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オダマキは救えない  作者: ゆうま
7/26

3-1

第2回戦「ギャンブルの塔」開催です

真っ暗な部屋に声が響く


「所持金3,500万円!白い服とは裏腹に黒く染まった心!恋に敗れた女の末路とは?!「勝者の黒薔薇」白金美奈都!」


白いゴスロリ

高めに結んだツインテール

日傘


可愛らしく、どこか綺麗さもあるその容姿に、とても似合ってる

だけど、狙ってるわけじゃない

あれが彼女の正装で、普段着で、アイデンティティ

どこまでも自分を持ってる彼女は―――少し、眩しい


「所持金2,500万円!仕掛け人はお前だ!裏切りの罠罠罠!この男の本心を暴ける者はいるのか?!「ハナズオウの王様」久住秀輝!」


微笑む口元

笑ってない目

枠からはみ出し過ぎず、かと言って没個性ではない服


こういう大人は幼い頃から沢山見てきた

嘘吐きの臭いがする


「所持金5,500万円!巧みな話術と洞察力で指名成功率100%!可愛い顔の裏に住んでいるのは堕天使か?!悪魔か?!「チューベローズを求めて」小林鈴夏!」


可愛い童顔

黒髪ストレートロングのお姫様カット

普通の中に少しのファンシーを取り入れた服


可愛い自分が大好き

そう書いてあるようなもの

ここまで清々しいと、いっそ好きになれそうだよ

多分無理だけど


「所持金2,500万円!欺かれ、欺き返す。全てが計算?!泣き虫チェリーボーイ!「シレネは愛せない」村田新!」


高い身長

猫背

伸びて顔がほとんど見えない髪

冴えない服装


いかにも自信ないですって感じ

でも、自信のない人は人を騙せないってウチは思ってる

だからあの人はいざとなれば動き出す

動いたとき以外も観察はしてるだろうから注意して見てた方が良いかな


「所持金1,500万円!あれは愛?裏切り?不確かなまま進む先にはなにがあるのか?!「残ったものはマリーゴールド」安藤希和!」


騙した側が2、騙された側が2、不明が1

紹介ではこんな感じかな

でもあのお姫様カットはよく分かんないかも


「皆様改めまして、ようこそギャンブルの塔へ。今回はわたしがゲームマスターを務めさせていただきます。宜しくお願い致します」


一斉に部屋の照明が点いて男が姿を現す

軽くお辞儀をしてすぐ顔を上げると、大きなモニタを見る


「こちらに表示されているのはゲームのタイトルです。お好きなゲームと対戦相手を選んで下さい。後にルール説明を致します。必ずお一人様に一度ずつは勝負を仕掛けていただきます。一度行ったゲームは行えません。早い者勝ちです。さぁ、どうぞ!」


面倒だけど少し考えるしかないかなん

あ、本当にギャンブルっぽいのもあるんだ


悪戯ファンタン

ドボンルーレット


この辺りは運要素が強そうだからあんまりやりたくないかなん

沢山ギャンブルをやる人なら運じゃないんだろうけど、あくまでルール知ってるだけだからねん

特にファンタンなんて賭け方もよく分かんないし


裏切りジジ抜き

公開ポーカー

イカサマ宝探しゲーム


この辺は心理戦になるのかな

知らない人と心理戦か…あんまり得意じゃないんだよねん


脱出組替巨大迷路

クイズ〇択


…これはギャンブルなのかなん?

ネタ尽きちゃった?

なんでウチの得意なスピードがないのかなん

というか、なんで7つなんだろ

絶対に決着がつくなら5つで良いはず

あとから追加される方式なのかな


「わたくしが最初にゲームを行いますわ」

「では、ゲームと対戦相手をコールして下さい」

「安藤さんと「イカサマ宝探しゲーム」を行いますわ」


あー、愛って単語に反応しちゃったかなん

罠とか指名成功率100%とか、騙すとかに反応してほしいところだねん


「探し物をしている貴方にはよいゲームではありません?」

「でもウチが探してるのは宝じゃないんだなん」

「人によって宝の定義は違うものですわ。貴方はご自分が探しているものを宝だとは思わないのですわね」


この人嫌い


「そういう宗教的な考え方苦手なんだよねん。それにウチは「普通」が宝だとは、絶対に思わないなん」

「確かにこんなところに来てしまっては、普通が恋しくなるものですわね」


そういう意味じゃないんだよねん

こんなところで一人相手に話しても仕方ないからもう良いや


「貴方はなにを探していますの?」


うるさいなぁ


「聞こえませんでしたわ。もう少し大きな声でお願いします」

「―――ねぇ、白金さんは「親からの愛」って、いくらで買えると思う?」


唐突な質問に少し目を瞬かせる


「お金では買えませんわ。でも、言うのなら「少しの努力」…でしょうか」

「じゃあ、ウチが探してるのが「どんなに努力しても買えない親からの愛」でも同じことが言えるのかなん?」

「…参加されていたのは「名前当てゲーム」なのですわよね」

「そうだよん」


親と一緒に参加するわけないじゃん

即負けだよ


「「愛か裏切りか」…とはどういう意味でしょう」

「小学校低学年まで一緒に過ごした男の子がいたんだよねん。その子は今でもウチが大好きだった」

「その方を利用なさったのですわね」

「違うよん。あそこでだけ叶えられるウチの望みを分かってなかった。もし利用したなら、ウチは今ここにいないんだなん。だから、あれは愛でも裏切りでもないんだよん」


少し空気が凍る

そりゃそうだ


「貴方が勝ち抜いたのは、その方が自分の望みを分かっていなかったからだと、そう仰るのなら、それは愛なのではありません?」

「馬鹿なのかなん?自分の望みを一方的に押し付けるなんて、そんなの愛じゃない」


ウチは殺されたかった

京太郎は生きててほしかった


叶えられるべき望みは、どっち?


そんなの分かり切ってる

京太郎の望み

だけど、あの場に限っていえば、殺したいと相手が思ってくれれば、叶えられるべき望みは、ウチの望み


「――だから「愛か裏切りか」、なのですわね」

「行動自体ではなく、受け取る側がどう受け取るか。そういうことだね」

「自分は、愛だと思いますけど…」


なにも知らないクセに勝手なこと言ってくれるねん

もうそんなことでイチイチ怒らないけどさ


「国語か道徳の時間じゃないんだから、定義が曖昧なことで議論をするのは止めませんか」

「賛成だねん。どんなに言葉を尽くされてもウチはあれが愛だとは認めないし」

「心が凍っている方になにを言っても無駄のようですわね」


どうしてそういう言い方しか出来ないのかな

それともわざとなのかなん?


「皆様、よろしいでしょうか」

「ええ」


全員を見てそれ以外に声が上がらないことを確認する


「「イカサマ宝探しゲーム」のルール説明をさせていただきます」


モニタに大きくルール説明と表示される

…これって、必要な演出なのかな

どうでもいっか


「プレイヤーの白金様と安藤様には「宝」を探しに洞窟に入っていただきます。基本的なルールは神経衰弱と同じですが、この「イカサマ宝探しゲーム」で使用するカードは52枚のトランプに加えて☆と〇、2種類の「宝」のカードです」


洞窟に入るって設定が神経衰弱をややこしくするのかもねん


「通常のカードは1ポイント、〇は10ポイント、☆は20ポイントとなり、獲得したポイントの数で勝敗を決定します。但し、「宝」を2種類ともどちらかのプレイヤーが獲得した時点でそのプレイヤーの勝利となり、ゲームは終了です」

「なにかペナルティーがあるのですわね」

「はい。「宝」を獲得出来なかったプレイヤーはトレジャーハンター失格の代償といたしまして、-1,000万円といたします」


ウチの所持金1,500万円なんだけど

いや、負けるときのことなんて考えちゃ駄目なんだよ


「カードを確認するためには、洞窟に入る前に予め協会に支払ったお金から50万円を支払う必要があります。なくなれば追加で支払うことが出来ますが、出入口に戻って引き帰す必要があるので、1ターンを要します」

「そのとき相手が確認したカードは確認出来ないんだよねん?」

「はい。そして、同じターンに支払うことが出来るのは250万円までです。最初に決めた確認回数を変更することは出来ず、250万円を支払って3度しか確認しなくても250万円が最初に支払った額から引かれます」

「それで、なにがイカサマなのかな。まさか違う数字でも1ターンに何回も確認出来るから、なんて言わないよね」

「これから説明いたします。そう焦らずとも、ゲームは逃げませんよ」


小馬鹿にした笑み

確かにこの微笑み男からは早くゲームがやりたいって感じをひしひしと感じる

だったら最初に動けば良かったのに

そうしたらウチが最初に勝負吹っ掛けられることもなかったのになん


「ゲームを仕掛けられた安藤様は洞窟に入る前に500万円を支払うことで洞窟のエリア分けが分かる「洞窟の地図」を入手することが出来ます。ゲームを仕掛けた白金様は洞窟に入る前に500万円を支払うことで1枚「宝の地図」を入手するこが出来ます」

「1枚ということは、複数枚入手出来るのですわね。それには1つのエリアに何枚「宝」があるか書かれている、というところでしょうか」

「その通りです。プレイヤーは互いの持ち物を知ることは出来ません」

「当然ですわね」

「勝者は協会に支払った金額からカード確認のために支払った金額を引いた金額…長いので残金と言います」


決まってないんだ

適当だねん


「残金の5倍が配当され、残金は返却されます。負けても「宝」を持っている場合、「宝」のみ残金の2倍で配当され、残金も返却されます」

「プレイヤーでない僕たちはただ見ているだけなのかな」

「久住様、村田様、小林様にはどちらが何枚「宝」を手に入れるのか、賭けていただきます」

「それだけなんだね」


ガッカリするんだねん

だったら自分が仕掛ければ良かったのにって何回思わせるのかなん


「合っていれば賭け金の3倍、違えば没収。片方のプレイヤーが両方の「宝」を得ると賭けていて、そうなった場合は賭け金の5倍が配当されます。賭け金の最低額は200万円です」


あ、無視した

ゲームマスターのスルースキルが上がった


「ルール説明は以上です。ご質問はございませんか?」

「念のため確認したいことがありますわ」

「どうぞ」

「基本的なルールは通常の神経衰弱と同じ…でしたわよね」

「はい」

「それは、同じ数字の組み合わせが出来た場合、予め支払ったお金を使わずに次のカードを確認出来る、という意味でよろしいですわね」

「はい、間違いございません」


そんな質問をするなんて随分慎重な人なんだねん

ウチはまぁ良いかな

想像は出来るし、情報で頭を固め過ぎるのは良くないと思うんだよねん


「もう1つありますわ」

「はい」

「わたくしが入手出来る「宝の地図」ですが、エリア①に1枚ありますと言われてもエリア①がどこか分かりませんわ。地図にはその区分の分け方が記載してあると考えてよろしいですわね」

「はい、手に入れた地図の区分の形とその区分に何枚の「宝」があるのかが記載されています」


所持金が多いから買わないメリットはない

だけど、こうも買う気満々ですアピールして大丈夫なのかなん

2枚以上買うんだろうって予想されちゃうよん?


こっちを見た視線とウチの視線がぶつかる

ゆっくりと表情を変えたその顔は、妙に綺麗だった

「ナスタチウムの決意」「それぞれのマリーゴールド」で描いた「名前当てゲーム」からは「安藤希和」が参加します。

*「それぞれのマリーゴールド」の「ルート⑬」で生き残った流れです

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