1年3組 教室
摩耶は、最後の順番を待っていた父親と坂本を連れてお化けトンネルに出現した。
小動物・坂本は初めての瞬間移動で驚きを隠さない。
「ま、摩耶っち・・・凄いわね!」
坂本はまだ摩耶のスカートを握っている。
「凄いけど、たいしたことないのよ。ピー子もできるように今日から教えてあげるね」
「えー、私にも教えてくれるの?」
「あなただけじゃあないわよ。今日からいよいよ教室をスタートするの」
「あ、その教室の取材の件、よろしくな」
トンネル内で父親の隆が、手を振りながら摩耶とは反対方向の会社への出口に歩みを進めた。
「あ、お父さん、行ってらっしゃい!ジョージおじさんには今日4:30に教室に来てもらってね」
「わかった、たしかに伝えておく」
お化けトンネルを出た摩耶は、1年3組の教室に入ってきた。
背後には昨日のニュースを見た大勢の学生を引き連れていた。まるで大名行列のようである。
ついてきた全員が影松高校の新しいヒーローに夢中である。
「すごいね摩耶さん」
「摩耶ちゃんサインして!」
「握手お願い」
「摩耶さんどうやったら移動できるの?」
たくさんのスマホに撮られる摩耶はもう完全にヒーローである。
何十名のファン引き連れて摩耶が教室に入ってきた。
「メグちゃん、おはよう」
「あ、摩耶ちゃん。おはよう!なにそれ?すごいファンたちね!」
「えらい人気でんなー」
「まるで教祖様なんだナ」
「ちようどいいわ、摩耶ちゃん。早速彼らたちに『あの作戦』を決行するわよ」
「わかったわ。任せといて」
と言うと、摩耶は引き連れてきた群衆に大きな声で言った。
「皆さんの中で私みたいな能力を持ちたい人いますか?いたら手を挙げてください!」
「「「はーい!」」」
例外なく全員が手を挙げた。
「教室内のみんなもいかがですか?」
「「「はーい」ね」
1年3組のクラス全員が手を挙げた。
「昨日みんながテレビで見たように、この技術はとんでもない技術です。でもその技術を取得するにはそんなにたいした努力が必要ないの」
「えー、それは俺でもできるのか?」
「簡単なのか?」
「私でも大丈夫?」
「心配しないで、みんな大丈夫よ!実は今日からその技術を教える教室をスタートします」
「教える先生は私と、そこにいるメグちゃんとゆかいな仲間たち」
メグたちを指差しす摩耶。
「しかし教室って、どこでやるんだ?」
「この教室で、今日の放課後からスタートするわ」
「え?さっそく?」
「そうよ。校長先生からもすでに教室を開く許可はもらってるの。名付けてカタカムナウタヒ教室よ」
「カタカムナウタヒ教室?」
「長い名前ね」
「その教室の参加資格は?」
「誰でもOKよ!じゃ確認のためにもう一度聞きます。参加したい人は手を挙げて!」
「「「「はーい」」」」」
ざっと見渡しても100名以上の手が挙がった。
キーンコンカンコーン♫
授業の始まりを知らせる予冷が鳴った。
「さあ、みんな。また放課後に会いましょう!解散!」
摩耶のその一言で廊下に屯していた生徒たちは三々五々に散っていった。
「どうやら生徒募集はする必要ないみたいね」
「せやな、教祖摩耶はんのおかげで楽勝やな」
「一言で瞬殺なんだナ」