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今日も元気よ!カタカムナ!  作者: ミスマル
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野原証券 たたき売り

時間はさかのぼって当日の昼休み


野原証券・神戸支店内

東京株式市場は11:00に前場が終わり13:00の後場の開始を待っていた。

前場の日経平均株価は大きな材料もなく昨日の終値と変わらずであった。



新谷支店長が支店長室に営業課長たちを集めて号令をかけた。


「よし、君たち。今からウチの顧客が持っている運輸、旅行、電鉄、物流関連すべての株を売りに出せ!」


「支店長、いったい急にどういうことですか?」

営業第一課・課長の橋本が新谷に尋ねる。


「問答無用だ!とにかく、まずはうちの支店が持っている全ての客の株のリストを出せ。その中からさっき言った銘柄を持っている客に全部電話して急いで売らせるんだ!これは支店長命令だ!」


「しかし、支店長。そんなことを急に言われましても、お客は納得いく理由がなく持ってる株を簡単に売るとは思いませんが」

営業第二課・課長、志賀が正論を吐く。


「実はな、今言った会社すべての株価がゼロになり、紙屑になる凄い情報があるんだ」


「そんな・・・本当ですか?もしそれが本当だったらすごいスクープですが・・・」

営業第三課・課長の伊勢が唸る。


「今はまだ、都市伝説ぐらいにしか語られていないが、まずはこのYouTubeを見てくれ」

新谷支店長が全員の前にスマホを差し出す。


「あ、支店長が写ってますね。しかも息子さんも一緒に」

集まった営業課長たちが食い入るようにスマホの画面を覗き込む。


「そうだ、今朝うちの息子が通う高校の近くのトンネル内で撮影されたビデオだ」


「そのYouTubeだったら、私も先ほど確認しました。何でも人間が瞬間移送でかるとか・・・しかし単なるヨタ話じゃないんですか?」

投資相談課・課長の根本が問う。


「いや、うちの息子が言うには確実にこの瞬間移送の技術はできたらしい。というより正確には異文明に伝授されたらしい」


「「「という事は?」」」

全員がハモった。


「という事は、長年培ってきた世界中の人やモノが動くシステムが全部が崩壊する、ということだ。後は君たちはプロの証券マンだろう?わかるよな?」


「はい、明日からの株式市場は売り一色しかない・・・わかりました!今から営業マン全員に『たたき売り』の大号令をかけます」


「それでいい。今から沈みゆく船に我々は乗ってると思え!それを早く救ってやろうと言っているのだ、早急に電話させろ!他社に遅れをとるな!」


「「「わかりました!」」」


支店長室から出た営業課長たちは大声で証券マン全員を集めた。


「おーい!営業マン、全員集合だ!」


「どうしたんだ急に?」

「なにやら支店長室で長い会議をしていたな」

「またいつものつまらない命令だろう、どうせ」


いぶかしがりながらフロアに集まる証券マン達に対して営業課長が号令を出し始めた。


「みんな、よく聞け!とにかく顧客が持っている人とモノの移動に関連する株式の全部を今日中に売りに出せ!」


「ホントですか?」

「全部売りですか?」

「まじですか?」

「理由はなんですか?」


「支店長情報では、どうやら今までの物流システムが根本から変わるような瞬間移動システムが完成したらしい」


「なんか夢物語だな」

「それならさっきYouTubeで私も確認しました」


「でも、どうせほら話じゃないんです?」


「いや、どうやら支店長の息子さんがこの件に深く関与しているらしくて、真実に近い情報を持ってるのはラッキーなことに我々だけなんだ」


「それが本当だったら凄い事ですね」

「確実に世界が変わるな!」


「そうだ、この情報の値打ちは君たちならわかるだろう?とにかく急いで顧客に電話して、今日中に全部の株を売り切るんだ!わかったか?」


「「「わかりました!」」」


大声が有名な橋本営業課長のこの一声で、数十名のスタッフ一同はそれぞれの机に戻り、急いで自分の顧客に電話をかけた。


「木村社長ですか、急いで西急電鉄株を売ってください!」


「小椋会長ですか?今から持っている全てのクロイヌ運輸株を売ってください!理由?理由は後ほど説明します!」


「青木先生、理由は聞かずに大和航空と全日本旅行株全て売りましょう!」


このように支店内はまるで蜂の巣をつついたような大騒ぎとなった。


野原証券は神戸支店だけではなく、専務取締役命令で150店舗ある全店で同じような光景が見られた。


この売りを受けて株式市場は徐々に反応を示し始めた。


「日経平均 55円安!」

「日経平均 160円安!!

「野原証券の大幅売りにより日経平均 330円安!」


しかし投資家の多くはまだこの売りの真の理由を知らなかった。


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