人類改革党・党首 楢崎あかね
「99%って、ほとんどの議員が反対なんだナ」
「そんな事は想定内よ。だっていつの時代もそうだったじゃない。私たちが新しい革新技術を持ってきたら、権力者たちは自分たちの地位が脅かされるといつも反対してきたじゃない」
「しかし、とはいえ1%賛成する議員がいるのは朗報なんだナ」
「この賛成議員は誰でっか?」
「和泉様、少しお待ちください」
剛三がまたもや瞑想にはいる。
1分後
「わかりました。『楢崎あかね・42才・北海道札幌出身・人類改革党』が党首で、あと5名の党員が摩耶さんのデビューに同調しています」
「楢崎・・・って、ひょっとして?」
メグが呟く。
「はい。お察しのとおり、カタカムナ文字を解読した楢崎皐月の孫娘に当たります。国会の中でも特に貧富の差の撲滅、自然保護、エコロジーなどを強く推進している議員です」
「あのー。お話し中、申し訳ないんだが、少し質問してもいいかな?」
先ほどから、まるで借りてきた猫のようにおとなしい中居先生が会話に入ってきた。
「ミスマルノタマの装着は、誰でも鍛錬次第でできるとのことだったが、逆にできないヤツというか参加資格のないヤツみたいなものはあるのか?」
「中居先生、最初に言ったじゃないの。いくら鍛錬しても物質文明から精神文明に確実に変わると言う確信を持てない人はダメなの」
「ということは、精神文明に変わってもらっては自分たちの利益にならない人間は参加資格は無いわけだな」
「せや。しゃーから、ぎょうさん金持ってるやつとか守銭奴みたいなやつは最初から参加資格はおまへんねん」
「なるほどな。確かにこれは親父が言ったように『茨の道』になりそうだな」
「こら!だからワシがこうして今日来てるんじゃないか!今回のこの変革をスムーズに行うために私の超能力を全開にして使おうと思っておる。ワシが今まで長年生きてきたのは、今回のこの改革のためだけと言っても過言では無い」
「せやな、これからは『金と権力を持つ者』と『ミスマルノタマをまとえる者』の対立になりまんな」
「そうね。私たちも剛三さんのスーパーパワーを借りないとこの難局を乗り越えられそうにないわね。ましてや私たちではなく摩耶ちゃんが今から全ての矢面に立つからなおのことなのよ」
「しゃーから、剛三はん。この摩耶はんをよろしゅう頼みますわ」
ポンと秀が、摩耶の小さな背中を押した。
「僕からも、よろしくお願いするんだナ」
「あ、改めましてよろしくお願いします」
メーテルがピョコンと頭を下げた。
「わかっております。これはワシに与えられた大切な使命ですからな。不肖この中居剛三、命に代えてもみなさんと摩耶さんを応援いたします」
「よかった!その言葉を聞いて安心したわ。肝心な意志統一ができたから、今日の会議はここまでにしましょう」
「せやな」
「中居先生、ご自宅の近くの神社はたしか北区の道場神社でしたね」
「そうだが・・・」
「星、道場神社までの水晶持ってる?」
「もちろん。こんなこともあろうかと思って用意してるんだナ」
「まあ、用意いいわね。じゃぁ、あんたたち。先生と剛三さんを道上神社まで瞬間移動でお送りしてあげてね」
「「了解!」」
「じゃー剛三さん、先生。さようなら」
「さようなら。またお会いしましょう」