様子の変わった婚約者
ジェレミーの様子が変わって戸惑うケイシー。
ジェレミーの様子が、最近おかしい。
前まではわたしがなにを言っても、うんともすんとも返事をしなかったのに、きちんと言葉を返してくれるの。
しかも、二言目にはわたしのことを褒めてくれる。
「ケイシー、今日の上着似合ってる。」
「三つ編み?かわいいね。」
「香水変えた?これ好きだ。どこで買ったのか教えてくれよ。」
とっても驚いたわ。
だって、こんなこと、前には無かったのだもの。
心当たりがないわけじゃないの。
わたしとジェレミーは幼い頃からの婚約者なのだけれど、はじめての喧嘩をこの前したの。
その少しあとから、わたしのことをやたら褒めてくれるようになったわ。
ああ、勘違いしないで。
ジェレミーがでまかせを言っていると思っているわけではないのよ。
ジェレミーは嘘は言わないわ。
あの人は嘘がつけないから、口に出して言ったことは本当に思っていることなのよ。
もちろん、褒めてくれることはとっても嬉しい。
ジェレミーと会うことが前よりももっと楽しみになった。
でもね、困っちゃうの。
だって、ほら、その、く、く、く、口説かれてるみたいで!!!
ジェレミーに褒められるたびに、自分の顔に血が昇っていくのがわかるの。
きっと焼きリンゴみたいな顔で耳まで真っ赤になってるに違いないわ。
ほんとうに恥ずかしい。
わたしたち、別に、婚約者とはいっても普通の幼馴染のようなものだったわ。
一番近くにいて、一番お互いのことを理解できる最高の友だち。
だからね、その…。
そういうことが突然入ってきて、すこし戸惑ってしまったの。
ジェレミーからはなにも言われてないわ。
でも、わたしだって女の子よ。
その人が明らかにわたしに気があるかどうかくらい、目と声と態度でわかっちゃうんだから。
わたしだってそういうことの知識はあるわ。
お友達と好きな男の子の話(わたしの場合はジェレミーと確定しているけど、ボーイフレンドを探しているお友達の話を聞くのは楽しいわ)をするし、大きくなるにつれていろんなことが自然と耳に入ってくるもの。
ただ、心の準備ができていないだけ!!
ねえ、信じられる?
わたし、わたしのことを世界で一番よく分かってて、わたしのことを好きでいてくれて、わたしがその人を両親と同じくらい愛していると言ってもいいくらいの人と、将来、結婚するの。
それってとっても幸せなことなのではないかって、最近思うのよ。
あの人がわたしに愛を向けてくるたびに、同じかそれ以上の愛をその人に抱いていることを、その人はまだ知らない。




