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今日も元気よ!カタカムナ!  作者: ミスマル
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影松高校 入学式 4月7日

かつて神戸市六甲山系・金鳥山にカタカムナ文明という12000年前に栄えた超古代文明があったとされる。

彼らは縄文時代以前にすでにロータリーエンジンや重量制御、物質移送などのハイテクノロジーを駆使し宇宙の真理も解明していた。

それ以降人類の歴史を見守ってきたカタカムナ人3人が現代の県立高校生として蘇り彼らの任務を遂行する中で考古学や都市伝説の謎解きをする物語。

この物語の舞台である県立影松高校は、御影石の産地で有名な神戸市東灘区御影町にあり、かつては兵庫第三高等女学校の歴史を持つ兵庫県内でも有名の進学校である。


「清く明るく正しく」というのが女学校時代の校訓で男女共学となってから男子が入るに至り最後に「強く」を入れたという経緯がある。



影松高校入学式 


4月のこの季節は、兵庫県立影松高校の周りは桜が満開である。


体育館の中では新入生の入学式が行われていた。

「えー、それでは生徒会長の挨拶に続きまして藤田校長先生の挨拶です。一同起立、礼!」

進行担当教諭の紹介のあと、昔は体育の先生をやっていたという恰幅のいい藤田校長がマイクの前に立つ。


「皆さんまずは入学おめでとう!!心からお祝いいたします。・・・・えー、であるからして、我校の校章は畏れ多くもその昔、神功皇后が三韓征伐のおりにそのお姿を水に映したこの御影の地に植えられた松の葉をかたどったものでありまことに由緒正しいことこの上なく・・・・」

校長の藤田先生のいつもの名調子が始まったようである。


もうこうなってしまったら話し好きな校長が自分に酔ってしまうタイプで、なかなか快進撃を止められないことは他の教員たちとPTA役員たちの苦渋の表情から容易に察することができる。


「あかん、『うしよだ』の登場や!」

「あちゃーエンジンがかってしまった」

「あーあ、また『うしよだ』の藤田の長演説が始まったぜ」

「そうそう、あの校長ったらこの長演説さえなければ普段は生徒思いのいいオヤジなんやけどな」

「毎回牛のよだれのようにダラダラ長い話なんで付いたあだ名が『うしよだ』か、うまく言ったもんだな」


今まで相当被害にあっている上級生のぼやき声が、体育館のあちこちで聞かれるようになってきた。


具にも付かない長話がかなりの定番らしいことがわかる。


「・・・であるから今年本校に入学された諸君たちは誇りを持って有意義な3年間の高校生活を本校で過ごすことを切に希望するものであります」


「おーオトメ!ひさしぶりでんなー!びっくりしたがな!」

男女2列に並んだ新入生の1年3組の列で急に素っ頓狂な声が上がった。

多くの生徒が振り向いた。


「やだ、オトコじゃあないの!久しぶりね。ここではメグって名前なのヨ・ロ・シ・ク」


「ああ、ワイもオトコやなしには今回はシュウっちゆう名前やさかいあんじょうたのむわな」


「なんだ、二人もいたんだナ!しかも同じ列と言うことは同じクラスなんだナ!」

3人後ろからおだやかな声が聞こえてきた。


「えー!なんでもう一人のオトコもいるのよ」

「ぼくもオトコではなくは今回の名前はセイなんだナ、よろしくお願いするんだナ」

「こら、そこの1年3組の男女、話をするな!まだ校長の訓話中やぞ!ちょっと長いけど我慢して黙って聞け!」

担任の大野先生の叱咤にシュンと肩を落とす三人であった。


「・・・であるから若者らしく悔いのない青春時代を本校で謳歌されることを願います。まだ少し時間があるようなので、ここで恥ずかしながら不詳私の青春時代の話を少しの時間をお借りして述べたいと思いますので・・・」


「フアー」

あちこちで遠慮のない大きなあくびの声が聞こえてきた。


「うしよだ」こと藤田校長の話は延々と続くのであった。



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