死へと誘う急襲の鎌
・・・国が半分浮かんでる!?
痛みが完全に引いて、師匠は大丈夫かなと少し心配になって、国の方を見ると、国の半分がもう半分の国の上空にありました。
「何が起こってるんですか? 国が半分に割れて? ...それで....その片方が浮いている? それで....落ちてきている?」
私は焦りすぎて、自分でも何を言っているのか、どうしたらいいのかしばらく混乱しました。そんな時に、師匠に言われたことをすぐに思い出しました。
・・・お前の判断で俺が危ないと思ったら、すぐさま今言った行動をその場で起こせ
私は鷹を木の枝に止まらせて、足に赤い印のある紙を括り付けて、緑の印のついた紙を開きます。
「...? とりあえず、やってみましょう。」
私は鷹の目の前にある日陰に向かって『--・-- ・-・・・ -・・・ ・・』と言う順でライトで照らしました。その後に、鷹の方を見ると、鷹は察したように勢い良く飛び立ちました。
「大丈夫でしょうか? 私、頭はよくないのでかなり不安なのですが....。」
私はそう言いながら、飛び立った鷹を見送りました。
5分後...とある洞窟
・・・ん?
鳥が洞窟の入り口に降り立った音がする。その後、鳥は洞窟に向かって大声で鳴く。鳴き声は洞窟中で反響し、俺の方まで来た。俺は目の前にある鎖を壁にぶつけ、鎖の音でその鳥に伝える。その直後に起き上がり、、洞窟の奥で鎖鎌を引きずりながら鳥の前に現れる。
「うるせえなぁ....ん? バンバんところの鷹かぁ~。今度は何だよ...。連日の仕事でこちとら割と疲れてんだぞ。」
俺はいつも通りのはゴシック的な黒いシャツの上に黒のフード付きのジャケットコートとジーンズ、黒いブーツを履いて、両手に持っている鎖鎌を束ねて腰に引っ掛けながら、心底うんざりしたような顔で目の前の鷹を見た。そいつはすぐに飛び上がり、俺の方に紙が括り付けられた足を見せる。
「あ? その紙に要件が書いてあるってか?」
そう言うと、そいつは俺の目を見ながら頷く。めんどくさがりながらも、俺は鷹の足に括り付けられた紙を取り、書かれた内容を読む。
「...。おい鷹...お前はバンバの弟子のところに戻ってろ。俺は国の方に直行する。」
そう言うと、鷹は了承したように黙って飛び立った。
「バンバ...今回は流石に金貰うぜ。俺はボランティアじゃないからな。」
そう言って、軽くその場で運動した後に、国まで並みの人間では、視認できない速度で向かった。
その頃、バンバは....
「(こいつ...本当に助けに行かないとは....マジでドライな奴なのか?) 消せ、風穴。」
俺が攻撃を続けていると、バラガラは両手から赤い球体を連続で放ってくる。その球体を難無く避けていると、球体が着弾した場所に大きな風穴が開き、球体状に抉れる。
「(もしや...あの赤い力は...空間に干渉できるのか?)」
俺がそう考えていると、相手はばれた事を察したのか、赤い球体を放つのを止める。
「(これじゃ埒が明かねえ。どんだけブランクを放とうが完璧に避けられ続けるだけだ。なら....動かさなくするのみだ。) 閉じ込めろ、監牢。」
「!!」
バラガラは俺に手をかざし、その後にもう一方の手と合わせる。その瞬間...俺のいる場所のみが無重力化し、身動きが取れなくなる。
「(これで避けれねえ。終わらしてやるよ。) 消せ、風穴!」
その状態の俺に、バラガラは巨大な赤い球体を放つ。
「(まずい、避けられないなこれは....使う気はなかったが....。) 神....。」
俺は右手の剣に力を込め様とした瞬間、巨大な赤い球体が目の前で破壊される。
「何?」
俺は球体を破壊した分銅が飛んできた方向を見ると、鎖鎌をもって俺を見る男がいた。
「油断大敵って言葉知ってるかぁ?」
男は昔の俺の口癖を疲れ切った声で言った。その発言に俺は少し口角を上げて答える。
「知ってるよ青葉。思ったよりも早く来たからか少し驚いてる。」
「嘘つけよ。お前の顔から予想通りって言葉が読み取れるんだよ。」
青葉はそう言いながら、無重力化した空間を分銅で破壊し、流れるようにバラガラの方を見る。
「何だぁ? あいつと戦えってか?」
「いや違う。お前にはあの落ちてきている国の半分を粉砕してほしいんだ。」
「その後は?」
「無いな。お前が壊している頃にはこっちは終わってる。」
「...じゃあ、ああやって持ち上がる前に決着をつけてほしかったもんだね。」
俺の頼みに青葉は心底うんざりした顔で皮肉を言う。
「これくらい朝飯前だろ?」
「あのなぁ、あれから9年は経ってるんだぞ? いくら超人と言えど、多少は衰えてるよ。」
青葉はそう言い残して、落下してくる国の半分だったものに向かって勢い良く跳んだ。
その頃、クリードは...
俺は状況を完全に理解する前に依頼人を助けることを優先し、チェーンナイフを建物のあらゆる箇所に引っ掛けて、逆さまになる大地を移動し、店の扉を壊して侵入し、地下に行き、依頼人を抱きかかえる。
「(...この状況は、あのバラガラという男の喰九という力で起こしたのか? ...そんなことを考える前にこの状況を何とかしなくては...普通に降りたら衝撃が依頼人にいって重症じゃ済まない可能性がある。だが、この距離ではチェーンナイフも届かない。降りながら使うにしても失敗すれば、俺も死ぬ可能性がある。まぁ...重力には逆らっていないようだから...少し待てば降りれるか。)」
俺はそう考えて、依頼人を抱えながら少し待っていると、鎖を振り回す音が近づいてきた。
その頃、バンバは...
「さて...ここまで戦ってきたが...体にはそれなりのガタが来てるようだな。」
俺がバラガラに対してそう言うと、バラガラは余裕のない表情で俺を見据える。
「(舐めてた...他にもお仲間がいるとは...。完全に勝ち筋を失った。もう他の力を使う体力も残ってない。しかも、それをあいつは察している。深天極地の女を攫うぐらい簡単だと高を括ってたが...逃げたほうがいいな。別にあの女を攫うのは今じゃなくてもいい。)」
そこに俺は2本の剣を勢いよくを振り下ろす。それを予測していたのか、バラガラは攻撃を避けながら、カウンターで俺の腹部と頭部を連続で蹴ろうとするが、すぐさま俺は片方の剣の柄で受け止める。その瞬間にバラガラは疲れ切った声で言う。
「餓狼鬼虎は....五対の無神の使徒になる力を与えられる者の組織だ。そして、あの女は深天極地の純血であり、完全な使徒になる為の贄の一種だ。」
「贄の一種? ....深天極地の純血だと!?」
そう反応すると、バラガラはにやりと笑い、腕から赤い光を放ちながら姿を消し始める。俺はすぐさまもう片方の剣で消えかかっている腕を切り落とそうとするが、寸前のところでバラガラは赤い光に飲み込まれ、その場から消え去った。
「逃げられたか。あいつの話に一瞬、動きを止めてしまったな。まぁ、俺があいつを少し舐めていた事も原因かもしれないが。」
そう言いながら落ちてくる国の半分に向かって飛んでいる青葉の方を見る。
その頃、青葉は...
俺は鎖の分銅の部分を振り回しながら、落下してくる国の半分だったものに近付いて行き、その中心に向かって分銅を投げるように飛ばす。
「おいよ。」
飛ばされた分銅は国の半分だったものの中心に直撃し、そこから道を作るように亀裂が広がっていき、国の半分だったものは原形が無くなるほどに砕け散る。
「これだけのために呼ばれたのか? 俺は。」
そう愚痴を吐きながら、そのまま自由落下に任せて落ちていく。そうしていると、落ちていく瓦礫を飛び乗って降りていく人影を見つけた。
「ありゃあ....。...!!」
そして、俺はその人影の方にすぐに向かおうとした瞬間にバンバが指笛を鳴らす。俺はすぐさまバンバの方に目を向けると、国を出ろという合図をしていた。
「...話は後ってことかバンバ....。」
俺はあからさまにイラっとした表情をバンバに向けて、その場から離れる。
数秒前のクリードは...
鎖を振り回す音が近づいてきているのを察知して、俺は外を少し覗く。すると、そこには鎖鎌でこれを壊そうとしている漆暗 青葉を発見した。
「(なぜここに青葉がいる? いや、今は考えるより、あいつがこれを壊した後に瓦礫を伝ってすぐさま降りて隠れるか。)」
俺はそう考えて、青葉に見つからないように姿を隠して今立っている場所が壊れ始めるのを待つ。10秒後、これの中心から凄まじい音が鳴り響いたのと同時に、足元に亀裂が入り勢いよく壊れ始める。俺はすぐさま、瓦礫を飛び移り、依頼人の状態を確認しながら、大地に降りていく。
「...!!」
だが、その最中に青葉に見られた気がした。瓦礫を飛び移りながらナイフに手をやるが、青葉はなぜかこちらに来ず、国外に出て行った。
「(見逃した? なぜだ?)」
そう思いながらも、地面に足を着くと、依頼人の体の状態を確認した後に、周りを見た。瓦礫の他に、恐らくこの国の住民であったであろう人たちの死体や肉片が落ちている。
「...。」
それに向かって目をつむって合掌した後にこう呟いた。
「さて...バンバのところに行くか。」
どこか不快感を覚えて、依頼人を抱きかかえなおしてバンバのところに歩き出した。
しばらく歩いた後にその場に座って休憩しているバンバの姿を見つけた。
「バンバ。」
そこを俺は依頼人を抱きかかえた状態で周りを見渡しながら話しかける。バンバは表情で状況を伝えるように見る。
「(珍しいな、失敗したか....) バンバ...。」
「ん?」
「話がある。」
何かを疑うような声音で言うと、バンバは察したように返す。
「ここじゃなんだ、場所を移して話そう。大丈夫、安全は保障する。俺がお前を襲う事もない。ちょっとした交渉も兼ねて、話したい。」
「...。」
少し考えた後、バンバの要求を受け入れて依頼人を抱えたまま、深い森の中に入った。