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Blood Spare of Secret : The story of Creeds  作者: 千導 翼『ZERO2005』
第一章 クルードフォーミア編
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刹鬼

 ―――刹鬼だぁ?


 女性が入町さんの発言に少し笑みを浮かべながら私の方には見向きもせずに入町さんを凝視している。


 「...?」


 私も同じように入町さんを見ると、綺麗な茶髪が神々しい金色へと変色していき、目の色もまた金色に変色し、雰囲気がガラリと変わっていった。


 「では、5分でけりをつけましょう。」


 「はい!! ......はい。」


 今までと違う入町さんの雰囲気に、私は反射的に返事をした後に、ちゃんと心を込めた返事をした。すると、入町さんは剣を構えて、私とは到底比べ物にならない速度で女性に近づいてき、一瞬で20の連撃を繰り出した。それを女性は刀を押し出したり、引き寄せたりして斬撃の軌道を変えて回避している。


 「はええな (普通の人間じゃ到底視認することはできねえだろう。それでも、あの女が目で追えてるってことは、ただの危機察知能力の類じゃねえのか)。」


 「余所見禁止!!」


 女性の細かな動作を見逃さず、入町さんは高速で刀を振り続ける。その攻撃の嵐に女性は次第に後退していっている。でも、まだこれといった特別なことはしていない。今のままじゃ、真新しい情報は出てきていない。


 「そう焦んなよぉ。時間はたっぷりあるんだからなぁ...。」


 「無いです!!」


 余裕綽々といった態度で女性はしっかりと避けている。入町さんはその様子に心を乱されることなく、攻撃の手を止めないがわずかに攻撃の手が遅くなっている。


 「(血の流れを速め、その血の成分によって骨と細胞を変異させ一時的に爆発的な力を得ることができる深天極地。こいつの今の様子は、未完成な状態だ。目の色と髪色しか変わってねえ。骨への変異がほとんど見られない。完全に扱えてるんだったら、刹鬼なら脚部に変化があってもいいはずだからな。)」


 「はぁはぁ...。」


 「...(息切れを起こしてきたな。...じゃあ、反撃と行くか)。」


 入町さんの攻撃が一瞬だけ止まった時、女性は目を見開いて、指の関節の骨を鳴らした後に入町さんの頭を蹴って吹っ飛ばす。


 「!?」


 その後すぐに、私の方に跳んできてその勢いのまま私を蹴り飛ばす。そのまま私は壁に激突し、その場に倒れこもうとしたところを更に蹴られて無理矢理立たされた後に、頭を掴まれ投げ飛ばされる。それを入町さんがすぐさま受け止めて床に寝かせた後に、床を勢い良く蹴って、攻撃を仕掛ける。


 「おっそくなったなぁ...。」


 「くっ...。」


 「(動きの速度はさっきと全く変わってないように見える。逆にあの女の人の動きが機敏になったというか...さっきまでの動きが少しだけ...ぎこちなかったというか...。攻撃されることに気づいていたのに、受け止める動きすらする前に吹っ飛ばされたし...。...そういえば、入町さんを蹴り飛ばす前に、何故か指の関節の骨を鳴らしてた気がする。....なんでなんだろう...殴るんじゃなくて、蹴ってたのに...フェイントだとしても入町さんが気にしてる様子はなかった。)」


 脳が揺れている状態で必死に考えながら入町さんの方を見る。その時、さっき言われたことを思い出す。


 ―――二人で...協力して倒してみませんか?


 「(情報を集めることに固執しすぎて、入町さん一人に頑張らせて、私何もやってない。観察してるんだったら、情報を集めると同時に入町さんの守りを担わなきゃならない。)」


 私はそう考えて、女性の動きを注視する。その中で、女性の一挙手一投足、発言...何一つ見逃さず、聞き逃さないようにする。


 「...ぐぅ...(そろそろ...2分経つかなぁ)。」


 「...(右足で蹴る。避けられればそのまま手を使って飛び上がりながら両足で蹴る。そして、足が地に着いた瞬間にバク宙して落ちるようにして踏みつぶしてくる。どちらも避けた場合、左手で殴ってくると見せかけて、そのまま回転して右足で踵落としをしてくる。それまで避けた後に、隙ができる...)。」


 私はこれから入町さんに仕掛ける攻撃を読む。その後すぐに、先ほど読んだ攻撃が始まろうとした。


 「いり...(呼びにくい...。) 光琳さん!!」


 「...?」


 「右足で突くように蹴ってきます!!」


 「...!」


 「おぉ?」


 私の読みは見事的中し、光琳さんが見事に攻撃を避ける。


 「体を反ってください!!」


 「...これも避けるかぁ...。」


 「その後すぐに体を横に倒れこむように転がってください!」


 「...ぬふぅ...。」


 光琳さんは私の指示に忠実に従って攻撃を避ける。


 「次は後ろに少し跳んだ後に受け流す体勢をとってください!!」


 「....!!」


 「(完全に動きを読んでやがる。そして、俺はそれに見事にはまって、攻撃をされる隙ができちまった訳だぁ。...流石にこれは避けらんねぇなぁ。)」


 「今です!!」


 「はぁぁぁ!!!」


 攻撃の連撃によってできた隙を光琳さんは勢いよく斬る。女性は避けることができず、そのまま背中を深く斬られ、そのまま倒れる。


 「...(まだ戦えるがぁ...この辺でいいかぁ...。)」


 「...倒しましたぁ!! やりましたよ薫さん!!」


 そうすると、光琳さんの姿が元に戻っていき、疲れ果てた状態で私の方に走ってきて、私に抱き着いてきて勝利をしたことを喜んだ...。でも、私は直接的にというわけでも、私を襲ってきていた人だとしても、自分が命を奪う手伝い、もしくは奪ったことに少し沈んだ気持ちを抱えた。その瞬間、倒れた女性がさっきとは全く違う声で言った。


 「何で...あたし....こうなって...る...の...?」


 その発言と本当に理解できていないという表情に...私だけでなく光琳さんもまるで、別人のような感覚を覚えた。


 2階 全域


 上の階に移動した瞬間に、場所が広くなったためか、よりカデーレの剣撃はより苛烈になり、弓矢は容赦なく連射されてくる。


 「チッ!! うぜぇ!!」


 俺がそう考えながら攻撃を避けることに専念していると、カデーレはうざったそうに丸いテーブルを俺の方に蹴り飛ばしてきた。俺はそれを横に宙返りして避けた後に、テーブルの足を掴んで放たれてきた矢を防いだ後に、フリスビーを投げる要領でカデーレに投げる。それをカデーレは両断して俺の方に一直線に向かってくる。俺はそれを迎え撃とうとするが、止まない弓矢の連射によって邪魔される。俺は走りながら連射を避ける。その影響で綺麗に並べられた酒瓶やコップ、温かな光を放っていた照明が割れて床はガラスの破片だらけになり、辺りは真っ暗闇になる。


 「...。」


 その中で俺は瞬時にガラスの多く落ちた道の場所を聞き取って、避けながら音を立てずに走る。


 「照明を壊してしまったか。ならば、カデーレを通して足音と風が動く音を頼りに、位置を特定して撃つ。いいなカデーレ。」


 「...ッゥ...!!」


 「カデーレ?」


 「ノンストップで動きまくってさっさと片づける...!!」


 「...あぁ...(熱くなってるな。) 冷静になれカデーレ。今の状態は奴にとって...」


 「見つけた..。」


 「あ?」


 カデーレが動き出し、ガラスの破片が更に割れ、音がこのフロアに響く。俺はうまく誘導しながら音の方向を頼りに後ろに回り込み、切りかかる。


 「...カデーレ! 下手に動くな!! そこら一帯にはガラスの破片が落ちているはずだ!! 真っ暗闇の中、ガラスの破片を踏めば、その音で位置がばれて奇襲を受けるぞ!! それに、お前の足音とガラスを踏む音によって敵の動きがわかりづらくなる!! 援護ができなくなる!! それでも攻撃を続けるというのなら、野生の勘でも何でも避けて明かりのある場所に移動してくれ、今度は照明を割らないように撃つ。」


 「...了解。」


 その瞬間、俺の動きを読んでいたかのようにカデーレは体を反って避けた後に体を縦や横に回転させながら洋剣と和刀で俺にカウンターを決めようとするが、寸でのところで俺は受け流して距離をとる。


 「逃がさねぇ!!」


 カデーレは攻撃の手を緩めることなく、俺に切りかかってくる。しかし、その攻撃を避けている最中に俺は足を滑らせて体勢を崩した瞬間に、カデーレは体を逆さにして腕の力で飛び上がりながら両足で俺を上の階に蹴り飛ばす。


 「テューフェル!!」


 「わかっている!!」


 3階の床を突き破って天井に激突した俺は落下している最中を弓矢に撃たれる。そして、そこから容赦なくカデーレの追撃が来た。俺は何とか剣で防いだ後にもう一本の剣を床に突き立てて、立ち上がり剣を構える。


 「こんだけやって弓矢一発かよ。」


 「避けることには...自信があってな。」


 俺はそう言いながらカデーレから目を離さずに撃たれた矢を引き抜いて床に投げ捨てる。


 3階 ラウンジ


 俺はスモークグレネードを取り出して、足元と周りにばらまくように投げる。


 「このスモークから絶対に離れないでください。」


 俺はご主人にそう言いながら襟元に盗聴器を仕掛けて、俺は双剣を逆手に持って、足音と気配を殺してアカザサの急所を狙いに行く。


 「ヒヒッ...!! また煙かぁ。」


 アカザサがそう言っている隙に俺は距離を一気に詰め、剣の切っ先を喉に刺しに行く。


 「...!」


 しかし、寸前でアカザサが気づいたのか、屈んで避けた後に、殴りかかってこようとするが、その前に俺は距離をとってまた気配を消す。


 「...危なかったなぁ...今...。気づいてなかったらぁ、死んでたなぁ確実にぃ...。つか、またわかんなくなったぞぉ? (一瞬で気配も音も消しやがる。どれだけ警戒してもそれが全く意味をなさねぇ。いつでも攻撃されても余裕で反撃する気でいたんだがなぁ。近づかれてたことに寸前まで気づけなかった。何故だぁ....? だが、さっきの殺しに来た際にまた煙を撒いたところ見るに...この煙が影響してんのかぁ?) .....!」


 そして、今度は後ろから首を切り落とそうとするが、またも寸前のところで避けられる。


 「チッ...またか...。...?」


 だが、アカザサの首から少しの血が流れ出た。どうやら掠ったようだ。俺はそれを確認しながら目の前から姿を消す。


 「(掠った? 俺が避けきれなかったってのか? 考え事をしていたからか? だが警戒は解いてねぇ。それに、攻撃に反応した速度も大差ねぇ...それどころか早いタイミングで動いたはず...それでも掠った...とでも...?)」


 同じような攻撃を繰り返し、煙の効果を持続させ、更に煙を撒き効能を上げる。


 「(攻撃を回避をすることも中途半端、俺が仕掛けることも不可能なレベルになってやがる。...思いの外苦戦しちまってるぅ。この体じゃあ無理かぁ?)」


 そうして自然と気配感知に敏感になっているところの目の前にわかりやすく現れる。


 「...!!」


 ように見せかける。実際に現れた俺の姿は残像であり、そこに気配を乗せることで、その残像に相手は気を取られ、そこから隙を作りだし、全く別の方向から殺す。


 「暗殺術第1項・首狩」


 俺がそう発言したと同時に、アカザサの首は斬り落とされ、その返り血を浴びる。地面に転がった、アカザサだった首は最後にこう言った。


 「なんで....死にたく...な..ぃ。」


 その発言に俺は少し顔をしかめる。


 「まさか...乗っ取られていても意識が残っていたとは...殺す判断が早すぎたな。すまない...。」


 俺はそう言って、ご主人の元に戻る。

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