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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第二章 シャインティアウーブ編

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白澤光

ヒカリの回想


 あたしは、ゴミみたいな両親の元で生まれた。おぼろ気に生まれた直後ことを覚えている。生まれた瞬間までは笑顔で「いい子に育てる」なんて言う...何の根拠もない言葉をかけられた。


 「え?」


 でも、あたしがスペアネルと言う異形の能力者だとわかった瞬間、抱いていた赤ん坊のあたしをその場で手放して落としたんだ。でも...スペアネルだった影響で、赤ん坊の体でも痛みは感じたが死ななかった。


 「先に行く。」


 「えぇ、行ってらっしゃい。」


 それからは...ずっとひどいもんだった。赤ん坊のあたしを、世話どころか、認識しようともしない。まるでいないもののように扱われた。そうやって、あたしは死なずに3年生きた。飯も食わず、便もたさず、服すら着させてもらえなかったのに...。3歳になったあたしは、スペアネルという体の影響で自然と動けるだけの筋肉がついた体で両親が仕事に出ていった隙を見て、ほっとかれた3年間で両親の会話から覚えた言葉で本を読み、言葉を覚えたり、自発的に動いて役に立とうとした。何でそうしようと思ったのか、今じゃほとんどわからない。でも、子供心っていうのかな、褒めてもらいたかったんだと思う。


 「何でこんなところに本が...。まぁいっか。片付け忘れちゃったんだわ。」


 そうやって、5年経った。ここからが地獄だった。8歳になって急にあたしを両親が認識しだして、知らない男の人と一緒にあたしの誕生日を盛大に祝った。当時は嬉しかった。やっと、子として認めたもらえたんだと思って...まぁ違うんだけど...。


 「ようこそ。これからはここが君の家だ。」


 翌日、目を覚めるとあたしは見たことのない場所で目覚めた。全裸の状態でカメラだらけの部屋、ずっと監視されている。男達があたしを見て楽しそうな声で部屋全体から話しかけてくる。毎日、毎時、毎分、毎秒、あたしが眠らないように霧状にした薬品を散布する。


 「1年間不眠生活お疲れ。」


 そうして、1年経って9歳になった。それからは変な服を着て外に出された。もちろん監視付きで。外の人間は皆あたしを無視する。でも、1年間不眠のままで未だに眠りに就いてないあたしからすると、気にならなかった。いや、気にしないようにした。


 「久々のどうだったかな? 楽しかったろ?」


 「はい。」


 あたしは監視者の人間の言葉にただごく普通に返事をした。そして、またしばらく外に出れないことがわかった。それからは不眠生活をした場所で力を完全に発現させる為の実験が始まった。全身を骨折するまで殴られること。最初の頃は痛くなかった。でも、しだいに痛覚が反応してくるようになって、激痛が走り毎日骨が折れた。でも、自然と再生するから全身骨折した後はそのまま放置され、1日経つと、また折られる。しばらく経つと、槍で内臓や関節を貫かれるようになり、今度刺さったままにされた。再生と共に槍が真っ二つになるのを見ると、折れた箇所でまた同じ様に刺す。


 「早く発現しておくれよ。」


 しだいに監視者達の対応は雑になっていき、最初はただ折り、ただ刺すだけだったことが、折った箇所をさらに重傷にするために、槍を刺して抉るようにかき回す。それであたしが悲鳴をあげると、顔面を蹴って、喉元をつかんで声を潰す。それがエスカレートしていき、目を火で炙られたり、重火器を持ってこられて、体に穴を開けられたり、外に出されて、他の人がいつも通りの日常を過ごしているなか、まるでショーのように戦車で撃たれた。その光景を見て、そこの国民達は笑っていた。心のそこから楽しそうに...。


 「お疲れ、もう終わりだ。4年...不眠をいれると5年か...も縛ってすまなかった。これから自由だ。」


 そうやって、4年経ち、13歳になったある日、突然そう告げられた。あたしは声も出せなかった。なぜなら、自由というものを知らないから。縛られていたという感覚すらなかったから。そんなあたしの気も知らないで、あたしは出された。あたしはフラフラな状態で頑張って、家に帰った。両親に会いたかったから。でも、これは両親に対する愛じゃない。親というものに対する依存だ。


 「偉いねぇ。光輝くん。」


 「君は自慢の私達の息子だ。」


 そうわかってたのに、自分とは違う対応をされている子供...弟だったのかな。を見て、あたしはその場から逃げるように離れて、人目のつかないところに行って、崩れ落ちた。


 「何で、何で、何で...!! そこは...私じゃないの? 何で、あんな笑って、あんな誇らしそうで...私の...誕生日の時にしか見せなかった笑顔より、褒め言葉より、ずっと心があるの? 何で...先に生まれた私より、愛されてるの!? そこ...私じゃないの!! 私だって愛されたかった!! 笑ってもらいたかった!! 誇らしく思ってもらいたかった!! あたしだって...こんな体で生まれたくて生まれてない!!!」


 あたしは抑えていた気持ちを全部吐き出すように言った。ずっと泣いてた。そうして、知らない間に眠ってしまっていた。そして、次目覚めた時は、ベッドの上だった。変な服は脱がされてて、代わりに男物の服を着させられてた。


 「おはよ。」


 あたしは驚いて、声をかけられた方向を見ると、そこには昨日あたしが妬ましく思った。弟、がいた。あたしは気まずくて、目をそらしてベッドから出て、立ち去ろうとした。そしたら、弟、があたしの手を掴んで止めてきた。


 「ダメだよ。何か具合悪そうだし。ここにいた方がいいよ。お父さんからもお母さんからも許してくれたし。大丈夫だよ。」


 正直、この言葉を言われた瞬間、何でいいやつなんだよって思った。性格悪くいてくれよって思った。何で優しいんだよ。自分が、まるで性格悪いみたいじゃないか、って....。でも、その通りだ。あたしは、先に生まれたことを理由に、あの子が愛されていることを妬んだんだから。


 「うるさい!! あんたに何がわかるんだ!! あたしは平気だ!! あんたなんかに気を遣われなくてもね!! だからほっといてよ!!」


 そうわかっていたからこそ、悔しくて、あたしはそうやって怒った。でも、あの子は首を横に振って反論してきた。


 「ほっとけないよ。だってずっと苦しそうな顔してるんだもん。何がわかるって言われても、わからないけどさ...。」


 あの子なりに言葉を選んでいるように感じた。そんな子に当たっている自分がもっと嫌になって、その子の言った通りにした。そして、その日の夜。息子の前なのか、やけにその子の両親は優しくしてくれた。その子もその様子を見て、安心したように笑った。あたしも合わせるように頑張って笑った。そうして、あたしは半年くらい自分の家のはずだった場所で寝泊まりをさせてもらった。最初は息子と部屋を分けたがっていたが、息子の希望で一緒の部屋で寝ていた。


 「そういえば、名前聞いてないけど、名前なんて言うの?」


 「ないよ。そんなものない。だから適当に呼んでよ。呼ぶんだったら。」


 「名前ないなんてあるんだね。」


 「あるわけないじゃん。あたし...人間じゃないんだから...。」


 「ん?」


 「ごめん。何でもないよ。」


 半年経った頃、弟、はあたしのありもしない名前を聞いてきたことがあった。でも、半年間ほぼ一緒にいたお陰で心を大分許していた、弟、に自虐混じりの言葉で受け流した。


 「じゃあ、俺が決めていい?」


 「いいよ。」


 「じゃあ、ヒカリ。白澤 光。」


 「....あんたと同じ苗字じゃん。」


 「いいじゃん。似合う。」


 「あっそ。」


 あたしは自分だけの名前に思ったより嬉しくて、言葉に詰まったんだ。それから、ずっとヒカリっていう名前を名乗ってる。でも、それからの日々は全部嫌なものだった。


 「この子がやったんだよ!!」


 ある日、事件に巻き込まれた。盗難事件。これをあたしのせいにされた。証拠なんてなかった。ただ、回りから嫌われているから、あたしや光輝がいくら弁明しても、聞き入れてもらえず、その盗難事件の犯人はあたしになった。そうして、毎週毎週、事件に巻き込まれては、あたしのせいにされて、しだいに事件でも何でもないことでも、あたしのせいにされた。そういう日々になったから光輝の両親から、追い出されそうになった。でも、光輝が頑張って交渉してくれて...。追い出されない方法としては、一週間に10個善行をしたら、許してあげるというものだった。


 「はい。」


 あたしはできると思った。人とは違うこの体がやっと役に立つときだと思った。でも...。


 「認められない。光輝、悪いが...諦めろ。」


 あたしがやった善行は全て自分でやって、自分で解決したものだと見なされて、なかったことにされた。でも、光輝は諦めずにあたしを庇って、一緒に家出してくれた。この日々を合計して、知らないうちに1年経ってた。あたしは14になった。そして、あの日が来た、家出して5日目のことだった。


 「お父さんもお母さんも、何で光にあんな厳しいんだ? 不公平だ。」


 「あんたほんといいやつだね。ほんと凄いよ。」


 川辺で疲れきったあたしと光輝はそんな話をしながら寝転がっていた。服は汗臭くて、体は汚れてて、状態は最悪。でも、楽しかったんだ。その時までは。


 「ん?」


 「どうした?」


 「何か川辺で見えた気がする。ちょっと来てよ。暗いし、誰も気づかないよ。」


 「おい待て。」


 あたしは川辺の方に歩いていく光輝についていって、川辺の方を2人で見た。でも、なにも見えなかった。


 「ごめん。気のせいだったっぽい。」


 「何だよ。家出してる最中だって忘れたのか?」


 「ごめんごめん。」


 あたしが元の場所に戻ろうとした瞬間...


 バン!!


 という銃声と共に、背後から撃たれた。


 「グッ...!!」


 あたしはあの4年間ですら感じたことのない痛みにその場で倒れる。


 「ヒカ...むぐっ...!!」


 あたしが背後を見ると、拳銃をもった男が光輝の口を塞いだ状態で立っていた。それで、あたしに気持ちの悪い笑顔でを向けながら言った。


 「光輝君流石だねぇ。川辺に誘き寄せてくれるとは...。」


 「は?」


 「...!!!」


 あたしは予想していなかった言葉にひどくショックを受けた。それこそ、痛みを感じないほどに...。ずっと信じてた。ずっと味方だと思ってたやつに裏切られたことのショック。だけど、その瞬間に直前の不自然な行動に納得がいって、光輝の前で流したことのない涙を流した。そうすると、回りから銃を向ける音が聞こえた。


 「まぁ、でもよかったじゃないか。これで君も死ねる。今君に撃ったのはね。壊弾。対スペアネル、ブラッティソル専用の銃弾。つまり、お前みたいな化け物を殺すために作られた銃弾って訳だ。撃たれた対象は一定の時間動けずに、体がガラスのように壊れていき、その間全身が破裂する痛みが100%で襲ってくる。脳を勘違いさせることによってな。」


 何て言ったのかよくわからなかった。その時のあたしはもはやそれどころじゃないからだ。唯一の味方に裏切られたショック、結局一人だったという寂しさ、あたしのことを何とも思っていないことに対する怒り、そして....心の中でずっとあった人間への嫌悪。それらが一気にあたしに押し寄せて来た。


 「うるさい。」


 「ん?」


 「うるさい!!」


 あたしはそう叫んだ瞬間、回りに集まっていた人間を光輝以外一瞬で全て皆殺しにした。


 「光...。これが、あたしの力...。」


 「ヒ...。」


 攻撃に巻き込まれた光輝があたしに手を伸ばした。でも、あたしはそれを振り払って、頭を殴って気絶させて、その場から立ち去った。理由は、生き残りを殺す為。殺している最中、何度も化け物って言われて、イラっとして否定しようとしたけど、人間なのも嫌だから、否定できなかったんだよね。そして、そんな調子で一晩で国を滅ぼした。いいやつがいたかもしれないって? 知らないよ。味方しなかった時点で同罪だ。それに、いつかどうせ死ぬんだから、今死んでも別にいいだろ。そうやって、あたしは光の力を持ったスペアネルになって、その状態で1年間惰性に生きて、15歳になった。そして、近くで同時期に同じような事件が他に2個あったことを聞いて、あたしはより近い方がいるところに向かった。理由? そんなん、あたしより強かったら、殺してもらうために決まってんじゃん。


 「ほんとにいた。」


 「あ?」


 見つけたそいつは、ひどくやつれた顔してて、長い黒髪はボサボサで、目の下クマできてて、目は虚ろで、幽霊かよってぐらい不気味なんだよ。でも、あたしがスペアネルだとわかった瞬間、普通に話してきてさ。第一印象の不気味さを忘れるくらい、普通に会話できた。で、目的話したら、普通に驚かれた。


 「人間が憎くないのか? この力があれば、簡単に奴ら殺せるんだぞ?」


 「あたしは...そんな気になれない。もう生きてたくないんだ。」


 「じゃあフェアにやろう。近い境遇のやつを一方的に殺すのは嫌だ。」


 「お互いを本気で殺そうと一発撃つってこと?」


 「うん。」


 「そっか。わかった。」


 あたしはそいつの提案に乗って、少し離れた場所で相対するように向かい合った。


 「一応最期かもしれない。なくてもよかった名前を言っておく。黒崎 闇裏アンリ。」


 「じゃああたしも。白澤 ヒカリ。」


 で、名乗った後に自分ができる一番強い技を互いに同時に当たるように放った。


 「影静斬貫砲えいじょうざんかんほう。」


 「光轟輝刃破こうごうきじんは。」


 そうして、あたしは影の剣と槍に身体中を切り刻まれ刺し貫かれた。全く同じタイミングで黒崎は、轟音と共に光の刃に同じように身体中を切り刻まれて、その衝撃なのか、あたしたちはそのまま吹っ飛んでった。でも...死ねなかった。で、傷の治りもいつもより圧倒的に遅いから、隠れながら生きてた。それでわかったんだ。口だけで生きたくないって言ってだけで、実際は生きていたいんだなって。で、そうしているところに、あんたと出会った。そんで、あたしは警戒して立ち上がったんだけど、それであたしの容姿を見るなり、あんたは飯をくれたね。


 「美味いか?」


 「うん。」


 「そ。」


 「...ありがとう。」


 あたしとしては、素直に感謝を述べた気でいた。でも、無愛想だったんだね。こうやって手伝わされることになった。まっ、あたしがいいよって言ったんだけどね。頑張って役に立つよ。生きていたいって思っても、生きている理由がなかったから。


地下の監獄施設


 地下の監獄につくやいなや、浦坂千波が突然目を覚まして、今暴れている女、白澤光の過去を聞いた。


 「それが、あの女の過去っすか?」


 「そ、聞いた話だけどね。」


 「どんな過去があろうと、やったことは許されないっす。でも、話してくれてありがとうっす。」


 俺はそう言って、2人を監獄に閉じ込めた後に、常設されているアンドロイドボックスに入って、アンドロイド体を眠らせてアスカの元にサポートAIとして戻る。


移動中 地上から地下 ルーク アスカ


 「ほんとここの扉開くのおせえ。」


 「ちょっと遠回りだとしても、1人用のところ行くべきだったね。」


 「後のことを考えたら、こっちのがいいかなって思ったんだよ。」


 俺とアスカがそんな会話をしていると、アスカのライレトにラブが戻ったサインを出した。


 「ラブ、戻ったんだね。後一仕事頼むよ。」


 「期待してるからなラブ。」


 俺がわざとプレッシャーをかけるようなことを言ったが、ツッコミがない。何かあったのかと思って訊こうとすると...


 「1つ報告があるっす。」


 「「報告?」」


 と先に喋り出した。


 「あのスペアネルについてっす。」


 その一言を聞いた瞬間、俺とアスカは黙ってラブの話の内容に耳を傾けた。


 .........。


 話を聞き終えた後の俺たちの雰囲気は良いとは言えない状態になった。


 「どんな過去があっても、やったことが...」


 「許される訳じゃない...だろ?」


 「ルーク...。」


 「元と変わらない。殺しはなしだ。たとえ奴が俺の大事な仲間を殺したとしても、捕縛に全神経を注ぐ。15だろ? 俺らは27だ。大人だよ。大人は餓鬼を正しい方向に導くもんだろ? やり直しきかないかもしれねえけど。まっ、やれるだけやろうや。」


 俺はアスカの目を見ながら少し重い感情を込めた声で言った。


 「遺族に恨まれますよ?」


 「国のトップになった時点で恨まれて命を狙われる覚悟はできてる。」


 「そうですよね...。じゃあもう何も言いません。」


 俺とアスカがそう覚悟を決めると巨大な扉は開いた。俺とアスカは飛び降りるように地下に入る。すると、見知らぬ男に女...白澤光が踏み潰されていた。


 「あれ? もう終わるか?」


 「そんな簡単にいくわけないでしょ。」


 俺とアスカがそんなやり取りをすると、地上の空は晴れ、地下を照らす光が全て異常なほどに光輝き出す。


 「光界だ!!」


 見知らぬ男がそう叫んだ瞬間に目の前に白澤光が現れる。だが、アスカにも、あの見知らぬ男の近くにも白澤光がいる。恐らく、どれかが分身で本物がいるか、それかどれも分身で本物はいない。


 「光の少ない場所での戦いも光を吸収する場所の戦いも、もう慣れた。もう、殺す。」


 「できるならな。」


 白澤光の目には確かな怒りと憎しみが見える。だが、過去を知った今ならわかる。怒りと憎しみの裏に、背けた事実に対する後ろめたさと、後戻りはできないことを悟り、本当に人間を捨てることにした覚悟が。


 「かかってこい!! 俺は!! お前には絶っっ対に負けねえぞ!!!」


 「知らないよ...!!」


 女はその言葉と同時に、光速で俺に殴打と蹴りの連打を入れて吹っ飛ばした。


 「今の一瞬で約30万発入れられました。しかも、一撃の重みが速度を加えるとおよそ1メガトンに匹敵します。」


 「...さっきと違って、ちゃんと速度も重みもあるな。同じ様に受け続けたら、今度は流石に破損するかもな。」


 マーシィの解析と実際に受けたダメージでさっきとは比べ物にならないことを実感する。


 「マーシィ、熱源感知で本物の白澤光を探せ。」


 「いえ、その必要はありません。」


 「んあ?」


 「地下と地上全て含めた光そのものが全て白澤光本体です。」


 「.....ぁあ~、そういう感じ?」


 あまりの規模のでかさに唖然としたが、すぐに


 「そういやスペアネルってこれくらいデタラメだったな。」


 と思いだし。地下の天井から俺を見下している分身体を見ながら立ち上がる。…。


 「マーシィ、本体に触れる方法か、どの攻撃が有効か解析してくれ。それまでは、俺1人で分身体の相手をする。」


 「了解しました。」


 マーシィの返事を聞いた後、俺は分身体に向かって右手の指先で挑発するように手招きをする。


 「おら、まだ立ち上がれるぞ。見下してないでかかってこいよ。タイマンはろうや....!!」


 そう言った瞬間、光ったと思ったら次にはもう顔面に膝蹴りをもらい、吹っ飛ばされるところですぐに背後に回られて、背中を殴られ、超近距離で1人キャッチボールのボールにされて、締めにかかるように、宇宙まで持っていって、足首を持たれた状態で振り回されて、そこから地下の地面まで光速で投げられ、激突したところに追い討ちをかけるように後頭部に踵落としをされ、俺が立ち上がる前に頭を掴み上げられて、一直線上の地下の建物を全て破壊する勢いで投げ飛ばされた。でも、破壊された建物はなんだか知らないが、勝手に元に戻る。


 「どうなってるかは知らねえが助かるなこれ。だって、修理費のこと考えなくていいんだろ? 好きに暴れられるじゃねえか。」


 「!!」


 俺がそんなことを言っていると、また光ったのが視界に写ったと同時に、今度は腹部を蹴り飛ばされ、そこから全身を蹴られた後に、両腕を捕まれて上空から回転するように投げられる。そして、建物を貫通したと同時に、光の槍で刺してくる。


 「あっぶな...。」


 完全な運で急所を外し、距離を取ろうとするが、永遠に完全な光の速度で殴られ、蹴られ、切られ、刺され続ける。


 「頑丈な鎧だけど、流石にきつそうだね...。」


 「...。」


 「ん? 死んだ?」


 「(さっきから視認した瞬間に攻撃されてる。でも、ボコられてる中、こいつ動いた瞬間の気流の乱れ、音、動きの中にある若干の隙...。掴めてきたぜ。対応するには、相手に気づかれずに、先に動かなきゃいけないとか言う、鬼仕様だが...。) 安心しな、まだだよ。」


 俺がそう返した瞬間に、すぐに攻撃を仕掛けてくる。とっさに防ごうとするが、意味なく攻撃が辺り、地面に埋もれる。


 「(はぁ~。キチィ~。でも...勝つぜ...俺は...。)」


 地面に埋もれた俺を片手で持ち上げて、身動きがとれない状態で腹部を光速で殴り続け、側頭部を蹴って、また吹っ飛ばされる。こんな感じが何度も繰り返される。だが...それだけ、慣れてくる。


 「!!」


 「!」


 ガンッ!!


 鈍い金属音と共に白澤光の分身体の動きが止まる。


 「?」


 「掴んだぜ、お前の動き...!!」


同時刻 地下 無月アスカvs白澤光


 さっきまで一対一の勝負をしていたからだろうか。朱刄の状態もあって、本当にギリギリでついていけている。でも...攻撃をする隙がなく、防戦一方だ。


 「厳しいかな。このままだと。」


 「喋っている場合?」


 「喋ってると意外と落ち着くもんですよ。」


 でも、なんとか攻撃を当てて、倒せたところで本体じゃない。すぐに復活してくる。しかも、光界による蓄積ダメージのおかげで、いちいち日陰に隠れないといけないのに、それもやらせてもらえない。光界の範囲全ての光が、白澤光本体。この規模を何とかするだけだったら、今の武装でいいけど、今の状況を打開するには、不十分。だけど、今制限なしで使える武装の中で一番強いのはこれ、何とかするしかない。


 「ふぅぅぅぅぅぅぅぅ。」


 「もう勝てないよ。チャンスはあったのに、何度も逃したのはお前たちだ。」


 「...そうですね。でも、おかげでまだ生きているでしょう?」


 「まだそんなこと言えるんだね。」


 「口だけは元から達者なもので...。」


 私がそう言うと、鍔迫り合いをしている最中、突然白澤光が姿を消し、力んでいた反動で体勢を崩した私の顎を蹴りあげる。でも追撃はさせない。私はすぐに動きを先読みして、光剣をライフルブレードで受け止め、また鍔迫り合いのような体勢に持っていく。


 「さっきから、学ばないね。」


 「脳があなたより年取ってますからね。」


 私がまたそう言うと、白澤光は光剣を押し出して、光速で私に攻撃する。それを先読みして翼をラブに操作させていなしながら、ライフルブレードで切りかかるが、容易く避けられ、カウンターのような形で光速の蹴りを直撃させられ、それで体勢を崩したところに、すかさず光剣を振り下ろされて、そのまま同じ箇所を切り上げられる。


 「クッ...!!」


 「対応されてきてるっす。それに、電力も燃料による動力エネルギーもかなり減ってきてるっす。しかも、光界の熱による熱暴走で戦闘不能になる可能性も...。このままじゃまずいっす。」


 「鬼のような速度で成長してる...。でも、こっちにもプライドがある。分身体程度には負けられない。」


 「ふ~ん。じゃあどうすんの? 光が当たっている場所全てが、あたしの行動範囲。あんたにとっての1kmは、あたしにとっては1mmにも満たない移動距離。」


 女はそう言いながら、私の背後に一瞬で移動して、腹部を光剣で貫く。


 「あの防御力は動力エネルギーによるもの。普通ならこうやって貫ける。」


 「グッ...!!」


 すぐにライフルブレードの引き金を引いて反撃する。でも、簡単に避けられて光剣で貫かれた箇所を光速で秒間30万回蹴られ、血が吹き出す。それによる激痛で私は血が流れている箇所を押さえながら、片ひざをつく。


 「...。」


 「なぜ、止めを刺さないんです?」


 あからさまに隙を見せている私に攻撃を仕掛けてこない彼女に私は平気そうな声で訊いた。


 「なに、刺されたいの?」


 「質問を質問で返さないでください。まぁ、今なら訊けそうなので、質問しておきます。」


 「?」


 「何で、白澤光輝を殺さなかったんです?」


 「!」


 私が白澤光輝の名を口にした瞬間、彼女は光剣を私の首もとに向けて、怒りの表情を浮かべた。それでも、私は続ける。


 「彼はあなたを裏切ったのでしょう? だったら殺さず、気絶させるだけで済ませたのです? 彼以外のあなたの故郷にいた人間は全員殺したと言うのに...。それに、何で急に止めを刺そうとしたんです? それほど触れられたくなかったんですか?」


 「煽ってるのか?」


 「いいえ、訊いているんです。1人の人間として、1人の人間に...。」


 私がそう言うと、彼女は一瞬だけ沈んだ顔をして、すぐに元に戻り、光剣を強く握りしめる。


 「殺し忘れただけだ。」


 「答える気はないと。」


 私がそう言うと、彼女は光剣で私の首を切ろうとする。すると、ラブが急いで私に報告した。


 「電力と燃料の前借り完了!!」


 それを聞いた瞬間に私は速度を一気にあげて、ギリギリのところで光剣を防ぐ。


 「!!」


 「話すまで付き合ってもらいます。」


 「チッ!」


同時刻 地下の街中 バンバvs白澤光


 「こんなことができたんだったら、もうちょっと早くやった方が恥を晒さずに済んだんじゃないか?」


 「こっちにも理由があるんだよ。」


 俺は軽口を叩きながら、ヒットアンドアウェイの戦法に徹している女の攻撃を先読みして防戦に集中する。


 「(こいつ...こいつだけ...他2人と違って攻撃が重すぎる。最初に戦った時はあたしの方がかなり強かったはずなのに...。今は完全にあたしが負けてる。)」


 「考え事とは余裕だな。まぁ実際そうだろうが...。」


 俺はそう言いながら、攻撃を仕掛けてみるが、案の定当たらない。


 「お前の強さは一体どこから来ている? 本当に経験の差だけか?」


 「磨いてきた技術も潜り抜けた場数が違うんだから、最初の戦闘で決着をつけられなかった時点で、お前が俺に勝てるわけないだろ。」


 俺がそう煽ると、すかさず光弾を大量に撃ってくる。そして、それを先読みして剣で切り伏せながら、避けていく。だが、切り残しも多少は出る。それが俺の体を傷つけていき、そこから大量に血が流れ出てくる。気づけば全身血だらけ。だが、まだ全然動ける。


 「(あんなに血が出ても、全然辛そうじゃない。どう考えたっておかしい。あれだけ血が出れば、誰だって苦痛で悶え苦しむ。)」


 「(面倒だ。)」


 俺はあえてわかりやすく隙を作る。


 「閃光烈脚!!」


 その瞬間に、目の前に女が現れたと同時に蹴りをいれてくる。俺はそれに合わせて防御してカウンターを決める。


 「ぐぁ...!!」


 俺のカウンターに苦悶の表情を浮かべる女は鋭く睨みつけてくるが、見下す姿勢で剣を強く持つ。


 「...これでも立ち上がる力があってなお人間を名乗るのか化け物。」


 俺がそう言うと、女は光速で接近し零距離で光の砲撃を放つ。


 「!」


 寸前で避けようとした瞬間、俺の目の前に氷の壁が現れ、攻撃を仕掛けて来ていた女を勢いよくクリードが蹴り飛ばした。


 「大丈夫ですか?」


 「すまない。助かった。」


 俺は見知らぬ女性に話しかけられ、一瞬戸惑ったが、すぐに礼を言い、チェーンナイフを手に戻しながら、着地するクリードの隣に立つ。


 「すまん。油断していた。」


 「いや、光速で動いている相手なんだ。想定外のことは起こりうる。」


 「...あの人は?」


 「富士浪清雅さん。富士浪誠二さんの娘さんで、氷の能力者...恐らくランクNo.2だ。あの人は死んだ。」


 「...そうか。俺は話せずじまいだったな。」


 「終わったら墓参りにでもいくか。」


 「あぁそうしよう。」


 俺はクリードとそんな会話をしながら、光の粒子が集まって再生する女を見ている。


 「勝つ算段は?」


 「この槍を本体に刺す。そのためには、あと2人の協力がいる。」


 「合流することを防戦しながら移動していくという形か。薫と光琳は怪我と疲労で動けないぞ。」


 「わかっている。だから、2人と残りの国民たちの守りを清雅さんに任せる。」


 「了解。」


 「始めるぞ。」


 俺たちがそうやり取りをし終わった瞬間に、女が攻撃を仕掛けてくる。俺はクリードの前に立って、防御する。対してクリードは後ろに跳んで回りに溶け込むように姿を消す。


 「援護に徹するということか。まぁ、それが当たり前か...。」


 「なに喋ってる。」


 女はそう言いながら光の蹴りを俺に浴びせようとしてくる。


 「このラストスパートに持っていこうと言うことを喋っていたんだ。」


 俺は微妙に近い方向で戦闘音が聞こえる方向に跳んで敢えて蹴り飛ばされる。そして、無月アスカともう1人の女が相対している間に割り込むように着地した。


 「え?」


 「「合流された。」」


 「よし...ビンゴだ。」

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