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今日も元気よ!カタカムナ!  作者: ミスマル
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証券会社支店長・新谷昇 2



「しかもこれは経済だけでなく一方で非常に政治的な話になってくるな。この装置によって人々が自由に海外に行き来出来るということはすなわち入国管理ができなくなると言うことだ。各国の政府が発行するパスポートが必要ない時代が来ると言う事はマサイ族のように勝手に国境を越えることができるから『国家』と言う概念そのものが揺らぐことになる」


「そうか・・・国家そのものが意味がなくなるわけだな」


「次に犯罪絡みの話だ。海外から麻薬や鉄砲などの違法物や危険物の輸送が簡単になるという事だ。つまり日本の治安が悪くなると言うことだ」


「なるほどなー。それはやばいな・・・」


「それと検疫の問題だな・・・港や空港には海外からいろんな病原体を持った人を検疫するシステムがあるが、この装置を使うと検疫無しで旅行者たちが行き来するので病原体に対する防護が不可能になる」


「そうか・・・それはまずいね」


「そうだ。それともう一つ非常に大事なことだが軍事面から考えてみても大変なことが起こる。もし優秀な兵士を多数、瞬間に相手の首都や原子力発電所などの重要施設に送り込むことができたらこれはもう戦争にはならんわな。今までの制海権や制空権などの概念が一新される」


「そういえばそうだな。背後に突如たくさんの敵が現れたら瞬殺になるわな・・・」


「わざわざ兵器でなくても病原菌を持った人間を多数送り込むだけでも瞬殺だろうが?言ってみれば生物兵器運搬装置になる」


「人が旅行できる意外にもすごい威力がある装置なんだな・・・」


「つまり簡単に言うと、その装置のライセンスを持った国家ないしは企業がこの地球上を制することになる」


「とすれば今のところこの日本が世界の頂点に立つと言うことだな」


「もう一つ、確かそのメグって言う子は水晶を使って瞬間移送の距離を調節してるって言ったな?」


「うん、そう言ってたし実際彼女は移送時に小さな水晶を使ってた」


「と言う事は現在、金や銀、プラチナの相場があるように明日から水晶の値段がうなぎ登りに上がることになる。そもそも水晶の相場っていうのが今まで無いから金相場や銀相場みたいに『水晶相場』っていうのが急遽立ち上がるだろう」


「水晶を採掘して加工する会社の株は上がりまくるね」


「そうだな、お前も少しは頭を使うようになったな」


「なんか簡単に大儲けできる気がしてきたよ」


「なんだ、儲けるだけならもっと簡単だ。さっき言った大暴落する会社の株全部をカラ売りしたらいいんだ」


「カラ売り?」


「そうだ株価が下がったら下がるほど利益になる。もしも株価がゼロになって紙屑になったら大儲けだ」


「へー、そんな方法があるんだ。株って上がるだけが利益を取る方法だと思ってたけど」


「後その装置のすばらしいところは地球環境保護だな。これだけ毎日走っている車やバス、トラックそして飛行機、船舶のそれぞれが排出するCO2の量と言うのは莫大なものだ。しかし今後一切そういったものがなくなると言う事は地球にとっては非常に良いことだ」


「そうだね。そう言えば地球環境に優しい装置ってメグも言ってたな」


「それとそれに伴って石油価格の下落が始まるな。実際に今後は石油と言うものはストーブなどの暖を取るために必要なだけになるので内燃機関の需要は無くなり生産量はぐっと減るからだ。これは大暴落が始まるな」


「つまり今後人類は、移動に関しての石油は必要なくなるわけだね」


「そうだ、今動いてるほとんどの移動機械は石油をエネルギーとして動いているからな」


「とすると現在の地球上の石油不足状況に対しては朗報と言う事だね」


「そうだ。しかし逆にメジャーと言われる石油のマーケットを支配しているグループからそのメグと言う子を含めてこの装置に関与している人間の命を狙われる可能性もあるぞ」


「えー!まじか!その中には俺も含まれてんのか?」


「それはわからん。しかし彼らが自分たちの莫大な権益を守るためには人を殺す事くらいは何とも思ってない。今後はゴルゴ13のようなヒットマンが来ることを覚悟しておけ」


「それは嫌だなぁ・・・怖いなぁ・・・」


「ははは、だから仮の話だから心配するな!」


「もうひとつ、親父、証券マンとしてもしこの装置ができたらそのライセンスというかパテント料はどのくらいの金額になると思う?」


「それはわからんな、世界がひっくり返る発明だからな・・・しかし世界中の企業の株価をゼロにするほどの効果を持った装置だから最低限の金額は算出できる」


「い、いくら?」


「ニューヨーク、東京、ロンドン、チューリヒ、シンガポール、香港などの各市場の時価総額の総和がゼロになるのだから・・・」

そういうと昇はカバンの中から電卓を出してきて慣れた手つきで計算を始めた。

さすがは優秀な証券マンである。


「3600兆円・・・だな」


「3600兆円?想像もできない金額だね」


「ああ、日本の国家予算が200兆円だからその膨大さがイメージができるだろう?」


「いや、無理無理!大き過ぎてわからん」


「いや、これでも世界中の株価を考えただけで控えめに計算している数字だ。石油の下落を入れたらまだまだこの金額では足らないな」


「ほえー」

途方もない金額に驚く新谷であった。


「どうだ?参考になったか?」


「いやーさすがは経済に通じている証券マンだな。見直したよ!親父」


「まあな、これが毎日の仕事だからな」


「じゃあ明日、仕事ついでにお化けトンネルに一緒に行かないか?」


「わかった。お前の熱心さに負けたよ。見るだけは見てみよう」


「了解!ありがとう親父!」



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