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魔法の仕組み

「あー食った食った」


 リースに夕食をご馳走になった後、暗い道を1人で歩き寮へ戻る。まだ部屋を貰っていなかったので、受付で学生証を見せて部屋の鍵を受け取る。


 寮は部屋が1つにキッチンとシャワールームがあった。部屋にはベッド以外の家具は備え付けられていなかった。必要な家具は今度暇なときにでも買い揃えることにする。


「今日はもう遅いし、寝るとするか」


 オレはベットで横になった。



 * * *



 朝になり、目が覚める。時計を確認すると、授業開始10分前になっていた。急いで支度をし、部屋を飛び出す。そのまま教室へダッシュした。


 チャイムと同時に教室へ。ギリギリ間に合ったようだ。


「それじゃあ、授業を始めるぞ」


 オーリエ先生が授業を行うようだ。


「1時間目は魔法技術だ。今日は初回だから、基礎の基礎から復習していくぞ」


 えーという声が何人かから聞こえる。生徒たちは基礎なんかどうでもいいから、高度な魔法を教えて欲しいと思っているようだ。


「んじゃ、遅刻しそうだったローランドに聞こう」


 早速当てられてしまった。


「魔法には全部で7つ属性がある。それを全部答えてくれ」


 5歳児でも分かるような問題をわざわざ魔法学校で出すなという声は心の中にしまっておこう。


「無属性を省くなら、火、水、雷、地、草、光、闇の7つ。ですよね?」


「正解だ。ついでだ。お前の使える属性の魔法を1つ、この場で見せてくれ」


 オレは杖を取り出す。


「アクア」


 呪文を詠唱すると、杖の先に水の球体が現れる。


「さすがだ。ついでにもう1つ。その水、そのままだと教室が濡れるから凍らせてくれないか?」


「ヒエロ」


 別の呪文を詠唱する。水の球体が凍っていき、氷の球体になる。


「お見事。ローランドに拍手」


 教室から拍手が送られる。


「水と氷は、別の属性と考えている学者もいるが、基本は同じ属性だ。水を出現させたいならアクア、氷ならヒエロと詠唱するんだ」


「属性には相性がある。水属性に強い属性を誰かに見せてもらおう」


 教室中の目線がある男子生徒に向く。


「俺様の出番のようだな」


 エリックは立ち上がり、右手を軽く上げる。


「ライデン」


 エリックの手から雷が放出される。


「さすがはエリックだな。エリックにも拍手」


 まばらな拍手が起こるが、エリックはすまし顔で着席する。


「じゃあ、次は地属性が使えるやつ、誰かいないか?」


 手を挙げた生徒が1人いた。


「えーと、名前は?」


「レオンです」


「レオンか。じゃあ魔法を見せてくれ」


「はい」


 レオンは杖を前方に向ける。


「ジオ」


 とがった飛礫が黒板に突き刺さる。


「あ、すっ、すみません」


 レオンが頭を下げる。


「いや先生が悪かった。気にするな。座っていいぞ」


「はい」


「地属性の詠唱文はジオだ。出現する物質は個人差や環境により異なるが、文末に魔法文で物質名を入れることで、任意の物質を出現させることも可能だ」


 鉄ならば「ジオ・アイアン」と唱えればいい。でも、その要領だと、金やダイヤモンドも作り出せるんじゃないか? 突如、そんな疑問が沸き上がる。


「次、草属性を使えるやつ、いないか?」


「僕でよければ」


「名前を教えてくれるか?」


「はい。ジュロードスと申します」


「ジュロードス、お前の魔法を見せてくれ」


「はい、よろこんで」


 ジュロードスは杖を上に向ける。


「ユグド・クラブ」


 四つ葉のクローバーが杖先に芽吹く。地属性と同じく、文末に特定の名称を入れることで、その植物が出せるんだな。


「四つ葉のクローバーだ」

「すげー」


 教室がざわつく。


「四つ葉のクローバーを出せるなんてすごいな。俺も昔探し回ったんだがな」


「いえいえ、これくらい何てことないですよ。折角ですのでリース姫、あなたに差し上げます」


 ジュロードスはリースの前で膝まづく。


「ありがとうございます」


「どういたしまして」


 リースは笑顔で返答する。


「おい貴様、リース様にそんなゴミ渡してんじゃねえ」


 突如、エリックが噛みつく。


「僕の魔法を侮辱するとは、恥を知れ」


 ジュロードスが言い返す。


「左遷された底辺貴族の分際で俺様に楯を突くとはいい度胸だな」


「黙れ、家柄しか取り柄のない七光り野郎が。」


「2人ともけんかは駄目です」


 リースが頬っぺたを膨らませる。


「仲直りしてください」


「しかし」


「言い訳は無用です」


 エリックとジュロードスは互いに睨みながらも、仕方がなさそうに握手をする。


「はい、もうけんかしちゃ駄目ですよ」


 2人は席へ戻る。


「えー、じゃあ本題に戻るぞ。じゃあ次は火属性。面倒だから俺が見本を見せるぞ」


 オーリエ先生は杖を持つ。


「フレイオ」


 ぼわっと一瞬火が燃え上がった。


「火属性は得意じゃないから、こんなもんだ。詠唱文はフレイオな」


「先生の得意属性は何ですか?」


 1人の生徒から質問が出る。


「俺は武器専だから、あんまり魔法は得意じゃないんだ」


「そうなんですか」


「ああ、これで基本の5属性は終わったな。これらの属性は相性がある。水属性なら、火属性に強いが、雷属性に弱いといったようにな」


 まあ、この辺は魔法学校に行くような人なら知ってて当然の知識だな。


「じゃあ、最後に光属性を見せてくれる人」


「私がやります」


 リースが真っ先に手を挙げる。


「おお、リース。早速見せてくれ」


「はい」


 リースは長杖(ロッド)を召喚し、構える。


「ハモーレ」


 杖の先から眩しい光が溢れ出す。


「どうでしょう?」


「素晴らしい。さすがはリメリア王家の血を引いているだけあるな」


 生徒からは惜しみない拍手が送られる。


「あ、はい……ありがとうございます」


 心なしか、リースの表情が曇っているように見える。


「リース、光属性の特徴について答えられるか?」


「はい。光属性は先ほどの5属性とは特性がやや違います。光属性と闇属性は互いに弱点同士です。さらに、光属性と闇属性はどちらか一方の属性しか使うことができません」


「……うん。よく勉強している。教科書的には満点の回答だ」


 教科書的には……か。オーリエ先生はおそらくアレを知ってるんだな。


「よし、これで見せられる属性は全てだな」


 さすがにこの場で闇属性は見せられないか。


「もしこの中に闇属性に興味があって手をだそうとしている馬鹿がいたら、悪いことは言わないからやめておけ。この国じゃ死刑もあり得るからな」


 興味本位で闇属性の魔術書に手を出す奴がいるらしいな。


「ちょっと早いが、これで授業はお終いだ。んじゃ、学生生活エンジョイしろよな」


 そう言ってオーリエ先生は教室を出て行った。






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