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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導翼
第二章 シャインティアウーブ編

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白王双天流

電車内


 電車内に入ると、俺は通路側の席に座り、ルークは窓際の席に座る。座る直前に、俺はルークのバッグに盗聴機を仕掛ける。そして、向かい側に富士浪さんが座る。


 「いやぁ~別に車でも良かったんじゃないですか?」


 「車内は意外と汚れていてね。そこに乗せるのは流石に申し訳ないよ。」


 「整理整頓あんまりできないタイプっすか。」


 「そうだね。得意ではない。他人を乗せないと思うと、どうしても雑になってしまう。」


 「ハハハ、わかります。」


 ルークが何かを探るように、富士浪さんと会話している。その会話の最中に俺は反対の窓から、これからトンネルに差し掛かるというのを察知した。


 「すいません。おトイレをよろしいでしょうか。」


 「あぁもちろん。」


 「すいません。」


 俺は富士浪さんから許可を取って、席を立ち、トイレに一直線に進みながら、ルークに視線を送る。


 「俺も片付けあんまり得意じゃないんですよ。」


 すると気づいたのか、ルークがジェスチャーを交えながら話を続ける。


 「あ、でも俺は市長室もかなり酷い状態になるから、誠二さんより圧倒的に悪いっすね。ハッハハハハ!」


 その隙に、音をたてずに煙だま椅子のしたに、バラバラに投げていく。富士浪さんの方を見ても、気づかれている様子はない。そうして、トイレまで辿り着くと、なかに入って扉を閉める。そこにある窓からトンネルまであとどれくらいあるかを確認する。


 「そういえば、誠二さん。」


 「ん?」


 「剣道はまだやられてるんですか?」


 「剣道?」


 ルークの質問に、富士浪さんは疑問を持ったような声色でそう言った。すると、ルークは思い出させるように訊く。


 「白王双天流はくおうそうてんりゅうの師範代を前、やってませんでしたっけ?」


 「...あぁ...やってたな。すまん、忘れていたよ。」


 「もう、しっかりしてくださいよ。誠二さんがいないと、国の商業と建設業が滞るんですから、ボケるのは後継を見つけて育ててからにしてください。」


 「ハハハ。それもそうだ。」


 そうして、富士浪さんとルークが楽しげに会話をしていると、トンネルが近づいてきた。そうしてトンネルの入り口に差し掛かったところで、富士浪さんの声のトーンが一段落ちる。


 「本当にありがとう。君のおかげで娘を救えるかもしれない。」


 「ん?」


 ルークが声色の変化に違和感を持った瞬間、反対方向から覆面を被った人間が窓を蹴破けやぶって、電車内に侵入し、その勢いのままルークを電車外に窓を割りながら蹴り落とす。その後、電車はトンネルに侵入し、車内は真っ暗闇になる。その瞬間、何一つとして気配のなかった電車内の全てのフロアに人ではない何かの気配が無数に感じる。トイレの扉を少し開けて覗いてみると、赤い目をした黒い化け物が富士浪さんと、ルークを蹴落とした覆面の人間の周りに立っている。その気配は背後からも伝わってくる。


 「(鷹の姿が全く見えない。そして、この黒い影のような化け物...。まさか...。)」


 「他の奴等は?」


 「まだだ。とりあえず蹴落とした男はすぐには戻ってはこれないはずだ。すぐに女を連れて、病院まで行った後に、富士浪 清雅を連れ去るぞ。」


 俺は富士浪さんと覆面の男の会話を聞きながら武器を構える。


 「(ん? 会話が聞こえている? あいつ、あのバッグ置いたまま落とされたのか?)」


 俺はその事に気づくと、トイレから完全に出て、金属のバッグの位置を確認する。と同時に煙だまを一斉に起爆し真っ暗闇のこの空間に加え煙が充満する。


 「無駄な抵抗はよせ。この数を押し切れるほどの決定打はないだろう。ほら、お前も戦え。」


 「わかっている。」


 覆面の男が俺にそう言いながら、富士浪さんもどきに二丁の拳銃を渡す。すると、富士浪さん擬きは、マスクを取って覆面の男とは色違いの覆面を被り、拳銃を構える。すると、周りの黒い化け物どもも臨戦態勢に入り、俺がいるトイレの方向を見る。背後にいる奴等もどうやら同じなようだ。


 「(暗殺者に暗闇での戦闘を挑むのか。手持ちの武器が少ないとはいえ、なめられたもんだな。)」


 俺は気配を消して、黒い赤目の化け物を次々と殺していく。そうやって、覆面の男2人まで距離を詰めていく。


 「あ...!? ほら来い。」


 その最中、次々と化け物がやられていることに気づいた拳銃を持った覆面の男が、銃を空撃ちして音をたてて他の化け物どもを一気にこちらに引き寄せる。そうして近づいてきたり襲いかかってきたりしてくる化け物共もなんなく対処しながら距離を詰めていった際に、音響爆弾を投げ、相手の耳が聞こえていない隙に、蹴り落して邪魔な化け物共を制圧する。


一方、蹴り落とされたルーク


 現在俺は、頭から落下している。


 「あんだけ警戒して落とされるとか...不甲斐ねえ...。」


 落下中にぼやきながら、ポケットからライレトという片耳のマイクつきのヘッドセットのような形状をした機械を耳にかける。その後、中央のガラス部分にタッチしてAIに呼び掛ける。


 「おぉ~い。マーシィさん、マーシィさぁん、マーシィさぁぁん。聞こえてまっすぅ~?」


 全く反応なし、ちらっと下を見るとかなり近づいてきている。


 「マーシィ、ボーダーver.10を展開し、俺に装着させろ。すぐに...!!」


 「了解しました。ルーク様。」


 「普通に聞こえてんじゃん。」


 俺がそうぼやくと、マーシィは全く反応なし。もはや意図的な無視。そうこうしていると、トンネルから勢いよく金属のバッグが飛び出してきて俺の方に超スピードで向かってくる。


 「お? 意外と早い。あいつが落としてくれたのかな?」


 俺がそう言っていると、金属のバッグが変形して、俺の体に覆い被さる。そうして金属のバッグだったものは、黒い装甲に青いラインが光る鎧となる。


 「おっと。」


 俺は手の平と足の裏、背中のジェットで落下速度を落として、一度着地する。そして、電車が出てくる場所を割り出して、すぐに向かおうとすると、後ろに黒い車が止まった。


 「ルーク市長。」


 黒い車の窓が開き、運転席に乗っている誠二さんが話しかけてきた。俺はすぐに振り向いて、運転席から助手席にある剣を見て、本物だと確信した。


 「すいません。時間オーバーしちゃいましたね。」


 俺がそういう風に冗談を言うと、誠二さんは苦笑いをしてトンネルの方を見る。


 「電車がトンネルに入った時間は?」


 「ついさっきです。もうトンネルの出口は割り出したので今いくところです。誠二さんもつれていきましょうか?」


 俺がそう答えると、誠二さんは首を横に振り、車内のチェンジレバーをJにして車を陸上車から空中車に変形させる。


 「じゃあ、トンネルの出口まで大急ぎでいきますか。」


 「あぁ。案内は頼むよ。」


 「お任せを。」


 俺と誠二さんはジェットで勢いよく、電車のトンネルの出口まで向かう。


一方、敵を制圧したクリード


 「あの女。思ったよか強そうだぜ。」


 「そのようだな。」


 俺は汚れていない服と、使った武器を見ると、何も変わっていないところを確認する。


 「(初めてまともに受けたな。)」


 俺がそう確信していると、何かの噴射音が反響して聞こえてくる。恐らく、ルークが何かをしたのだろう。トンネルの出口が見えてきている。しかし、倒したはずの黒い化け物どもは何度も再生し、襲いかかってくる。恐らく、トンネル内に入った瞬間に現れたので、暗闇がある限り不死身なのだろう。


 「だがまぁ、もう逃げてるだけでいいな。」


 「おい。あれだけ乱射しておいて一発も当たっていないとは...相方のお前がこれだから俺たちは末端なんだよ。」


 「いや、せっかくの変装をルーク・ギルデアを蹴り落として無駄にしたお前も大概だろうが。それに、何だあの無理矢理な作戦はぁ!! 本人がまだいんのにやる作戦じゃねぇし、情報が適当すぎるだろ。変装して演じる俺の身にもなれ!!」


 「はぁ、グチグチとうるさい。」


 「そうさせてんのはてめぇだろうが!!」


 「(緊張感が無い...。元々戦うようなやつらじゃないのか?)」


 突然始まった敵の仲間割れに俺は推測しながら、トンネルに出口に差し掛かるまで化け物共から逃げ続ける。そうして電車が外に出たと同時に、仲間割れをしていた2人は俺の方を見て、舌打ちをしたがすぐに、二丁の拳銃を俺に向け、片方の覆面の男は足技の構えをとる。


 「運よくあの場を切り抜けたようだが、俺たちテゼルの盗賊団を倒さなかったのは、失敗だったな。さぁ、大人しくしろ。」


 「女だからって容赦しねえから。」


 「挑発してる暇があるならさっさと来たらどうだ? 時間のも無駄だぞ。」


 俺がそう返すと、二丁の拳銃を向ける男は、舌打ちをしながら引き金に指をかけ、片方の覆面の男は頭に手を当てて深く溜め息を吐く。


 「武器を捨てないということは、最後まで抗うということか。」


 覆面の男がそう言った瞬間、電車の上から大きな物が落ちてきたような音がした。覆面の男と気持ち悪い男は上を同時に上を見る。すると、俺の背後から水色のビームは放たれ、2人に直撃して3両目まで吹っ飛んだ。その直後に、さっき蹴り落とされた男の声が聞こえてきた。


 「大丈夫?」


 「遅い。もうほぼ終わっている。」


 「そりゃ申し訳ない。」


 俺がそう答えながら振り向くと、片刃の剣を持った富士浪さんが立っていた。


 「偶然本物と鉢合わせしてな。一緒に来た。」


 「剣の腕、鈍っていませんか?」


 「心配には及ばない。ちゃんと戦えるよ。」


 俺はルークの言葉に頷いた後に富士浪さんにそう言うと、富士浪さんは剣を鞘から少しだして刃を見せながら答える。直後に、吹っ飛ばされ2人の覆面の男が戻ってきて、銃と足を構える。


 「俺たちテゼルの盗賊団を無視するとは、いい度胸だ。」


 「てめぇの作戦がもっとしっかりしていれば、声まねも変装も完璧だった俺だけですんでたんだがなぁ。」


 「今は黙れ。」


 戻ってきて早々、また喧嘩を始めそうな雰囲気だ。


 「テゼルの盗賊団?」


 「「あ?」」


 「なるほどぉ。変装も声まねもお手の物、だが情報は杜撰ずさんでぇす。」


 すると、ルークが少し小馬鹿にしたようなノリでリズムよくそう言うと、2人は明らかに怒っている表情になる。


 「だってそうじゃん。わざわざ病院いくのに電車貸し切るかよ。一般の客が迷惑被るっつうの。あと、あんな広い車があったら、誠二さんなら普通に乗せてくっつの。そして、誠二さんに変装しておいて白王双天流のこと知らんとか...これを杜撰と言わずして何て言うんだ? まぁ一周回って完璧な作戦かぁ? そうだな、敵にすぐバレるって言う点ではまさに完璧だよ。」


 「ってわかっておいて、蹴り落とされるのはどうかと思うがな。」


 「それは言っちゃあいけない。」


 引き続き小馬鹿にしているルークの言動に、俺は頭の片隅にあった不満をぶつけてみると、ルークは苦笑いで俺の方を見た。


 「あと、その鎧...どこのヒーローイメージだ? 鉄の男か?」


 「あやっぱわかる? あのメカメカしさが好きすぎて、初期の方の装備デザインが顔以外完全にあれになってるんだよねぇ。これはまだマシな方だよ。」


 俺とルークがそう掛け合いをしていると、富士浪さんが剣を鞘に納めた状態で前に出る。


 「2人とも、雑談はそれくらいにして、敵を捕らえようじゃないか。逃がす気などないだろう?」


 「もちろん。」


 富士浪さんの言葉にルークはそう返すと、背中のジェットを変形させて全身に纏わせ、鎧をより重厚なものにする。


 「てめぇら雑魚に用はねえよ。蜂の巣にしてやるぜ。」


 「俺たちを馬鹿にしたことを後悔させてやる。」


 馬鹿にされた覆面の男の2人が相当腹が立っているのか、声を震わせてこちらに銃弾を無駄撃ちし、片方は椅子をこちらに蹴り飛ばしてきた。


 「雑魚? ...何? 自己紹介?」


 「おい、あの科学者、俺にやらせろ。」


 「い~や、早いもん勝ちだ。」


 覆面の男どもはそう言って、片方は勢いよくルークに蹴りかかり、もう片方は発砲する。その瞬間、富士浪さんは剣を鞘に入れた状態で放たれた銃弾を全て弾き返し、蹴ろうとした男をもといた場所に打ち飛ばす。


 「ごふぁ...!!」


 「なっ...!!」


 鞘で殴られた衝撃で、蹴ってきた男は咳をしながら吐血し、銃を持っている男は驚きのあまり、一歩後ずさった。そして、富士浪さんは更に一歩前に出て剣を鞘に納めた状態で先端を向ける。


 「相手は1人ではないぞ。」

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