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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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テレポート

9年前


 その後、老婆は軽く男をあしらった後に、それを見てた小学生共に強めの拳骨を浴びせて、追い払った。そうした後、妹があたしのもとに駆け寄ってきて、何度も謝ってくる。


 「ごめんね。ごめんお姉ちゃん...。」


 「いや、結局なにもしてないし、あたしに謝るよりまずはお礼を言おう。」


 あたしは妹を宥めながらゆっくりと立ち上がって、あたし達をじっと見ている老婆に頭を下げた。


 「助けていただきありがとうございました。」


 「ありがとうございました。」


 「...。」


 「お礼は後でさせてもらいますので、連絡先を教えていただけないでしょうか?」


 「...はいよ。」


 老婆は簡単に住所を紙に書いて手渡した。あたしはもう一度深々と頭を下げて妹と一緒に再度お礼を言った後、その場を後にしようとした。


 「やられっぱなしだったけど、よかったのかい? またやり返しに来るかもしれないよ。」


 「そんときはあたしがうまくやります。」


 「君。感情を圧し殺した今のままでは危険だよ。」


 「?」


 「いつかそれが爆発したとき...とんでもないことを起こす可能性を秘めているのさ君は。」


 「...とんでもない...こと...。」


 「お礼に来たとき、動きやすい服装で来るといい。それが起こらないようにする術を教えるからね。」


 「...はい。」


 突然言われたこと、よくはわからなかったが、とりあえず返事をして、その場を後にした。ここからがあたしと婆さんの師弟関係の始まりだった。


3日後


 あたしは言われた通りに動きやすい服装で着て来た。妹はこの一件について学校に掛け合ってみるとお母さんが言ってくれて、それが落ち着くまで登校しなくて良いってことで、一応連れてきた。


 「よし来たね。まずはちょっとした組手でもやってみようか。」


 「え?」


 「老いぼれたババアと思って手加減せずに全力で来てみな。」


 「...は、はい...。」


 あたしは困惑しながらも、全力で構えている婆さんに殴りかかる。でもそれを簡単にいなされ、軽い反撃を受ける。それで床に転がってもあたしはすぐに立ち上がって、勢いよく蹴ったり、殴ったりしようとするが、同じようにいなされて軽い肘うちや掌底を受けて、全く歯が立たなかった。


 「はぁ...はぁ...。あんた技術はもちろんまだまだだけど、根性あるねえ。何度も吹っ飛ばしているのにすぐに立ち上がって来るし、もしかしたら受け身がうまいのかもしれないね。」


 「これに何の意味が?」


 「...あんたがもしも感情を爆発させた時に起こりうることに対応するための体作りが必要だからね。感情を押さえるのは同時進行でできるからね。」


 「なるほど...。」


 「(それを使わないために他の戦い方を教えておくのも必要だからね。) だから、これからあたしのことは婆さんと呼び、馴れ馴れしく会話しな。」


 「え? 先生とか師匠とかじゃなく? それに馴れ馴れしく?」


 あたしは何度もまばたきをしながら首を傾げる。

 

 「ああ。あんたには自然体で感情を押さえる方法と身を守る術を覚えてもらう。」


 「は...いや、お...おう?」


 「うむ。」


 「じ...じゃあよろしく。」


 「うむ!」


 あたしはよくわからないまま婆さんとの修行を始めた。それから学校に行く前と帰り、休みの日に婆さんのもとに訪れてその修行に没頭した。


2年後


 そうやって、2年が経ち、妹はもう普通に学校に登校できるようになり、今じゃクラスの奴等と揉めても反撃できるようになった。あたしは高校を卒業し、婆さんに組み手で勝てるようになった。そして、婆さんの修行の時間をとれるように本格的な就職ではなくバイトで金を稼ぐようになり、そうしてしばらく過ごしていると、ある日朝から来たあたしに婆さんが見たことのない武器をあたしの前に差し出してきた。


 「何これ?」

 

 「これはスレイバーと呼ばれる武器さ。」


 「スレイバー...。」


 あたしはそう言いながら武器を手に取り、使い方がいまいち想像できずじっと見る。


 「その武器は刀身部が何重にも刃が重なってできていてね。それで刀身が伸び縮みするんだよ。同時に、伸び縮みさせることで刃が研磨され、いつでも最高の切れ味のままで使うことができるという特性を持っている。」


 「へぇ~。でも、あんまやり過ぎると、削られ過ぎてすぐに壊れそうだが...。」


 「あぁだから、刀身部の素材には再生金属を使っている。」


 「再生金属?」


 あたしが聞き馴染みのない言葉に首を傾げると、婆さんは簡単に説明してくれる。


 「温度変化によって元の形に戻ろうとする金属のことさ。大抵、極深層の鉄や銅、鋼に多い特徴だよ。」


 「温度変化ってことは、高かったら削りやすくなって低かったら再生するのか?」


 「そう。よくわかったねぇ。」


 「いや、削るとき火花が出るから一時的でも温度上がると思ったからさ。でも、再生金属が再生する温度の低さって何度なんだよ?」


 「研磨する際の温度が1000度以上で、再生する際の温度は0度以下だよ。」


 「0度以下って...無理じゃね?」


 「そう思うだろ? でも、再生金属って言うのは平常時の温度が0度まで下がるから、放っとくと勝手に再生するんだよ。だから、壊れる心配はあんまりしなくて大丈夫さ。」


 「なんだ心配しなくていいのかよ。で? これからこれを使って修行をするのか?」


 「そうさ。お前にはこのスレイバーを完璧に使えるようになってもらう。だから、ここからの修行はもっと厳しくなる。覚悟しておきな。」


 「了。」


 それから、あたしは婆さんのスパルタ指導の元、スレイバーを使いこなす修行を始めた。


現在 シルヴァマジア国民避難地区


 あたしは手が血で滲むほど強くスレイバーを握って、男を攻撃する。それに対し、男は腕を広げながら踊るように伸びた刃を掴んで、自分の方にあたしを引き寄せて、髪を掴んで、勢いよく投げる。


 「ぐ...!」


 あたしは即座に体勢を立て直して壁を蹴ってすぐに男との距離を詰めて、スレイバーを振りながら、蹴り技や殴打を織り混ぜて攻撃する。


 「くっ...! あああああ!!!」


 男はずっと楽しそうな顔で避けて、あたしの腕と足を掴んで、両足であたしの腹を蹴る。


 「うっ...。」


 あたしが一瞬怯むと、すぐさま体勢を戻して胸ぐらを掴んで頭突きしてくる。その後、すぐに髪を掴んで持ち上げたまま何度もあたしの腹を殴り続けて、あたしがスレイバーを落とすと、掴んでいた手を離して、横っ腹を勢いよく蹴る。


 「クソッ...!! クッソ...!!」


 「まずい!! 花仙! 冷静になりな!」


 「はぁ!? ...(花奈...)。」


 婆さんの叫びにあたしは一瞬聞く耳を持たなかったが、すぐに隣にいる妹を見て、平静を取り戻した。


 「(そうだ。あたしにはまだ妹がいる。怒りに身を任せて後のことを捨てたらダメだ。)」


 あたしは男の方を見ながら自分の頬を両手で強く叩く。


 「んあ?」


 「てめえの目的が何かは知らねえが、とりあえず邪魔させてもらうぜ!!」


 「...へぇ~。意外と面倒くさいタイプかぁ~。それじゃあ...予定変更すっかぁ~。」


 「はぁ? 何の話だ!!」


 「ん? こっちの話だ。」


 男がそう言うと、合図のように指を鳴らす。


 「!?」


 その瞬間、回りにいた国民たちや婆さん、花奈が消えた。今、ここにはあたしと男しかいない。


 「何した!?」


 「まぁまぁ落ち着けよ。楽しもうやこの状況をよぉ。」


 「てめえ何...。」


 あたしが訊く前に、男は目の前から消え、あたしはシルヴァマジア内の別の場所に移動していた。だが、目の前にスレイバーがあり、あたしはすぐにスレイバーを手に取って、辺りを見回す。


 「とにかく...今は花奈と婆さんを探そう。男を探すのは後回しだ。」


 あたしはそう言いながら走り出した。


シルヴァマジア国外 ラファスのアジト


 俺が一先ず戻ると滝のような汗を流しながら息切れをしている巴がいた。


 「お疲れ。で配置は?」


 「終わった。でも...。」


 「んあ?」


 肩で息をしながら俺の方を見る。


 「範囲...間違ったかも...。」


 「...。どれくらいだ?」


 「あたしらのアジトがギリギリ範囲外な位。」


 「.....。じゃあ、予定を更に変更して...。スペアネル3人の投入を早める。が、その前にお前と三葉と将五さんのコンビだけじゃなく、ヴィンセント・ヴェスパーとローザロッソを連れていけ。」


 俺は予定を早めてシルヴァマジア内をかき回すことにする。


 「あなたは?」


 「俺は、バラガラに連絡を取る。」


 「わかった。」


 俺の指示に巴は素直に返事をした後に、シルヴァマジアへ転移する。


 「さて、さっさとバラガラとその仲間に来てもらって...あわよくば共倒れしてほしいな。...フフ...クッハハハハハハハハハ!!」


 俺は額に手を当てながら大笑いする。


シルヴァマジア内 森林地帯


 私と光琳は急に見たことのない場所に移動して、目を丸くしていた。


 「ここどこ?」


 「わからない....。でも、危険な感じがする。光琳武器は?」


 「もちろん持ってる。」


 私もすぐに貰ったバタフライナイフを持つ。


 「まずはここがどこか知ろうよ。もしかしたら...シルヴァマジアかも知れない。」


 「でも、鷹もいないから師匠達に連絡とれないよ。」


 「でも、このままここにいても安全とは言い切れない。だから、今はできることをやろう?」


 「...わかった。」


 「うん。」


 私と光琳は武器を構えながら回りを警戒しながら、歩き回る。そうしてしばらくいると、遠くから声が聞こえてくる。


 「誰かぁ! 誰か助けてください!」


 「光琳。」


 「行こう。」


 私と光琳はすぐに声の元に行くと、そこには高校生くらいの女の子とお婆さんが倒れていた。


 「大丈夫ですか?」


 私が真っ先にそう声をかけると、女の子は私の光琳の容姿を見て、お婆さんを庇うような姿勢になって睨み付ける。


 「えっと...。」


 「私は入町光琳と言います。そして、こちらは橘薫。何か知らない内にここにいて、困ってるんです。」


 私が言葉に迷っていると、光琳が落ち着いて言い聞かせるような声で女の子に言った。


 「襲ってこない?」


 「何もしなければ、何もしません。」


 「...。」


 「大丈夫だよ。この子達は敵じゃないよ。」


 倒れているお婆さんは女の子を撫でながらそう言ってくれた。


 「...私は陽葉山花奈。こちらは姉とわたしの師である烈宝林さんです。でも、今は病気で思うように動けず、それにこのような状況になってしまって、病状が悪化して動けなくなっていたんです。」


 「なるほど...。じゃあ、私と薫でお婆さんを移動させればいいんだね?」


 「はい。お願いします。」


 「「うん。」」


 光琳がお婆さんをおぶって、私はそれを後ろから支える形になる。


 「よろしくね。陽葉山さん。」


 「はい。よろしくお願いします...。橘さん、入町さん。」


 「うん!」


 そうして、私と光琳、陽葉山さんとお婆さんは行動を共にすることとなった。

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