2人目の犠牲者
オレはジュロードスとレオンの3人で、放課後、学校の外へ出かけた。まず行ったのはすぐ近くの武器屋だった。2階建ての古い木造家屋で、結構歴史のある店らしい。セント・リメリアの建物は石造りが多いのでだが、学園の周りは不思議と木造の建物が多い。
「そういえば2人はどんな武器を使うんだっけ?」
ジュロードスが訊ねる。
「オレは一応剣を使う」
そういえばこの学園では短杖しか使ってない気がする。
「オレは双剣」
レオンは双剣を使うのか。珍しいな。
「へえ、2人とも前衛なんだね」
「ジュロードスはどうなんだ?」
「僕は基本的に短杖か長杖のどちらかだよ。状況に応じて使い分けてるんだ」
「そうか」
オレも武器の使い分けをするタイプだな。魔法が使いたいときはワンド、武器でで直接攻撃したいときは剣を使う。
「2人は何か買わないの?」
「オレはオーダーメイドの武器しか使わない主義なんだ」
「へえ、意外だね」
オレはその辺の量産品だと魔法がうまく扱えない。武器のほうがダメになってしまう。
「レオンは?」
「うちの父親が鍛冶職人だから、作ってもらってるんだ」
「へえ、すごい。じゃあ武器が必要なのは僕だけだね。ローランド、何かいいワンドはないかな?」
「市販品は詳しくないが、これなんかどうだ?」
草属性を強化する杖を提案してみる。
「へえ、属性強化の効果があるのか。これにしてみよう」
「本当にそれでいいのか?」
「うん。君が選んでくれたのなら間違いない」
かなり適当に選んだのだが。
「じゃあ、これを買ってくるよ」
ジュロードスは会計を済ませる。
「おまたせ。次はどうする?」
「少し早いが、夕食にしないか?」
オレが2人に提案する。
「そうだね」
「ああ、それがいい」
この店を出て、飲食店を探すとしよう。
* * *
洒落た店を見つけたので、3人でそこに入る。ドアを開けると、カランカランと鈴が鳴る。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「3人です」
「そこの空いているテーブルへどうぞ」
店は人気のようで混んでいたが、幸い1席だけ空いていた。
「何にしようか?」
「どれもおいしそうだな」
どのメニューもおいしそうで、何にしようか迷う。
鈴が鳴り、新しい客が入ってくる。
「4人だが」
聞き覚えのある声だ。見てみるとエリックが女子生徒を連れていた。
「すみません、ただいま満席で」
「この俺様をバートリー家の者と知っての行動か?」
「え、いや……その」
店員はかなり困っているようだ。
「ん? 君たち、ここで何をしてるんだ?」
ボンボンがこちらに気づいてしまった。
「何って、見ればわかるだろう? 食事しに来たのさ」
ジュロードスが答える。
「わざわざ席をとっておいてくれたのか、いや、ありがたい」
「そんなわけないだろう!」
レオンが反論する。
「君たち庶民にはこの店は似合わない」
取り巻きの女どもが笑いだす。
「行こう、ここに居座っても気分が悪くなるだけだ」
「そうだな」
別にこの店にこだわる必要もない。
「納得いかねーよ」
レオンが口を出す。
「レオン。ここで争っても意味はない」
オレはレオンを抑える。
「放せローランド!」
「行くぞ。逆上したらあいつの思うツボだ」
オレは無理やり店の外までレオンを引っ張る。
「これからどうしようか?」
「学食で食べるのが無難じゃないか」
オレはそう返答する。
「そうだね」
「くそっ、エリックの奴め」
レオンはまだ怒っているようだった。
「あいつのことは忘れよう」
オレはレオンをなだめる。
「……そうだな」
オレ達は学食へ向かった。
* * *
夕食を食べ終わり、2人と別れた。オレは図書館に寄って軽く読書をしてから寮へ戻る。
「いい加減、認めたらどうだい?」
「そんな事するわけがないだろう」
帰り道に口論している生徒がいた。関わらないように遠回りをする。だが、少し気になるので聞き耳を立ててみる。
「君の家が帝国と繋がっているのはわかっている」
「貴様、バートリー家を侮辱するなら許さないぞ」
口論しているのはジュロードスとエリックのようだ。
「我々は王国の統一以来、王家に忠誠を誓ってきた。帝国と繋がり王家を転覆しようなど絶対に有り得ない。証拠でもあるのか?」
「今は持ってない。でも、証拠の品ならちゃんとあるよ」
ジュロードスは自身をみせる。
「ここで見せることができないのなら意味がない。そんなの戯言に過ぎない」
「君がそうやってふんぞり返っていられるのも今のうちだけさ。明日を楽しみにしているよ。じゃあね、エリック」
ジュロードスは去っていく。
「フッ、お前こそ覚悟しておけよ」
エリックはジュロードスと反対方向に去る。
本当にバートリー家が帝国と繋がっているなら大問題だが、貴族のゴタゴタはオレには関係ないことだ。
オレも2人が去るのを待って、寮に戻った。
* * *
次の日の朝。空は灰色の雲で覆われ、空気はとてもひんやりしていた。今にも雨が降りそうな空模様だ。そんな中をいつも通り1人で登校する。
かなり余裕を持って教室に入る。特にすることがないので読書をして時間を潰す。
授業開始の時刻が近づき、続々とクラスメイト達が集まる。しかし彼は一向に姿を見せない。
「おはよう」
いつものように先生が教壇に立つ。
「今日は2人休みか」
2つの空席、1つはニコのもの。しばらく復帰はできないようだ。そしてもう1つは……




