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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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鉄猫

シャインティアウーブ地下監獄 白澤光


 リーフとアスカを連れて、浦坂千波と七瀬愛翔の順で話をしてめぼしい情報は無かった。だから、白澤光の収容されている所に向かって、尋問室には向かわずに、牢獄の前で直に話すことになった。主にリーフがだが。


 「君が白澤光...。今回の一件で富士浪誠二さんを除いた全員を殺した重罪人。」


 「あたしはただ手伝っただけだ。あんた等の欲しい情報なんて、何も知らない。」


 リーフの言葉に白澤光は睨みつけながら、警戒を解く気がない姿勢を見せそう言った。


 「それは話を聞いて知ってる。だから、今回君に会いに来たのは、忠告をするためだ。」


 「忠告?」


 「そうだ。まず、捕まっている間は変なことをしないことだ。脱獄なんてもちろんね。」


 「したらどうする?」


 「また捕まえるだけだ。この国の、この地区に入れば。だが、他地区や他国に行って被害を出せば...これは言わなくてもわかるね?」


 「...。」


 リーフはいつも通りの調子だが、少し重たく白澤光に告げた。それに対し、白澤光は押し黙りながらもリーフの目をじっと見据えている。


 「そこまでしないとあたしを殺す気はない...。なぜ殺さない? 生かしておく理由ないだろ。」


 「それは君が15歳の子供だからだ。」


 「はぁ?」


 「15歳の子供ならば、これからの人生でやり直せる。までギリギリ間に合うからね。それに、君の環境ではまともに育つわけないからね。あと俺たち、昔結構バカやってるからそれと重ね合わせるのもあるかもね。」


 そう言いながらリーフは俺の方を見る。俺は無言で頷いて、アスカの方を見る。そしたらアスカも同じように頷いてくれる。


 「そんなことのために、国民からの反感を買うかもしれないのに、権力使ってあたしを生かしてるのか。」


 「元々やってたことですでに反感買ってるところもあるんだからそれが増えるだけで変わらねえよ。それで立場おろされたらまた同じように軍人として働きゃいいだけだしな。」


 「じゃあ、他地区や他国に被害をだしたら殺すってのは、庇いきれなくなるからか?」


 「そうだ。でも、俺たちの責任ででなかったかもしれない被害者が出たのならその責任をとるのは当然だし、他国に被害が出たら、二次災害で戦争が起きるかもしれない。だったら、始末するしかないだろ?」


 「...。」


 リーフの発言に白澤光は眉間にシワを寄せて、拳を握りしめる。


 「だから、させないためにもこの忠告には従っておいてくれ。頼む。」


 「...。」


 「そんだけだ。じゃあな。また来るかもしれないから変なことするなよ。」


 「...。」


 リーフの言葉に白澤光は返事をせずに俯いた。その様子を見て、俺はリーフとアスカと共に外に出た瞬間に、監視システムのレベルを引き上げて、牢獄の扉を固く閉ざした。


 「何か不安ですね。」


 「ああ。何か妙なことが起きそうな気がする。」


 「やめろ。俺がフラグ建てたような感じに言うの。」


 「え? 自覚おありで?」


 「え? 自覚って言うな。フラグ建てちまったんだったら、壊しゃいいだろ。」


 「確かに~でも俺らがフラグ壊した回数。」


 「「2回~。」」


 「...。」


 俺とリーフがそんなやり取りをしているのをよそにアスカはスタスタと歩いていった。


 「「フル無視やめていただけます?」」


 「え? 触れた方が良かったですか?」


 「「いや正解っす。」」


 そんな下らないやり取りをしながら、それぞれの職場に戻った。色々やることがあると言っても、いつも通りの仕事もしなければならない。


 「今日も残業確定かぁ~。早く帰りてえよ。でも俺、社員から見れば、重役出勤してるわけで、こんなこと言えねえ~。」


 俺はそう言いながら、仕事に取りかかろうとした直前にふと白澤光が過去を浦坂千波に話していた際の情報が脳裏によぎった。


 「白澤光って、吹っ飛ばされてこの国に来たんだよな? で、吹っ飛ばされた理由って、同じくらいの強さのスペアネルと攻撃しあったことによってだったよな? そして、白澤光の技を受けた相手の方も吹っ飛んだんだよな? ...まさか...そいつ向かい側のシルヴァマジアに吹っ飛んだんじゃ...。(...今から確認行くか? いや、もしそうだった場合、シルヴァマジアになぜ報告しなかったのかとか言われそうだ...。) トップマジめんどくせえ~。」


 俺はそう言いながら、ライレトを起動して、マーシィに指示を出す。


 「マーシィ。いきなりでごめんだが、今から鉄猫を使ってシルヴァマジアのジーク・ヴィネアの所に怪しまれずに行ってくれ。そして、そこで今からお前に転送する紙面を見せてくれ。」


 「了解です。」


 「その間、俺はリーフに白澤光、浦坂千波、七瀬愛翔の監視を強化して頼んでおいて、アスカには回りの警戒をお願いしとく。その分、俺は溜めた仕事を一気に終わらせて、リーフの監視下で白澤光を今日中に尋問しに行っておく。」


 「倒れますよ?」


 「この程度で倒れると思うか? 俺が。敵からリアルゾンビとか言われたんだぞ。」


 「じゃあもう心配しませんよリアルゾンビ。」


 「やめてその呼び方。」


 俺はマーシィに軽口を叩きながら、指示を出したあとに、溜め込んだ仕事を大急ぎでしながら、リーフとアスカに指示を出す。そうすると、リーフとアスカも自分の仕事をしながら、俺の指示に従ってくれるようでありがたい。


 「(俺ってマジで周りに恵まれてるな。)」


 俺はしみじみ感動しながら、仕事を終わらせることに集中する。


シルヴァマジア世界樹頂上


 大量の青葉が揺れ動き、木造の独特の香りが漂う巨大な大樹の頂上で2人の男女が話している。片方の女性はショートヘアの金髪赤眼で丸眼鏡をかけており、服装は全体的にカチッとしたパンツスタイルで、腰のベルトに大きく分厚い本をぶら下げており、ヒールを履いており、スタイルが良い。この女性こそ、神川エリナである。そして、もう片方の男性は女性よりも若干背が低く、ロングヘアの黒髪と透き通るような綺麗な青い目をしている。服装は同じように全体的にダボッとしていて、上に黒いローブを羽織っており、体型が全くわからず身長も低いため、女性にしか見えないが、男性で、ジーク・ヴィネアである。


 「いやぁ~早めに見つけられてよかったよねぇ。」


 「うん。もし発見が遅れていたと思うと...恐ろしいよ。犠牲者がゼロで済んだのは本当に幸運。」


 「ちょうどクレイもいなかったしね。」


 「でも、未だに胸騒ぎはするんだよね。」


 「まだ何かあんの?」


 「わからないけど、これは前座な気がする。」


 「もうすぐクレイ帰ってくるし、それまでに情報とかまとめとく?」


 「そうしよう。」


 ジークとエリナはそう言いながら、大きな紙面を作り出して空気に貼って、そこに文章を書きながら自分達に起こったことを書きながら話し始める。


 「今から4日前、僕とエリナがそれぞれで、酷く衰弱している青年と動物の死骸の山の中で眠っている青年を見つけて、僕らを見つけるやいなや攻撃を仕掛けてきた。」


 「私らはすぐに反撃して早めの鎮圧に成功。そのおかげで幸いこの件を知っている人は少なく、怪我人はゼロ。」


 「その後、捕らえた2人の素性を調べてみると...。推定年齢と容姿の特徴から、最近、国を個人で滅ぼしたとされるスペアネルの黒崎闇裏と天海銀河であることが判明した。」


 「で、本人たちから滅ぼした国で何があったのかを訊いても、一切答えてくれずに時間が過ぎちゃって今に至ると。」


 「そうだね。...こんな大きく紙面に書くほどの内容はないね。」


 「まぁいいじゃん。雰囲気だよ、雰囲気。」


 ジークとエリナはそんなやり取りをしながら、そのまま談笑を始めそうな雰囲気に移行しつつある。そんな中、世界樹の頂上に鉄の猫が忍び込み、ジークとエリナの前に姿を現した。


 「これは...。」


 「お久しぶりですジーク様、エリナ様。シャインティアウーブ市長、ルーク・ギルデアからのお手紙をお届けに参りました。」


 ジークがなにか言う前に鉄猫は自信の要件を伝え、手紙を取りだし、机に置いた。ジークは黙って手紙を手にとって、紙面の内容を黙読する。


 「...エリナ。」


 「ん?」


 「さっき僕が言った前座って言う言葉。もしかしたら現実味を帯びてきたかもしれない。」


 「え?」


 ジークはそう言いながらエリナに手紙を渡す。


 「...白澤光による襲撃。そして...黒崎闇裏と白澤光の接点...。何かきな臭いね。」


 「うん。ルーク君も気付くと思うけど、対立しているこの2国で同じような騒動。まぁ向こうのほうは大事件だけど...考えすぎかもしれないけれど、何か裏で糸を引かれているように感じるね。」


 「うん。取り合えずその事をさっさと伝えよう。」


 「もちろん。」


 ジークはエリナとそう会話をした後に紙面を書いて、鉄猫に渡す。


 「返事の手紙、確かに受けたまわりました。ではこれにて...。」


 鉄猫はジークとエリナにそう返事をして世界樹から立ち去った。


魔工車レグス


 私たちが帰ってくると、クリードさんとバンバさんが紅茶とコーヒーを飲みながらくつろいでいた。


 ーーー自分をまず信じてみよう。


 リーフさんに言われた言葉が脳裏に過る。私は意を決して、クリードさんとバンバさんに夢の内容を話した。


 「これから起こる事件に備えて、シャインティアウーブのトップであるルーク・ギルデアとシルヴァマジアのトップであるジーク・ヴィネアに協力を求め、青葉を呼べと言うことか...。もっと早く言ってくれればよかったものを...。」


 「まぁそう言うな。夢の内容だから確証を持てなかったのだろう。あと、単に俺たちを頼りづらかったのだろう...。」


 クリードさんの言葉をバンバさんが諫めるように言ってくれる。


 「いえ! そんなことは...。」


 「いや、俺もクリードも寡黙でいつも落ち着いたトーンで話しているから、他の人より人間味が少なくて無意識に怖がらせてしまったんだろうさ。そういう意味でも、青葉を呼ぶのは正解かもしれんな。」


 「まぁそれは同感だが...俺と青葉の確執をどうするつもりだ?」


 「それに関してはおいおいだな。」


 クリードさんの疑問にバンバさんは言葉を濁して、話を別の話題に切り替える。


 「それにしても...夢で出会った男かも女かも判断できない声...か。光琳、心当たりはあるか?」


 「...いえ、特には...。...いや、結構前ですけどそんな夢を一度見た気がします。」


 「え?」


 光琳の答えに私は素直に驚いて、思わず光琳の方に視線を向ける。


 「具体的にいつかわかるか?」


 「う~ん...何か...思い出そうとすると...モヤがかかります。」


 「そうか...じゃあいい。」


 「いいんですか?」


 「ああ、いい。深天極地の純血の共通点が互いを認知するまで痛みなどの共鳴反応が起こる以外に欲しかっただけだ。」


 「... (考えてなかった...。あの2人に聞いておけばよかった。)」


 バンバさんの考えに、私は自分の行動にため息を吐く。それで、クリードさんに目を向けてみると、顎に手を当てて考え込んでいるのが目に入った。


 「(青葉...救援に呼んで、私情を優先して俺を殺しに来ることはないだろうが...不快ではあるだろう...。協力者をわざわざ不快にさせる必要はない。いや...じゃあ俺が別行動をとれば...。いや、今まで敵に2度も先手を取られ過ぎている。バンバもスペアネルやブラッティソルのNo.1クラスには勝ち切れる確率は低い。なら、多少我慢させても。)」


 「大丈夫ですか?」


 「いやなに、青葉を呼んで欲しいと言われたんだろう? それに対してどうしたもんかと思ってな。」


 「深く考えすぎなんじゃ...。」


 「ん?」


 「まだ時間はたくさんありますし、その中で...確執とかを...何と言うか...解いて? いくための、第一歩みたいな、のに思えば...気楽に呼べるんじゃ...。」


 何も考えずに取り合えず口走った結果、変な感じになった。そのせいか、会話していた光琳とバンバさんが私たちの方に目を向けてきた。クリードさんはそれで困っている私をじっと見つめる。


 「フッ...。そうだな。考えすぎなのかもな。だが、今すぐには呼ばない。その時になってからだ。」


 「あっ、はい。(笑った...?)」


 クリードさんは私の言葉に軽く笑って、その場から立ち上がり、鷹に何かを伝えている。


 「約1か月ぶりか?」


 「え?」


 「会えるな青葉と...。あの一時じゃ...よくわからなかっただろうしな。」


 「何が...人間性と強さだな大部分は...。」


 鷹と話しているクリードさんを見て、バンバさんは優しい目を向けていた。


とある木の上


 ここ最近物騒なニュースが風に乗って流れてくる。クルードフォーミア襲撃やシルヴァマジアの大火災、シャインティアウーブの全電力停止。その後の2週間、なにもなかったと思ったら、シャインティアウーブの主に中央でクラッキングとNo.1格のスペアネルによる襲撃と、シルヴァマジアも中央で2人のNo.1格のスペアネルが見つかっているという...。


 「バンバのやつ...また巻き込まれるんじゃねえか? 薫さんと光琳ちゃんの怪我...クリードはどんだけ無茶させてんだよ。いや...あれは...自主的か...。」


 ーーーあいつだって変わっている。


 「...。」


 ーーーあの悲劇は今から償うことだってできる。


 「償えるからなんだってんだ?」


 俺はそう言いながら、珍しくなんの仕事も入っていない今日という休日を満喫する。

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