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アネッタ・ストリングスの憂鬱


アネッタは悲しかった。


パパとママがアネッタと触れ合う貴重な時間が減ってしまった。


これも全部、あの小僧のせいだ。




ある日突然、パパが少年を連れて帰ってきた。


なんでも、とある金持ちの館でひどい扱いをされていたのを引き取ってきたんだそうだ。


少年はボロボロで、痩せていた。


彼がうちに来ることでいっぱいご飯を食べれらようになったらいい。


アネッタは素直にそう思った。


ここまでは良かったのだ。

問題は、パパとママが少年を、うちの店の従業員にしようとしていることだ。


お仕事をするのはすっごく大変でフク()ツなことだ。

それくらいアネッタにもわかる。

だから、パパとママはいろんなことを彼に教えなくてはならない。

それもわかる。


でも、そのせいでパパとママがアネッタと遊んでくれる時間が減るのだけは我慢ならなかった。




怒りを持て余したアネッタは、少年ー名前はカルドラーに付きまとうことに決めた。



1日目。

まず、朝起きて、商家の前を掃除するカルドラを、物陰からじーっと見つめる。

ふうん。さぼったりはしていないようだ。


今日一日中カルドラを監視して奴のミスを見つけだし、アネッタのパパとママを取り返すのだ。


しばらくは見ていたアネッタだが、塀を乗り越えてきた野良猫を追いかけているうちにカルドラはどこかへ行ってしまった。



2日目。

カルドラはママからなにかを教わっていた。

ママはカルドラと向かい合わせに座って、ひとつひとつ指差しながら説明している。

アネッタも読み書きを教えてもらったときはあんな風にしていたが、カルドラがやっているのはもっと難しいことのようだった。


しばらくは見ていたアネッタだが、学校へ行く時間になってしまったので中断するしかなかった。


3日目。

カルドラはパパと一緒だった。

小綺麗な服を着てぴしっと立っている。

なにやら緊張した面持ちでパパの後について客間へと入っていった。


アネッタもついていって客間を覗こうとしたが、通りすがりの女中に回収されて連れ戻されてしまった。



そして4日目。

ついにカルドラに見つかってしまった。

廊下の花瓶を磨くカルドラをじーっと見ていると、彼がこっちを向いた。


「妖精さん、妖精さん。プレゼンのクッキーをあげるからこっちに来ませんか。」


アネッタは躊躇った。

相手はパパとママを占領する憎きカルドラなのだ。

クッキーごときでそう簡単に釣られていいものかという戸惑いがアネッタの足を重くした。


ただ。

カルドラがすごく頑張っているというのは、この4日間ですごくすごくよく分かった。


ほんとうによく分かった。

だから、少しだけ。


少しだけならアネッタのパパとママを貸してやってもいいかな、というふうな気になっていた。


せっかくの貢ぎ物なのだ。


作ってから時間が経ちすぎて食べれなくなる前に食べてやるのが吉だろう。


アネッタは廊下の隅からするりと身体を滑らせ、カルドラのところまで勿体ぶって歩いていった。


明日は、「叔父の遺した古道具屋、実はダンジョンだった件」を更新します。

春休みシーズンということで、月・木・土の週3更新に変更しました。


明後日は、カルドラ視点を更新します。

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