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今日も元気よ!カタカムナ!  作者: ミスマル
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翌日 物理の授業

翌日 物理の授業


授業開始2日目の朝 校門に向かっていつもの3人が歩きながら話をしている。


「昨日の自己紹介は不発だったわね」

「あれだけカタカムナ語教えたったのに、あかんかったな」

「どうもぼくたちのキャラがヤッターマンのドロンジョ様と一味に被ってるからなんだナ」


「あら、星!それより今日は大きなカバンね」

「今日のゲート設置の器具なんだナ」

「しゃーけど、それだけの機材でできるんかホンマに?」

「うん、近距離の簡易型タイプなんで必要なのは磁場の増幅装置と安定装置だけなんだナ。しかもあのトンネルは磁場がそもそも安定してるから必要ないかもしれないんだナ」

「そうね、昔作った遠距離移動タイプは磁場の安定が一番難しかったわね」

「せや、しゃーから間に合わせで近辺のパワーを持った巨石を並べて安定させたもんやな」


「おはよう!メグ!それと秀、星!昨日は遅くまでクラブ活動お疲れ様。中居先生もきっと大満足よ」摩耶が近づいた

「まいど摩耶はん」

「おはようなんだナ」

「あ、おはよう摩耶ちゃん!今朝ちゃんと『ありがとう』って10回言った?」

「言ったわよ、しかもちゃんと意味も考えて」

「それより昨日言った『私たちはカタカムナ人です』は今のところは超自然科学研究部内の秘密にしておいてね」

「あはは、心配しなくてもそんなこと誰も信じないわよ。私だけは別だけど・・・」


4人は階段を上って1年3組の教室内に入っていった。


1時間目 物理の授業


ぬっと2メートル近い大柄の教師が入ってきた。高田先生である。巨体で肩幅が大きいのが目立つが特徴は首がない。アメフトの選手をイメージさせるように両肩の間に顔が申し訳程度にちょこんと収まっている。まるで母親の胎内に首を忘れてきたかのようだ。


「あんたたち物理は得意なあんたたちにまかせるわよ」

「まかせんかい」

「了解なんだナ」


「えー、おはようさん。物理の高田いいま、高いに田んぼの田と書きま。ほなよろしゅうたのみま」声も異様にでかい、しかも大阪弁。

「おー、これはワイの出番やー」秀が喜ぶ。


「今日は『万有引力の法則』を勉強しますさかい」

「えーなー、やっぱ授業はコテコテの大阪弁に限りまんな」

「ほな、教科書3ページを読んでんか。んー坂本はんやな」机を指差して出席簿から名前を拾った高田が命令する。

「はい、えと・・・アイザック・ニュートンは庭仕事をしている際に、リンゴの木からリンゴが落ちるのを見て、彼の重力に関する最初の発想を得た。万有引力とはその名の通り万物が有する引力のことである」


「ええあんばいや、次。足立はん読んでんか」高田は坂本の後ろの席を指差す。


「あ、はい・・・そしてまた,リンゴが地球の引力に引かれるように,地上のすべての物体同士は引き合っていることを予測した。この予測に基づいて地球上の物体だけでなく宇宙に存在する天体同士もまた引き合っていることを発見した。これを万有引力の法則という」


「よろしゅうおま、以上が万有引力の法則のストーリーやねん。今日はまずニュートンはん以前の考え方を学ぶさかいにな」


教科書を閉じた高田はみんなを見回す。教科書が小さく見える。

「古代ギリシャのアリストテレスはん以降、ニュートンはんがこの法則を発見するまではこんな考え方が主流やってんでー」大きい体をかがめるようにして黒板にチョークで書き始める高田。指に摘んだチョークが豆粒のように小さく見える。

「帰巣本能」大きい字で高田が書いた。


「え、帰巣本能?」クラスからあまりに非物理学的な単語が出たので声が出た。

「帰巣本能ってあの動物の?」


「そうでんねん、おまはんらも毎日学校終わったら家に帰りまっしゃろ?動物もみんな一時は別の場所におっても結局は巣に帰りまんな。それとおんなじやねん」

「えー、動物はわかるけどじゃあ生き物以外は?」


「ええ質問でんな。アリストテレスはんはこない考えたんや。石を上にほうったら下に落ちる。これは一時的に抵抗を示しながら石は上に上がるけんども結局は自分の巣である地面に帰ってくると。どや?けったいな発想やろ?」

「えー、昔の人はそんなので納得していたんですか?」

「せや、例えば火や煙の巣は天にあると考えていたんやな。しゃーから火や煙は上に上るんやと」

「質問!ほなぐるぐる回っとる太陽やお月はんみたいな天体はどないな考えやったんでっか?」秀が手を上げて聞く。

「おー!ええぞ!こてこて大阪弁対決!」

「大阪 対 大阪!」

クラス中で拍手が起こった。


「お、ええ大阪弁やな。えーっと和泉はんか。なんや名前まで大阪やんか、なんやうれしゅうなってきたなー。アリストテレスはんは天体は別格で『本来の位置』を持ってへんと考えたんや。つまり元から巣がおまへんと」


「ほな、あきまへんがな。帰巣本能の法則に従ってへんよってに」秀の反撃が続く。


「そこや、しゃーから地上の存在と天体の存在は異質なもんやと結論づけたんや。永遠に続く天体の存在はいわゆる人間界とは違う『神の領域』としたんや。ここからは宗教の世界観に発展すんのやけんどやな」


「アホみたいな考えでんなー」


「せや、そのアホみたいな考え方が約2200年間も支配したんや。ホンマにアホやろ?」

「ほえー、ほんまアホでんなー」


「よっしゃ、和泉はん座ってんか。しやーけどその後ニュートンはんは教科書のとおり万有引力の法則を発見しましたんや。これは『2つの物体の間には、物体の質量に比例し、2物体間の距離の2乗に反比例する引力が作用する』と、ほな式を書きまっせ・・・」


「F=G×(Mm÷rの2乗)」大きな字で高田が書いて、さらに赤いチョークで下線を引いた。


「ええかー、Fは万有引力の大きさ、Gは万有引力定数、Mmは2つの物体の質量、rは物体間の距離なんや、ここは試験に出ますさかいよー覚えておいてんか」


「はーい」

「ほーい」


「おい、秀!なかなかいい大阪弁対決やったな」

「本当、まるで漫才聞いてるみたいだたったわ」

クラスメートが秀に賛辞を送る。

「おおきに」


「・・・しやーから重力が発生しとるもんを浮かそう思たらそれ以上の力がいりまんな。ほなかなり重い飛行機はなんで空を飛ぶんかいな?」


「揚力なんだナ」

「ほい、保倉はん当たりや。重量以上の揚力を発生させて飛行機は飛ぶんやな、またロケットは揚力以外に液体燃料の燃焼による推進力で上がるんやな」


「先生、それ以外にも方法があるんなだナ」星が手を挙げた。

「ん?保倉はん他にありまっか?」


「昆虫なんだナ」


「あはは」と期待値が高い星があまりに普通の意見を言ったのでクラスメートが笑う。


「そら昆虫も飛ぶけんどそれは羽根を羽ばたいてさきほどの揚力を発生してるからや」


「違うんだナ、昆虫の外殻の成分であるキチン質がヒントなんだナ」


「キチン質?こりやまたおもろい発想やなー」


キーンコーンカンコン♬

終礼のチャイムが鳴った。


「あ、チャイム鳴ったさかい、今日はここまでやな。保倉はんキチン質の話は次回やな。ほな授業終わりまっせ」


あっという間の45分間の授業が終わった。


「起立!礼!」



「桐山君。高田先生のあだ名決まった?」例によって考え込む桐山の前にメグが座った。

「ああ、メグか!おれはすでに入学式のとき体育館で見たときから決めてた」

「なにに?」

「『ジャミラ』や。ウルトラマンに出てくる怪獣」

「知らないわ」

「これがまたそっくりなんや、ネットで調べてみて。これは多分全員異論はないと思う」

「へー!桐山君といたら勉強になるわ!」


「それはそうとメグ、何食ったらそんなに胸がでかくなるんだ?」目の前にある制服からはちきれんばかりの巨大な胸を前にして桐山が尋ねる。

「ああ、これ?こんなものただの脂肪よ!デブのおっさんのおなかとおんなじ!」2つの山を楽しそうに揉み始めるメグ

「そ、そんなもんかー?」

「興味があるなら触ってもいいわよ、こんなもんでよければ!」

「ま、マジかー」

「その代わり一回につきウイングバーガーを一個ね」

「お、俺、毎日ウイングバーガーおごるわ!」

「できれば下から持ち上げるように触ってもらったら嬉しいわ。こいつらのおかげで毎日肩が凝るのよねー」


「こ、こうか?」テレながらメグの巨乳を両手で下から持ち上げる桐山。それを羨望の眼差しで見る男子生徒たち。


「あ、いいわね。楽―!!こんなことで喜んでもらえるならお安い御用よ!」


「おれ、この高校に入学してほんとによかったー!」重量感のあるメグの巨乳を下から支えながら万有引力の法則を感じる至福の桐山であった。

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