クラス分け
それから1週間が経った。
株価は相変わらず下げ続けており日経平均は全盛時の10分の一まで下がった。
もはや大暴落という表現では足らない。
壊滅である。
最初は懐疑的であったテレビや新聞、週刊誌までが連日「瞬間移送装置」のことを取り上げている。
摩耶のメーテルのような顔写真がマスコミに登場しない日はない。
さらに国会では株価暴落の引き金となった「瞬間移送装置」について議論が沸騰していた。
「総理!このような装置が民間の手にあるとしたら株価暴落だけでなく国家存亡のレベルではないか?」
「このような装置を諸外国が放置するはずかない!」
野党からの突き上げが激しく続く。
「内閣府としましては、事の真偽解明を現在急いでいます。対応はその後慎重に行うことが大切だと考えています」
中洲根総理が汗を拭きながら抗弁している。
「そろそろ親父を通じて国会への証人喚問も近いな」
職員室でテレビの国会中継を見る中居がつぶやいた。
※
一方、毎日の放課後に摩耶が行う「ミスマルノタマ教室」も順調に授業が進んでいた。
「摩耶ちゃん、そろそろクラス分けするわよ」
授業前にメグが摩耶に指示をした。
「え?クラス分け?」
「そう。1週間経ったこのあたりから適格者とそうでない人の差が出てくるの」
「要するに適格者とそうでない人を分けるのね。でもどうやって分けるの?」
「まずは摩耶ちゃんみたいに幼少時から霊体験をしたことがある人。次に日常生活で片方の耳に『キーン』という高周波音をよく聞く人よ」
「その人たちは適格者なのね」
「せや、それとこの1週間で目つぶって集中したらなんとなくタマが見えるようになった人も候補でんな」
「高周波の音が聞こえる人は『磁場力』を探知できる人なんだナ」
「わかったわ、さっそく今日の授業で聞いてみるわ」
※
放課後
授業が始まる。
「みなさん、そろそろ1週間経つけどクラス分けをします」
「「えー?クラス分け?」」
「はい。すでに目をつぶったらなんとなく中心にタマが見える人は手を上げてください」
「「はーい」」
5-6人が手を上げた。
「お、もう見えるのか?俺はまだ何も見えないぞ」
播磨が慌てるように見回す。
「次に普段から片方の耳に『キーン』という音が聞こえる人」
摩耶が続ける。
「キーンってアラレちゃんが走る音だろ?」
「そんなの聞こえる奴いるのか?」
しかし14-5人の手が上がる。
「え?お前たちそんな音が本当に聞こえるのか?」
新谷が手を上げた人たちに聞いた。
「うん、時々な」
「なんか地震の前に聞こえてくるの」
「「へー!」」
「最後、私みたいに小さいころから霊体験をしたことがある人、手をあげて」
「はーい」
10人ほどが手を上げる。
「何?お前たち幽霊を見たことがあるのか?是非我が『超自然科学研究部』に入部してくれ!」
渡辺が熱心に勧誘している。