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昨日、確かに電話したはずだった

作者: Wataru
掲載日:2026/02/14

仕事の引き継ぎで、昨日の夜、同僚の佐藤に電話した。


終業後だったが、急ぎの確認があった。


「もしもし、佐藤?」


『はい』


いつも通りの声だった。


「明日の案件だけど、資料って共有フォルダに入ってる?」


『あー、まだ。今から入れときます』


「助かる」


『他は?』


「いや、大丈夫」


『了解です』


通話は二分もなかった。


だから、間違いない。


確かに電話した。



翌日。


出社してすぐ、佐藤に声をかける。


「昨日ありがと。資料助かった」


佐藤は首をかしげた。


「何の話?」


「電話しただろ?」


「え?」


本気で分からない顔をする。


「昨日、電話なんてしてないよ」


笑っている様子もない。


「いや、したって」


スマホを出す。


「ほら、履歴……」


言葉が止まる。


昨日の夜の通話履歴だけ、綺麗に空いている。



「でも資料は?」


共有フォルダを開く。


資料は確かにある。


更新時間は昨日の夜。


作成者名を見る。


 


自分の名前だった。


 


「……え?」


覚えがない。


昨日は帰宅してから、パソコンなんて開いていない。



気味が悪くなり、その日は早めに帰った。


家に着き、鍵を開ける。


部屋に入る。


電気をつける。


机の上に、ノートパソコンが開いたままだった。


昨日使った記憶はない。


画面には、会社の共有フォルダ。


資料作成履歴。


更新時間。


昨日の夜。


操作ユーザー。


 


自分。


 


背中が冷たくなる。


その瞬間。


スマホが鳴った。


着信表示。


 


佐藤。


 


震える手で通話に出る。


「……もしもし」


数秒、沈黙。


そして佐藤の声。


 


『昨日、電話くれたよね?』


 


全身の血の気が引く。


 


『でもさ』


 


少し間があって、続く。


 


『お前、昨日休みだったよな?』


 


言葉が出ない。


そのまま固まっていると、佐藤が何気ない調子で言った。


 


『……あれ?』


 


 


『今、お前んちの前にいるんだけど』


 


 


その瞬間。


 


玄関のドアノブが、


ゆっくり回った。

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