で、これからどうやって挽回するの?
婚約してから、わたしとジェレミーはずっと一緒だった。
ずっとおんなじ学校に通って、遊ぶときは一緒に遊ぶ。
どこに行くにも二人で一緒。
片方の家が立て込んでるときは、もう片方の家に何日も泊まりで預けられるなんてしょっちゅうだったしね。
完全にひとりっきりになるのなんて、いつぶりだろう。
さあ、わたしが手に入れたこの時間。
一分だって無駄にはできない。
まずは、計画&立案、これ大事。
わたしにはずーっとやりたかったことがある。
それは、スイーツカフェでコーヒーとアイスパフェを食べること。
カフェというものは昔からあったし、パパやママと一緒に舞台を見た帰りはいっつも行ってた。
両親はね、カフェに行くと必ずコーヒーを頼むのよ。
コーヒーはお茶に比べたら新しい飲み物だったから、わたしが産まれる前はあまり一般的でなかった。
でも、うちは商売で扱うものの中にコーヒーも入ってたから、両親は早くから好んで飲んでた。
パパとママがコーヒーを飲むのを見て、すっごく憧れたの。だから、二人の反対を押し切ってコーヒーを頼んだわ。ウェイトレスがカップをソーサーとともに運んでくる。コトン、と目の前に置かれたときは大人扱いされたみたいで、誇らしかった。
どきどきと胸を高鳴らせながら口に含むと…。
すっごく苦かった。
しょうがないから、ママが笑いながらミルクとお砂糖を入れてくれたのを、べそかきながら飲んだっけ。
だからしばらくは避けてたんだけど、13歳くらいのときだったかな、レストランでたまたまコーヒーが出されて。
残すのも勿体ないなとおもって飲んでみたら、おいしかったの!
もうほんとにうれしかった。やっと自分が両親と同じ位置に立てた気がして。
そこからコーヒーが大好きになった。
でもやっぱりコーヒーはまだ主流ではないし、飲める子は少ないから、わたしたちのあいだではコーヒーが飲めることはすっごく尊敬されることなの。
コーヒーが飲めるって言うと、年下の子なんかきらきらした目でこっちを見てくるんだから。
ええと、なんの話だっけ。
そう、だから、カフェというものに行ったことならば、それこそ数えきれないくらいあるの。
でも、甘いものだけ、というのはすごく斬新で新鮮だったし、恋人とそこに行ってきたお友達から自慢話をされることが多くて、そのたびにうらやましかったの。
まず、ジェレミーは甘いものが得意ではない。だから、二人でご飯に行くときはだいたいレストラン。しかも男の子って面白いくらいによく食べるでしょ?
カフェだと量が少ない、少ないってずーっと文句を言ってるの。
うるさいったらないんだから。
しかも、おなかが弱い。
なのに、わたしがコーヒーを頼むと、なぜか自分も頼むのよ。
そして、ものすごーく苦そうに、文字通り苦り切った顔で飲み切ったあと、お手洗いに一時間籠るの。
いい?これ、一度じゃないの。
毎回よ!
さすがに三度目のあとは怒ってあいつとは一週間口を利かなかったわ。
でもね、懲りずにまたやるから、あいつとのデートでコーヒーを飲むのは金輪際やめにした。




