表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋架け橋で約束を  作者: 桜坂ゆかり
第一章 七月一日
7/45

部屋でひとり

 私はもう一度、階下に降りて、おばあさんにも挨拶をしてきてから、自分の部屋へと戻る。




 ひとりになった私は、なぜか無性に寂しくなった。

 ベッドに入って横になったけど、記憶を失くしていることから来る不安もあってか、なかなか寝付けない。


 そして、もう一つの不安は、孝宏君が好きな人だという、美麗さんについてだ。

 孝宏君に想ってもらえるなんて……心底、美麗さんが羨ましかった。


 記憶を失っていることで心細い、ということだけが理由じゃないように思える。

 考えるだけでも少し恥ずかしいけど、私……孝宏君のことが……。


 最初はかっこいい人だなと思っていて、そのあと色々とお世話になって、優しい人だってことも分かった。

 ちょっと頭痛に悩まされただけで、すごく心配してくれる孝宏君。

 私の頭の中は、すでに孝宏君でいっぱいになっていて、うっかり自分が記憶を失くしているという深刻な事態に陥っていることすら忘れかねないほどだった。

 きっと、孝宏君に出会えてなければ、今頃私はもっと深刻に悩んでいたはずだし、どうなっていたか想像すらできない。

 想像したくもないけど。

 

 でも、私……記憶が戻ったら、元々好きだった人のこと、どうしよう。

 その人との恋愛成就を願って、絵馬を書いていたわけだし。

 ほんと、どうしよう……。

 だけどやっぱり……私は孝宏君のことが……好き。

 今の私がはっきり断言できるのは、このことだけだった。


 そんなことを色々と独りで考えていると、なかなか寝付けない。

 早く寝たほうがいいことは、重々分かっているんだけど。


 それでも、いつの間にか、私は眠りに落ちていた。




 その晩、私は夢を見た。

 場所は分からないけど、満天の星空の下、誰かを待つ私。

 そして理由も意味も分からないけど、どこからか声が聞こえてくる。


「七月七日、記憶は戻る。でも、今の状況とはお別れ。色んな意味で……」


 穏やかな低い声で、耳元でささやかれているように感じたんだけど、声の主の姿は見当たらない。

 不気味で、少しゾクッとした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ