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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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嵐の前の静けさ

シルヴァマジア世界樹頂上


 やや疲れ気味の男がシルヴァマジアの中心にそびえ立つ大樹、世界樹と呼ばれる木の頂上に入っていく。


 「戻ったぞジーク。」


 僕がいつも通りの仕事を終わらせていると、少し真面目な表情をしたクレイがノックなしで入ってきた。


 「お帰りなさい。何かあった?」


 「ああ。ここに来るまでの間に、変な結界のような物が出来ててな。そこで、鉄猫のマーシィちゃんが捕まってて、俺が助けたんだが、捕まえたやつは魔術師のようなんだが、魔法以外の特異的な力を使ってた。」


 「特異的?」


 「魔力も使わず瞬間移動したんだよ。あと、喋りかたからして、恐らくありゃ単独じゃなく集団で活動しているやつだった。」


 僕はクレイの話を聞きながらその情報を手元の紙にメモしていきながら、僕の「なにかが裏で動いている」という予想が現実のものになってきたようで、本格的に対策を始めないといけないことを悟る。


 「鉄猫を狙ってきたということは、確実に僕らと彼らの間に確執を生みたい何者かがいる。」


 「ああ。それで戦争を起こしたいか、それとも、俺たちとあいつらの命だけが重要なのか。」


 「どちらにせよ。これはエリナに報告し、たまに起こっている魔素の乱れの調査をして貰いましょう。僕は仕事はほとんど終わってますし、直接出向いて市民の様子と避難経路を確保しにいきます。」


 「俺はどうする?」


 「クレイは少し休んでください。帰ってきて体が疲れているでしょう。まだ異変が小さい今が休むチャンスです。始まれば、働きづめになるでしょうし。」


 「わかった。お言葉に甘える。」


 クレイの言葉に僕は無言で頷いて、青い宝石の取り付けられた大杖、蒼月を持って世界樹から落ちながら僕は指を鳴らす。すると、僕の落下についてくるようにほうきが来る。僕はそれを魔力で吸い寄せて乗って、飛びながら移動する。


クレイ側


 俺はジークを見届けた後、強烈な眠気に襲われるが、壁にもたれかかって、何とか立って起きておく。


 「行ったな。休んでおけと言われたけど。その前に俺が先にエリナに言っとくか。」


 俺はこめかみに指を当てて、魔力による念話でエリナに連絡をする。


 「もし。」


 「もし~? って、クレイじゃん。どしたん?」


 エリナはいつも通りのテンションで念話に答える。


 「いや、さっきジークに会って話した内容をお前に伝えようと思ってな。ついでに頼みでもと。」


 「へぇ~。わかったぁ。ってかそういやさ。」


 「ん?」


 俺が話そうとする直前でエリナが思い出したかのようなトーンで遮る。


 「ジークから事件の事聞いた?」


 「あ? 事件?」


 初耳の事に俺はアホみたいな声を出して聞き返した。


 「聞いてないんだ。珍し。」


 「まぁお前から聞けばいいだろ。ちょうどよく情報交換だ。」


 「大丈夫?」


 「大丈夫。めっちゃ眠いだけ。」


 「話し終わったら寝なね。」


 「わかってる。」


 俺はジークの元に向かうまでに起こった事と魔素の乱れの調査の件を話し、エリナからは最近に国を滅ぼしたスペアネルの若者がシルヴァマジアに現れ捕らえたという話を聞いた。


 「何かやっぱ裏で動いてそうだね。」


 「そうだな。....しっかし。」


 「ん?」


 「マジで何も起こらない平和ってほんと短いんだな。たった2年だぞ。」


 「確かにねぇ。あんだけ苦労して戦争を終わらせたのに...また本格的な戦いが始まりそうなんて...考えたくもないよ」


 俺とエリナは互いにうんざりしたような声で愚痴る。


 「じゃあ、魔素の乱れの件...頼むな。」


 「任せたまえよ。」


 「何キャラだよ。」


 俺とエリナはそう短く会話を交わした後に、別れを告げて念話を切った。


 「...スペアネルを捕らえた...か。なんか...きな臭いな。エリナには魔素の乱れの調査に集中してほしいし、ジークは俺にスペアネルの件を話し忘れているくらい余裕がない。あいつも疲れてるんだろうな。取り合えず、監獄に向かって、そのスペアネルとやらに会ってみるか。会えたらな...。」


 俺は話を聞いた後からずっと感じる胸騒ぎを元に、ジークからの休みの指示を無視して監獄に向かった。


同時刻 シルヴァマジア監獄塔


 シルヴァマジアにそびえ立つ巨大な黒い塔。そこに、幼い女の子と黒いハット帽に黒いスーツ姿の渋い感じの男性が立っている。


 「お父さん。早くしないと巴お姉ちゃんが大変なことになるよ。」


 「もちろんだ。(先程から巴からの連絡が途絶えている。トラブルが発生したか。まぁこちらはあの男に言われた指示をこなすだけだが。)」


 何故か警備の居ない黒い塔に2人の女児と男性は入っていく。そうして、一切迷うこと無く目的地にあっさりとたどり着く。


 「いたな。黒崎闇裏と天海銀河。」


 男性が2つの監獄の中で鎖に繋がれ身動きがとれない2人にそう話しかけた。それと同時に女児は男性の背後に隠れる。


 「誰だ...。」


 「なぜ名前を知っている?」


 2人はそれぞれに、男性に向かって質問をする。


 「うちの上司からの頼みでな。お前たち2人を牢から出せと言われてな。そこで名前を聞いた。それで、私だが...ただの死に損ないだ。私の存在に意味はない。気にしないでくれていい。」


 「牢から出してどうする.....?」


 「取り合えず暴れてほしいとの事だ。国中をかき回してくれたら満足だそうだ。その後は、どこへでも行けということでな。」


 「すぐにか?」


 「いや、合図をしてからの方がありがたい。」


 「そうか。どうやって監視の目をかわしてここに来た?」


 天海銀河は積極的に質問するのに対し、黒崎闇裏は全てどうでもいいと言った態度で何も喋らない。


 「これはトップに分け与えられた能力によるものだ。お前達を牢に出してしばらくは、バレないようにするためにな。」


 「目的はなんだ?」


 「さぁな。私はあの男の指示を遂行しなければ潰えてしまうような存在だ。だから従っているだけで、あの男の目的なぞどうでもいい。」


 「正直だな。」


 「当たり前だ。私は所詮...。」


 男性がなにかを言おうとする直前に女児の方に目を向けて言おうとしていた言葉をためらった。


 「お喋りはここまでにしてくれ。それでは、牢から出すぞ。」


 「待て。」


 男性が牢から出そうとした瞬間に黒崎闇裏が男性の方を睨み付けながら制止させた。


 「俺がお前たちの思い通りに動く気はない。せっかく、この無意味な人生に終止符を打たれる時が来たんだ。俺の事はほっとけ。」


 「無意味な人生に意味を持たせるのは自分だぞ。それすら諦めるのか。」


 「諦めるも何も、俺にはまずその挑戦権がない。」


 「あるさ。何せ、お前たちは少なくとも私よりかはずっと自由なはずなのだから。」


 男性は黒崎闇裏の言葉に対して妙に熱の入った言葉を浴びせる。それを聞いている女児は無言で男性の言葉に頷いている。


 「それに、私はあくまでこの牢から出せと頼まれただけだ。それ以外の事はついでとして言われただけだ。必ず守れと言うわけではないさ。まぁ、復讐に燃える君たちだ。結局はあの男の利になる行動をすることになるさ。」


 「あんたは...自分の上司が嫌いなのか?」

 

 「あぁ大嫌いだ。私は、あいつに何もかもを奪われた。信念貫いたはずの組織も、慕っていたトップも、背中を預けてた相棒も、家族も...残されたのは...私の事を愛してくれる娘だけ...。だが、私はあいつに歯向かえない。もう...歯向かうことはできない。」


 男性はそう言って、2つの監獄を開けて鎖を壊した。


 「礼は言わない。もう二度と会うことはないことを願う。」


 「...。」


 黒崎闇裏は睨み付けたまま、天海銀河は別れの言葉を短く言って、それぞれ別方向に姿を消した。


 「お父さん...?」


 「... (橘...私は...お前と共に誓った。悪の道で人々を助けると言う約束を破り、いびつだがのうのうと生きているよ。今私が歩いているのは、必要悪の道出はなく、極悪の道だ。早く...お前の元に行きたいよ...。)」


 「お父さん!」


 「...! すまないな。三葉みつば。お前だけは...お父さんが...必ず守り抜いて見せるからな。必ず、あの男から自由にしてやるからな...。」


 男性は三葉と呼ばれた女児を抱き締めて、自分にも言い聞かせるように何度も同じ言葉を言った。


シャインティアウーブ東部の出口に停車中の魔工車レグス


 時間帯はすっかり暗くなり、俺とバンバは車を停車させて、住宅スペースに移動して就寝準備を始めていた。ちなみに、他のメンバーは運転に集中していた俺たちの為に、晩御飯の天ぷらを作っておいてくれた。


 「すまないな。ではいただきます。」


 俺は作ってくれた薫にお礼を言って、サクサクの天ぷらを食べた。それにならって、他の皆も天ぷらを塩だったりつゆだったりにつけて食べている。


 「塩につけるって美味しいんですか?」


 清雅が薫に質問する。それに対し、薫は塩の天ぷらの良さを優しく教えている。


 「つゆも美味しいんですが、天ぷらのサクサクとした食感が失われちゃうんですよ。でも、塩だと液体じゃない分、サクサクさは維持されて食感が損なわれないんです。それに、塩のしょっぱさが天ぷらとかなりマッチするって言うか...。」


 「師匠...。薫がいつになく力説してます...!」


 「それほど好きだと言うことだろう。お前もこだわれるものを見つけろよ。」


 「頑張ります...!」


 優しく教えていた薫の声色にどんどん熱が入っていくのを見た光琳が、バンバにすぐに話しかけていた。こう見ると、師弟と言うより親子だな。そうして、俺たちは晩御飯を食べ終えた。


 「あ、そういえば。この前のような歴史の事教えてくださいよ。」


 薫がふと思い出したかのように、バンバに訊く。それに対し、俺があからさまにうんざりしたような反応をすると、すかさず薫がこう言う。


 「クリードさん。お風呂沸かしてありますよ。入浴剤もいれてるので、是非入ってください。その間に聞くので...。」


 「食べたばかりで風呂か...後20分待ってくれ。いや...20分の間に食器を洗えばいいだけの話しか。」


 「え? 食器も私が...。」


 「いや、流石にもてなしだけされてるのもな...。それに、俺に気を使って風呂の準備をしてくれたんだ。これくらいやるさ。」


 「あ...はい。」


 俺の返答に薫は何やら沈んだ表情をしたが、俺はあえて気づかないようにして他の皆の食器を下げる。途中、清雅が手伝いをしに来てくれたが、断って食器洗いを始める。


バンバ側


 クリードも食器洗いに言ったようだし、言われた通り、歴史について話すことにする。


 「さて...じゃあ今日は、神域大戦について話すか...。」


 「魔族と精霊と竜と人間と一部の神の連合軍とそれ以外の神々と神域生物達の大戦争ですね。」


 「そうだ。」


 俺が話そうとすると、光琳は黙って正座し、清雅は流れるように紙とペンを取り出す。


 「神域大戦はこの前、光琳と薫に話した革命大戦と同じく1000年前に起こった大戦争で、発端は神域生物と神々の戦争に人間や竜が介入したことによって起こった。」


 「介入した理由は、神域生物と神々の戦争の余波で人竜界と獄魔界、精霊界が被害被るからですよね。」


 「その通り。だから、ただの神々の戦争が、他の世界も巻き込んだ大戦争にまで発展してしまったわけだ。」


 「そして、介入した人間と竜と言うのは、勇王アラン・テスカ・オーガと竜王ジゼル・ヴィル・キリアですね。」


 薫も積極的に話しに加わってくる。革命大戦よりこちらの話の方が薫の関心は高いようだ。


 「そうだな。だが、その名前を出すのなら、それに協力した者の名前も言っておくべきだな。もちろん、この大戦には、人間や竜だけでなく魔族と精霊も介入した。そこで魔族と精霊をそれぞれ指揮したのが、魔皇帝サタノーラ・フィズ・フェルシオと精霊王セラフ・エル・ガブリケーラだ。ちなみに、わかりづらいが、魔皇帝と魔王は違うからな。」


 「そうなんですか?」


 俺の言葉に、清雅が首を傾げる。俺は清雅の方に顔を向けて、それについて話す。


 「そうだ。サタノーラもセラフも魔王ディーエル・バルヴェント・グリュッセルと精霊の母カルラ・フィニス・アリアの伴侶だ。」


 「じゃあ、魔皇帝って女性?」


 「そう言うことになるな。そして、魔王と精霊の母がこの大戦に介入しなかった理由としては、国を守ると言う責務があったから、最も信頼できる伴侶に大戦時の指揮は任せたと言うことだな。」


 「へぇ~。」


 光琳が心の底から吐き出すように声を出してリアクションをしてくれる。


 「そういえば、その他に一部の神が味方についてくれたんですよね? それって誰が指揮したんです?」


 「一部の神と言うのは、光の継神である御神九十九と闇の死神であるヴァディル・フォステラーとその部下の天使達と仲間の悪魔達だけで少ないもんで、人間や竜、魔族や精霊と違い、そんな大人数で動くほどではなかったようで、指揮すると言うようなことはあまり無かったようだ。」


 「そうなんですか。」


 俺の答えが意外だったのか、清雅は深く頷きながらもどこか納得いっていないような態度を見せる。


 「さて、ここまでかなりファンタジックな話だったが、実はこんな事実もある。」


 「事実?」


 「この大戦には、超能力者と霊能力者が参加していたと言う事実がな。ちなみに、超能力者と言うのは念動力やテレポートなどのあれで、霊能力者というのは一般的なものとはい違うが、妖怪や怨霊の力を使って戦っているものだ。」


 「でもそれだけなら...。」


 「その超能力者と霊能力者の服装は、マジシャンのようなスーツ姿と高校の制服姿で、到底その世界では作られないような材質だったらしい。」


 「え?」


 流石に知らなかったのか薫は俺の言葉に反論しようとしていた言葉が詰まって、驚いたような表情をしており、光琳はポカンとしている。清雅は目を見開いてかなり驚いている。


 「これらの情報からある仮説が立てられた。この世界は元々2つあったのではないかという仮説がな。」


 「2つ...。」


 「こうすると、説明がつくような事があるんだ。まず、今は鎮静化されつつあるが長年続いてきた魔法側と科学側の対立構造や、革命大戦と神域大戦の行われた時期、これらはどちらも1000年前とされているが、どう考えてもその時期に連続的にこんな大きな戦争が起こるとは考えづらい。そして、この2つの大戦での戦闘方の違いもある。革命大戦は基本的に機械や重火器等が主な戦闘手段だったのに対して、神域大戦は魔法と剣や槍、弓が主な戦闘手段で、似ても似つかない戦闘法となっている。そして、極めつけとして、この2つの大戦が行われる前に神隠しのような謎の失踪事件が多発していたという事実がある。」


 「魔法側と科学側の対立構造なんてわかりやすいですよね。対立初期の頃は、この世界に元々あった技術は科学だといっていたり、一方は魔法だと言っていたり...。」


 俺の言葉に、薫は自分の口で言いながら納得している。


 「でも...もし世界が2つあって融合を成したのだとしたら、今のこの世界は何でこんなに安定しているんでしょうか? もしも、2つの世界が融合していたら、同じ座標にあった土地と土地が合わさってしまうわけで、ややこしいことになるんじゃ...。」


 「それは具体的にわかっては居ないんだが、それらしき記述は残されている。それを確認してみたところ、この世界の基盤を保つための礎として、勇王アラン・テスカ・オーガと竜王ジゼル・ヴィル・キリア、光の継神である御神九十九。そして、協力者である超能力者のアレン・クロスフォードと霊能力者の霧雨神無きりさめかんなの命を使ったと考えられるそうだ...。」


 「それはまた...ハッピーエンドとは言い難い最後ですね...。」


 薫は革命大戦と同じく中心人物が死んでいるという事実に苦い表情を見せた。


 「ちなみに、神域大戦自体は人間側が勝ったんですか?」


 「それはわかっていない。だが、発掘された情報から推測すれば、十中八九勝ってはいるそうだ。」


 「なるほど...。」


 俺の話に清雅も気に入ってくれたようで、ずっとポカンとしている光琳にわかりやすく教え始めていた。だが、それにしても長く話しすぎたようだ。そろそろ、食器洗いを終えて風呂に入り始めたクリードが上がってくる頃だろう。


クリード側


 暖かい湯船に浸かって、黙ってただ一点を見つめる。


 「...。」


 ーーー薫を、戦罹を...頼む。


 黙っていると、あの時の光景がフラッシュバックする。


 「クソッ。」


 ーーーお前はいつまで...人形のフリしてんだ!!!


 今度は、あいつに言われた言葉がフラッシュバックする。


 「思えば...あの言葉を言われたことが、俺の始まりだったな。」


 俺はそう言いながら、風呂を上がり、髪を洗うためにシャワーを浴びる。そうしていると、あの時の戦いが、一気に頭の中に溢れだした。


ボロボロの廃村跡地


 今の俺の服装を作るときに着想を得た、灰色の何とも言えない模様の入った黒いコートを着た、黒色肌の中性的な男。インベード・ザ・ヴァルキリア、実験番号No.000。あの日、まだ人形だった俺はあの男との戦いで人間になるきっかけをもらった。


 「お前はいつまで...人形のフリしてんだ!!!」


 「フリ? 私は...昔から変わらない。」


 「じゃあ今から変えてやるよ!!」


 俺はあの言葉を言われて、何も思わなかったはずなのに、何故か動揺したように先に攻撃を仕掛けた。だが、接近戦の経験を積んできたインベードには簡単に防がれて、反撃を受けた。


 「...。」


 「クッ...!! またか...!!」


 俺の特異体質によるものである、俺自身の動きを相手の脳に誤認証させる、七技戦術の迅と躍を昇華させた移動法、ぜつ。俺はこれを使って、相手に全く気付かれること無く暗殺をして来た。そして、俺はそれと同じように、この男を殺そうとした。


 「暗殺術第一項、首狩。」


 「無獏秀拳むばくしゅうけん!」


 だが、完全に意識外のはずだった攻撃をあいつは避けながら、俺の腹部に強烈な殴打を当てて、そのまま吹っ飛ばした。


 「...!!」


 「うおおおお!!!!」


 そうして、壁に激突した俺に容赦なく、あいつは追撃を仕掛けて来て、俺はチェーンナイフをあいつの腕に巻き付けて、両手で引っ張って俺のぶつかった壁に勢いよくぶつけて、持っていたマグナムであいつの頭めがけて三発撃った。


 「!!」


 「...!!」


 だが、あいつはその全てを、ただの拳打で打ち落として、同じように俺に向かって殴りかかってきた。それに対し、俺はあえて防ぐ体勢を取って、殴り飛ばされた。そうして、その勢いに乗って柱にチェーンナイフを巻き付けて、そうして吹っ飛ばされた方向の軌道を変えて、吹っ飛ばした俺の方に向かってきていたインベードを逆に蹴り、体勢を崩したインベードの首にチェーンナイフを巻き付けて背後に回って地に足をついたと同時にチェーンナイフを振り下ろすように引っ張って、インベードを頭から地面に激突させて、すぐにチェーンナイフをほどいて、バックステップしながら、手榴弾を投げる。


 「....まだまだぁ!!!」


 「...!?」


 それでも、あいつは立ち上がってきた。零距離で手榴弾が爆発したのにも関わらず、あいつは体の原型を保ったまま、俺に向かって来た。その光景に俺は生まれて初めて驚愕した。


クリード側


 髪や体を洗い終わったと同じくらいに、溢れだした記憶は途切れた。


 「人形のフリ...か...。今の俺は...果たして...人間なのか...?」


 俺はシャワーを止めて、今の自分とかつての自分を比べる。だが、多少変わったかもしれないと思っても、どこか機械的な自分自身が変わったフリをしているだけだと考えてしまう。


 「まだ、わからないな...。だが、俺が生きている限り、俺はこの考えを止めてはいけない。」


 俺はそう言って、風呂を上がり、歯を磨き終わると、ちょうどよく話を終えたバンバ達に風呂を勧めた。すると、バンバから「先に寝てていいぞ」と言われたので、先に眠りに就いた。

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