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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第二章 シャインティアウーブ編

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違和感

シャインティアウーブ付近


 現在、私はレグスの近くでバンバさんに光琳さんと一緒に修行を始める。


 「戦闘において身体能力は重要だ。だからまず、腕力と脚力を鍛える。まぁ腕力と言っても、武器を使うための手先の器用さや、敵の攻撃をいなしたりするのが主な目的だし、脚力は単純な移動や回避を柔軟に行うためのものだ。鍛えすぎて、体が硬くなる必要性はない。」


 「はい。」


 「まずそれぞれの手本を見せる。そして、何から始めるかを決めてその順番でやろう。1つ1つある程度できたら、1人で自主練もできるからな。あと、今回光琳も同じ修行をするのは姉弟子として薫の修行の手伝いをさせるためでもある。」


 「はい師匠。」


 バンバさんはそう言うと、背中の剣を取り出して、5本の指の力で器用に、そしてスムーズに回転させる。その後、どんな風に指が動いていたかを剣を持たずに見せる。これが手先の器用さ、自分で動かそうとすると、ゆっくりしていても指がつりそうになる。その後に、地面を強く蹴って、シャインティアウーブの町並みが見えそうなくらいの高さまで飛び、その後頭をしたにして落下し、前腕と二の腕、肘、肩の力を使って衝撃をなくして着地する。着地する瞬間に、少しだけ砂ぼこりが見えた気がする。その後、今度は走る体勢で地面を蹴って目の前から姿を消す。


 「あれ?」


 私がそういって、回りを見渡そうとしたときに目の前に突然現れる。


 「見辛かったかもしれないが、これがそれぞれ瞬時に移動するじん、高く跳ぶやく、体の関節を使って衝撃をなくすでんというものだ。手先の器用さは基礎だからこれと言った名前はない。ちなみに、まだ見せていないが他に、敵を内部から叩くれつ、体の柔軟さで攻撃を避けるくう、これと真逆で強固な体で攻撃を防ぎきるがん、瞬間的に全ての感覚を研ぎ澄まし、相手の行動や思考を読むりん等がある。これらを総称して、七技戦術という。」


 「七技戦術...。」


 「今から覚えるのは、基礎と迅、躍、伝だ。」


 「じゃあ、基礎を覚えて、伝、躍、迅でお願いします。」


 「わかった。じゃあ早速始めよう。」


 バンバさんがそう言うと、光琳さんと一緒に言葉通り早速修行が始まった。


電車内


 乗客が5人しかいない車両の中で、銃弾で窓ガラスは割れ、椅子にも穴が開き、その中で脚力を生かした高速な動きからの蹴りによって、車両を行き来する扉は吹っ飛び、その中で1人は片刃の剣を鞘に納めた状態で扱い、また1人は重厚な鎧の状態で嘘のように身軽且つ複雑な動きで、敵を捉えてジェットの勢いをのせた殴打や蹴りを行い、そして俺はこのカオスな戦場の中で、さりげなくトラップを仕掛け、敵の動きを鈍くさせることでサポートをしている。


 「だぁぁぁぁぁくっそぉぉぉぉぉ!!!!! あのおっさん、何発の弾を弾きやがる!!! ってか鞘から剣出せや!! 白王双天流を見せろや!!!」


 「もう基礎は見せているぞ、白王双天流とは鞘すらも武器として扱う流派だ。」


 「知るか!! あとお前!! 狙って撃て!! 跳弾が当たるんだよ!!」


 「何でこんな機械音と銃声の音がでかいのに、声通るんだよ。」


 「言ってる場合か、さっさと捕まえるぞ。」


 俺がそう言うと、ルークは頷いて高速で移動している男を捕まえて、一番奥の車両まで投げる。そしてそれを追いかけるようにジェットで車両間を移動する。それを確認した俺は、蹴りの男はルークに任せ、富士浪さんのサポートに専念することにした。


 「何気に君と共に戦うのは初めてだな。」


 「そうですね。花先生の他に白王双天流を見れる時が来るとは思いませんでした。」


 「彼女は少し我流が入っていたが、私はそこまで器用じゃない。だから、型にはまってしまっている。」


 「呑気に話してんじゃねえよ!!」


 俺と富士浪さんの会話の間に入るように、銃を撃ってくる。


 「全く、せっかちだな。もう少し落ち着いたらどうかね。怒りは動きを単調にさせるだけだぞ。」


 富士浪さんはそう言いながら、難なく銃弾を弾く。


 「最低でも病院に着く前に終わらせよう。」


 「了解しました。」


 「はぁ!! 舐めてんじゃあねぇよ!!!」


 男は銃弾を撃ちまくる。そこに富士浪さんは通路の真ん中に立ち、歩きながら無数もの銃弾を弾く。そして俺は、銃弾が弾かれる方向を予測して、両刃の双剣をブーメランのようにして投げ、弾かれた銃弾を更に弾き、男に命中させる。


 「うぐっ!!」


 男は激痛に悶え、うずくまろうとすると富士浪さんが一気に近づいて、鞘を振り上げて顎を打つ。それで体が浮いたところを俺がチェーンナイフを扉につけ、投げた双剣を回収しながら体を引き寄せる勢いで腹部を蹴り飛ばし、吹っ飛んでいく前に、片方のチェーンナイフをとって、とった方を男の方に投げぐるぐる巻きにして捕まえ、こちらに引き寄せて、富士浪さんが鞘を両手でもって、男の頭を打って地面に叩きつけて気絶させる。


 「まず1人と。」


 「落ち着きが無さすぎる。」


 「それがいいさ。強かったら、本気を出さざるおえなくなる。」


 「それもそうですね。」


 富士浪さんの言葉に同意しながら、ルークが向かった車両の方を見る。


最後尾車両


 投げた男は壁に勢いよくぶつかって、倒れる。その後すぐに俺はジェットで飛んできて目の前に降り立つ。それを感じ取ったのか、男は俺の顎に目掛けて真上に蹴りを出す。俺はちょっと体を後ろにそらせて避ける。体勢を崩したと思ったのか、すぐさまぶつかった壁を蹴って、その勢いのまま回し蹴りをしてくるが、片手で受け止めた後に、そのまま足首を持ち上げて、椅子にぶつける。


 「さっきから足技しかしてこないけど、それしかできねぇの? どこの料理人だよ。」


 俺がそう言うと、男はすぐさま立ち上がって、逆さまの状態で俺の顔面を狙って蹴ってくる。


 「余裕綽々《よゆうしゃくしゃく》と言った態度で、軽くあしらいやがって...ムカつく野郎だ。」


 そうして男は規則性の無い乱れた動きで蹴りを連続で繰り出してくる。


 「すまねぇな。これが俺だ。滅多なことじゃないと、マジにならねえよ。何せ妙な緊張感があるところが嫌いでな。だからつまらないギャグで滑ってもとりあえず軽口たたいてんのよ。寒いって言われても、空気は悪くなるが、緊張感は溶ける。めげずにやってれば呆れて笑われるしな。」


 そう言いながら、男の連続の蹴りを腕と手を使って、直撃しないように軽くいなしていく。


 「あと喋りだすと長いな。」


 男はそういって、渾身の蹴りを俺の腹部に当てようとする。


 「おっと...。残念。」


 俺はそれを即座に抱えるように捕まえて、体を回して天井に投げ、ぶつけた後に殴って床に叩きつける。


 「ぐっ...。」


 「はい、あと2発!」


 起き上がったところをアッパーカットして、体を浮き上がらせたのちに、男が俺に当てようとして来た蹴りのように右足を軸に体を回し、その勢いのまま左足で腹部を蹴って、また同じようなところにぶつけた。


 「ぐはっ...。」


 男は吐血しながらその場に倒れ、そのまま意識を失い、それを担いで誠二さん達の元に戻った。


電車内


 俺は捕らえた覆面の2人を縄で縛り、俺が椅子に座って尋問をした。その間にルークは富士浪さんに渋々事情を話した。


 「2人が話しているところをドローンで目撃された時に、今のような状況になったと...。なぜすぐに言ってくれなかったのか訊きたいところだが、君ならばおおよその見当は付く。気をつかったんだろう?」


 「えぇまぁ。でも話すべきでしたね。こうなるんだったら。」


 「その様子だと...まだ何か...あるんじゃないか?」


 富士浪さんがそう言うとルークが気まずそうに目をそらす。


 「言ってくれ。覚悟はしている。」


 「...娘さんは...細胞腐蝕症ではないと考えています。」


 「この者たちのような存在に、娘の病院に向かっていたという事実。まぁ娘に何かあるのだろうとは考えられるな。」


 「まぁそれもありますが...細胞腐蝕症にはそもそも延命法なんてなくてですね。」


 「いいんだ。ほんとは私もそれはわかっていたんだ。だが、藁にも縋る思いでな。事実延命できているから疑うことを止めていただけなんだ。だから、気にしなくていい。」


 富士浪さんは苦い表情をしながら言った。その後に俺は覆面の2人について話す。


 「口が固く、あまり有益な情報は得られませんでしたが、口を滑らせてわかったことが1つあります。」


 「お?」


 「娘さん......富士浪 清雅さんは、スペアネルに発現する兆しの状態だということです。」


 「「!!!???」」


 俺の予想だにしていない発言にルークと富士浪さんは驚愕の表情を浮かべる。


 「スペアネル...だと..?」


 「スペアネル......もしかして...延命できてるのと...関係...ある...?」


 俺は縄で縛っている2人に目を移す。すると、蹴りの男は俯いて顔が見えず、拳銃の男は真っ青な状態で「やってしまった」という言葉をそのまま顔に引っ付けた顔をしている。俺は縛っている2人と動揺を隠せない2人全員を視界に入れることができる席に座り、口を滑らせる前に言っていた言葉が頭に残っていることに気づく。


 「うちのボスは部下を誰一人として信頼していない。裏切れば殺されちまう。だから、目的は絶対にはかない。」


 男は冷や汗をかきながらも笑みを浮かべながら言っていた。


 「(...誰一人として信頼していない。ある意味そうだな。)」


 俺はテゼルの盗賊団について思い出しながら苦い表情をする。


とある森の中


 白い紳士服を着た男と、弓を携えた男、そして森の中で寝そべっている洋剣と和刀を携えた女が傷を癒すために簡易の拠点を休んでいた。それぞれクルードフォーミアの一件で、薫と光琳を助けた氷使いとバンバと戦闘したカデーレとそれを援護したテューフェルである。


 「バラガラがテゼルの首領と手を組んだらしいな。」


 「ぁ~あ。こりゃ戻ったらバラガラに説教されるねぇ。」


 氷使いの男が持ってきた情報にテューフェルとカデーレは遠い目をしながら反応を返す。


 「しかも、ほぼほぼ無断で行動した挙げ句、3週間音沙汰無し。」


 「絶対謹慎くらうやつだな。」


 「まぁ我々が動かなくなれば、しばらくはエゴとメモリアが基本的に行動するまでだ。」


 「そりゃ無いだろ。あいつ等はあたしより手ぇつけらんねぇよ。」


 2人ともため息をつきながら、自分達の傷が治ったことを確認すると、簡易拠点を撤去し、荷物を持つ。


 「僕はまた自由行動でいいかい?」


 氷使いの男がそう言うと、テューフェルとカデーレは互いの顔を見合わせた後に、男の方を見て無言で頷く。すると男は笑って頷き返した後に、その場を離れた。そして、テューフェルとカデーレはそれとは反対方向に歩き出した。


シャインティアウーブ付近


 修行を始めてはや30分。私の脚は悲鳴をあげていた。基礎は案外早くできた。今は迅と躍を並行しながら、体へのダメージを減らす伝を重点的に修行をしている。


 「関節を使って、衝撃を無くす。」


 私は少し高い台に乗って落ちるように跳び、着地と同時に関節を曲げる。


 「ぐっ...。」


 少し痛かった。多分、曲げるタイミングが遅かった。それを見て、光琳さんが同じように高台に上って、足の関節を使って衝撃を無くすのを見せてくれる。


 「関節を使って衝撃を無くすって言ってましたけど、要領で言えば、ただ落ちるんじゃなくて、逆に体重を足に乗せて、投げ出すような感覚で蹴る意識で落ちてみてください。」


 「...はい。」


 私はそのアドバイスを聞いて、高台に上り、下に向かって体重を乗せた蹴りをするように勢いよく落ちる。そして、タイミングよく腰、膝、足首の関節を使って着地する。


 「あ...。」


 「ほらぁ!!」


 割りとあっさり成功した。それを見てか、光琳さんが嬉しそうに私に抱きついてくる。


 「やったやった!!!」


 成功した私より嬉しそうで、修行中なのに私も顔が綻んだ。そうしていると、バンバさんが戻ってきて、首を傾げる。私は光琳さんにバンバさんが来たことを伝えて、先程成功した伝を披露する。


 「おぉ。もう足でできるようになったのか。基礎を覚えるペースといい、筋がいいんだろうな。次は腕だ。」


 「はい。」


 「できたら、飯にしよう。」


 バンバさんはそう言いながら、レグスの中で作ったクリームシチューとパンを食べる。


 「よし、頑張って成功させて食べよう!! 疲れた後のご飯は美味しいですよ!!」


 「はい!」


 光琳さんのテンションに引っ張られながら、私も負けじと元気に返事をして、修行を続ける。


 「(にしても...何の連絡も来ないのが気になるな。)」


 バンバさんがシャインティアウーブの方を見ているのが目に入る。


 「どうかしましたか?」


 「ん? いや気にせず修行に励め。」


 「? はい。」


 「もう何かあったんじゃないだろうな。」


 バンバさんに言われたとおりに私は気になったことを振り払って修行を続ける。


病院付近の駅前


 比較的動揺は収まった後に、縄で縛った2人と一緒に電車を降りた。駅から病院が見える。目的地はあそこだろう。


 「とりあえず病院に行って娘に会おう。話はそれからにしよう。」


 富士浪さんはそういって、駅前に止まった車に乗る。俺が首をかしげていると、ルークがさっきとは違い、少し真面目になりつつある声色で言う。


 「さっき落とされたときに偶然、会ったんだよ。で、あの車で誠二さんは電車まで来て、あの車はそれをついてきて、まぁ今に至るって訳だ。」


 「そういうのはよくあるの光景なのか?」


 「いや、あんま無い。」


 「そうか。」


 俺は何気ない疑問をルークにぶつけてみると、否定の言葉が返ってきた。脳裏によぎった違和感が濃くなっているのを感じる。


 ...しばらく歩いた後に、病院前まで着く。富士浪さんとルークはそのまま病院内に入ろうとするが、俺がすぐに止める。


 「「ん?」」


 2人が同じように首を傾げると、俺は拳銃を使っていた男と蹴りをしていた男を分けて縛り、銃を持っていた方を2人に近づける。


 「こいつを連れて行ってくれ。」


 「何で?」


 「さっきから何か違和感があってな。その違和感が正しいかどうかを確かめる為だ。」


 「...? ...まぁわかった。」


 俺の考えにルークはいまいち納得できていない様子だが、受け入れて銃の男を連れて、富士浪さんと一緒に病院内に入っていく。


 「さて、さっきから喋らないどころか? 顔すら見せていないが、それは意味があるのか?」


 俺が疑うような声色でそう訊くが、蹴りの男は一切何も喋らない。それどころか、ずっと俯いたままでいた。

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