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プロローグ 酒好き下級竜人は今日も酒に飲まれる

お久しぶりでございます(泣)


小説家になろう様11月16日三周年記念作にしようとして短編で上がらず11月20日の誕生日記念に回したのに書き上がらなかった問題作? でございます(泣)


よろしくお願い致します(泣)

今日も元気だお酒が旨いってね。

私は大ジョッキからビールをあおった。


活気ある下町の食堂は私のお気に入りで下宿から近いので仕事帰りに利用している。


今日も大盛況で店内は混みあっている。


「うーん仕事の後の酒は最高だな」

口元についた泡を手で拭うと立ち上がった。


白家の跡取りが結婚するとかでその膝元の白地方都はいつもより活気づいている。


「女将さん、お勘定」

「ミディちゃんお酒だけで夕食済ますんじゃないよ」

女将さんが怒って私をむりやり座らせた。

もう片手にもったプレートをテーブルにおいて私にスプーンをにぎらせる。

「女将さん、私は酒で充分……」

「つべこべ言わずにお食べ」

中級蛇人の女将さんが威嚇したので仕方なく食べ始めた。


下級竜人魔族な私に逆らう術はない。

大酒飲みを目指すにはおつまみ食べすぎると入んないんだけどなぁとつぶやいた。


クスクスと笑い声がしてそちらを見ると白い長い髪の蛇人魔族……見覚えある上級魔族がやっぱり見覚えある護衛の中級竜人と入り口に立っていた。


「相変わらず面白い娘だね」

見覚え上級魔族がクスクス笑いを続けて私をみた。

「なんか用なの? 」

私は不機嫌そうにオムライスにスプーンを刺した。


オムライスよりあたりめもってこいチータラでもいいよ。


「ミディちゃんあんた惨殺されるよ」

上級魔族の魔気に当てられて固まってた女将さんが慌ててをかばって無理矢理頭を下げさせようとする。


いい魔族だなぁ……でも私は別に下級竜人だけど……


「女将、気にしなくていいよ、ミディ少し話そうか」

上級蛇人魔族……白本家のヘルスチア兄様が甘くフェロモンむんむんの笑みを浮かべて女将さんを気絶させた。


さすが上級淫魔の血を引いてるだけあるよ。


護衛は中級竜人のオルフェートさんだ。

軍人らしいキビキビした身のこなしにため息しか出ない。


戦士らしくてうらやましいけど、私を逃がすきないよね。


「どこに行くの? 」

なるべく目立つことしてほしくないなぁと思いながら私はオムライスとビール分のお金をテーブルにおいた。

ピッタリじゃないけど迷惑料こみでいいかなぁ。

ヘルスチア兄様に手をつながれて外に出た。


「相変わらず、君自体は下級竜人の力しかないんだね」

ニコニコとヘルスチア兄様が私の手の甲に唇を押し付けた。

「私は下級竜人魔族だからね」

「なんか白々しいぞ」

オルフェートさんがさり気なく退路をたった。


うーん逃がす気ないなぁ。


「ともかく一緒に来てもらうよ」

ヘルスチア兄様がうっすらと薄ら寒い微笑みを浮かべた。


あ、今日連行されたらやばい気がする。

私は隙を伺った。


向こうから顔見知りの下町の警護兵のおっちゃんたちが見えた。


ヘルスチア兄様のこと知ってるかな?

えーいかけだ。


「おっちゃん助けて〜」

私は大げさにみをよじった。

「どうしたんだミディちゃん!! 」

おっちゃんたちが駆けつけてオルフェートさんが前に出て剣を構える。


「このお方をどなたと心得る逆らわば容赦ない」

オルフェートさんがかっこよく言ったところでヘルスチア兄様の意識がそちらに向いて手の力がゆるんだ。


「おっちゃんたちごめんなさい〜」

私はヘルスチア兄様の手を振り払って後ろに逃げた。


「ミディリーシャ! 」

「おっちゃんたちは何も悪くないんだからね! 」

ヘルスチア兄様によびとめられたけど最後っペとばかりに言い捨てて逃げた。


幸い私の下宿は知られてない。

仕事……変えなくちゃかなぁ〜

気にいってたのに……鍛冶屋の事務員兼店番、武器も見られるしさ。



断崖絶壁の上に立つ白地方は岩場をくりぬいて家を建てることが多い。


私の下宿も五階建ての岩マンションだ。


「ミディさん、おかえりなさい……お酒臭いわよ」

「おばさんただいま〜」

少し面倒見が良すぎる下宿屋のおばさんに愛想笑い浮かべてさっさと部屋に戻った。

ごはんは? お風呂わいてるわ。

お母様みたいに言ってくれていつもは嬉しいけど……対策をたてないとのときは少しうるさく感じる。


ワンルームにベッドとテーブルがおいてある部屋に入って椅子に腰かけた。


「一緒に帰ったほうが良かったかな……」

エリカスーシャ姉様とか正妻のアリスペラ母様とかとあえるのなら帰ってもいいけどとつぶやいた。


カーラファーシャ姉様とカリン母様には会いたくないなぁ……


そんなことを思いながらテーブルに突っ伏した。


あの二人はイレギュラーな私は屋敷の奥で隠しておきたいんだよね。


ああ、酒もっと飲んでくればよかった。

眠れない……夜ごはん食べるとエリカ姉様みたいにふとれるのかな……。


戦闘能力が少しでもあれば父様も安心して白都の屋敷から出してくれるのかもしれないけど……


帰りたくない……あの屋敷の奥に……

帰りたくない……あの場所に……


顔をあげると秋らしい夜の濃いワインレッドの空が見えた。


「とりあえず……寝よう」

私はベッドに横になった。


ああ、帰りたくない……

気がついたら朝だった。


仕事……行ってみるか。


「ミディちゃん昨日やばそうないい男と出ていったけど知り合い? 」

同じ下宿の中級猫獣人のミハエルがニヤニヤとした。


そういえばミハエルもあの店の常連さんだったよ。

見られていたらしい。


「ミディさんそんな危ないまねダメですよ」

下宿屋のおばさんが心配そうに朝食を置いてくれた。


ああ、良心が痛い……


「大丈夫ですよ、勘違いですから」

ニッコリ微笑んで食堂のテーブルに座った。

ええ、仲良さそうだったけどなぁとミハエルがフォークを振り回しておばさんににらまれた。

そして更に心配そうなおばさんの目を避けてクリームスープに口をつけた。


美味しい……今日も一日頑張ろう。



「おはようございます」

鍛冶屋『千の鎚』の扉をひらいてそっと入ると炉からの熱で今日もいつも通り熱いくらいだった。

「ミディちゃーんおっはー」

元気に鍛冶屋の親方(マイスター)が挨拶してくれた。

親方(マイスター)は炎属性の中級竜人の亜種で戦闘に向かないなら武器をとこの道に入った名工だ。

親方(マイスター)が打つと鉱物が炎の中で美しくも恐ろしい武器に変わるのがいつまで見ていてもあきない風景だ。


うっとり魅入ったところで気配を感じた。


「ミディリーシャ」

白い上級蛇人が店舗部分から入ってきた。

「ヘルスチア兄様……」

私は逃げようと後ずさった。


「ミディちゃん、コミュニケーションは大事だよ~」

親方(マイスター)が金床で鎚を振るった。


火花と金属が散って美しいよね。


親方(マイスター)は竜人だからなんとなくヘルスチア兄様の正体がわかったらしい。


親方(マイスター)に断って店舗のついたて奥の商談するスペースのソファーにヘルスチア兄様を座らせて自分も座った。


緊張感に心臓がドキドキする。

美しいヘルスチア兄様の口が開いた。


「ミディ……頼む白本家に一緒に来て欲しい」

「は、白本家? 」

こくんとうなづくヘルスチア兄様をみてなんか緊張してたのがアホらしくなった。

実家(イル)じゃなくていいの? 」

「イル家になんのようがあるんだい? 白本家(うち)ライノエリ()が嫁取りするの知ってるかい? 」

ウルヒフェルシアさん(へっぽこ元軍人)を娶るんだよね? 」

私は脳天気な白龍人を思い出した。

「へっぽこ……相変わらず面白いな」

うん、あの魔族は良い人だよね……でも。


「それとこれと私にどんな関係があるのさ」

「本当ならエリカスーシャに頼みたいんだが……恋人が居るからね」

ヘルスチア兄様が真剣な眼差しで私をみた。


な、なんか戦略的なことでも考えろって?

私、軍人じゃないし……天才軍師と名高いエリカスーシャ姉様みたいなこと出来ないよ。


「私と白本家に行ってほしい……婚約者として」

まるでえものを狙うようにチロリと二つに別れた舌でペロリと唇を舐める。


おーい話終わったか〜?

親方(マイスター)の呼ぶ声が聞こえた。

まだです〜。

と答えておいた。


声が近いので店のカウンターにいるらしい。

客の気配がするから早めに切り上げないと親方(マイスター)がダメージをおってしまう。


でも、まだまだ話し足りないしなぁ。


「……そんなに切羽詰まってるんかい? 」

私はため息をついた。


コクリとヘルスチア兄様がうなづいた。


御乱行(遊び)がすぎてチズレイアご当主様に引導を渡されたらしい。


「黒家のご令嬢に振られていらい嫁のきてがいなくてね……橙家(トウけ)のご令嬢と話がでてるけど……私は好みじゃないし次代魔王狙いでの交配は気が進まない」

「橙家のアールセイル様が魔王陛下(イルギス様)とほぼ同等の力がを持ってるのは有名だよね」

ため息をつくヘルスチア兄様は上級淫魔の血を引くだけあって艶めかしい。


ドサッとなんか落とす音がした。

目をやるともう一人の鍛冶職人で親方(マイスター)の弟子の炎の中級魔人アルギリュウスさんが郵便物を床に落としてヘルスチア兄様を茫然自失で魅入っていた。


綺麗や……理想の女性魔族や……

アルギリュウスさんがうっとりとつぶやいた。


やばい……やば過ぎる。

他領地出身のアルギリュウスさんはヘルスチア兄様を知らないらしい。


「アルギリュウスさん、えーと婚約者のヘルスチア・白・パール兄様です」

思い込みの激しい芸術家タイプのアルギリュウスさんを撃退するために婚約者と一応言っておいた。


多分偽装頼まれたんだよね。


「ミディリーシャ」

ヘルスチア兄様が甘く笑って私の手を持って指をアマガミした。

「女同士で婚約ってどういうこっちゃ!? 」

アルギリュウスさんが手を握りしめて叫んだ。


ヘルスチア兄様が極上の笑みを浮かべた。


「私は……男だよ、炎の魔人君」

ぴらっと真っ平らな白い胸元を見せられてゴクリと生唾のんだあとアルギリュウスは絶叫した。


嘘やー世の中信じられへん〜。


叫びに反応した親方(マイスター)がうるせー黙れーと見本用の星鉱石を投げつけてアルギリュウスさんの腰に当たった。


アルギリュウスさん痛いわーと飛び跳ねた。


「やれやれ賑やかだね、今すぐは無理だろうから今晩迎えに来るよ」

ヘルスチア兄様はもう一度私の手に口付けて立ち上がった。


そのまま親方(マイスター)にお礼を言って店から出た。


護衛のオルフェートさんが待ってるのが見えたから大丈夫だよね。


今晩だなんて本当に切羽詰まってるんだ。


今日は酒飲み行けなくて辛いなぁ……

ミディちゃん、もう限界〜。


親方(マイスター)から声がかかった。

まあ、仕事頑張るか……


報酬に高級ビールとかワインせしめてやるんだ。


「いらっしゃいませ、何をお探しですか? 」

私は愛想笑いを浮かべてカウンターに立った。


親方(マイスター)はまだ茫然自失のアルギリュウスさんに蹴りを入れて工房に引っ張っていった。


いつもの朝の風景に自然と笑みがこぼれた。


読んでいただきありがとうございます♥

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