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今日も元気よ!カタカムナ!  作者: ミスマル
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東京証券取引所

摩耶は星から手渡された2つの水晶で、報道陣を一瞬にして伊勢神宮に連れて行き、その後一旦渦森台に戻って出雲大社参りを大サービスした。


「夢のようだ・・・」


「全くすごい・・・の一言だな。おいカメラ、ちゃんと録画しているだろうな!」


「はい!渦が出たあとの伊勢神宮と出雲大社をしっかり撮りました!」


「いやー!素晴らしい!一瞬で伊勢参りと出雲参りができた!」


「奇跡です!奇跡が起こりました!これはもう奇跡以外の何物でもありません!」

相変わらず茶髪がやはり一番やかましい。



神戸から伊勢、出雲を巡ってまた神戸に戻るのに要した時間はわずか10分足らずであった。


「おい、時計を見てみろ!まだ10分も経過していないぞ!」


「本当だ!」

「瞬間で移動できた」


「いかがでしょうか?みなさん。これが瞬間移動です」

水晶を持った摩耶が光の中から、自信満々で報道陣に尋ねた。


「はい、これはもう疑う余地はありません」

「しっかりこの目で確かめました!」


もちろんこの驚愕の一連の映像は、各報道陣のテレビカメラによって一気に日本中のお茶の間に伝わった。


日本中に電流が走った。


これは時刻にして午後1時半の出来事であった。


東京証券取引所は、この瞬間移動の映像をテレビで見た投資家の「売り」で瞬時に反応した。


「大輪証券から南武電鉄5,000,000株の成り行き売り!」


「日光証券、東和航空10,000,000株成行売り!」


「山三証券、西急電鉄を5,000,000株成行売り!」


「さらに日光証券50,000,000株の大日本航空、売り。成行!」


「続いて大輪証券、商船五井 50000000株 成行売り!」


「売れ、売れ!急いで全て売るんだ!」


「紙屑になる前に早く売れ!」


「指値しているヒマはない!全て成行だ!」


このように、その日の東京証券市場の後場は、「売り」の怒声が飛び交い、電鉄・空輸・商船・旅行会社のすべての株が成行で売り注文を浴びせられ、全ての銘柄がストップ安となり取引を終えた。


日経平均株価は、昨日の終値よりなんと6500円安の大暴落であった。


株式市場始まって以来の下げ幅だ。



取引を終えた野原証券・神戸支店内


新谷支店長

「どうだ!みんな。俺が言った通りになっただろう!」

笑顔で新谷が各営業課長に話しかけた。


「言われたとおりの凄まじい大暴落ですね。しかし幸い、うちの支店は昨日のうちにすべての株を売り切っていたから、損はしないで済みました。さすがですね支店長、お客さんは大感謝です」


「これで他の証券会社と大きな差ができましたよね」


すべての営業課長やスタッフが新谷支店長のもとに集まってきて、昨日の判断と労をねぎらう。


「みんな、よくやった。野原証券もこれで他社を完全に引き離した。しかし、明日からの暴落はまだこんなもんじゃない。もっと強烈に下がるはずだ」


「我々の顧客は間一髪で災難を免れましたね!」


「たくさんの顧客から感謝の声をいただきました」


「そうか。さらに顧客に儲けさせる秘策がある。みんなちょっと集まってくれ」

新谷が手招きで全員を集めた。


「支店長、さらに秘策とは何でしょうか?」

支店長に全幅の信頼を持って60名のスタッフが集まった。


「いいか、この大暴落はしばらく続く。物流以外の銘柄も巻き込まれて全て下がる。これからは下がった鉱山の会社の株を静かに買え」


「え?鉱山の株ですか?」


「そうだ具体的には三月鉱山、住吉銅山、大日本鉱山、日本金属だ」


「なぜ鉱山株が上がるのでしょうか?」

メモを取りながら橋本課長が尋ねる。


「なんでも息子が言うには、さっきのテレビで見た瞬間移動のシステムには起動するために水晶が必要らしい」


「水晶・・・ですか?」


「そう言えば、テレビで出ていた女の子は移動の時に水晶みたいなモノを差し出していました!」


「あ、それは俺も見た!」


「いいか、水晶だけを採掘している会社は無いが今からの世界は水晶の争奪戦が始まる」


「そうか、だから採掘の会社がこれから上がるんですね!さすがは支店長!」


「みんな、わかったな?」


「「「わかりました!」」」


「ただし今すぐ買うんじゃないぞ。さっきも言った通り、相場はまだドンドン下げてくるから、10分の一ぐらいに値段が下がったところで静かに買うんだ!」


「「「わかりました!」」」

60名の大きな声が支店内に響いた。


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