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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第三章 シルヴァマジア編

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向き合うこと

 2人の言葉に私が首を傾げると、虎牙さんが身ぶり手振りをしながら教えてくれる。


 「ああ。スターリースカイで深天極地同士の共鳴反応が起こったろ? まぁそんときはあんたら2人出会ってなかったっぽいから、2回ぐらいあったのかな? で、そんときから近くにいるかもって思って探しに行ったら見事に逆方向で、戻ってみたら国は無くなってるし、話を聞いた限りじゃ、結構な戦闘があったっぽいし、なんつうかぁ...間が悪いっつうの? なぁ?」


 「うん...。でぇ、そこから捜索を続けてみたものの、近くの船上で起こったと言うことで話を聞いてみたら、何か隠されて、諦めてシャインティアウーブの北西地区で色々準備しながらやってたら、中央地区で何やらデカイ事件が起こって、地区から出られなくなって、散々だったね。」


 「まぁ、スペアネルのランクNo.1だろ? その時点で俺らが出たところで邪魔になれど活躍はねえだろ。場違いだよ。」


 「そんなこと言って、お前出られない間、「黙って待っとくのも中々きちぃな」とか言ってたろ。」


 「この子らが知らないんだから言うなよ。」


 「そう言ってるくせに船上での事件の時の情報集めは家族がいるからって理由で俺にさせたしな。」


 「それは言わないお約束。」


 「「...。」」


 2人の会話に黙っていると、立神さんが気づいたのか、喋りだそうとしている虎牙さんを止めて、一礼してから私たちに「話しても大丈夫ですよ」と言うふうに手を動かした。


 「えっと、私が羅刹で光琳が刹鬼で、立神さんが修羅で虎牙さんが鬼哭なんですよね? じゃあ、力とか使えたりするんですか?」


 「もちろん。獅業は天空ノ修羅を、俺は極限ノ鬼哭を使えるぞ。」


 「え? 完全に使えるんですか?」


 「うん。昔の仲間の特訓の甲斐があってね。僕らは深天極地の力の完全覚醒を果たしている。でも、現状では最大10分間で終わってしまうけどね。」


 「完全覚醒...。(力の片鱗の覚醒って言うのは、この分だと、光琳が使える刹鬼と同様に羅刹の力まで使えるって言うことで、その先の完全覚醒まだ遠い。)」


 私は、夢で言われた言葉の意味を改めて理解した。そして、この力を使えば役に立てるはずだと思って2人にこう言った。


 「この力の使い方を教えてくれませんか?」


 「え?」


 「無理だ。」


 「何で?」


 私が反射的にそう訊くと、立神さんは落ち着いて言い聞かせるように答えてくれる。


 「この力は体が慣れないといけない。君はまだ覚醒すらしていないんだろ? と言うことは、体がその力を使えるほど順応していないんだよ。僕らは15歳くらいから、特殊な環境で育ったから、こんなにも早く完全覚醒を果たしているだけで、普通なら君と同じで覚醒すらしていないよ。それに...この力は...ないほうがいい。」


 「でも使えるようになったときのために少し位...。」


 「奈終夜。彼女たちからすると、僕らはこの力の先輩だ。同い年でもね。だからこそ、この力に関してだけはせめて僕らは発言に責任を持たなきゃならない。特に、この力を何かに役立てたいと言う考えだけじゃ、教えられない。」 


 「お前なぁ...。」


 「...すみません。軽々しいことを言いました。」


 私より力の事をじかに知っている人がこう言うんだ。とても、重要なことなんだろう。私は軽い気持ちで言葉を選ばずに訊いた自分に腹が立ち、言わせた相手に申し訳なく思った。


 「いや、いいんだ。ごめんね。でも...役に立ちたいとか、せっかく見つけた才能を役立てたいって言う気持ちはわかるんだ。昔の俺がそうだったからね。でも、その力を過信しすぎて、取り返しのつかないことを起こさせたくないんだ。それに、力がどんなに使えても、自分の無力感に苛まれる時は、嫌だけど来てしまうんだ。まぁ、これは体験談ってだけだけど。」


 「獅業。お前いつまで。」


 「わかってる。忘れなきゃいけないってわかってる。頭では。」


 「この力について、もう少し考えて見ます。そして...よく考えた後に...使い方を自分で考えて自分なりに頑張ってみます。」


 2人の会話が止まった時にそう言うと、2人は私の方を見て、頷いてくれる。光琳も私の肩に手を置いて頷いている。そうして、ひとしきり会話をした後に、私たちと立神さん達はその場で解散した。別れるときに光琳が手を振ると、虎牙さんが手を振り返してくれた。


 「また会えるかな?」


 「同じ力を持った人たちだからね。きっとまた会えるよ。」


 私と光琳はそう会話をして、一旦レグスに戻ることにした。


一方


 「あの子ら、昔の俺らに似てたな。」


 「そうか?」


 突然の奈終夜の言葉に俺は眉間にシワを寄せながら首をかしげる。


 「馬鹿丁寧な感じお前そっくりだったじゃん。そんでお前が会話している最中は喋らないところとかももう1人の子がそっくりだし。」


 「言われてみるとそうだな。」


 俺は顎に手を当てながら昔の自分の橘さんを、奈終夜を入町さんに重ねてみる。そうして、似ているとわかってくると、思わず吹き出しそうになった。すると、急に奈終夜が真面目なトーンで話す。


 「ってかさ。」


 「ん?」


 「聞いたかよ。あの子らを保護してんの何でも屋だってよ。」


 何でも屋、かつて俺たちにとって大事だった居場所の名前。インベード・ザ・ヴァルキリアさん、立神琴音たてがみことね姉ちゃん、月濤白夢つきなみはくむさん、紅命くれないみことさん、五霞涼太ごかりょうた七瀬時臣ななせときおみさん、七瀬時雨ななせしぐれさん、四条空覇しじょうくうはさん、八重透やえとおる先生。未だに仲間の名前一言一句間違えずに言うことができる。


 「あぁ。懐かしい響きだな。今は誰が営んでいるだろうな。」


 「ベートさんとか?」


 「それはないだろ。」


 あぁあるはずがない。だって...もうベートさんは死んだも同然の状態なんだからな。


 時は少し戻り、薫と光琳が出ていった後のレグス内


 鷹と光琳を見張りにつけたとはいえ、薫を1人で出すのはよかったのか悪かったのか。だが、わざわざ自分から許可をもらいに来て出ていったと言うことは何かあるのだろうと思い、少し距離をとってみた。


 「(なぜ昨日あのようなことを...またその時じゃないというのに...疲れていたからか? 俺が? ありえんな。)」


 そんな事を考えていると、バンバが書類を片し始めていた。


 「書類仕事は終わったか?」


 「あぁ案外退屈だなこういうのは。」


 バンバは書類をまとめて棚の中にいれて、コーヒーを飲む。


 「これを毎日やっていた俺の苦労がわかったか。」


 「お前の場合、毎日と言うか、寝てる期間の間での書類仕事を一気にやってた印象だがな。」


 「まぁ否定はしない。」


 俺が紅茶を飲みながら、バンバの言葉を返す。かつての俺と比べて、随分とバンバとの距離感も掴めてきたな。


 「で? 随分とまったりしているが、これから何かあるのか?」


 「ああ。これから富士浪さんの墓参りに行き、その後に富士浪清雅さんに会いに行き、そのままルーク・ギルデアの元に行く。そして、浦坂千波と七瀬愛翔に会わせて貰う。」


 「盛り沢山だな。」


 「昨日休んだ分な。」


 俺とバンバを出掛ける支度を済ませて、シャインティアウーブの墓地に向かう。途中で花屋に寄って、バンバはピンクのガーベラを俺はカンパニュラを買って、店で線香とマッチを買い、富士浪誠二さんの墓の前まで来た。


 「富士浪清雅さんは泣いていたか?」


 「いや? 毅然とした態度で、式を執り行っていたな。」


 「...そうか。」


 葬式にも国の復興にも手伝えなかった事が俺の背中にずしりとのし掛かる。そのまま、俺とバンバは買ってきた花を生けて、ろうそくの火で線香をつけ、合掌する。


 「(どうか安らかな眠りを...。)」


 「(何もできず...すみませんでした...。)」


 その後、ろうそくの火を消して、一礼した後に、富士浪清雅さんの元に向かう。


富士浪家の邸宅


 俺たちは門の前まで来て、インターホンを鳴らす。すると、門が開いて、玄関から純白のレースの服を着た富士浪清雅さんが出てきた。


 「クリードさん。目が覚めたんですね。よかった。」


 「ご心配をお掛けしました。菓子折りを持ってきたので、これをどうぞ。」


 「あ、ありがとうございます。」


 話し方や様子をを見ても、体調は良さそうだ。だが、寂しそうではある。まぁ、1人になってしまったのだからな。あたりまえだな。


 「えっと、何か用があって来たんですよね?」


 「はい。今から、ルーク・ギルデアの元に行き、今回の一件を引き起こした奴に会いに行くのですが、そこについて来てほしいのです。」


 「おい。3日経ったとはいえ、それは酷じゃないか?」


 「だが、いつかは向き合わなければならない。なら早い方がいい。」


 バンバの意見に、俺は俺なりの意見で反論する。それを聞いていた富士浪清雅さんは少し考えて、答えを出した。


 「行きます。どんな目的だったのかも、理由だったのかも、私は何も知りません。でも....この機会を逃したら、私はこのまま逃げ続けると思うんです。この家にはもう私しかいないことに、何か理由をつけて逃げると思うんです。」


 「だそうだ。」


 「...本人がそう言うのなら俺がこれ以上口出しする義理はない。」


 その答えに、バンバは頷きながらそう言い、すぐに向かう準備をする。


 「ちょっと待っててください。私も準備するので...。」


 彼女はそう言って、邸宅の奥の方に行った。


 「アポイントは取ったのか?」


 「いや、だがあの性格的に行けば会えはするだろう。」


 「ふっ、行き当たりばったりだな。」


 「そうだな。」


 俺たちがそんな会話をしていると、奥から白と水色の髪飾りをつけて、花の模様が散りばめられている着物を羽織ってきた。


 「行きましょう。」


 彼女がそう言うと、俺たちは玄関口から先に出て、鍵をかける彼女を見てから共に邸宅を後にする。


シャインティアウーブ地下監獄付設尋問所


 市長室に向かってみたものの、そこには無月アスカがいるだけで、肝心のルーク・ギルデア居なかったため、もう監獄施設に向かったことを告げられ、事情を説明し、入室許可証を貰い、尋問所前まで着た。


 「結構遠かったですね。」


 「まぁ、地下の最奥と言っても過言じゃない場所ですからね。」


 「ここからは音の反響でルーク・ギルデアがどこにいるかを当てるか。」


 「そうだな。」


 バンバの提案に俺は同意しながら尋問所一つ一つの扉にてのひらを当てて、どの部屋にいるかを地道に探す。


 「部屋が沢山ありすぎて迷いそうですね。」


 「そう...ん? そこか?」


 「あぁ、ここから浦坂千波とルーク・ギルデアの声が聞こえる。絶賛尋問中と言うよりかはこれから始まるって感じだな。」


 俺はそう言うと、扉をノックする。


 「? どうぞ?」


 すると、首をかしげてそうなルーク・ギルデアから入室許可をもらった。


 「あ? あ! クリード! 無事だったか! と、バンバ! 国の復興のときは助かったよ! ありがとよ!! それと...せ...清雅さん....。...清雅さん!?」


 俺たちを見て急上昇して急降下してまた上昇するように表情をコロコロ変えながら、最終的には焦って、入ろうとしていた俺たちを押し戻して一緒に外に出て扉を閉め、俺に小声で詰め寄る。


 「おいわかってんのか! 加害者と被害者だぞ!? くそ気まずいどころの話じゃねえ、何が起こるかわからんだろうが!!」


 「だが、向き合わないことには前に進めない。」


 「そんなことは...まぁ一理あるけど、別に今じゃなくてもいいだろ! 3日だぞ3日経ったの! まだ心の整理の最中だろうがぁ!!」


 「落ち着け。何か起こりそうならもちろん俺とバンバが止めるつもりでいる。それに、そこまでの距離まで近づけることはお前が許可しないだろ。」


 「そういう問題じゃねえ。」


 俺とルークが小声で問答を交わしているところを見ていた富士浪清雅さんが俺たちの間に割って入り、ルークに向かって言う。


 「お願いします。向き合わせてください。自制はできます。」


 「...でも...。あの女の話を聞いてたら、辛くなりますし、ようやく落ち着いてきた心の傷がまた開くことに...。」


 「覚悟してきてます。」


 「......わかりました。ただし、少しでもおかしな動きをすれば、かなり強引に止めさせて貰います。」


 「ありがとうございます。」


 ルークはそう言って、俺たちを中にいれて、さっきまで座っていた椅子を引いて富士浪清雅さんを座らせる。


 「こんにちは、富士浪清雅です。」


 「あたしを殺しに来たか?」


 「いえ、あなたと向き合うためにき来ました。互いのこれからのために...。」


 会話が始まると、俺とバンバの隣にルークが並ぶ。

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