて避けた後に距離を取る。


 「どうした? 後9つは使わないのか? 邪猾狂?」


 「言ってくれるなぁ? 幻夢?」


 煽ってはいるものの、中々止めを刺せない。あっちもその様子だ。初めてだ。本気で殺す気になって、ここまで殺し損ねてるのは。


シルヴァマジア北西部農場区


 レグスを走らせていると、その場でどこか一点を見つめて立ち尽くしている。


 「どうした?」


 俺がレグスを止めてそう話しかけると、その視線の先にバラガラとカデーレ、そして見知らぬ男が立っていた。


 「集合した瞬間に面倒な奴らに出くわしたな。」


 バラガラがそう言うと、カデーレが俺にいきなり攻撃を仕掛けてきた。


 「師匠!!」


 「おい!」


 「邪魔すんなよボス! 前は軽くあしらわれたが、今回はそうはいかねえよ!!」


 カデーレはそう言って、俺に攻撃を連続で繰り出す。前戦った時より数百倍速くなった動きと驚異的な威力を何とか往なして距離を取る。


 「(この期間の成長速度じゃない。)」


 「あたしも加勢に!!」


 「光琳! レグスを自動運転に切り替えてここから離れろ!!」


 「そんなこと言ってる場合か!!!」


 俺が指示を出している一瞬の隙にカデーレは腕を切り落とそうとしてくるが、何とか柄で受け止めて光琳にアイコンタクトを送る。すると、光琳は頷いて、レグスを走らせてその場から離れた。


一方 青葉


 バラガラが俺の方を見ながら暇そうにしている男の話を聞いている。


 「ボスぅ~俺も戦っていい?」


 バラガラは走っていくレグスを見て俺を見る。


 「じゃあメモリア。あの車を追ってくれ。戦い方は任せる。」


 「え? 目の前の強そうな奴じゃダメなの?」


 「駄目だ。」


 「おっけ~。」


 俺は牽制ついでに攻撃を仕掛ける。すると、バラガラは即座にメモリアを守るように防ぎ、そのまま赤黒くなった手で触れる。


 「入れ換われ、交換トースン。」


 その瞬間、メモリアと車の近くにあった木が入れ換わり、あいつはそのまま光琳ちゃんの乗った車を追い始める。即座に車を追いに行くが、バラガラが目の前に現れ、邪魔をする。


 「邪魔だよ。」


 俺は即座に鎚でバラガラを吹っ飛ばして車に一直線に走る。


 「青葉!」


 「チッ!!」


 戦いながら様子を見ていたらしいバンバが叫ぶと、振り返って襲い掛かってきたバラガラを迎え撃つ。


 「光琳なら大丈夫だ!」


 「大丈夫とかじゃなくて、戦わせんな!!」


 「そんなこと言っている場合か。」


 「あの方向、異能力者スペアネルがいるだろうが!! 死ぬぞ!!」


 「引き際をわきまえられない奴じゃない。」


 「咄嗟に逃げる判断をして本当に逃げられるとでも思ってんのか!?」


 俺とバンバがそう言い合っていると、バラガラと女の攻撃で背中合わせになる。


 「異を唱えてないで戦いに集中したらどうだ。どの道こいつらは俺達を逃がしちゃくれない。特に女は俺の方狙いできてるからな下手に車を追えん。」


 「じゃあ2対1でもやってくれよ。その間に助けに行くからよ。」


 「無理な話だ。それに、俺が押されている時点で2人相手はもう無理だ。大丈夫だ。あの車の中にはもっと戦力が乗ってる。」


 「戦力?」


 背中合わせでそう言い合っていると、向かってくる女とバラガラを迎え撃つ。


シルヴァマジア北西部住宅地


 レグスの自動運転で何とか逃げているけど、追ってくる男の足が速く、今にも追いつかれそうになっている。


 「まずい!」


 私がそう言うと、花仙さんが武器を持って立ち上がって、車の扉を開けようとしている。


 「何を!」


 「あたしが足止めする。」


 すると、虎牙さんが立ち上がって、花仙さんを制止させて


 「これから異能力者スペアネルと戦うってのに、あんたが出てどうするんだよ。俺が行くよ。今のところ目立った活躍無いしな。」


 と言って拳を握りしめる。


 「だがあいつどれだけ強いかわからねえぞ。」


 「負けるかもしれなくても戦わねえ理由にはならねえよ。」


 花仙さんの言葉に虎牙さんは冷や汗をかきながら答えて、扉を開けて車から飛び出して、男に殴りかかる。


 「極限きょくげん鬼哭きこく。」


 「おっと。」


 男は立ち止まって避けた後に、その場で立ち尽くす。そうして、どんどん小さくなって見えなくなってくる虎牙さんは私達にグッドサインを向けて男に向かっていくのが見えた。


シルヴァマジア北西部上空


 俺の元に向かってきている一台の車が見える。光は何やら氷とぶつかっているようで、闇裏は炎とぶつかっているようでそれぞれ戦っているが、どうやら俺はあの車に乗っている奴らなのかと思って車の前に降り立つ。


 「降りて来いよ。俺と戦いに来たんだろ?」


 俺がそう言うと、車から4人の女が出てきた。うち2人は割と強そうだが、他2人は少し腰が引けている。


 「わざわざこっちに来てくれるなんてありがたい限りだぜ。」


 「私としては不安ですけど...。」


 「あんた等2人、異能力者スペアネルだろ? 何でそんな奴らと一緒にいる?」


 俺がそう訊くと、2人は後ろの2人を見て答える。


 「仲間だからです。」


 「別に嫌う理由ねえし。」


 「嘘つけ。人間は異能力者スペアネルを迫害する敵だ。ただの人間...それだけで嫌う理由になる! 仲間だなんてあり得るもんか!!」


 俺がそう言うと、後ろの2人はかわいそうなものを見るような目で見てくる。


 「そんな目で見るな!! 家族に愛され、何不自由なく育ってきた分際で...!!」


 「あたしにも家族いたし、不自由なく育ってきたぜ。」


 「私は家族には...愛されていたと思います。」


 俺の反応に、話しかけた2人はまるで落ち着かせるように言った。


 「何? そんなバカな! 異能力者スペアネルは家族から殺されかけ、実験動物となり、解剖され、常に激痛を与えられながら拘束されて生きていくみじめな存在だ!!」


 何でか頭の中がムカムカする。あの薬を飲んでから、気持ち悪い。


 「!!」


 「車に乗ってとりあえず離れるぞ。」


 「了解!」


 俺を恐れたのか、女たちは車に乗って離れていく。


 「うあああああああああああああ!!!!」


 次の瞬間、周りの空気が急激に薄くなって気がした。


 「あ?」


 辺りを見回すと、周りの物体が全て消し飛んでいた。


 「これは俺がやった? ...やった...これでもっと楽に...邪魔な奴らを消せる!!」


 俺がそう言うと、武器を持った女が攻撃を仕掛けてくる。俺は片手で受け止めて女を引き寄せる。


 「力がどんどん湧いてくる!」


 高ぶっている俺を見て女は何かビビってる目をしている。


 「怖い、怖いのかこの俺が!! そうだ。俺は、俺は怖がられて、皆が命を取りたがってる化け物だ!! お前ら人間とは違う、弱くて、醜くて、ずる賢い奴等とは違う!! 強くて、恐ろしくて、強大な化け物だ!!!」


 俺はそう叫んで、女を投げ飛ばした。

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