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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第二章 シャインティアウーブ編

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30/96

正体

10分前 


ーーー視界が戻った。音も正常に聞こえるな。


 俺はそう言いながら、胸ポケットに入っているネックレスを取り出して、首にかける。ついでにオールバックだった髪型を一回ゴーグルを外して前髪を下ろし、またゴーグルをつけ直して、羽織っている白衣と黒いワイシャツの袖を肘までまくる。そして、カーゴパンツのポケットに入れていた黒い手袋をつけながら、辺りを見回す。


 「廃工場? いつの間にかこんな所に歩いてきてたのか?」


 あまり見たことの無いところだ。この国には12年間滞在しているが、見たことがない。俺は耳にかけているライレトを使って、現在地を調べようとする。


 「通信障害で圏外か。現在地もわからねえ。マーシィとすら繋がらねえとは...。他の機能も停止しててほとんど使い物にならねえな。辛うじて保存された写真やら映像が見れるくらいだな。こりゃ久々にガチ生身の戦闘か?」


 俺はそう愚痴りながら歩く。


 「(つかやけに反響しねえな。廃工場といえど、外装鉄でできてんだからちょっとした音の反響とかあってもよさそうなもんだが...。)」


 そんな事を思いながらしばらく歩くと...冷たい風が肌に当たった。


 「こっちか。」


 俺はそう言って、その方向に向かって歩く。


 「......。」


 歩きながら、これまでの事を考える。なんか引っ掛かる。


 「(俺とクリードの時はドローン。誠二さんの時は、1回、2回と段階を分けて幻の世界に落とした...。クリードや俺の指摘にあいつは肯定だけして否定はしなかった...。あの世界での体験。クリードや誠二さん、愛翔が何を見たのかわからないが、少なくとも俺の過去を知っている...。いや、俺自身が見せてたのか? あれは...。)」


 そうこうしていると、大きなモニターのある部屋に辿り着いた。そこに戦闘が行われている、もしくは行われた形跡と誠二さんがど真ん中に血を流して倒れこんでいた。


 「誠二さん!!」


 倒れている誠二さんに駆け寄り、流れている血を止めようとする。


 「...手遅れか...。」


 ガシッ!!


 俺がその場から離れようとした瞬間に足首を掴まれる。驚いて誠二さんの方を見ると、今にも息を引き取りそうな顔で、俺になにか伝えようとしている。


 「..ぃ...ぁ...。」


 俺は黙って何を伝えようとしているのかを必死に考えながら聞き取る。これが、この人の最期の言葉。


 「ぅ...ぇ...ぇ...ぅ...嘘...ぁ。」


 「嘘?」


 「わた...しは...あぇ...ぁ...ぁ.ぃ....め...ぇ..ぃぁ...ぁ..い.。」


 「私は...あれ...が? 初めて? ...じゃない...? ...私はあれが初めてじゃない...。あれが初めてじゃない? あれ...幻の世界に...落ちたこと?」


 俺がそう言った瞬間、安堵したのか一瞬だけ微笑み、本当に死の直前で腕を更に強く掴んで、歯を食い縛り、俺の見つめた。


ーーー託す。


 そう、言われた気がした。息を引き取った誠二さんの目を瞑らせて、合掌する。


 「誠二さん。あんたの言葉、命、俺が繋ぐ。あんたの娘は...俺が必ず助ける。」


 俺がそう言った後に、この部屋のでかいモニターの画面が唐突に写し出される。


 「あ?」


 モニターに写ったのは、清雅さんを見つけた誠二さんが病気が悪化している清雅さんを見て、焦っている映像だ。


 「ここで何があったか、撮影してたのか。」


 しばらく映像を見ていると、誠二さんが誰もいない方向に向かって喋り始め、すぐに攻撃をし始めた。


 「は?」


 またしばらく見ていると、突然清雅さんが起きて、誠二さんを刺した。


 「!?」


 その光景に驚いていると、正気に戻ったと思われる清雅さんが俺が見ているモニターを見て、自分の親を手にかけたことに発狂した。と思えば、急に落ち着いて棒立ちになる。そしてすぐに、何もいない場所に銃弾が放たれた。愛翔が写った。そして、愛翔が何もないところに向かって会話しているように話している。そうしていると、急に清雅さんが攻撃を始め、愛翔がそれに必死に対応しているところで映像が途切れた。


 「子に親を殺させたのか...。やってくれたな。つか愛翔! ここの戦闘の跡は、あいつが交戦した跡か。でも捕まった感じじゃねえ。まだ近くにいるはずだ。」


 俺は辺りを見回した後に、耳を澄ます。...少し離れたところで音が聞こえる。俺はその方向に向かって走り出す。その前に


 「...。すいません。」


 俺は誠二さんの遺体に断った後に、ポケットから誠二さんのライレトを取り出して、装着する。


 「借ります。走りながら確認ぐらいできるだろ。」


 俺はそう言いながら、ライレトを起動させる。


 「起動。ユーザーネーム、マスター。...よし、起動した。検索、株式会社富士浪シグステクノロジー...雇用履歴。」


現在


とある研究所


 氷の槍に身体中が刺されている愛翔がいた。その真正面には映像で見た様子が変な清雅さんだ。見たところ愛翔は動けそうにない。清雅さんは止めを刺そうと氷の槍を造形し始めている。俺は助走をつけてからその場から跳ぶ。同時に氷の槍が放たれる。


 「チッ!!」


 俺は舌打ちをしながら、受け身を取って愛翔の真正面に立ち、放たれた氷の槍を片手で受け止めた。


 「ご苦労、お疲れ。よくやった...。あとは...助かるだけだ。な!」


 今できる激励の言葉を述べ、持った氷の槍を投げ捨てた。それと同時に、さっき見えなかった男が立っていた。


 「へぇ~。」


 「な...なに!?」


 男はやけに驚いてる。俺は清雅さんではなく、男の姿を見据えて言った。


 「あ? 何驚いてんだよ? 清雅さん操ってんだったら、俺にビビることないだろ。」


 「(自力でどうやって...?)」


 「もしかしてお前...。」


 「?」


 「自力でどうやって...とか思ってる?」


 「!?」


 どうやら考えを言い当てたらしい。分かりやすく驚愕している。


 「俺さぁ、ずっと考えてたことがあるんだよ。何で、俺やクリード、誠二さんを幻の世界に閉じ込めた事をあんな簡単に認めたのか、正直よくわからなかった。だから、愛翔を加えた4人で会話している時も、考えてたんだよ。ずっとな。だから、これから俺が考えた考えを順にいっていこうと思う。ちょうど答え合わせができそうなお前が出てきたことだしな。」


 「何?」


 「まず1つ、幻の世界についてだ。これに関しちゃ早々にクリードが答えみたいなのをわざと言ってくれたからお前もバレてることは知ってるよな? 俺達が他者から認識できないようにしていただけだから、装備品や直接的な攻撃はできなかった。まぁイレギュラーがあったからかもしれねえが。次に、俺とクリードはドローン、誠二さんは直接段階を踏んで落とした。ここまではある程度全員わかってた。だがなな、偶然にも殺しきれなかった誠二さんのおかげでわかった。」


 「...!?」


 誠二さんの意識があったことはどうやら想定外だったらしい。反応から見ても、ちゃんと息を引き取ったところまで確認済みだったんだろうな。だから、あれは奇跡ってやつかもしれないな。


 「それで、「私はあれが初めてじゃない」って言ったんだ。その後、俺が当てずっぽうで言った。幻の世界に落とされたことかと訊くと、「そうだ」っていう風に笑ってくれてな。ってことは、お前の能力には、他社から認識の阻害が主なくせにそれをした本人に耐性ができてしまうという何とも言えねえデメリットが存在するわけだ。だがこれに対する方法もまたあるはずだ。それが、直接誠二さんに他者からの認識の阻害をかけ続けるってことだ。そうすりゃ、体勢とか関係なく、半永久的に能力を行使し続けることができる。もしこれが間違いなら、わざわざ俺とクリードにドローンを使ったやり方をする必要はねえ。じゃあこれがあってるとしたら、その為にある程度接近できる間柄じゃなきゃいけねえ。じゃあそれでいくと、だれが一番確実性が高いか。」


 「チッ...。」


 小さく舌打ちをする音が聞こえる。


 「もちろん、他にも疑問はあった。それは、初めて誠二さん幻の世界に落とされたのはいつなのか。そんな中、誠二さんとお前との言葉を思い出した。「この出来事の発端の、ほぼ最初からじゃないか。」「その通り、あの辺から既に始まっていたんだよ。」この言葉の流れで出てきたのは、清雅さんの延命治療を担当している医者がお前だったということ。清雅さんが病気にかかったのは、10年前。ここの時点で何かあるなと思った。そんな中、モニターに写ったあの映像。」


 「...!?」


 「あの映像の中に写っていたのは、終始、誠二さん、清雅さん、愛翔...この3人だけだ。お前の姿は写ってない。だが、誠二さんも愛翔もまるで誰かに話しかけているようだった。逆に清雅さんは何かを聞いているような様子だった。そして、さっきの自力でどうやってというような反応。誠二さんも愛翔も幻の世界に落ちていたままで、幻の世界から出てきて、やっと本物のお前と対峙している気になっていた。逆に、完全にかけることが難しかった清雅さんには幻聴だけを聞かせてた。つまり、俺が見てるお前も本物じゃない。ただの幻覚。じゃあ本物のお前はどこにいるか。ここで、またまたお前の発言だ。」


ーーー完全に入ったのは、お前等2人と出会った応接室だ。


 「出会った。へぇ~。あの応接室には俺と、クリードと、誠二さんしかいなかった。あの応接室は、窓がほとんどなくて、外から覗くことはできない。でも、何度か応接室の扉を開けた人間がいる。さて、さっきの話に戻ろうか。俺とクリードと、誠二さんと話していて、清雅さんの容態も知ってて、ある程度誠二さんに接近できる間柄の人間...一番確実性が高いのは...。秘書の浦坂 千波さん...だろ?」


 「フッ...。何をいうかと思えば...あれは女だ。俺は男だぞ?」


 俺の言葉を嘲笑うようにそいつは言うが、俺はすかさず誠二さんのライレトを見せる。


 「浦坂 千波さん。あなたは、10年前に富士浪シグステクノロジーに入社し、異例の早さで秘書までのしあがった。富士浪シグステクノロジーは大手IT企業。あらゆる機械、通信設備の流れを管理している。その技術を持ち、異例の早さで秘書にまで上り詰めた人間が、その企業の管理PCで本気になれば、この国のハッキングもできた可能性が浮上してくる。ちょうど、リーフもいないしな。それに、秘書にまで上り詰めるほど優秀なのに、過去の経歴が無さすぎるんだよな。これはあんたの持ってた。超能力を隠してたってことか?」


 「...。」


 「何とも言えねえ反応するな? あなたが秘書だった場合、清雅さんが病気にかかった年月とちょうど一緒なんだよ。だから俺は、あなたは10年前から清雅さんを狙っていた。だから、その保護者である誠二さんに近づいた。そして、担当医に成りすまし、細胞腐蝕症を発症しているという半分本当で半分嘘なこと言った。なぜ狙っていたかは、既にスペアネルになる兆しがあったから。その影響である程度、頑丈な体になった清雅さんの体に少量の毒を盛りながら、10年保たせた。って予想した。だが肝心の、この10年もかかった理由がわからないんだよなぁ。それに、テゼルの盗賊団ってのにいつ入ったかも、いつ接触したかも詳細わかってないしな。...まぁそりゃ、これから訊けばいいんだが...。」


 俺がそう言いながら見ると、そいつは俺をものすごい形相で睨み付けている。


 「(こいつは、邪魔だ!!) 清雅!」


 「...!!」


 あいつがそう言うと、話している間ピクリとも動かなかった清雅さんが、まるで新しい標的を見つけたような目を俺に向ける。俺は即座に愛翔を貫いている氷の槍を蹴り折って、愛翔を抱えて走り出す。


 「...!!」


 清雅さんは確実に殺すためか、氷の槍を放ちながら地面に生やしまくる。それを俺は掻い潜りながら、放たれている氷の槍を真正面から折ったりして、回りを走り回る。


 「...ぅ...ぅぁ...。」


 「あっすまん、起きた?」


 「何してんの?」


 「とりあえず攻撃をさせて、あいつの居場所を絞る。たぶん、自分がいるところにはビビって攻撃しねえと思うから。」


 「じゃあ、我慢する。」


 「ごめんなぁ、頼むわ。」


 苦しそうに起きた愛翔と会話を続けながら、清雅さんとあいつの姿を目に捉えたまま移動を続ける。そうやってしばらく続けていると.....。


 「...。あ?」


 一瞬だけ、攻撃の手が止んだ場所があった。


 「何をしている? ....まさか!!」


 俺はその方向に視線を写す。ちょうど人が通れそうな位の円形状に攻撃が避けられている。その様子に気づいたのか、清雅さんの攻撃が急に激化する。


 「攻撃を激しくしたってことは...俺の考察...合ってんだ? で、ここに居るんだな?」


 「チッ!!」


 あいつは舌打ちをして清雅さんの方を見る。


 「ごめんな愛翔。ちょっと衝撃伝わるかもしんねぇ!!」


 俺のその場所に向かって、氷の槍の嵐の中を掻い潜りながら、勢いよく殴った。


 「はぁ!?」


 「ごめんなぁ? 馬鹿力なもんで。」


 その場所は崩れ、中から空洞が出てきた。俺と愛翔はそのままその空洞の中に落ちていく。


 「くっ...お...わせられない...!!」


 空洞の先には研究所のような空間があった。そこで、大量のモニターと共に、スーツを着崩した気だるげな女性が椅子に座っていた。


 「いやぁ、昼ぶりですねぇ。」


 俺が分かりやすく煽るように言うと、女性は心底悔しそうな顔で俺の方に体を向ける。


 「さて、対面よろしくお願いいたしま~す。」


 「...はぁ...。お前と直接対決など、できるだけ避けたかったが...そうもいかないようだ。」


 女は眉間にシワを寄せながら、立ち上がり超能力を行使しようとしている。


 「お前の情報は有り余る位持っている。だが、所詮武装はしていない。生身で私に勝てるとでも?」


 「...生身でお前に勝てないとでも?」


 女の挑発に俺はいつもの調子で煽り返す。それを聞いて、愛翔が起きる。


 「俺は...大丈夫。戦ってくれよ...。」


 俺はその言葉を聞いた後に、愛翔の状態を見る。氷の槍で刺された箇所は少し出血し始めている。


 「(血止めの為にあえて抜かなかったが、悪手だったか。) いや、速攻終わらせりゃいいだけの話だよな。」


 俺は愛翔を置いて、自分のライレトを取り付ける。そして、愛翔に耳打ちをする。


 「もうすぐ通信システムが復旧する。そしたら、そのライレトを使って、アスカって名を呼べ、そしたら問答無用で通信が繋がる。大丈夫、片手間で助けに来てくれるさ。」


 「清雅!!」


 俺がそう言っていると、しびれを切らして女が叫ぶ。


 「ガードシステム起動。こいつを守っとけ。」


 その瞬間、ライレトから光が放たれ、球体状のバリアが展開され、氷の攻撃を見事防ぐ。


 「全く、もうちょっと余裕持とうぜ? お前、俺が現れてから何か変だぞ?」


 「(この男は...即、殺る!!!)」


 「かかってこいよ。逃げないからさ。」


同時刻 とある研究所内部


 一人の白い紳士服を着た男が回りの戦闘の後を見ている。


 「これは...間違いない。スペアネルの攻撃だ。近くにいる。」


 ーーー清雅!!


 「ん?」


 ここではない遠方の方で、声が聞こえた。その近くまで歩いていく。すると、


 「...あ。」


 白髪の美しい女性が項垂れていた。そして、手を動かして能力を行使しようとする。


 「...ダメだ!! 使っちゃいけない!!」


 僕は咄嗟にその女性にそう叫んだ。意味があるのかはわからない。ただ、女性が自分の意思でなく、能力を使って何かを傷つけようとしているのは、何となくわかった。だからこそ、僕は...無償に嫌だった。

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