生まれ変わり!?
3、生まれ変わり!?
二人と誓いを交わしてから数分後。
俺は、どう考えても明らかに日本じゃないところにいた。
「なあ・・・・」
「何?」
「ここ、どこだ・・・?」
途方に暮れた俺が尋ねると、レアンドラが答えてくれた。
「ああそうか、ずっと”現世”で暮らしてたんだもんね。ここはーーーーー」
「幻世、魔界と天界の境にある世界だ。」
「魔界・・と天界・・・。」
なんじゃそりゃ。
「多分、まだ状況がよく掴めてないと思うから、ざっと説明するね。ちょっと長くなるけど・・・。」
それからレアンドラが話してくれたのは、数時間前の俺だったら絶対信じなかっただろう内容だった。
ここは、今まで俺がいた世界とは違う、”幻世”という世界であること。
そしてここから先のはまた別の世界、”魔界”と”天界”があり、魔界にはさっきのメデューサのよう な”魔物”が、天界には全知全能の存在、いわゆる神様たちがいること。
そしてーーーー
「善、あなたは・・・天界の王、キルレイズ様の”器”--生まれ変わりなの。」
「・・・は?」
ウマレカワリ、とおっしゃられましたかな。
俺が?天界とやらの王の?・・・てか、
「その、天界?には神がいんだろ?神の王なんてあんのか?」
「キルレイズ様は、現世の人たちの呼び名で言えば、そうね、あなたも知っている筈。」
そして、レアンドラは一つの言葉を口にした。
ゼウス、と。
「ゼウス・・・」
なんか変な感じがした。っていうかいきなりこんなこと言われて平然としてる奴なんていないと思う。
そもそも俺の中でゼウスっていうと髭モジャの爺さんなイメージで、自分が生まれ変わりって言われてもピンとこなかった。
「そして俺たちはキルレイズ様の側近だった者だ。」
「・・・だった?」
「キルレイズ様は、1000年前、魔界王オルテガと相討って死んでしまったの。」
「魔界王?魔界にも王がいるのか・・・」
「そうよ。善がいた世界の言葉でいうとハデス。天界王と真逆の力を持っているわ。」
ハデス・・・冥界の王ってやつか・・・
「天界と魔界は、それぞれに均衡を保っている。しかし1000年前、オルテガは過ちを犯した」
「過ち?」
「この幻世と天界を乗っ取ろうとした。」
「・・・・!」
「そのオルテガの動きを察知したキルレイズ様は、自ら魔界へ出向かれた。そしてーーーー」
「オルテガと戦った、ってことか。」
うん、だんだん分かってきたぞ。
「キルレイズ様とオルテガの力は同格だった・・・そして相討ちになり、天界と魔界から王は消えた。」
「本来なら2つの世界の王は、100年ごとに生まれ変わるの。でも、各々相対する力に滅ぼされたことで、その周期が狂ってしまったーー」
「じ、じゃあ1000年間も王が居なかったってことか!?」
「そう。王を中心に成り立っていた魔界は荒れに荒れたわ。」
「天界は、神々が落ち着いていてくれたおかげで、何とか持ちこたえたが・・やはり、王が居ないというのは苦しくてな。」
ん?まてよ・・・
「俺がキルレイズの生まれ変わりなんだったら、オルテガの生まれ変わりもいるんじゃないのか?」
少しの静寂の後、レアンドラが口を開いた。
「ーーーーーーーええ。」
そう言ったレアンドラの顔は、なぜか曇っていた、ように見えた。