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~君と幸せになるために運命を壊す~

 『【運命】それは恋人などの間ではよくつかわれる単語だ。しかし、運命とは本当に幸せなものなのだろうか。自分の人生のすべてを運命という一言で片づけられてしまう。自分がこの世に生まれてきたこと、仲のいい友達と出会ったこと、恋人ができいとこと、不意に命を落とすこと。そのすべてを運命という一言で終わってしまうなら、その世界は幸せな世界ではない。俺はそれを【作られた世界(クリエイティブワールド)】と呼ぶ。』

「ふぁ~~」

十七歳の男子高校生の飯富優はいつもと何も変わらない朝を迎えた。

「やば!早くしたくしねぇと」

せわしなく朝から高校へ行く支度をし、家を出た。

「あっ、ゆうーおはよー」

いつもゆうと待ち合わせて一緒に学校に行っている彼女は、幼馴染の成瀬奈央子。愛称はナナ。誰にでも優しく、明るく、男女分け隔てなく話すことのできる茶髪のショートカット。

「わりぃ、寝坊しちまった。」

「いいよ。でも珍しいねゆうが寝坊なんて。」

「あぁ、なんか変な夢を見ちまって。」

「へぇ~、どんな夢?」

「それが、よく覚えてないんだけど、運命が何とか」

「運命?あはははは」

ナナはにやりとした後に高笑いした。

「そんなに笑うことないだろ?」

ゆうは少し照れながら怒った。

「だって、ゆうの口から運命なんて単語が出てくるんだもん」

「うっせぇな」

和気あいあいと話しながら二人は学校についた。

「おはよー!お二人さん!またデートしながら来たのかなぁ?」

ニヤニヤしながら声をかけてきた彼女は、藤原都季。愛称はトキ。いつもポジティブだがポジティブすぎるのがたまに傷。恋バナには目がない。黒髪のナチュラルボブ。

「デートじゃねぇっていつもいってるだろ!ったく。」

ゆうはナナを庇いながら怒った。しかしナナはまんざらでもないように照れていた。

「ですが、ナナさんはまんざらでもなさそうですぜい」

「トキ!変なこと言うんじゃねぇ!おいナナ!本気にするなよ?」

「う、うん」

ナナは下を向き照れながら返事した。

 そして、一日の授業が終わり、ゆうはナナと一緒に帰ろうとしていた。

「ゆうセンパーーーーイ!」

「グハッ!」

と言って後ろから小柄な女の子がゆうの背中に飛び込んできた。

「痛ってて・・リン!それやめろって言ってるだろ!」

この小柄な女の子は後輩の日暮凜音である。身長は百四十センチ程でいわゆる小動物系の女の子である。基本明るい性格だがゆう以外の人に対しては超人見知りで、ゆうにのみ自身の気持ちを明かすことができる。金髪のロリ巨乳。

「こんにちは!リンちゃん!」

「こ、こんにちは・・・」

ナナのコミュ力でもリンは心を開くことがない。リンは視線をすぐにゆうへ移した。

「たまには私と一緒に帰ろうよー」

「そうだな。じゃあナナとリンと三人で帰るか!」

ゆうがそういうとリンはナナの方をじっと睨んだ。

「ん~~!」

すると後ろから透き通った色気のある声がした。

「あらあらゆう君、相変わらずモテモテねぇ」

「ミワ先輩!」

彼女は日向美和。愛称はミワ。ゆうたちの先輩で生徒会長であり、学校一の美少女と言われている。成績は学年一位、スポーツ万能、まさに非の打ちどころのない彼女だが、家事全般が壊滅的に苦手である。そのためゆうには週一回、部屋の掃除をしに家に来てもらっている。黒髪ロングの巨乳。

「ゆう君の周りにはどうしてこうも可愛い女の子が集まるのかしら」

「もちろん、先輩も含め、みんな美少女ですけど、やましい関係ではありませんよ。みんな大切な友達です」

それを聞いた女子たち一同は、皆顔を赤くした。

「ゆうってそういいうことよく躊躇なく言えるよねー」

ナナは照れながら言った。

そして、ミワはゆうに近づき耳打ちした。

「今週のお手伝いは土曜日によろしくね♡」

ミワが家事全般苦手なことはゆうしかいないため、ゆうはそれを承諾した。

「仕方ないですね。んじゃ今度は一緒に覚えながらやりましょうか」

「ええ、よろしくね。ゆう君♡」

「何してるのゆうー!早く帰ろうよー」

ゆうとミワが会話している間にナナとリンは先に帰ろうとしていた。

「おう!悪い悪い!いまいくよー!んじゃ先輩、また明日!」

「ええ、また明日」

 そして三人は学校を出て、何気ない会話をしながら帰っていた。たわいない話をしながら帰っていると、突然、ゆうたち三人の体が光り始めた。

「うわ!なんだこれ⁉」

「何なのこれ⁉」

「先輩~、なんだか怖いです・・」

三人はおびえながら周りを見渡すと、街の人全員の体が光っていた。人々は困惑しパニックになり、あちこちで事故が起きていた。この異常な事態は世界全体で起きており、世界中で大規模な事件になった。

 光は、約三十分で収まったが、その直後世界中の人類は一斉に意識を失った。その為、事故などに巻き込まれた人は全員助からなかった。ゆうたちは事故に巻き込まれることはなかった。

 ゆうたちが目を覚ましたのは、意識を失ってから三時間後。時刻は二十一時で周りは車が放つ炎、家やマンションで起きた火災などの光しかなかった。

「な、なんだよこれ・・・」

目を覚ましたゆうはまるで地獄を見たようだった。街の人々も徐々に目を覚ましていた。

「おい!ナナ!リン!大丈夫か⁉」

「う、うん・・・何とか」

「は、はい・・・生きてます」

二人も事故に巻き込まれることなく無事だった。

「一体何が起こったんだ?」

「わかんない、急に体が光り始めたと思ったらだんだん意識が遠くなって・・」

「私たちの街が・・・」

リンは、自分たちの街の悲惨さに唖然としていた。

「リン・・・」

ゆうもナナもリンにかける言葉がなく、リンと同じように自分たちの街を見て唖然としていた。

「とりあえず、どこかに移動しよう」

「うん」

三人は、避難する人々を避けながらとりあえず、ゆうの家に移動した。

「一体何が起こったんだろうな・・・」

「わからないよ・・それに、私たちだけじゃなく街の人みんなが同じような感じになってたよね…」

その時に、先ほど起きた事件についてのニュースに三人は驚愕した。

『つい先ほど、人々の体が突如として光だし、全員が意識不明となる事件が起こりました。そして、この事件は驚くことに、世界中で起きていることが判明いたしました。つまり、日本時間にして十七時三十分に世界中で同時刻にこの現象が起きたということです。只今、あらゆる専門機関が調査を行っていますが、一向に原因が判明しない模様です。』

「世界中で同時にこの現象が起きたってのかよ…」

「そんな事って…」

ニュースを見ていた三人は困惑していた。そして、さらに三人を困惑させるニュースが飛び込んできた。

『只今速報が入りました。なんととても信じがたいことなのですが、世界中の人類が次々と特殊な能力を発動させることができるようになっていることがわかりました。』

「と、特殊な能力⁉」

『なお、今入っている情報によりますと、能力は人それぞれ違い、人々はその能力をまるで生まれつき備わっているかのように、何も考えることなく使用することができることもわかりました。世界中で起きたこの事件に対しては国際会議が開かれ、そこで今回の事件についてまとめ、解決策を見つけ出す模様です。以上本日のニュースでした。』

三人は困惑しすぎて頭が追い付いていかなかった。自分たちの身に起きたこと、街の悲惨さ、特殊能力、様々ことが一気に起こったため、脳の処理が追い付いていないようであった。

「俺たちにも特殊な能力が備わってるってのか…」

「全然そんな感じしないけど」

「生まれつき備わっているような感覚で…」

「おい、リン?」

リンはまるで自分に何ができるかを理解したかのように胸の前に手を合わせた。

すると…

音域操作レインジオペレーション‼》

突如、リンが叫ぶとゆうの部屋で爆音が流れた。

〈ザーーーーーーーーーーーー〉

まるでテレビの砂嵐の音を何十倍にも大きくして、耳元で流されているかのような感覚だった。

「お、おい‼リン‼やめろ‼」

「う、うぅ…」

リンが胸の位置から手を離すと、音は徐々に小さくなっていき消えた。

「リン、何をしたんだ?」

ゆうは突然非現実的なことが起きたが、冷静にリンに質問をした。

「す、すいません!なぜか急に自分にはこんなことができるっていう想像ができて、試してみたんです。そしたらこんなことに…」

「確か、レインジオペレーションって言ってたよな?」

「直訳すると、音域操作だよね。」

するとリンは自分が元からこの能力を知っていたかのように説明を始めた。

音域操作レインジオペレーションとは、自分から半径約十メートル以内に発生する音の音域と音量を自在に操作することのできる能力のことです。先ほどの時に操作した音は、テレビから流れている砂嵐の周波数を操作しました。」

このしっかりした説明に、ゆうとナナは唖然とした。

「ほんとに生まれつき持ってるみたいな感覚なんだな。」

「そうだね。」

すると、ナナも何かひらめいたかのような表情をした。

「はっ!」

「どうした?ナナ?」

ナナはゆうを指差し、リンと同じく能力名を言い放った。

道標(サインポスト)‼》

するとゆうは、一瞬で消え、ナナが差した場所に瞬間移動した。

「うわ⁉」

ゆうはしりもちをついた。

「あっ、ごめんねーゆう」

「ったく、ナナまでなにしたんだ?」

ナナもリンと同じく自分の能力について説明を始めた。

道標(サインポスト)は、自分が指差した対象のものをもう一方で示した方向に移動させることができる能力で、移動させるものに制限はないんだよー。」

ゆうは考え始めた。

{二人が自然に思い出したかのように能力を使えるようになったってことは、俺も何か使えるってことだよなぁ。けど、なんも思い出せないし、使えそうもないな。そもそも俺にはそんなもの備わることはなかったってことか?}

ゆうは、安心とがっかりが葛藤していた。

「ゆう?どうしたの?」

「ゆう先輩?」

「あぁ、悪い二人とも、ちょっと考え事しててな。」

そして三人はこれからについて話し合った。

「これからどうする?」

「おそらくまだ学校は始まらないだろうし、しばらくはおとなしくしてた方がいいんじゃないかな。」

「そうですねぇ、私たちだけじゃなく、世界中の人が全員特殊能力を持っているってことは、戦争なんかも安易に予想することができますし。」

「そうだなぁ、とりあえず、もう二十二時過ぎだ、二人とも家まで送るよ。」

そうして三人はそれぞれの家に戻った。

次の日。

ナナの予想通り、学校は二週間後に再開すると連絡が入った。

急遽ゆうは、ゆう、ナナ、リン、トキ、ミワの五人の連絡グループを作り、連絡を取っていた。

[ゆうトキ、ミワ先輩、昨日は大丈夫でしたか?]

[トキ私は何ともないよー、気を失ったときちょっとびっくりしたけどねえ。]

[ミワ私も特に何ともありませんよ。]

[ナナお二人とも、無事でよかったです。それでなんですが、お二人は自分に何の能力が備わったか自覚できましたか?]

[トキ能力かは、まだ使ってないからわかんないけど説明はできるよ。]

[ゆう教えてくれ!トキ!]

[トキ私の能力は、時間操作(タイムマニプレイション)っていうもので、それは、ある一定の時間軸を一時的に過去や未来にすることがっできる能力なんだけど。例えば、サッカーでボールを蹴ってゴールに入るまでを一つの時間軸として、そのボールのみの時間軸を操作して、人はそのままにして、ボールを蹴る前の状態に戻したり、ゴールが決まる瞬間にしたりすることができる能力だよ。]

[ゆうなるほど、時間操作か。ミワ先輩は何か能力に関係することを感じとりました?]

[ミワえぇ、ありますよ。]

[ゆう教えてください!]

[ミワ私の能力は対象者がいないと発動できないから使ったことはないのだけれど、教えるわね。私の能力は能力増幅(キャパシティアムプラフィケイション)という能力で、一度に五人までの力を増幅させることのできる能力です。例えば、あなたたちの今持っている特殊能力をこの能力でパワーアップさせたり、格闘の能力を向上させたり、知識を向上させることも可能ですよ。]

[ゆうなるほど、二人ともあまり戦闘には向かないけど確かにすごい能力だな。]

[トキちょっとゆう!戦闘ってどういうこと⁉まさか誰かと戦うの⁉]

[ナナ落ち着いてトキ、説明すると、今世界中の人が何かしらの能力を持っていると考えると、いつ何があってもおかしくないってことになるの。だから万が一そうなった場合に少しでも戦えるようにっていう風にゆうは考えているみたい。]

[ミワなるほど、そういうことなのね。わかったわ。なら一度みんなで集まって直接話をしましょう。]

[ゆうけど、どこに集まるんですか?]

[ナナそれなら、私の家はどうですか?皆さんの家からだと大体同じ距離にあるので。]

[ミワそうね、なら今からナナさんの家に集合しましょう。]

[(一同)はい!]

こうして、チャットでの連絡は終わった。リンはチャットでもゆう以外がいると人見知りを発動してしまうようだ。

ゆうはすぐに支度して、家を出た。

道中で突然、女の子が車にひかれそうになっていた。

「あぶない‼」

ゆうは咄嗟に女の子を助けようと飛び出したが、どうしても間に合わない距離だった。

その時。

運命崩壊(ディスティニーコラプス)‼》

とゆうは叫んだ。

すると、女の子はひかれることなく無事に信号を渡り切った。

「今のは一体何なんだ?」

ゆう自身、今何が起きたのか理解できなかった。

すると、ゆうの目の前に突如上から女の子が舞い降りてきた。

女の子は待ち望んでいたかのようにゆうに語り掛けた。

「やっと見つけた…。あなたを探していました。」

「ええっと、なんの御用でしょうか?」

ゆうは少し緊張しながら質問をした。

「あなたのような人を探してました。率直に言います。あなたに『運命』を変えてほしいのです。」

「へ?」


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