夢中夢
鞄をひっくり返し、中に入っていた本をすべて出す。
バサバサと床に落ちた本を夢中で手に取り、破るようにめくった
しかし、やはり動物の病気を治す方法など一つも載っていない
本が手からすべり落ち、ずるりと頭を床に落とした
目を閉じ、枝雲の姿を思い浮かべた
もう一度話し合いたかった。が、眠りにつく所かさっきより目が覚めてしまい、なかなか寝付く事ができない
やはり、私は…
するとドアを思いっきり開く音がして、驚いて体を起こした
見るとツミコ君部屋の前でバットを持って私を見下ろしていた
「なっなにしてるんだ…ツミコ君…」
戸惑いながら聞くとツミコ君は
「フドウさんがホシスジさん多分寝てると思うから起こしてこいって」
と平然とした顔で返事をした
「じゃあなんだそのバット! 殴り起こそうと思ったとは言わせないぞ!」
「ちっ違いますよ!」
と言い、手に持ったバットを背に隠す
…相変わらずうそを付くのがヘタな子だ
「…で、フドウさんが起こしてこいって、どういう事?」
苦笑しながら問いかけると、ツミコ君はさっと顔変えて言った
「昔話をしようって、言ってました」
「昔話?」
よく分からず鸚鵡返しをしてしまい、ツミコ君を顔を見上げる
「ハイ、鵺の話を」
「…え」
「聞きたくないですか?」
廊下の方に声がして、ツミコ君は顔を振り返った
そこにはフドウさんが立っていた
「昔話。しましょう」